2007年12月25日

2007年クリスマスに思ったこと。

 クリスマス当日といっても、いつものように年末進行で目一杯、休憩も取れずに働き、残業もちょっとあり(正規に残業手当がもらえるほどは残れない)、何の変哲もない一日でした。

 帰りに、クリスマスイブに老父にプレゼントしたユニクロのソフトエアテックブルゾンの胴回りが小さすぎたので、サイズをMに替えてもらいに行った。ついでにクリスマスケーキをちょいとデパ地下と周辺店で覗いたけど、老父の好むチョコレート系で直径12cm〜15cm程度のものが売り切れだったのであきらめる。どうせ今から帰っても、老父は入浴後、甘いものは食べないだろう。24日に二人でイタリアンワイン+イタリアンクリスマスディナーを食べたんだから、それで許してもらおっと。

 ついでにやっと、気になっていた雑誌をまとめて購入。
TV Taro (テレビタロウ) 関西版 2008年 02月号 [雑誌] 「MOVIEぴあ」も「TV Taro (テレビタロウ) 2008年 02月号」も、以前購入した「アジポップ」第77号の表紙のトニーも、同じ写真家Nicolas Guerinのものでカット違いなだけですね。ジェットトーンプロダクションが配給会社経由で提供したものだろーか。インタビュー内容も似たりよったり。 

 「MOVIEぴあ」、インタビュー本文はいいけど、PROFILEで、トニーの生年が68年になっている…サバを読みすぎ(笑)。

 もちろん、トニーは1962年香港生まれです。

 本人は今さら年齢詐称したりしてないんだけど、どうして68年に? 謎。

 お役立ちなのは「2007年の映画500本」ページか。
 nancix、ほとんど見てないよ…映画ファン失格だな。
 ていうか、関西では公開されなかったか、来年公開予定か、公開はされたんだけどいつどこでやってたのかも定かでないほど宣伝されなかったものもある。しょうがない。

 あと、気になったのはハリウッドでブイブイ言わせている敏腕プロデューサー、ワインスタイン兄弟が2007年8月に設立した巨額アジア映画ファンド(約300億円)を基に、6作のアジア映画を製作するという記事。ジェット・リー李連杰とジャッキー・チェン成龍の初共演作っていうのが「功夫之王」として覚えていたあの大作か。(紹介されている予告編のBGM、「HERO 英雄」のBGMなんですけど…?)

 あと、
・「七人の侍」リメイクをチャン・ツイィー、ジョージ・クルーニー主演でとか、
・チャン・ツイィーが「ムーラン(花木蘭)」に主演とか(ケリー・チャン陳慧琳じゃなかったのか…)、
第二次世界大戦中、日本占領下の上海での米国人殺害事件の背後に隠された謎を追うミステリーとか(それよりも首相子息の近衛文隆と日中ハーフの美女スパイの謎の交際を…)、
「トム・ヤム・クン」主演のトニー・ジャーを起用したアクション映画とか、
・アンドリュー・ラウ劉偉強監督と米国ドラマ「24」の製作総指揮者がタッグを組んで製作する香港アクション映画とか、

 メディア・アジア寰亞綜藝娯楽集團有限公司と中影集団の手がけるような大作を足して割って、ハリウッド事大主義を振りかけていっちょ上がりのような企画ばっかり。
 白人女優がなぜか春麗役の「ストリートファイター 春麗の伝説(Street Fighter: Legend of Chun-Li)」や、チョウ・ユンファ兄貴が亀仙人だなんていう「ドラゴンボール実写版」と対抗するには、こういう企画ばかりで仕方ないんでしょーか?
 チャン・ツイィー章子怡が無駄遣いされて、観客に飽きられませんかね? 少なくとも「2046」での艶やかさは、期待できそうにないです。濃いアイラインをこってり引かれて吊り上がり目にされそー。

 プロデューサー権限で"米国向けに"大幅な再編集を施すってのも、何だかなあ。
 連中に市場を食い荒らされ、監督らの持ち味も独自の映像センスもリズムも東アジア俳優達の個性も殺され、メディアアジアや中影集団も変質し、兄弟らが「もう儲けにならん」と引き上げた後は、観客の興味関心を失った広大なる荒れ野が残るばっかり、の東アジア市場にならないか、杞憂しまくるぞと。


 月刊「TV Taro」は、昔から香港映画の紹介に多くページを割いてくれている(香港金像奨取材レポートなどもあったけど、今の執筆者で取材証を発行してもらえ、取材に行ける人はいるのだろうか?)ので、今回も安心して読めた。トニーの写真もこっちの方がいいね。唇をちょっと噛みしめて耐えているような…148ページ右柱には、ショーン・ユーの紹介も4行あります。

>>続きを読む
posted by nancix at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | この本を読んだ

2007年05月29日

「三国志」諸書を読書中。

 そんなわけで高校〜大学時代にヨコシマな読み方しかしなかった「三国志」、改めて読み直しております。
 なぜか読書中に、頭の中で勇ましく鳴り響くBGMは、NHK大河ドラマ「風林火山」のBGM(作曲・千住明)…(^_^;)

三国志〈1〉 Amazonマーケットプレイスのユーズド商品で吉川英治歴史時代文庫「三国志」を全8巻まとめて大人買いできたのは嬉しかったなあ。学生時代は図書館でちょぼちょぼ読んだんだけどね。購入した文庫本は表紙が日焼けしたり、古本独特の匂いがしたりするのだけど、まあそれも良き哉、良き哉(どうも文章が文語体になるのは吉川先生の影響。お許しを)。

 学生時代のヨコシマな読み方というのは、ちょうど某アングラ雑誌で…その……美青年諸葛孔明を巡って男たちの争奪戦?が繰り広げられるお耽美小説が連載されている頃で、女子学生同士で回し読みして「…ありえなーい! こんな女性心理そのもので悶え苦しむ孔明なんてありえなーーーい!」「英雄豪傑武将たちのヒゲはどこいったんだー!」「周瑜の亡霊が夜な夜な、しとねに伏す孔明を……なんて、ギャグでしかなーーい!ギャハハハハハッッッ☆」とバカ(照れ)笑いしてたからで、ついでに吉川先生の本も読んだけど孔明の部分ばかり飛ばし読み。やっぱり「辛いかな大丈夫の恋。――恋ならぬ男と男の義恋。」「主君には、彼と起居を共にし、寝ては牀を同じゅうして睦み、起きては卓を一つにして箸を取っておるなど、ご寵用も度が過ぎる」なんてところで笑いが止められず。ひぃひぃ、勘弁してくだされ〜。吉川先生のこの小説の発表当時は、誰もこんな表現を不審に思わなかったですかそうですかー!

 その後すぐに本格的な三国志ブームがやってきて、オジサン向けビジネス雑誌で「三国志に学ぶリーダーの決断力」「あなたの上司は劉備タイプ? 曹操タイプ?」「諸葛孔明の戦略と戦術―三国志にみる人の読み方・使い方 」なんて特集があっても、真夜中に中国テレビドラマ版を見ても、どうしても例の耽美小説を連想して噴き出してしまうのだった。嗚呼なんてヨコシマな…吉川先生、三国志ファンの方々、本当に申し訳ございませぬ。


 エーーー、今回こそはヨコシマ的見方を押し殺し、ジョン・ウー的観点で呉の孫権&周瑜中心に読んでおります。
 おりますがしかし、そうすると1〜3巻の曹操や劉備や呂布の部分が退屈で仕方がない。いやいや派手にコロコロ人の首が刎ねられまくるしどの君主も部下の讒(ざん)言にすぐ騙されるし曹操は行きずりに親切にしてくれた無辜の一家を誤解を元に虐殺するし、劉備玄徳は負けまくるし妻子も軍も全部捨てて逃げまくるし。。。。。ヘ(。>_)ノ
 呂布もバカだし、ふんっとにもうどうしようもねえです、こいつらぁぁぁ!なんだけど。

 2巻「大江の魚」で、呉の太守の忘れ形見、孫策が登場してワクワク。当年21歳の好青年。
 そして年頃も同じくらいの周瑜が、孫策の竹馬の友の若武者として登場!
 「姿風秀麗、面は美玉のごとく」と、吉川先生……あんまり美々しく描写するもんだから、いやーーんそれをトニー・レオンが演じるの?と照れちゃう(はぁと)。
 孫策って、孫策に仕えた諸葛瑾(孔明の腹違いの兄)もそうだけど、果たしてウーさん版映画では登場するのだろうか? 省略されてしまうだろうか?

 3巻後半に、曹操が「実をいうと、予は遠い以前から、關羽の男ぶりに恋しておる。(中略)こんどの戦こそ、日頃の恋をとげるにはまたとない好機」と、諸将に關羽への「恋」を告白するところから、がぜん人間関係が面白くなります。うははははは。

 そして白眉は4巻。
 義兄・劉備への純愛ひとすじ!な關羽に寄せる、曹操の片思いってば。
 ……切ない。(こらこら、ヨコシマな読み方はしないはずじゃなかったのか?)
 ちなみに、広東語の先生(香港人男性)は、三国志の登場人物では關羽がいちばん好きだとおっしゃいます。"単騎、千里を走る"のエピソードの、義理堅いところを尊敬できるからだそうです。さすがは男が惚れる美髯公・關羽
 ただし香港の黒社会と警察が両方とも關羽を祀っている理由はご存知ないそうで…nancixの方が少し知っているかも(^_^;)

 ついに4巻「于吉仙人」から、呉の国が、当年27歳の孫策が、その弟で19歳の孫権が登場します!
 周瑜も竹馬の友・同い年(1ヶ月だけ孫策が兄)の孫策の葬儀に駆けつけます!
 孫策を出さないのであれば、この孫策の葬儀のあたりから、ウーさんの映画版も始まってくれるといいのになあ。
 47歳の劉備が27歳の若き孔明に三顧の礼を取るのも、この4巻です。
 孔明の「語韻の清々しさ」、声があまーーーーい響きの金城クンならきっと表現できそう。
 この4巻356ページから、「赤壁の巻」です!
 弁が立つんだ、周瑜様ってば。
 しかし孫権のもとには、呂蒙、甘寧、張昭ら、多彩な武将・知将がひしめいているので、なかなか周瑜が目立たない。ううむ。
 義兄弟の關羽と張飛が嫉妬するほど、孔明は"寝ては牀を同じゅうして睦"む仲の劉備のはぁとをぐぐっとわしづかみにしているのに、です。(だからヨコシマな読み方はやめろーやめろー)。
 
 5巻にして、呉の大賢と呼ばれた温厚篤実の重臣・魯粛(ろしゅく)の計らいにより、ついに孔明が呉に下り、孫権と対面します!
 チョウ・ユンファが演じるのではないかと騒がれた、黄蓋も出てきたよー。呉の大蔵大臣格の人物であり、徳川家光の時代の天下のご意見番・大久保彦左衛門のような存在だったのね。
 このときの周瑜は呉の水軍を指揮する提督。孫策死去の時と同じく、またしても重大な軍議に加わってない(T_T) 孔明を招いての、劉備に味方して曹操に宣戦布告するかどうかの瀬戸際なのにぃ。孫権、忘れないでもっと早くに周瑜を呼び返してよぉ。
 もっとも、周瑜は政治の場から距離を置いていたおかげで、曹操との不戦論派、開戦派、中立派の国内の意見を全て聞いてから、熟慮の上で孔明と対面できることになったのだけど。
 魯粛と周瑜との激烈な論戦を、げらげら笑いのめす孔明、周瑜の愛妻・小喬を曹操に差し出して国難を救おうと(多分、周瑜と小喬が結ばれた経緯を全て承知の上で)提言し周瑜の憤怒をかきたて開戦にもっていく孔明、ホントに人が悪い……(ーー;)

 ブラインドデート(違う)の第一印象は最悪だった周瑜と孔明。
 孔明の思惑通り、周瑜が呉の諸将を説得して、孫権に開戦を決意させる。孫権に全権を託され呉軍大都督として呉軍を率いることになった周瑜だけど、孔明の慧眼と智慮を恐怖し、いきなり「呉のために、今のうちに孔明を刺殺しちゃえ」と考えるなんて、これもあんまりな短慮だーーー!

 ウーさんは、こんな展開にはしないと、信じたい…!

 でもまあ、3日のうちに10万本の矢を集めてきた孔明に、周瑜は自分の不明を深く恥じ、謙虚に頭を垂れて曹操の大軍を打ち破る手段を教えてくれと請い、互いの計略を掌に書いて一緒に見せ合い、「おお、割符を合わせたようだ」と二人で高笑いするのだからホッとするんだけどね…(*^^*)
 このシーンは絶対にウーさん、省略しないで見せてくれるよね!

 その後も、周瑜の計略は全て孔明に以心伝心、見抜かれまくり…。
 こここ恋のテレパシー……?(絶対に違う)

 「赤壁の戦い」終了後の周瑜は、孔明に翻弄され憤然としてばかりなような…。
 うーーーん、物足りない……。

 5巻まで読み終えると、しばし放心状態…。
 まだ曹操と劉備の決着はついていないんだけど(^_^;)

周瑜―「赤壁の戦い」を勝利に導いた呉の知将 あああ、もっともっと周瑜様を読みたい!
 というわけで、6〜8巻をそっちのけにして、やはりAmazonで購入したこちらの文庫本を読み始めた。
 「周瑜―「赤壁の戦い」を勝利に導いた呉の知将」(菊池 道人著)です。
 OK! 「三国志」正史を大元に、「三国演義」のエピソードも少し加えた程度のこちらの周瑜様なら、トニーが演じてもおかしくないです。
 トニーファンにはお勧めです! 周瑜関係略年表も付いているし!
 孫策と周瑜の幼馴染の愛…もとい情愛や、二人の若武者の性格の違い、
 大喬・小喬姉妹とのほのかな愛の芽生え、父亡き後曹操の魔の手を逃れて流浪の身となった姉妹を保護し、小喬に求婚する経緯、
 晴れて夫婦になれてからも、自分が負けたり死んだりして小喬が曹操の手に陥ちるようなことには決してすまいとの決意…
 と、人間くさい周瑜様が存分に楽しめました。
 小喬も単なるなよやかな深窓の美女ではなく、兵書も読むおてんば娘で、結婚後はなかなかの賢夫人です。
 老将・黄蓋と若き大都督・周瑜の連携プレイも、さらに細やかな心理描写で描かれます。
 ウーさん、この本もぜひぜひ読んで参考にしてくれい!………と願っても日本語の本だから無理だけど(^_^;)

 残念ながら、この本では孔明が…。

 意味ありげな笑いをたたえる、にこりとする、「ふふふふ」と含み笑いをする程度で、表情がなーい…。

 周瑜と「火」の文字を互いの掌に書いていて、意気投合するシーンもなーーい…性格がちと"不気味クン"…_| ̄|○。

 金城クンファンには、お勧めできませんな(苦笑)。
諸葛孔明 時の地平線 5 (5) でもね! 孔明ファン向けならそれこそいろんな本・コミックが出ているし、諏訪緑さんのコミック「諸葛孔明 時の地平線」シリーズだってあーーるじゃありませんか!
 ひょうひょうとした青年孔明、凛々しいしかわいーです。
 ただいま13巻。頑張って読破してくだされ。はーーっはっはっはっは……(1〜3巻しか入手できなかったnancixが言うな)。
 
 
posted by nancix at 23:55 | Comment(5) | TrackBack(0) | この本を読んだ

2005年05月27日

何時、何処かで、消えるともなく消えていく「浮雲」のように。

 読破しましたですよ、林芙美子の文庫版「浮雲」。
 DVDを見てから読むか、読んでから見るか、が問題でしたけど。

 森雅之の面影がいっこうに浮かんでこないので、「色は青黒く、髪の毛の房々とした、面長な顔立ち」「ゆっくり孤独を愉しんでいるような茫洋とした風貌で、酒を飲んでいる」34、5歳から40歳前の男・富岡には、とりあえず前髪を垂らしたアンニュイモードの周慕雲のルックスを当てはめた。

 ヒロインのゆき子は、実は全然美人ではない平凡な容貌、足は練馬大根(苦笑)とのことなのでチャン・ツイィーには似てもにつかず、しかしまさか山田花子にもできず。
 「女優の三宅邦子に似てる」って形容されているけど、中年以降の三宅さんしか知りませーん。
 要するに、黒澤明監督も想いを寄せた高峯秀子みたいな美貌の持ち主では、ないらしい…。

 それにしてもこの富岡、モテ過ぎ。周慕雲どころの騒ぎではない。

 人妻だった邦子と色々あってやっと結婚し、仏印と呼ばれた戦中のベトナムに赴任すると3日に1度は妻へ手紙を書いていたのに、戦後日本に引き揚げると放ったらかしで、面倒も看ずに肺結核で孤独死させてしまう。
 ベトナムでは、現地使用人のニウに手を出し、妊娠させた上に、うっちゃってしまう。
 同僚がゆき子に惹かれているのを察していながら、その目を盗んでゆき子を手に入れる。なのに戦後、たった一人で引き揚げてきたゆき子からの電報に連絡もせず、「過去の思い出にばかりこだわって、うっとうしい女」と思いつつ、金に困ったり何かあると彼女を頼る。
 ゆき子との心中も考えつつ2人で温泉地・伊香保に行ったのに、伊香保で親身になってくれた男の若妻おせいと、ゆき子の目を盗んで情事にふけり、一人で東京に出てきたおせいと何となく同棲。追って来た元夫に、おせいは殺されてしまう(ん…? ミミ/ルル?)。すると富岡はゆき子といても、くよくよ、くよくよ。おせいのことばっかり思い出す。

 何と失礼な。何度も頭をコツンとやりたくなりましたね。

 ま、ゆき子もゆき子だけどね。寄宿先の義弟による無理やりのロストバージン・慰み者化は可哀想だけど、女一人でベトナムくんだりまで行っても男2人の間で揺れ動き、戦後は妻と両親の暮らしを両肩に担う富岡に頼れないとなると、実家にも帰らず、疎開中で不在の義兄一家の家に居着き、勝手に荷物を売り、それもトラブルになると行きずりの米国軍人にすがって物置小屋に住みながら、まだ富岡に執着し続ける。その一方で、ベトナムで恋に破れて刃傷沙汰まで起こした加野を見舞ったりする。

 富岡をどう口説いてもダメだとなると、嫌いなはずの義兄が関わる新興宗教の総本山に雇われ、毎日ざっくざっくと入ってくる現金60万円を持ち逃げ、妻と死別した富岡のもとへ。…いやあ、女はたくましいよ。まだ売れるだけの若いカラダがあるから、不美人でも窮乏期の日本で生き抜いていけたのかしら。

 いちばんワハハハ、と笑いそうになったのは、富岡の下宿に不良少女が居着き、叱っても平気で勝手に寝床に入っちゃったりしているくだり。もちろん、富岡は周慕雲と同じく、未成年には接吻までで、手を出してませーん。
>>続きを読む
posted by nancix at 16:25 | Comment(3) | TrackBack(0) | この本を読んだ

2005年05月09日

「王家衛的恋愛」に恋心は持てない

 片づけに追われながら、やっと「王家衛的恋愛」を読み終えました。
 …………。
 申し訳ないけど、この著者とは、映画デートしたくないです…。
 ましてや、恋心は抱けそうにありません。ごめんなさい(ペコリ)。

 何だか、一緒にマイナーなフランス映画を見に行ったら、帰りに茶店で蕩々とまくしたて、人の相づちもろくに聞かず遮る間合いも与えず「だって、ゴダールがトリュフォーが、○○を引用すればさ、えっ○○見てへんの? なんで? 興味ない? どうして! 話にならんやん!」と呆れてくれたボーイフレンドを思い出すですよ。
 お話にならないのはそっちだ! このゴダール男!と、速攻、縁を切りましたけど。
 まあ、大学生なんてそんなものか。

 それに比べて2000年秋・東京での「香港映画祭」のときだったか、アジア映画ファンみんなで一緒に中華料理店の丸テーブルを囲んだときに、「いや、既婚男性としてはですね、『花様年華』は本当に心にしみ入る作品でして…」としみじみ自分の言葉で何一つ引用することなく、謙虚にとつとつと語ってくれた、ウィリアム・チョン張叔平似の40代とば口男性の、なんと素敵だったことよ。既婚と解っていながら、思わずよろめいてしまいそうだったわ(こらこら)。

 いやこっちはさ、キルケゴールもニーチェもジル・ドゥルーズも〈73年の世代〉(しかも欧米の!)も、完全に全くどうでもいいんだから。
 そんなのを、読む者の当然知っているべきジョーシキ、前提にされたって。
 読みたいのは王家衛作品について、なんで。
 レスリーのみずみずしさ、彼の汗のしずくが決して臭わず、むしろどんなにエロティックか。
 マギーの伏し目がちな、つつましさと毅然とした立ち居振る舞い。
 トニーの手、うなじ、そのしぐさの甘い誘惑、言葉より雄弁な、恋に溺れ切れないまなざしのアンニュイ。
 文章で語るべきものは、映画そのものの中にいくらだって見い出せるのに。
 なぜ欧州の先人の言葉をわざわざ借りなければ、語れないわけ?

 王家衛があえてぼかして、観客の推理にお任せした「花様年華」のチャン夫人の連れていた子どもを、なぜ周慕雲との子どもだと断定するの?
 「欲望の翼」「ブエノスアイレス」のレスリーはアンニュイではあるけど、「卑劣さを身にまとっている」なんて思ったこともない。彼には彼なりのいさぎよさがあり、決然たる意志がある。
 「楽園の瑕」の砂漠は砂漠で、剣士らを浮き世のしがらみからすっぱりと隔絶し存在を際立たせるための舞台装置であり、決して「冷徹な資本の論理によって人情や家族的紐帯を破壊する市場社会の隠喩」なんてものじゃない。王家衛がこんなややこしい解釈を読んだら、唇を軽く歪めて冷笑するだけだろう。
 「2046」のミミ/ルルについては、nancixも当初は「可哀想に、"おいらはドラマー ヤクザなドラマー"に殺されちゃったんだね。後で出てくるのは周さんの、さらに時を遡った回想なんだね」と解釈してしまったんで、著者の誤解も無理はないと思うけどね。
 
 そして、やっぱり出たよ、「ポストモダン」が。
 この単語が出現すると、nancixの脳裏にはピコピコと黄信号が点滅する。
 ましてや「ハイブリッド・ポストモダニズム派」?
 それって食えるのか?

 ハイ、「図書館で見つけたら、借りて読んでもいいかな本」入り決定ね。
>>続きを読む
posted by nancix at 17:03 | Comment(10) | TrackBack(4) | この本を読んだ

2005年05月02日

次に読まなきゃと思う本。

 graceちゃんのblogで知った、こんな本。
王家衛的恋愛
 北小路 隆志の「王家衛的恋愛」。
 出版社のこちらに解説が。
 北小路さんて、トニーと同い年の、こんな男性なんだ。
 何だかアカデミックな話じゃないかと戦々恐々だけど、とにかく読んでみます。
 書棚がパンパンなんだけど…(泣)
 
posted by nancix at 15:23 | Comment(6) | TrackBack(1) | この本を読んだ

2004年08月25日

「さゆり」(下)も読破。

さゆり (下)さゆり (下)も無事読破。
 結局、芸に邁進し伝説の芸妓となった女の一代記じゃなくて、色事の方の苦難話に終始してしまったような…。
 時代が戦争中に突入してしまったので、芸を捨てても仕方ありませんけど。
 水揚げの相手があんなH態だとは意表を突かれたし、最初の旦那さんへの不満からちょっと顔のいい男と刹那的な関係を結んでしまうさゆりにもあっけにとられたけど。
 初桃姐さんも、まんまとはめられて退場〜〜。でも何だか胸がすきません。男同士のビジネスにおける激闘なら、卑劣な悪人が懲らしめられるとすかっとするもんですが、女の職場での暗闘は自業自得とはいえ、暗澹とした思いになります。おカボちゃんも、戦争で女の地獄を味わって可哀想…。ヒロインちょっと鈍感かも…。

 さゆりの旦那になりたがる延(のぶ)さん、つっけんどんできついけど、ええお人どすがな…役所広司なら人間味たっぷりに演じて(なんでヒロインはこいつで満足しないんだぁ?)と観客の首をかしげさせるかもしれません。

 奄美でのさゆりの危険な賭け、相手が一般ピープルの普通の男だったら、以後は完全に退くでしょ…。彼女といいムードになるたび、あのときの姿が頭にちらついて…なんてことになってなかなかうまくいかないはず。日本人男性にしては、やたら度量が広いです、"会長さん"。やっぱり”会長さん”が”丘の上の王子様”で、延さんが不良ぶる”テリー”でした(^_^;) 会長さんと延さんの決着のつけ方も知りたかった。武者小路実篤の「友情」みたいな一場面が繰り広げられたのだろうか。夏目漱石の「こころ」のKみたいにならないでよかった。

 昔、ベッドで何を許しても接吻だけは許さない高級娼婦の話を読んだのは、マンガだったか小説だったか。竹宮恵子のマンガだったかもしれない。ちょっとそれを思い出させる描写もありました。
>>続きを読む
posted by nancix at 10:52 | Comment(1) | TrackBack(1) | この本を読んだ

2004年08月23日

「さゆり」(上)読破。

さゆり (上) Amazon.co.jpで取り寄せた古本の「さゆり」、たちまち上巻を読んでしまいましたよ。詩的な日本語表現の数々に、陶然となりました。著者には絵心がありそうです。自分の新聞的ゴツゴツした文章を、恥じ入るばかり。
 それにしても、どうしてもさゆりこと千代がツーイーちゃん、「おカボ」ちゃんがいつでも泣きそうな工藤由貴の顔になってしまいますな。丸顔でカボチャみたいだから「おカボ」なのに、姉貴格の意地悪芸妓に連れまわされて痩せて顎がとがってしまうというのだから、そこからが工藤由貴が演じるべきかな。さゆりはもうちょっと優しい顔立ち、デビュー当時の仲間由紀恵ちゃんぐらいが哀れを誘ってよかったんだけど。

 さゆりは母の遺伝で、目の色が青みがかった薄い灰色。誰もがその目の色に興味を持つという設定です。特殊な身体的特徴は、東西を問わず貴種流離譚の主人公にありがちです。どうも幼少期の親元から引き離されての苦難といじめのエピソードを読んでいると「さらば、わが愛〜覇王別姫」の小豆子こと程蝶衣を連想してしまいます。彼の母親は娼婦で、貧しさと商売の邪魔のため育てきれないと観念したか、6本指の息子の余分な指を叩き切ってまで、京劇劇団に引き取ってもらうのでした。これも東西問わず、芸を仕込む過程は幼児虐待に近い凄まじいものがあります。狂言師の野村萬斎も、3歳から舞台に立たされる狂言師の芸道のスタートを「猿回しが猿を仕込むようなもの」と表現されていましたっけ。痛みと餌付けの条件反射で、体に芸を覚えこませるわけですね。

 程蝶衣と、親友にして彼が生涯愛した相手は男の子集団でもまれて育つわけですが、さゆりは鉛毒で醜くなった老婆や置き屋の女将という奇妙な外見の女たちと、美しい姉御分の芸妓らと、美醜両極端の女性集団にもまれて育ちます。さゆりはお澄まししている受け身なだけの娘ではなく、なんせ漁村で生まれ育った子、屋根によじ登り脱走を図るほどアクティブなのが映画のヒロイン向き。上巻ではまだまだ数えで14歳、自分の頭で考えて苦難を切り抜けるまでに至らず、豆葉姐さんらに助けてもらってばかりですけど。
>>続きを読む
posted by nancix at 20:00 | Comment(1) | TrackBack(2) | この本を読んだ

2004年08月11日

「放送禁止歌」文庫版に涙しそうになった。

放送禁止歌
 森達也の「放送禁止歌」が文庫になっていた。なぜかジュンク堂書店で平積みになっていたので、さっそく購入。ハードカバーは立ち読みで済ませたっけ。
 nancixがこの本の元になったドキュメンタリー「放送禁止歌〜唄っているのは誰? 規制するのは誰?」を見たのは、土曜か日曜の昼下がりじゃなかったかな。
 以前からTVガイド誌のちょっとしたコラムで知って、この番組に興味を惹かれていたんだけど、放送日を忘れていて、途中からしか見られなかった。なぎら健壱が出てきたのは覚えてる。
 何より鮮烈だったのは、画面が真っ黒になり、タイムコードと呼ばれる白い数字だけが画面の隅に出て、岡林信康の曲がフルコース流れた終盤だ。部落出身だから恋人と引き裂かれた、手紙に書かずにはいられなかった女性の悲しみを歌い上げた曲。モチーフの結婚差別は中学の副読本で読んだのと似たストーリーで、歌詞としてはストレートで決して巧いとは思えないけど、どうしてこれを放送禁止にするのか訳がわからない。
 謹厳実直な母親に「もしもワタシが在日韓国人かブラク出身のステキな男性と結婚したいって言ったら、お母さんは許す?」とからかったことがある。母親は深刻な顔をして悩み、やっと言った。「その人はとてもいい人でも…結婚したら、相手の家族とも親戚付き合いせなあかんのよね…お母さん、自信ないなあ…」
 ふーん、アンタなんて結局は、いくら口先でいいこと言っててもそんなもんよね、と思春期のnancixは内心冷笑していた。
 いじめを止められなかった、理不尽な連中に立ち向かうことができないほど安っぽい正義感しか持てなかったnancixに、笑う資格なんてなかったのに。
 放送禁止には実は何の法規制も規範もなく、ただただ各方面からの苦情=トラブルを恐れたメディアの自己規制だったことが、次第に明らかにされる。

 nancixは美輪明宏の「ヨイトマケの唄」を、ほぼフルコーラスでNHKドキュメンタリーで聞けたし、TVの深夜番組だった「桑田佳祐の音楽寅さん」で、桑田佳祐が「ヨイトマケの唄」を弾き語りで歌ったのも見た。母と息子の情愛は、台湾映画「多桑(とうさん)」の父と息子の姿に相通じるものがあります。
フォーク・デュオの「赤い鳥」はケリー・チャンが出演した神戸でのコンサートで「竹田の子守唄」を聞かせてくれた。ホントに美しい哀切な旋律の、名曲だと思う。「在所」って、自分がいまいる村や町のことだと信じきっていたし。「♪おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと…」の五木の子守唄と双璧を成す労働歌だと思うのに。
 子どもには、金で雇われている子守の屈折した思いだってちゃんと理解させるべきなのだ。自分を取り巻く誰もが善意の無害な人間ではない、みな屈託を抱えてそれでも生きていると知らせるべきなのだ。知らせないから、自分の中に負の感情、歪んだ部分を見つけて(自分は汚れて醜くなってしまった、取り返しがつかない、今後ますます醜くなるだろう、ああいやだ、自分は生きていちゃいけない存在だ)と絶望するんである。

>>続きを読む
posted by nancix at 16:08 | Comment(4) | TrackBack(2) | この本を読んだ

2004年06月19日

買い逃した「シネマ突貫娘」発見!

シネマ突貫娘―映画ほど素敵な商売はないやっと見つけましたよ〜一時は入手不可能とあきらめていた、「シネマ突貫娘―映画ほど素敵な商売はない」。
 80年代香港ニューシネマを日本に紹介する映画祭を決行し王家衛の「欲望の翼」「恋する惑星」「天使の涙」を配給し「ブエノスアイレス」のアソシエート・プロデューサーにもなった、篠原弘子女史の著作です。

 これが出版された98年頃、nancixの中ではもっとも(もう今後の香港映画はダメダメかも…)と葛藤が激しかった時期。悩みも迷いも多く、ていうか抑うつ状態で、人間関係も再構築中で、しばらく日本の書籍にも雑誌にも触れないで、精神的浮上を待っていたのでした。

 んで、いざほしいと思ったら、ジュンク堂書店の検索でも「出版社品切れ・重版未定」と出る。
 イーエスブックスでも見つからない。半ばあきらめ気分でした。

 忘れてましたよ、天下のAmazon.co.jpを!
 検索かけたら、あっけなく見つかっただけでなく、格安のユーズド商品=個人所有の中古本まで見つかった。
 すぐに注文したら、持ち主から丁重な謝礼メールも届いて、昨日黒猫さんのメール便で届きました。早い。>>続きを読む
posted by nancix at 09:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | この本を読んだ

2004年04月30日

サラ・ウォーターズ3冊読破

半身
半身
サラ・ウォーターズ Sarah Waters 中村 有希
 そんなわけで、出張中の友は文庫本。今まで「1000円前後するしー」と避けてきたサラ・ウォーターズの「半身」、「荊(いばら)の城」上下を読破しました。「半身」は『このミステリーがすごい』1位、週刊文春1位だったそうで。

 すいません、読み始めはずっと、サラ・ウォーターズではなくミネット・ウォルターズの新作だと思い込んでいたnancix。だって、男の身体や剥き出しの性欲に対する嫌悪感、女同士の密やかな交情、利口で聡明な女が「女ごときに」と舐めてかかった男を出し抜くプロット…と、かなーり共通点があるものだから。「氷の家」「女彫刻家」「鉄の枷」「囁く谺」とかと。
 ただしミネット・ウォルターズが謎にからめてぼかして描く部分を、サラはあからさまに描く。そりゃもう、読んでるこっちが赤面するほど。
 でもってこの作家、貴婦人と身分違いの女(霊媒や侍女)とのカップリングにこだわりまくりです。いやはや。
>>続きを読む
posted by nancix at 19:37 | Comment(0) | TrackBack(1) | この本を読んだ

2004年04月23日

御宿かわせみ・最新刊

佐助の牡丹 御宿かわせみ28
佐助の牡丹 御宿かわせみ28
平岩 弓枝
 nancixと老父は、競うようにこの「御宿かわせみ」シリーズを文庫で読んでますんですよ。今回の最新刊「佐助の牡丹」はnancixが通勤時間を利用して先に読破、3分の2しか読んでないという老眼の老父をリードいたしました!

 思えば家族4人が揃っていた頃に、お茶の間に寝っころがってNHKドラマで小野寺昭&真野響子(真野あずさの実姉)コンビの"東吾&るい"の世界を楽しんだものです。その後の「るいさん」は古手川祐子、沢口靖子、現在の高島礼子と代替わり。東吾さんも橋爪淳、村上弘明、中村橋之助と替わりました。

 でもやっぱり、るいさんはしっとり匂やかな真野響子さん、闊達で男前で凛々しいけど、弟タイプでやんちゃでちょっと危なっかしい東吾さんは「太陽にほえろ!」で"殿下"なんて呼ばれてた小野寺さんがベーシックイメージなんだよなあ。朝日放送版の沢口靖子も悪くなかったしオープニングがキレイだったけど、沢口靖子だと華やかすぎて…。

 ただ、同心で東吾の親友の畝源三郎は、あの当時の山口崇だと男前すぎ。岡本信人のイメージだったんだけど…。
 美男子の東吾の兄、通之進サマは田村高廣だと老けすぎ。草刈正雄じゃバタ臭いし…村上弘明の兄ならまだしも、醤油顔の橋之助とは似ても似つかない(涙)

 おしゃべりでお節介でそそっかしい、女中頭のお吉は藤田弓子さんがぴったりでした。今の鷲尾真知子さんも大健闘だけど…、もうちょっとふくよかな方がいいかなぁ。>>続きを読む
posted by nancix at 01:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | この本を読んだ

2004年04月19日

身重でサイコパスと対決?!「囚人分析医」

囚人分析医
囚人分析医
アン・ソールター 矢沢 聖子
 「検死官ケイ・スカーペッタ」シリーズが続けすぎの弊害ですっかり色あせてしまった昨今、ハヤカワ・ミステリ文庫で新たなプロフェッショナルウーマンが登場した。
 児童虐待や性犯罪専門の司法心理学者、マイケル・ストーンだ。…いや、マイケル・ダグラスでもシャロン・ストーンでもなくて。
 大学病院の精神科勤務の傍ら、独立したセラピストとして治療にもあたる。離婚歴があり、最初の子どもは乳幼児突然死症候群(SIDS)で1歳にもならずに失った、という設定。30代後半か?

 いまは警察署長と同棲し、なんと妊娠8ヶ月の身重で犯罪者矯正施設にグループ治療のため赴くことに。性犯罪者やサイコパスを相手に、大きなおなかで息を切らしながら、むくんだ足で飛び回り、どーすんだよぉ〜とハラハラさせられる。
 もちろん自宅前で襲われるし、クライマックスには矯正施設所長の自宅で、高所恐怖症の夫人と持病持ちの娘をかばいながら立てこもり、銃の名手の男を出し抜かなければならない羽目に…いやぁ米国人、身重でも容赦ないです。安定期とはいえ、読んでるこっちの方がおなか痛くなりそう。>>続きを読む
posted by nancix at 19:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | この本を読んだ
△TOPへ