2009年06月19日

「血戦新世紀/BLOOD/ラスト・ブラッド」

 6月初めから香港にやって来た日本人ルームメイト研究生が、最初はノートPCがどうにもネットに接続できないからとnancixのPCを借りてすったもんだ。こちとらも、USB接続モデムを推薦して買わせた負い目があって、接続できるまでハラハラドキドキ。
 ようやく接続できるようになり、フラット周辺も案内してあれこれ紹介して、慣れてくれた、手が離れたと思えば、現在は論文を死に物狂いで仕上げようと日夜格闘中。狭いフラットの唯一の食卓兼PCテーブルを占領しておられまする。彼女のノートパソコンには外付けキーボードと放熱スタンドが装備され、彼女のミネラルウォーターの大瓶がデンと置かれ、もう一つノートPCを置くスペースも、巨大なサイズの広東語教科書を広げるスペースも…_| ̄|○

 仕方がないので、昨日に続いて「血戦新世紀/BLOOD/ラスト・ブラッド」を見てきましたよ。
BLOOD英国版ポスター

 九龍塘のフェスティバル・ウォーク又一城では、もう1日2回しか上映してません。
 チケットカウンターと入場チェックで2回も止められた。いや「学生証見せて」と言われた。やっぱり(いいオトナが、マジ1人でこんなの見るの?)と驚かれたかなぁ…と思ったけど、あとでチケットの半券をよく読むと「入場時にもう一度学生証をお見せください」と書いてあった。渋い顔してスマヌ、入場係のおねーさん。

 ガラガラの観客席の真後ろには、中学生男女グループがキャピキャピ座った。ええと、もう香港全部の小中学校が甲型H1N1豚流感(新型インフルエンザ)の影響で休校中なんだっけ?

 「血戦新世紀/BLOOD/ラスト・ブラッド」は、韓国女優のチョン・ジヒョンと日本女優の小雪が出演しておりますけど、スタッフには世界を股にかけるプロデューサー、「グリーン・デスティニー」「ラスト、コーション/色、戒」だけでなく金ピカ一族DV映画や異色の色黒バレリーナ映画だって作っちゃうビル・コン江志強、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」などベテランのプーン・ハンサン潘恆生撮影監督、"七小福"の一人でもあったコーリー・ユン元奎アクション監督など、香港ゆかりの人々も関わっておりますよ。

 さて、バンパイアといえば萩尾望都「ポーの一族」ですよ「君からどうぞ。僕は君からもらう」ですよ♪女吸血鬼カミーラが出現する「血とバラ」も文庫本で小説読んで深夜のテレビ放映を必死に見ましたよ、死と官能の香りに満ちた甘い邪悪な誘惑よ背徳の囁きよ、白い首筋にキッス一つで不老不死の身に…おおどうかエドガーよアランよ、自室の窓を一晩中開けておくから私をここから連れ去って! 違う世界の違う私にして! メリーベルのような線の細い病弱美少女にしてなあに、つりは要らないぜ行ってきなと言って!なーんて夢見ていた元少女漫画ファンとしては、
 血を吸うどころか人間の首をグシャッと潰す、ゾンビ+エイリアンに翼を付けただけの無粋な裸んぼの妖魔、いやオニなんて要らねええええ!(号泣)


 こんな醜いのが「バンパイア」なんて、金輪際認めねえええええ!!


 映画は応仁の乱(1400年代)から1970年代に至るまで続く、妖魔=オニと人間の闘いを説明するナレーションと1枚絵から始まる。血なまぐさい戦国時代の虐殺、呪詛の声…それらが産んだ妖魔の親玉が「鬼源」だというのだ。

 舞台は1970年代、ベトナム戦争泥沼化直前の、TOKYO。ただし「なんちゃって日本」だ。人気のない地下鉄車内で、米軍による北ベトナム空爆を報じる新聞を読む黒ぶち眼鏡の初老の男。やたら歯がでかい。Mr.オクレをもっと不細工にしたような。
 鋭い目を向ける黒衣の少女の視線に、男は冷や汗まで浮かべる。ああ、醜い。これでさらに首に一眼レフのストラップかけてショルダーバッグかけてたら、瞬殺していいレベル。目が合っただけで「チカーーーン!」と叫び出したくなる。
 ……いいや、黒髪、黒目がちな瞳、あどけない顔の美少女は叫び出すどころか、初老の男を追いつめ、必死の反撃も難なくかわして一刀のもとに醜い顔を両断する。
 黒コートの襟を立てた、見るからに怪しい光頭白人男グループが、浅草駅ホームで少女の乗った車両の到着を待っている。死体を始末する「清掃人」かよ! リーダーらしき男マイケル・ハドソン(リーアム・カニンガム)は、確かにリュック・ベッソン版「レオン」(94)の清掃人、ジャン・レノに激似だが…。

 後始末に取り掛かった清掃人の一人、ルークは「この死体は人間の姿のままで変異しない。小夜は間違えたのでは?」と疑念を口に出す。しかし小夜は、過ちだとは頑なに認めない。彼女には妖魔を見分ける確かな能力があるらしい。「彼女は我々の唯一の希望なのだ」とまで言い放つ、何気に小夜びいきのマイケル・ハドスン。

 米国人らしき清掃人らは、黒髪お下げ16歳と未成年な小夜を、なぜか殺しの実行犯として雇っているらしい。そして殺しの後は、七つ道具をスーツケースに詰めた清掃人らが、すかさず死体や犯行の証拠を入念に消してしまうのだ。
 小夜は東京・戸越銀座の陰気なビジネスホテル「柚子屋旅館」の一室に寝泊りしていて、「清掃人」リーダーのマイケル・ハドスンから紙袋入りのボトルを受け取り冷蔵庫に保存し、仕事が終わるたびに飲み干すのだった。
 小夜は回想する。「加藤」と彼女に呼ばれる白髪白髯のじいや(唯一まともな日本語を話せる、倉田保昭先生だ!)に「妖魔は人間の姿を偽装しますが、その目を真っ直ぐに見つめれば、そこに魂のないことを解ります」と教わる、かつての小夜。そして「最も下劣なオニ」が、「鬼源」だと、加藤は彼女に教えた…。

 小夜に、次の"潜入"任務が命じられた。「"潜入"? 私は調査なんかしない、殺すだけ!」と言い張る彼女だが、マイケルになだめられ、向かった先は…日本の中でも治外法権の土地、米軍「関東基地」内の高校なのだった…。
 さて、この関東高校には「将軍」の娘、[愛麗糸糸]じゃなかった、アリスが通っていた。歴戦の勇士「将軍」は、最近の日本での、米軍に向けられた不穏な動きを悟ってか、片親なせいなのか、毎朝車で学校まで送迎するなど、娘の素行に厳しく監視の目を光らせる。それがうっとうしくて我慢ならないアリス。
 だが、その関東高校では、清掃のオバサンが突然の停電を不審がる時間も持てず、いきなり血祭りに挙げられるなど、魔の手がひしひしと迫っていたのだった。

 突然の転校生、しかもセーラー服に白ソックス、黒革靴の日本人学生小夜に、ファッショナブルな米国人クラスメイトは侮蔑の目を向ける。特に冷やかしの声を執拗にあげる2人の女生徒に、正義感の強いアリスは顔をしかめる。なぜかこのハイスクールには剣道の授業があり、アリスは指導教諭でアフリカン・アメリカンのパウ先生、いやパウエル先生(コリン・サーモン)に居残り練習を命じられる。「彼女がさぼらないように、私たちがちゃんと監督してやるわ」と意地悪な笑みと共に名乗りを上げたのは、小夜をからかっていたあの2人の女生徒だった。
 剣道場で、女生徒2人はいきなり真剣でアリスに斬りかかる。理由も解らず、必死に竹刀で防戦するアリス。
 その頃、小夜は職員室の資料コーナーに忍び込み、2人の女生徒のデータを確認していた。そして剣道場に向かう。
 女子高生とは思えないバカ力で、剣道場の外にまで弾き飛ばされたアリス。小夜が倒れた彼女の背後から近づき「逃げな」と囁いて単身剣道場に入り、アリスの折れた竹刀で扉を閉ざした。必死に中を覗こうとするアリス。
 女生徒2人は小夜に襲い掛かるが、小夜は無情に女生徒1人の首をはねた! 扉の向こう、目の前に同級生の生首が飛んで来て、悲鳴を上げるアリス。
 彼女は父親に通報し、共に剣道場にとって返す。「清掃人」ルイスたちが引き上げようとしていたのだが、アリスの父の将軍は彼らと口論し、何とか事件の証拠を掴もうとする。剣道場で、床が洗浄された痕跡を見つけたアリスは「やっぱりここで何かあったのよ!」と頑固に言い張る。
 一触即発のそのとき、マイケルが駆けつけ、自分たちは中央情報局(CIA)だ、ワシントンからの直々の命令で動いているのだと説明し、将軍らを圧倒して「清掃人」らを釈放させる。「サノバビッチ!」と居合わせたアリスに吐き捨てて引き揚げる、清掃人たちだった。

 小夜に命を救われたことも納得できず、あくまで騒ぎ立てたいアリス。その夜、彼女は父親の車をこっそり運転して基地を出た。パウエル先生が出入りする、米軍兵御用達のクラブに入って、パウエル先生に「私が襲われることを承知で、彼女たちと一緒に居残りさせたんですね! なぜ?」と問い詰めるアリス。
 パウエル先生は、そしてクラブに居合わせた客たちは、兇悪な正体を現わした! 逃げるアリスを、じっと様子をうかがっていた小夜が助ける! 小夜とアリスを執拗に追い続けるゾンビ、いやバンパイアたち! 屋台が、倉庫が破壊される! パウエルが、小夜が宙を駆ける! パウエルに捕まえられ、小脇に抱えられて空中を行くアリスが恐怖のあまり絶叫する!(うるさい)

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2009年05月28日

ドニー・イェンが田漢役に

 田漢といえば、あの勇ましくも日本人にはチト切ない中国国歌「義勇軍行進曲」の作詞者で詩人・劇作家ですが、

 トニー・レオンが出る、いやまだ未定だと話題の中国国家的プロジェクト大作映画「建国大業」について中華圏のニュースを漁っていたら、
 「作曲家」がどうこう…という見出しをつけて、本文は「作詞家」になってるサイトもあって、つい釣られて友人へのメールに「作曲家の田漢」と書いて、すぐに「いや、彼は作詞家でしょう」と突っ込まれた_| ̄|○。

 「甄子丹棄做高手演作曲家
 …………釣らないでクダサイ…。

 それでなくても香港のテレビの地上波チャンネルで午後4時前後にこの「起来! 起来! 起来!」「前進!前進!前進!進!」が流れてくるたびに「大陸のお仕着せ…」「"中華民族に迫り来る最大の危機"をもたらしたのは、大日本帝国…」と、複雑で切ない思いをしているのに。

 むしろピーター・チャン監督の「ラヴソング/甜蜜蜜」で、この曲をバックに自転車を乗り回すレオン・ライ黎明の無心な姿を連想しておきたいのに。

 さて、記事では「葉問」のドニー・イェン甄子丹兄さんと、孫尚香ことヴィッキー・チャオ趙薇が、老けメイクで2ショットしてまする。
 ドニー兄さん、劇中のセリフは10言にも満たないそうですが「自分の経歴で最も厳粛な一幕となった」とコメントしておられます。
 田漢役に選ばれたのは、若い頃の細身の田漢のスナップ写真に容姿が似ているのと、ドニー兄さんのピアノの腕前(10級って何のピアノ検定??)を買われてのことだそうですね。

 ドニー兄がピアノを弾く姿、楽しみだ…。

 田漢が出るなら、後に日本の湘南海岸で海水浴中に、わずか24歳で夭逝した作曲家のニエアル聶耳の出番もあるんだろうか…?

 アンディ・ラウ劉徳華、レオン・ライ黎明も出演するこの「建国大業」は、来月クランクアップ、9月17日に中国で公開予定だそうです。

 ううむ、トニーさんは…どうするべか?
posted by nancix at 10:10| Comment(5) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月13日

描くのはあらかじめ失われた工場コミュニティ「四川のうた 二十四城記」

 今日は午後から香港人の良き友と待ち合わせて灣仔をうろつこうと計画してたら、灣仔駅に降りた途端、激しい雨が…。行きたかった食器屋さんも、相合傘でやっとの思いでたどり着いてみたら、なんと!イースター休みだったし、さんざんでしたよ。健脚な友人とあれこれ話していると、結局灣仔から銅鑼湾まで歩いてしまって、大根足が棒……。

 でもま、とって返した「壇島珈琲餅店」で美味しいダンタッ蛋撻(カスタードタルト)を食べられたし、彼女に案内してもらった東方188商場のCD・DVD安売り店で、ほしかった「東邪西毒:終極版」BGM集CDを買えたし、タイムズスクエア時代廣場の吹き抜けでパッチワークを中心にしたDIY(手芸)ショップの展示を見られたし、楽しかったです。

 銅鑼湾のIKEAをうろついた後でホットドッグを食べて、彼女とバイバイして向かったのは、尖沙咀の香港文化中心。いよいよ「第33回香港國際電影節」、閉幕作品「四川のうた/二十四城記」(08)の上映なんです。
二十四城記ポスター

 でも会期中にふと思い立ってチケットを買ったので、3階席限定と言われてしまった…_| ̄|○。3階の、それでも最前列に座ったけど、見下ろすと1階も2階も空席多いじゃないのよ!(怒)。あああ、目の前の手すりバーでスクリーンが上下に分断されて、英文だけしかない字幕が読みにくいったら…。
 しかも、1階最前列左端に、スタッフがたむろしてコンパクトデジカメでしきりに撮ってる…小泉元首相のような髪型・長身の、司会進行役兼英語通訳さんも傍らに立っておられる…と目を凝らすと、ジャ・ジャンクー監督本人が座って舞台挨拶のスタンバイしておられました。おおっ! 1階席で見たかったなあ…!

 案の定、上映前にジャ・ジャンクー監督と、広東語を話す髪が長めのスタッフの一人…多分撮影監督の一人の、ユー・リクウァイ余力為?(同じ列の女性に、スタッフが「写真撮影はやめてくれ」と言いに来て、司会進行役が紹介した彼の名前が聞き取れなかった…)がスクリーン前に出て来て挨拶。ひときわ小柄なジャ・ジャンクー監督、「ドキュメンタリーと虚構の交錯によってリアルライフを浮き上がらせる試みだ」とかどーとか、おっしゃっておられました。多分、公式サイトの監督メッセージと似たようなことです。

 で、ジャ・ジャンクー監督、またやっちまってます仕出かしてます
 タイトルの「二十四城」というのは、中国の中央直轄市の一つ、四川省に隣接する重慶市九竜坡区内の国有企業(元飛行機製造の軍需工場?)コードネーム「420」工場の広大な跡地に建てられた、豪華高層住宅群タウン「華潤二十四城」のことなのに、その「二十四城」の完成した姿は、とうとう見られずじまいじゃないですか!
 「二十四城」記じゃない!

 それどころか、かつては宿舎や食堂、商店だけでなく工場労働者の子女のための幼稚園、小中高校まで備えた一大コミュニティの喪失…操業を終え、機械が運び去られ、バイクや自転車で通勤する労働者の姿が消え、取り壊されていく広大な420工場の姿と、まるでカメラをデジカメと間違えているかのように、カメラ目線でじっと動かないで記念写真、いや記念動画を撮ってもらおうと固まって映る工場労働者や退職者や彼らの家族、リストラされた元労働者らを中心に描いているじゃないですか!

 「あらかじめ失われた420工場よ記」が正しい!

 まさに「看板に偽り有り」だわ!

 ジャ・ジャンクー監督、以前も「無用」(07)で、成功した中国人女性ファッションデザイナーじゃなく、彼女の取材の中途で出会った数々の"普通の人々""ちょっとユニークな人々"にどんどん視点をスライドさせていったからなあ。あれは、女性ファッションデザイナーを描くという企画書を読んでOKした出資者が大激怒ではないかと。

 …で、大根足が棒だし、今回もドキュメンタリータッチだっていうし、絶対寝る…寝てしまう…真っ赤な座席の背もたれ高くてふかふかで気持ちいいし…と覚悟してたら、これが結構眠気なんてほとんど感じずに、意外と面白く観られたんですよ。
 あの広い香港文化中心大劇院に、何度どっと笑い声が響いたことか! 香港の観客はいいなあ、東京みたいに糞真面目に、まるで無感動無気力にハスに構えて映画鑑賞しないと軽蔑されると恐れながら観なくて、いいんだもんなあ。関西人の「大いに笑って楽しんで観て、モト取らな!」の勢いに似てますよ。ビバ香港!

 東京では4月18日から公開だっていうので、あらすじ紹介は避けますが、
 何といっても山口百恵です! 「赤い疑惑」(日本では1975年10月放送)です! 「ありがとう あなた」です! もちろん香港でも放送され人気のあったドラマなので、場内大爆笑!
 「モモエちゃんとトモカジュお兄ちゃまが、理想のお姫様とお兄ちゃまなのー」とか小学校で言ってた自分にとっては、香港くんだりで、まことに「赤い衝撃」な展開が待っていました。
 (……ていうか、「おっさんその身の上話、ホラやろ?」)と心の中で突っ込んだのはもちろんです。
 このシノプシス実現のために、ジャ・ジャンクーはオフィス北野とバンダイビジュアルとビターズ・エンドさんに、どうしても協力をお願いしたかったのね? 版権をクリアーしたかったのね? そうなのね?と勝手に納得してしまう(するな)。ああ、モモエちゃんとトモカズさんに観ていただきたい…。ホリプロの皆さんは知ってるのだろうか。
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posted by nancix at 23:55| Comment(1) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月10日

功夫とボリウッドの幸せな結婚「チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」

 第33回香港國際電影節、いよいよあと2作。今夜は尖沙咀の香港文化中心で、ボリウッドカンフーコメディ「從印度到中國/チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」を観て来ました。
チャンディニポスター.jpg

 米国版公式サイトはこちら
 ゴキゲンなBGMも一部聞けます。

 ワーナーブラザースマークの出る、堂々たる米国・インド合作大作です。
 ていうか、いやもうね、怪作、快作、ケッサクです!
 中華功夫電影とボリウッド(と黒沢明「七人の侍」)のコミカルかつハッピー・マリアージュ(幸せな結婚)を目論むくらいなら、もうこれくらい大風呂敷広げなきゃ!

 合−−−−格!!

 もうね、ジェイ・チョウ周杰倫ファンもトニー・レオンファンも、絶対観るべきですよ!

 キタキタ、キターーーーーッ!なゴキゲンマサラダンスシーンで、まさかまさか、地面が黄色い菊花に埋め尽くされた紫禁城(?)を観ることになるとは思わなかった!
 主演のアクシャイ・クマール、キンピカの甲冑着て槍持って歌い踊るし! ヒロインもコン・リー並みの豪華衣装で踊るし!

 見慣れたあの1940年代上海の街角=「ラスト、コーション/色、戒」のセット?で、チーパオ旗袍に身を包んだヒロインと華人ダンサー、スーツ姿の易先生…じゃなくてアクシャイ・クマールと兵士や人力車の車夫ら華人ダンサーが歌い踊るとは思わなかった!
 ああああ、湯唯とトニーさんがいつ「皆さんお取り込み中ですが、ちょっと失礼」と深刻な顔で横切るかと思うと、笑えてわらえて!


 殴り書きされた漢字、荷箱に書かれた「大イ老」の赤い文字(隣の香港人青年がプッと吹いてた)…勘違いチャイナだけでなく、超現代的なドーム?建築物の前で、ヒップホップ姿で歌い踊るシーンもあるから、心配ないっ。日本の情報番組の旧態依然ぶりこそ何とかしてほしい。香港女性は普段はキンキラチーパオ旗袍なんか着てない!

 あと、シドゥが功夫を修業する緑の山河と河の中のあずまやも、「英雄 HERO」を彷彿とさせる眺めでしたよ!
 あああ、ワイヤーワークで青残剣様が滑り降りてきそうーーーーー!

 エンディングには、ヒップホップのMVのような映像が流れるんですが、赤いフード付きガウンを着込みサングラスを掛け、金色一人掛けソファにでんと座ったりして、なぜか日本刀持って歌い踊るアクシャイ・クマール、何だかジェイ・チョウ周杰倫のMVみたいに見えたんですが!
 背後で笑いまくっていた香港人女性が「アンタは周杰倫か!」と、絶妙な突っ込みを入れていました。

 ……実はエミネムの真似かも…よく解りませんが。


 「龍珠:全新進化/Dragonball Evolution」は、存在の意義が見出せないnancixではありますが、「ドラゴン・キングダム」と「チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」は、世界を席巻する中華圏映画からの派生作品として、大いに認める!
 志が違うと、こうも違うのか!

 「ドラゴン・キングダム」は数々の武侠名作映画にオマージュを捧げていたといえますが、「チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」は、あの黄金期のジャッキー・チェン成龍らが築いたコミカル功夫映画へのオマージュに満ちています。

 「おまえに食わせる××はねえ!(タン麺だったかどうか不明) 出てってくれ!」までちゃんとある!
 日本の次長課長、宣伝に一役買えますよ!

 さらにバナナの皮ギャグ! チャウ・シンチー周星馳にもオマージュ捧げたのか?

 何より、悪役だとはいえ、スキンヘッドのゴードン・ラウ・カーファイ劉家輝の見せ場たっぷり、見応え充分が嬉しい!
 54歳、トシはとったがまだまだ上半身裸だって見せちゃうぞ!

 インド人監督、インド人スタッフがずらりと勢ぞろいしているなか、アクション指導は、ディーディー・クーことコッ・ヒンチウ谷軒昭。袁和平の率いる袁家班の一員で、27年の長きにわたりジェット・リー李連杰の映画に関わってきたというから、ジャッキー功夫映画・スピリットを継承していても不思議じゃないんです! 他に「キル・ビル」シリーズや「ミラクル7/長江七號」にも関わっている。
 周防正行よりカンフーアクションスタッフを、ボリウッドに大いに送り込むべきだったんだ!

 結局、日本人をも魅了したジャッキー功夫映画の魅力というのは、真面目で真剣でストイックで技を極めて次々と強敵を倒していくブルース・リー李小龍とは対照的に、
 最初は能天気でおバカで怠け者で女の子にも好奇心旺盛で口だけは達者で向こう見ず、要するに無力で、金も女も技能もない人間としても未熟な者が、師匠あるいは家族の仇を討たないといけないハメに陥り、ヒィヒィ言いながら泣きながら必死のパッチで修業し、強大な敵に立ち向かい、最初はやられてやられてとことんボロボロにされながらも、あきらめずについには気力を奮い立たせて、ようやくの思いで勝つ、
 ところにあったんだと思うわけですよ。
 演じるのがジャッキーにしろ、ユン・ピョウにしろ。
 そのスピリットを、もはやジャッキー・チェンさえもがシリアス演技で底辺を蠢く不法移民の悲劇を演じるしかないほどの年齢に達した時に、まさかインド人が継承することになろうとは!

 
 中国の万里の長城の城壁の上で奮戦し、ついには壮烈な死を遂げた古代の英雄、リウ・シェン劉勝。
 黒スーツにクラシックな黒帽子、丸眼鏡の富豪ホジョ(と聞こえましたが、ホントに北条という日本人という設定なんですかぁぁ? ゴードン・ラウ・カーファイ劉家輝)とその茶髪息子フランキーの人身売買、ダイヤ原石や麻薬密輸、暴力と搾取と強制労働に苦しむ、万里の長城に近い河北省の労働者村。
 村人たちは、ホジョの暴虐に耐えかねて、こっそりと洞窟内の僧院で白髪白髯の老僧に相談する。老僧の託宣は「リウ・シェンが再来して、村を救う」というもの。
 村人たちは、英雄リウ・シェン劉勝の生まれ変わりを探しに、インドに行くことを決める。このくだりは、まるで黒澤明監督作品「七人の侍」。

 さて、シドゥ(中村獅童じゃないよ、アクシャイ・クマール)は、インドはオールドデリーの中心部にある繁華街チャンドニー・チョーク(月光の市)の小食堂の、それも戸外で野菜剥きや粉もんの粉をこねる、しがない下働き。
アクシャイ・クマール
 肩にかけたベルトには、各種香辛料の瓶が収まっていますです。
 野菜剥きのナイフの冴えは抜群だが、貧乏ヒマ無し。一攫千金を夢見て神様だの占いだの宝クジだのに頼るばかりの彼を、食堂主でシドゥの父親代わりのダダ(ミトゥン・チャクラボルティー)は厳しく叱り付ける。「一攫千金なんか夢見る時間があったら、せっせと働け! 働いてこそ金も貯まるし、いい暮らしができるんだ!」
 このダダって、ヒンズー語でどういう意味があるか知りませんが(ダディか?)、ウルトラマンシリーズのダダを連想して笑いをこらえるのに苦労した日本人が、ここに一人います。

 でも、アメリカンドリームも香港ドリームももはや死語となった現代、まして階級社会のインドでは、何の夢もかなうわけはないことを、不運続きのシドゥも痛感している。
 だからゾウの神様=ガネーシャを彷彿とさせるデコボコがあるジャガイモ(このジャガイモ、何ヶ月経っても腐らない、しなびない。「東邪西毒」のチャーリー・ヨン楊采[女尼]のアヒルの卵並みにタフだ!)にすがり、のぼーっとした顔の道士チョップスティック(ランヴィール・シャウリー)とも、ちまちま小金を稼ぐ下手な商売をして、地回りヤクザにのされたりもする。
 ちなみにこのチョップスティック道士、両肩に天使と悪魔(なぜか派手なチーパオ旗袍着てる中華悪魔)を乗せて、自分の良心と悪の心を代弁させ会話できるという特技を持つ。

 ……それって特技じゃないけどね。

 ダダに叱られ、尻を蹴られて宙に舞いまくり、落ちたところでばったり出くわした中国人のおじさん2人。
 天から降ってきた男=「英雄リウ・シェン劉勝の生まれ変わりだ!」と話しかけられたシドゥ。なぜか中国語通訳ができるチョップスティック道士にもそそのかされ、中国行きを決意する。
 ところが中国行きのビザを申請した中国大使館外の長ーーい行列で、トークンがないからとビザ発行の順番飛ばしを断られた美女、ミスTSN(テレショッパーズメディアの広告モデル)ことサキにまんまとトークンを騙し取られ、シドゥはカンカンに。
 そこへ、またも目の前に立ちふさがり「実直に働け! 妄想なんか捨てろ!」と叱り付け連れ戻そうとするダダを、シドゥは「今まで孤児の自分を親代わりに育ててくれたことには感謝してる…でも俺の運命は、ここにはないんだ…!」と泣き落とし、浪花節の涙の別れに持ち込む。

 どうにかシドゥとチョップスティックは中国(多分北京?)行きの飛行機に乗り込み、空港(多分北京?)では、待ち構えていた村人たちの大歓迎を受ける。
 ちなみに劉勝のイラスト入りプラカードを村人たちは持っているのだが、劉勝…どう見てもアニメかゲームキャラクター化しています。労働者村にはキャラクターデザイナーがいるのか? ホジョは日本のアニメの下請プロダクションも経営しているのか?

 そこを通りかかった若い妊婦に、シドゥは唖然とする。あのにっくきミスTSNに瓜二つだったのだ!
 妊婦に見せかけ、腹に大量のコイン?を詰め込んでいたのは、ミスTSNではなく実はミャオミャオ。彼女が登場するたび「ニャン、ニャーン♪」という女声のBGMがかかるのが可愛い。
 警備員や公安をカンフーでなぎ倒し、ワイヤーワークで宙も飛び、まんまと逃れた彼女だが、現地新聞は彼女の顔写真と歓迎を受けるシドゥを並べて記事にする。
 実は、ミャオミャオはホジョの手下の一人だった。激怒して彼女を制裁しようとするホジョを、息子が止める。

 サキもミスTSNとして、中国の精密機器工場を訪問、広告撮影及びプロモビデオを撮影する。謎の中国人技師に、翻訳器イヤリングやマシンガンの銃弾も跳ね返すパラシュート傘などをプレゼントされ「ジェームス・ボンドみたいですわ!」と喜ぶサキ。まさかそれらが後に、シドゥと彼女を救う小道具になろうとは、その時の彼女は夢にも思わなかったのだった。
 実は、サキにはモデルだけでなく、個人的にも中国にどうしても来たい理由があったのだ。実は、彼女は中国人の公安刑事チャン・クァンとインド人女性との間に、中国で生まれたハーフだった。しかも、父は公安時代のホジョとも同僚だったことがあったのだ。
 …「Twinkle, twinkle, little star=きらきら星」の旋律が、この後、生き別れの姉妹と父チャン・クァンのシーンで、必ず流れることになります。
 ♪How I wonder what you are! なんと解りやすい。

 因縁なのか、元同僚のホジョに追われることになった父チャン・クァンは、双子の娘と妻とで万里の長城見物を楽しんでいた時にホジョと手下のホワイトブルに襲われ、双子の片割れのスージーを抱いたまま、城壁から落下して行方不明になった…。
 単身、インドに逃れた母に育てられたサキは、中国で何とかして父と妹のスージーの安否を確かめたかったのだ…。

 新聞記事を見て、自分とそっくりなミャオミャオが妹のスージーではないかと直感したサキは、万里の長城の上で法事を行い、父と妹を偲ぶ。
 まさか、その城壁の下に、記憶障害を起こしホームレスに落ちぶれ果てた父チャン・クァンが棲んでいるとも知らず…。
 長城の上で遠くを見つめるサキ、劉勝キャラのプラカードを持ってうろつくミャオミャオ、サキが供えたお供え物のバナナをむしゃぶり食らうチャン・クァン。
 ニアミスの父と娘は、そうとは知らずすれ違う。
 シドゥとチョップスティックもまた、リウ・シェンを偲ぶ村人たちによって、万里の長城に連れて来られていた。
 ミャオミャオの目が、キラリと光る!
 ミャオミャオと取り違えられ、公安に追いかけられるサキ。
 ミャオミャオは毒に浸したかんざしをシドゥに投げるが、悪運の強いシドゥにはなかなか当たらず、逃げ出すことに。

 公安に追われたサキは、シドゥとチョップスティックが乗せられている送迎車に潜り込み、共に労働者村に入る。
 盛大な歓迎の宴を催す村人たち。酔ってゴキゲンで踊るシドゥ。嫉妬するチョップスティック。
 ミャオミャオはシドゥを色仕掛けで暗殺するために、唇に毒を塗り、彼の寝室に忍び込んでいた。しかしすんでのところで、仰天したシドゥとチョップスティックに気絶させられ、縛られてクローゼットに押し込められた。
 やれやれと寝台に寝ようとしたシドゥに、今度はサキが…。
 同じ女がまたクローゼットから出て来たのか、と勘違いしたシドゥは、サキも猿ぐつわをして縛り上げて、クローゼットに押し込めた。
 気絶している妹に気づき、涙し、必死にもがくサキ。何とか縛めを解こうとするが、そこにホジョの手下が忍び込み、ミャオミャオと間違えてサキを拉致した!
 ホジョのアジトで目覚めたサキ。
 なんと、チョップスティックがホジョに取り入ろうとしているのを見てしまう。

 ホジョはインドに手下を派遣し、ダダを拉致して村へと連れて来た!
 村人たちは「打倒、ホジョ! 打倒ホジョ! リウ・シェン! リウ・シェン!」とコールし、さすがの能天気シドゥも、情況を悟って焦り出す。
 「おまえが英雄リウ・シェンの生まれ変わりだと? ちゃんちゃらおかしい。俺に刃向かおうとした罰は受けてもらう!」
 チョップスティックに真相を聞かされ、ダダを人質にされて、それまでの浮かれ気分はどこへやら、無力なシドゥは「俺は恐ろしい過ちを犯してしまった…俺は本当に単なる野菜剥きなんですぅぅ」と、泣いてホジョの足にしがみついて、命乞いをするしかなかった。
 シドゥにツバを吐きかけるホジョ。
 惨めなシドゥの姿を見たダダは怒り、手下をなぎ倒すが、ホジョの帽子型武器のやいばが、ダダに襲い掛かる!
 絶望に沈むシドゥ…泣きながら殴られても殴られても腕を折られてもホジョに向かっていくシドゥだが、歯が立つ相手ではない。

 ホジョの手下、獰猛な白人ホワイトブルに棄てられた瀕死のシドゥを、なぜか助けたのは、あの万里の長城のホームレス、実はサキとミャオミャオの実父チャン・クァンその人だった!

 ここでインターミッションの文字が!

 続きは日本の映画館で!
>>と思ったけど、続きを読む
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2009年04月03日

韓国映画「風塵三侠決戦地獄門/良い奴、悪い奴、変な奴」


 発売初日のシステムエラーでチケットを2枚買ってしまった韓国映画「風塵三侠決戦地獄門/良い奴、悪い奴、変な奴」(08)、なんと香港人トニーファンの友人が買い上げてくれて、2人で鑑賞することになったのだ。やれやれ。
 場所は香港文化中心。本来は甜品店である「杏花楼」で、五穀米ご飯と蝦、貝柱と野菜の炒め物+マンゴープリンの夕食セットメニューが45ドルだったので注文。うん、油がいささか多いけど量はちょうどよかった。
 早めに会場に向かって正解。15分前ですでに長蛇の列ができていた。もちろん場内は、ほぼ満席!熱気ムンムン。あれ…香港では昨年公開されたんじゃなかったのか…? ちなみに韓国人留学生の同級生に「この映画、知ってる?」と聞くと「あー、ノムノムノムのことだ! 私もチケット買ったよ!」と言ってた。ネットで調べると、奴=ノムなんですね。レッドクリフをレックリと略すようなもんか(ちと違う)。
縦長良い奴、悪い奴、変な奴 カンヌ映画祭出品時のインターナショナル版だったのか、フィルムに焼きこまれたのは英文字幕だけ。何とか基金の補助で、スクリーン下に横長投影板が設置されて中文字幕が出されたけど、時々間に合わなかったりタイミングがずれてたりした。

 思えば「レッドクリフ/赤壁」のキャスト選びがあれこれ取りざたされていた頃、チョン・ウソン鄭雨盛も「レッドクリフ」のキャスト候補だったのに、この「良い奴、悪い奴、変な奴」へ出演するから、出演依頼を断ったんだそう…という噂も出たんだっけか。いや、韓国人男優ならこっちに出るべきでしょう! いま旬の男3人が花を競うんだから! 見せ場たっぷり! 演じ甲斐、断然違う!

 舞台は1930年代の満州の原野。「♪ここはぁ〜お国を何百里〜離れて遠き」とおセンチな日本人兵士が疲弊しながら歌っていたのと裏腹に、日本に占領されたお国のことなんか全くどうでもよく自らの私欲やプライドに賭けて豪快に生きる朝鮮人も跋扈していた。
 冒頭のシーンでいきなり「カネマル、カネマル」と連呼されるので、どういうハングルなんだと怪訝に思ったら、日本人大物の苗字でした。政界のドンと言われた亡き金丸信と関係あるのか? Wikipediaで見たら、金丸信は日本代表の「柔道使節団」として2度、満州に渡っていること、関東軍電信三連隊第二中隊に配属されて満州に渡ったことが判明。関係ないっちゃないっし、あるっちゃあるなあ。

 とにかくその「金丸」氏が乗り込んだ特別列車(満州鉄道)を襲い、金丸氏の持つ地図を奪えと、配下の男、パク・チャンイ朴昌二(イ・ビョンホン)に命じる朝鮮人の老人キム辧主。政治家なのか財界の大物なのか不明。
 その地図がどこの何の地図だかも解らないまま、場面は原野を驀進する列車へ。ところがチャンイが率いる馬賊らより一歩早く、金丸氏と側近の乗った車両に踊りこみ、金丸氏や軍人にはべっていた花柳界の女2人を人質に、有り金一切を奪おうとする一匹狼の列車強盗ユン・テグ(ソン・ガンホ)が。また、列車の外にはただ一人、ライフルを駆使して確実に馬賊を倒していく男、実は賞金稼ぎのパク・トウォン(チョン・ウソン)もいた。三者の思惑が入り乱れ、列車の機関手は串刺しにされて殺され、乗客も散り散りに。結局、問題の地図はその価値を全く知らないユン・テグの手に渡った。

 相棒のマンギル萬吉(リュ・スンス)と祖母の家で、地図を眺めるユン・テグ。地図にはロシア文字も書かれていて、さっぱり解らない。マンギルがロシア語?辞書を引き、「大量・埋蔵〜」と単語を拾っていく。
 どうやらお宝の地図らしいと考えたマンギルは地図の複製を作り、馬賊ボスの父子(息子が何だか島田紳助に似ている…)に売りつけた。それを知らないユン・テグ。そこへパク・チャンイら匪賊が襲来。ユン・テグは泥棒市場に逃げ込み、応戦する。だがドジなマンギルが連中に捕らえられ、パク・チャンイに半死半生の目に遭わされた。危うくマンギルが手指を切られるところに、踊りこむユン・テグ。
 結局、賞金稼ぎのパク・トウォンがユン・テグの窮地を救ったが、ユン・テグも賞金をかけられている悪党の一人。パク・トウォンは彼を捕えて連行しようとする。
 原野のキャンプから、まんまと逃げ出したユン・テグ。キム辧主から失敗をなじられたパク・チャンイはあっさりとボスを殺し「ムーンライト・セレナーデ」のレコードをかけながら、パク・トウォンとユン・テグを殺すことを誓う。どうもパク・チャンイはパク・トウォンに遺恨があるらしい。「どっちの銃の腕前が上なんで?」と何の気なしに聞いた匪賊の手下をあっさりと殺してしまうくらいに激しく、深い怨恨が…。
 原野を逃げ続けるユン・テグ。とあるオアシスで、アヘン窟に迷いこんだ。アヘン窟の主は朝鮮独立のために裏工作しているという、見るからにいかがわしい朝鮮人。まんまとアヘンを盛られたユン・テグは気絶、地図はアヘン窟の主にいったんは奪われたが、牢獄に閉じ込められていた朝鮮族の子供たちを助け、地図を奪い返したユン・テグだった。(この子供たちをどっかの村に預けたのかどうか、ばっさりエピソードが省かれていてあっけにとられた)

 マンギルから買い取った偽地図を頼りに原野を旅した馬賊らは、結局海にたどり着いただけ。偽物をつかまされたと悟った父子は激怒、ユン・テグから本物の地図を奪うことを決めた!

 やがて大日本帝国陸軍の石原大佐(…石原莞爾? ちゃんとした日本語を話していました)らも、金丸の地図を持っているのがユン・テグであることを知る。パク・チャンイらの匪賊、偽物地図をつかまされた馬賊父子と手下たち、大日本帝国陸軍が、ユン・テグを追う! 危機一髪、ユン・テグを助けたのは、生きていた賞金稼ぎのパク・トウォンだった。

 大日本帝国陸軍兵らを壊滅させ、ユン・テグとパク・トウォンはついに、お宝が眠ると地図に示されている地点に到達する。追って来たのはパク・チャンイ。3人の男が、ついに未来への最終決戦に挑む時が来た! ユン・テグは彼がずっと追って来た謎の「指斬り人」の正体を、ここで知ることになる…!
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2009年04月02日

「我不買西装/buy a suit スーツを買う」「河上的愛情」

 大阪に来ているはずのトニー・レオン梁朝偉に心を残しながら、夜はUA朗豪坊(旺角)で香港国際電影節出品作品のデジタル撮影短編2本を観ましたよ。
 1本は市川準監督の遺作、デジタル撮影の自主制作映画「buy a suit スーツを買う」です。昨年の東京国際映画祭で上映されたはず。日本では3月末まで追悼上映があり、4月11日から一般公開ですよね?
 意外にも、UA朗豪坊の場内は最前列〜3列目を残して、ほぼ満員。
 日本語音声に、英文字幕だけでした。でもちゃんと香港人、笑ってたなあ。

 墨田区の吾妻橋だの浅草近辺だのを舞台にしながら、とてもとてもナチュラルで身の丈にあった関西弁が、耳に心地よい作品でした。
 某大手広告代理店の、関西出身CMディレクターに会うために東京に出張したことを思い出しました。兄の大学の先輩が第二製作部に勤めているというのは、あの代理店かなー、それともライバル会社かなー?
 ポスターなどの図柄では、周防正行夫人の草刈民代さんにそっくりだなーと感じていた主演の砂原由起子さん、スクリーンではそうでもなかったです。清楚な、女優にしては地味顔の彼女、てっきり演劇の女優さんかな、と思っていたら、映画撮影クルーの一人だったそうで、ビックリ。
 兄役を演じている鯖吉って人は、砂原由起子さんの実の兄だともネット検索で知って、二度ビックリです。
 何でなんだろ…演技の訓練を受けていない二人が、どうしてこんなに「棒読み問題」を乗り越えて、カメラも意識することなくごく自然に話せるんだろう。
 市川準監督、どんなマジックを使ったんだろう?

 数学の天才(でも定食屋でブツブツ、店員の真似しながら飯を食ってた変人)と大学時代に言われながら、卒業後は同棲した女と妹の3人生活が最終的に上手くいかなくなって、失踪した兄、河原久。
 その兄から数年ぶりに来た1枚のハガキを頼りに、上京して探し出そうとする妹の河原ユキ。
 一緒に上京し、これからカレシに会うという友人と別れ、ユキは兄の友人・山口に会いに行く。
 久の大学時代の先輩にあたる山口も関西の出身。今では広告代理店第二制作部でバリバリ働く、広告マンだ。
 その山口が、本物の天才だと感嘆し、数学の世界から離れて広告業界に飛び込ませるきっかけとなったほどの兄の久は、恋人のトモコとも3年前に別れて失踪、今まで妹にも山口にも、何の連絡もなかったのでした。
 山口は久をこう評する。「頭よすぎるねん。頭いいから、何でも考えたら答え出ると思ってるねんな。…そやけど、生きとったら答え出ぇへんことばっかりやん」
 …その通りでございます。

 ユキは山口から久宛ての手紙を預かり、ポストカードに書かれた住所を頼りに、一人バスに乗り、とことこと歩き、不案内な東京の街を行く。

 兄の久は何と、川べりでホームレス生活をしていた。
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2009年03月31日

台湾映画「陽陽」と香港映画「天水圍的夜與霧」

 さすがに昨日の今日は疲れた…。
 しかも今夜は、映画2本を続けて見ることに。
 ありあわせで済ませた昼食後、うたた寝のつもりがついつい爆睡。
 まだ寝ぼけたまま、尖沙咀で日本人の同行者と待ち合わせ。
 フードコートで點心3種でとりあえず腹ごしらえしておいて、香港文化中心に。
 本日最初の1本は、台湾映画「陽陽」。その前に授賞式をやってました。日本人男性の受賞者もいたけど、日本では報道されたのかな?
 授賞式には、「陽陽」の出演者もプレゼンテーターとして登場。
 ヒロイン役のサンドリーナ・ピンナちゃん、ほんっとーーーに小顔で、足がすんなりキレイ。昨年の「[泪少][泪少](みゃおみゃお)」舞台挨拶のときよりぐっと服装センスもよくなりました。磨かれてるなぁ。
 なぜか、彼女の付き人がジェットトーン・プロダクションのマネージメント部門Project Houseに所属し、以前はトニー・レオン梁朝偉と一緒に、中国の「レッドクリフ」ロケにも同行していた華奢な女の子だったので(ん? サンドリーナちゃんは、香港でのマネージメントをProject Houseに任せているんだろうか)といぶかりました。

 で、授賞式後、改めて「陽陽」のプロデューサー(アン・リーの弟さん)、鄭有傑監督、サンドリーナ・ピンナちゃん、ショーン役で共演のイケメン、チャン・ルイジア張睿家(「花蓮の夏/盛夏光年」ドラマ「エクスプレス・ボーイ悪男宅急電」)らがステージに登場、一言ずつご挨拶してくれたのでした。

 舞台挨拶が終わると、メディアの皆さんがどっと退席し柵が取り払われたので、首が痛くならないと思われる真ん中あたりの1列に、他の香港人らと共に移動。
 すると、舞台挨拶を終えた一行が、nancixらのすぐ前の列に座って映画を鑑賞し始めたじゃありませんか!
 隣のとなりの香港人らが「お願い、ペンを貸して!」というので、あのレオン・ダイ・リーレンにいじくりまわされた想い出のボールペンを貸したら、彼女たちってばサンドリーナちゃん、チャン・ルイジアにサインを求めてた。
 一応サインはしてあげます、でも気はそぞろって感じのサンドリーナちゃん。
 かくして返ってきたボールペンは、レオン・ダイ・リーレン、サンドリーナ、チャン・ルイジア君の指紋がばっちりの「台湾映画新世代ペン」と化したのでした。
 ますます永久保存版ーーーー!

 上映が始まると、薄暗がりの中でも、身を乗り出すようにしてスクリーンに見入るサンドリーナちゃんの姿が看てとれて、不思議な気分の鑑賞時間でした。さすがに自分が演じたHシーンでは姿勢を変えて、目を伏せてましたが。女の子だもんね…。

 上映終了後に質疑応答もあり、司会者が広東語、英語にさっと訳し分けてくれて、少しは助かりました。笑いあり、真剣に聞き入るシーンもあり。
 まるで東京国際映画祭に来たみたいだ、というデジャブー気分に陥りました。

 映画の感想は、またアップします。

 2本目は「天水圍的夜與霧」。ベテランのアン・ホイ許鞍華監督が香港の低所得者層が多く住み、社会問題として度々雑誌や新聞、テレビ番組で取り上げられている、中国との境界に近い住宅街の「天水圍」を舞台にした香港映画、第二弾。
 前作は好評だったんですが、今回は…あざといなあ、アン・ホイ監督。
 別に「天水圍」を舞台にしなくても、旺角でも油麻地でも上水でも起こり得る、アングリー・コントロールができない無職アル中見栄っ張り卑劣漢の甲斐性無し亭主をもったら、こうなっちゃうんだよ、という悲劇でした……。
 ていうか、あのサイモン・ヤム任達華を亭主に選んだ時点で、もうアウトね。スリーアウト。人生全てあきらめてください。
 サイモン・ヤムとアンソニー・ウォン黄秋生だけは、何が何でも亭主にしちゃダメ。女の人生投げたも同じ。(いやご本人らは妻を尊重するよき香港男性だと思いますが、役柄上ね)

 同じく中国から香港の男にすがって移民してきた、「性工作者2 我不賣身 我賣子宮」のレース・ウォン黄婉伶@2Rが、身重の身体でガンガン金切り声で抗議し、泣きまくりつかみかかり、必死に要求を通そうとたくましく生きていたのに比べ、不幸顔の張静初は、もうハラハラするほど弱くてお人よしで…。ヤムヤムも、妻が掴みかかり暴れまくるくらい強ければ、鬱憤をあそこまでエスカレートさせることはなかったのかも。

 男選びだけは間違っちゃいけない、と思いました次第、です。
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2009年03月29日

イケメン監督、40分以上ファンサービス「不能没有イ尓」

 今日は日本人の友人と待ち合わせて、UA時代廣場で台湾映画「不能没有イ尓」(08)を鑑賞。92分の白黒映画で、「台湾新生代」のカテゴリーでの上映だ。

 26日のアジアプレミア上映では、レオン・ダイ・リーレン戴立忍監督が挨拶したと聞いているけど、26日分はチケットが全然取れなかったので監督のご尊顔を拝するのはあきらめていた。そう、あのNHKドラマ「ザ・ホスピタル」で、主役を食うほどカッコよくもワルでもあった心臓外科医チュウ役の中年俳優であり、「君のいた永遠(とき)/心動」で、中年になった金城武、いや金城武が演じた役の中年時代をバトンタッチして演じた中年俳優でもある。
 中年といっても1966年生まれ、トニー・レオンより4歳若い!
 2001年の「両個夏天」以来、この作品ですでに3作目という、映画監督でもある。

ところがですよ、15分前に待ち合わせして、一緒にロビーに入ると、同行の方が「あら、後ろに監督が」とおっしゃるではないの! えええっ? さりげなく振り返ると、見慣れたあのジョン・ローンタイプの端正なお顔が、スレンダーなボディをラフな黒っぽい横じまセーターとジーンズに包んだ、レオン・ダイ・リーレン戴立忍監督が! まさか今日も上映館に来られるとは!(@_@;)
戴立忍監督001_.jpg

 館内では、香港国際電影節の男性スタッフが「上映後に、ロビーで監督への質疑応答ができます。いろいろ質問してくださいね」とアナウンスしてくれた。ひえぇぇ。北京語できないから、サインだけでもぉぉ。

 映画が始まると、監督への下心などすっかり忘れて、没頭してしまった。
 舞台は監督の故郷、高雄。ある事件を報じる、ニュース番組の女性アナウンサーの声から始まる。小食堂だか休憩所だかで、テレビ画面に見入る作業員や近所の人々。
 ある歩道橋の上で、欄干の外に男がしがみつき、何やら叫んでいる。蓬髪で小汚い格好の中年男だ。男の胸にコアラのようにしがみついているのは、小学低学年ぐらいの女の子。歩道橋の下は立体交差の車道、当然歩道橋から落ちれば車にはねられてお陀仏で。
 殺到するマスコミ。何とか男を説得しようとゆっくりと近づく、説得係の警官。叫び続ける男。
 いったい何が起こったのか?

 2週間前の高雄。銅鑼が鳴らされ太鼓が叩かれ、道教系の儀式が執り行われている。太い線香と剣と持って舞う中年男2人。上半身裸の蓬髪の男は、自分の背中を剣で叩いたりする。背中に血がにじむ。少女が澄んだ目で、じいっとその様子を見ている。

 おおおおおおぉぉぉぉ、少女可愛いぃぃぃぃ!
不能没有001.jpg
 こういう映画で子役が可愛くないと作品価値が3割減なんだが、もんのすごーーーく可愛い。

 万国旗が飾られ、船の上に大勢の船員が乗っている。どうやらその船の進水式だとわかる。キャンディーを投げ始める船員、拾う町の人々。少女も懸命に拾う。その姿を、舞い終えた男がじいっと見つめている。何だかくっきり二重にしたほうちゃんこと侯孝賢みたいな、顔立ち。

 漁用の魚籠が積み上げられた一角に、粗末な寝台が。寝台で寝入っているのは、あの蓬髪の男。無精ひげ、上半身裸、七分丈のジャージ。男は起き上がり、顔を洗うのか寝汗を拭うのか、水道の栓をひねるが、水が出ない。男が外に出て行くと、その建物はコンクリート造りの倉庫らしいと解る。少女が倉庫の屋上に干された洗濯物の下で、たらいに入れた衣類を懸命に足で踏んで洗っている。「ああ、そんなやり方じゃなくて」と、男も一緒にたらいの中に足を入れて踏み始める。どうやら二人は父と娘らしいと、ここまでろくに台詞がなくても伝わってくるから不思議だ。

 ところが、この二人のささやかなねぐらに、スクーターが2台やってくる。2人の制服警官の質問で、蓬髪の中年男は李武雄(陳文彬)という名前で、娘は張玉亭だと解る。そして、母親は張明秀という名前だが、この2年行方が知れないことも。
 父親の李が「メイ(妹)」と呼ぶ娘は、学齢期だというのに学校に通っていない。制服警官は「何度も書類を送ったのに、なしのつぶてじゃないか。その娘を学校に行かせろよ」と諌める。そしてその倉庫が港湾局の管理している倉庫なのに、父娘が無断で2年あまり住んできたことも解る。不安そうな娘。

不能没有002_.jpg
 李と娘は、バイクで仕事先へ。遅刻を咎めて怒鳴るボスの發哥(ファッ兄貴)。李と娘は小さな船に、バイクに積んできた発動機?とホースごと乗る。
 タンカー脇で、李は水中マスクをかぶり、スキューバダイビングの足ヒレをつけ、持参の発動機と繋いだレギュレーターを口に付けて海に潜る。娘は船上から海中の父を覗き込み、浮輪を持って待機。どうやら李は貨物船のスクリューや船底の清掃・修理工らしい。
 修理が終わるのを待つうちに、うたた寝してしまう發哥。発動機が止まりかけ、ホースも折り目ができてしまう。李はホースを引っ張るが、空気が送り込まれてこない。異変に気づいた娘が發哥を起こして「パパが上がってくるよ!」と警告を発し、李は危うく窒息を免れた。

 「仕事を増やしたい、娘も成長したことだし」と發哥に頼む李だが「食っていけるだけでありがたいと思え」と發哥は世話をしてくれない。その日の日当だけを握って、父娘はバイクに乗る。

 父娘が向かったのは、小さな修理工場。修理工の阿財哥に、李は発動機の点検・修理を頼む。阿財哥は口やかましいが、父娘を気遣っている様子だ。李のぼやきにも「發哥は、潜水ライセンスを持たないおまえを雇ってくれてるんだ、あんまり悪く思うなよ」と諌める。娘が見せてもらうビデオはジュディ・ガーランド主演映画「オズの魔法使い」だった。
 阿財哥は作業をしながら「午後に警察が来て、張明秀って人を探してたぞ。誰なんだ?」と李に尋ねる。「行方知れずの女房だよ。あんた、警官に何か教えたか?」「いいや、おまえのことを聞かれたが何も言わなかった…おまえ、娘をどうするつもりだ?」
 心配する阿財哥。

 帰宅する二人。娘は魚籠に魚の切り身を入れ、縄で海に投げ入れていた。その魚籠を回収し「カニさんが4匹も入ってるよ!」とうれしげな娘。
 2人で向かい合ってごはんを掻き込む姿は、「ミラクル7号/長江7號」のチャウ・シンチー周星馳と息子を連想させた。でもシンチーパパと違って、李は説教したり、人の道を説いたりしない。娘は「こんなにウチは小さいのに、もう一人住めないよ?」と父に言う。「誰のことだ?」「張明秀って人、一緒に住むの?」と娘。李は「どこで何をしてるかもわからん」と言ってから気づき「彼女はおまえのママだぞ」と告げる。
 どうやら物心ついてからほとんど父と2人暮らしだったらしい娘は、きょとんとするばかり。ママ…産んだ後は出稼ぎにでも行きましたか…? 娘は「ママ」としか覚えてなくて、母の名前を覚える機会がなかっただけ?

 李は娘を連れて役所へ。そこで聞かされる衝撃的な事実とは!>>続きを読む
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2009年03月27日

市川準監督、「東京夜曲」を見ましたよ。

 吉本ばなな原作の映画「つぐみ」(90)が好きだった。

 あの作品で、それまで「広告批評」でしか知らなかった市川準も、上質の映画を撮れる映画監督として記憶しておこうと思った。でもアジア映画を見るのに忙しくて、「トキワ荘の青春」(96)、「竜馬の妻とその夫と愛人」(02)、「トニー滝谷」(04)などは(DVDをレンタルすればいいや)と見逃してしまっていた。……結局、今に至るまで観るひまがなかった…_| ̄|○

 昨年9月、市川監督は59歳にして脳内出血のため、この世を去った。59歳といえば、うちの母親が亡くなったのと同じ年齢である…。自主制作作品「buy a suit スーツを買う」の編集中だったというから、さぞかし心残りだっただろう。奇しくも同じ年に亡くなった市川崑監督ぐらい長生きして、まだまだ自作を見せてほしかったのに。

 今回の「第33回香港国際電影節」では、特集「隼目人間市川準」と題して市川準作品4作が上映される。「トキワ荘の青春」はモッくん主演作でもあるせいか残念ながら取れなかったけど、未見の「東京夜曲」「我不買西装/buy a suit スーツを買う」(08、09年4月11日ユーロスペースで公開予定)は取れた。
 今夜は旺角UA朗豪坊で、「東京夜曲」(97)。第12回高崎映画祭監督賞と第21回モントリオール世界映画祭最優秀監督賞を受賞した作品だ。

 午後9時45分からの上映だけど、バスに乗ってみたら9時には到着してしまったので、香港に来ている日本人の友人に電話してみた。あいにく繋がらず、夕食に櫻井景子先生のレシピで「叉焼煎蛋飯叉焼煎蛋飯」を作って食べてしまい、おなかも減ってないので、朗豪坊のバスグッズ店などオタクショップを一通り見て、窓外に広がる夜景もつくづくと眺めた。
 光り輝くショッピングモールビルも林立しているのに、なぜだか最近、目が吸い寄せられるのは、どこにでもある、見かけは薄汚れてボロボロになった唐楼の、一つひとつの灯りだ。灯りの下では家族や夫婦、カップルが、毎日まいにち仕事に行ったり学校に行ったり老人の憩いの場に行ったりして、帰って来て、洗濯したり皿を洗ったりゴミを捨てたり、テレビを見たりDVDを見たりPCをいじったり、ケータイのSMSを打ったり、キッスし合ったりしてるはずなんだ。彼らはもうすぐ来るイースター復活節をどう過ごすのか…。
 大多数の香港人の、ありふれた日常、平凡な人生。それがあの灯り一つひとつの下で、繰り広げられているんだ。

 で、10分前に映画館内に入ると、おおおっ、並んでいますよ、すごい人数が!
 日本人女性2人連れもいたけど、あとはほとんど香港の若者ばかり。みんな「Milk」とかのファッション・サブカルチャー情報誌でTOKYOに憧れてこの映画を見る気になったのかなあ。でも、ちょっと違うと思うけどなあ。六本木や渋谷、新宿のハイパーシティや歓楽街なんて、多分ほとんど出てこないよ。

 案の定、カメラが映し出すのは下町の商店街であり、路地であり、小汚いといってもいいほどの純喫茶や電器店であり、古書店なのでありました。歯切れのいい江戸っ子弁を話すのも、お年寄りや人入りの悪い店で店番する40代以上の男がほとんど。
 nancixの両隣の男子は、まったりと展開する映画に飽きたか、もぞもぞしたり、アクビしたりと、可哀想な有り様でした。……いや、ミニシアター系邦画なんて、こんなもんだよ? お○ぎもいうように「ビンボーくさい」んだよ…? だが、そこがいい、んだけどね。
 他の観客の皆さん、何を思いつつスクリーンに見入ったんだろう…?

 上映されたフィルム、残念ながらかなり傷んでいて、画面に傷もあったし、シーンの途中が数コマ飛んでしまうことも度々。音響も、最新鋭ドルビーシステムに合わないのか、聞き苦しい部分が何度かありました。90年代の作品で、すでにこの有り様とは…_| ̄|○
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2009年03月26日

「舞ロ巴!昴/昴-スバル-」を香港で見る

 香港国際電影節も、北京での「東邪西毒:終極版」プロモ御一行様の動静も気になるけれど、とりあえず今夜は百老匯電影中心で邦画「舞ロ巴!昴/昴-スバル-」を見てきました。
昴海報01_.jpg

 トニー・レオン主演映画「風塵三侠」(93、未)「月夜の願い〜新難兄難弟」(93)、「裏街の聖者/流氓醫生」も監督したリー・チーガイ監督に敬意を表して、どうしても公開初日に見たかった。(公式サイト、「裏街の聖者」が「裏町」になってる…よしださぁぁぁん(T_T))

 ていうか、上映前に台湾映画の「花吃了那女孩(Candy Rain)」(08)の予告編が流れて、おおっマイブームのサンドリーナ・ピンナ! カレーナ・ラム林嘉欣! 見たいぃぃ!と鼻息荒くしたのは内緒だ。
 でも少女と少女の濃厚なキスシーンにのけぞったのも事実だ。女の金切り声、嫉妬、取っ組み合いの喧嘩…何だか男女以上に泥沼っぽくて苦手なジャンルの映画かも…?

 「舞ロ巴!昴」は、香港では現在23館でのロードショー公開。ちなみに「禮儀師の奏鳴曲/おくりびと」は15館公開です。ATV亜州電視でのCMはハンパでない回数放送されているし、日本の1時間特番に広東語ナレーションを被せ中文字幕を付けたバージョンがATVで22日午後10時半に、英語字幕だけのバージョンが昨夜11時半に、相次いで放送されました。
 2階建てバスの中の液晶テレビでも短い特番&出演者コメントが放送されるし、ビル・コン江志強率いる配給会社の安樂影片有限公司、かなり必死です。配給権、高かったのかなあ。

 曽田正人の原作漫画は、単行本が出だした時に「へええ、少女マンガ雑誌じゃなくて『ビッグコミックスピリッツ』で、男性漫画家がバレエダンサーを描いてるの? 珍しいなあ」と手にとってみたことがある。ロリコンお目目大きめボインキャラが氾濫しているというのに、スポ根+トラウマ持ちの、汗かきまくりのヒロインというのが新鮮だったけど、単行本を全部そろえるほどの熱意もなく、ビニール入りのバックナンバーになってしまうと買う気になれなくて、いつかネットカフェで一気読みしようと思いつつ、読み逃してしまった。

 バレエといえば、かつては少女マンガ誌に必ず1作は連載されていたもの。小1か2までは、トゥシューズを履いたつもりで爪先立ちになってみたり、チュチュを着てみたかったりしてたのになぁ。小学生のときから体育の時間に先生に「身体、硬い!」とびっくりされ、自分でもずんぐりむっくり体型をつくづく見て、すっかりあきらめてしまったよ。小6の時がいちばんほっそりしてて、自分史上もっとも足も長かったのに、その後は上半身と太ももが横に発達すること発達すること(涙)。マヨネーズを逆さにしたような足して、何がバレエだ、何がダンスだ。親も「チョコマカ歩かなきゃいけないバレエなんかかったるい、フィギュアスケートの方が見てて気持ちいいじゃないか」なんて言ってた家庭に育ってたしね。(バレエ命の方々、本当にすみません)

 だから大人になってから、無印良品の自転車でレッスン場に通ってた独身時代の西島千博熊川哲也にお目にかかると、ただただ感服するばかりで。毎日当たり前のように肉体を酷使、いや調整する練習を積める、積まなきゃプロとしてやっていけないっていう人種の方々には感服するばかり。ヒマさえあればベッドにもぐりこみたくなる、鏡の前で運動することがどうしてもできない、自分の肉体を直視できない自分には、まるきり異次元世界に生きる人々なんである。

 それでも熊川哲也の父は「バレエは女の子の習い事。早くやめてくれ」と内心思っていたというのだから、日本人が西洋生まれのバレエを続けるのは、周囲の理解といい資金といい、本当に至難の業だ…。

 漫画で、すばるより脳腫瘍の弟・和馬を溺愛していたはずの母親が、映画では一足先に脳腫瘍で亡くなり、男手一つで普通の会社員の父がすばるを育てる設定になっている。同性の親より男親に拒まれた方が、心の傷が深くなるということか? すばるは生前の母が愛し、子供たちを連れて公演を観に行ったという「ジゼル」を深く心に刻み付ける。「ジゼル」といえば病弱な村娘で、貴公子アルブレヒトと恋に落ちるも、自分の婚約者に儀礼的なキスをするアルブレヒトを見て絶望し息絶える、はかない悲劇のヒロインなのだけど、すばるはジゼルではなく、アルブレヒトがジゼルの墓前で贖罪のために踊る一幕を踊ろうとする。
 ヒロインじゃなくて王子の踊り…ここでもう、すばるがクラシックバレエのロマンに憧れる凡百の少女たちとは異なるってことが、見てとれるわけで。
 そりゃね。どう見ても色黒、きついまなざし、若いのに頬骨が…の黒木メイサは、悲劇のはかないヒロインじゃないもんね。優雅さを要求されるクラシックバレエよりも情熱のフラメンコがお似合いだし、「白鳥の湖」なら白鳥オデットではなく、黒鳥オディールの方が似合いだよ。って、通常はオデットもオディールも同じバレリーナが演じるんだけどさ。

 それにしても和馬クン役の男の子、色白で小顔で、か、か、可愛い…。女の子が演じているのかと思ったくらい。
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 双子というけど、身長も顔もすばる役の子役と異なるのは、二卵性双生児だから許されるのかなぁ。脳腫瘍で脳細胞が圧迫されてる患者って、もっと顔が赤黒くなって、白目を半分開けて…って、見た目が大変化するんじゃなかったかなぁ…。

 もともとリー・チーガイ監督の才能は、音楽と映像の融合の見事さ、群像劇を巧みに描き切るところにあるわけで、その鋭くも温かいまなざしは、老人から子役までディテールに行き渡るはずなのだ。
昴李志毅監督.jpg

 でも今回はヒップホップのパートは日本人映像作家の工藤伸一(Do As Infinityや浜崎あゆみのミュージッククリップやCMを手がけてきたそうで…お仕着せ感ありあり〜)にお任せ、キャスト選定も挿入歌もエイベックスのお声掛りで決まっていて、ホントに「雇われ監督」に過ぎなかったんだろうなあと気の毒になってしまう。桃井かおりと黒木メイサの抱擁にも、そこで入れるか! 日本のトレンディードラマかよ!と言いたいタイミングで、例の歌が入ってしまうんである……。あの「不夜城」だって、押し付けられたB'Zの主題歌よりも、おそらくは自分好みのナット・キング・コール「アンフォゲッタブル」の哀感を巧みに取り入れて印象付けていたリー・チーガイ李志毅監督だったのになあ。
>>かなりネタばれだけど続きを読む
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2009年03月25日

三国オムニバス映画「愛・瘋・光/Love,Light,Lunacy」

 尖東駅から香港太空館への行き方を、やっと覚えた。何だ、結構簡単じゃないの。
 香港太空館の中年女性警備員が行列する観客を裁いていたが、終始笑顔でとても愛想がよかった。香港女性も変わったものだ…。
 広いホールなのに、観客は4分の1ぐらい。今日は上映後にスタッフとのQ&Aが予定されているはずなのに…。

 3編のオムニバスで、第1話「To say Goodbye 是在返別」(13分)の舞台は台湾ともマレーシアともつかない。あとでカタログを見るとマレーシア作品になってました。台詞は北京語。

 赤いカーテンの一室で、長めの髪の青年が、ガリガリと耳障りな音を立てている。何の音か、手元が写らないので観客にはわからない。
 窓の外ではコツン、コツンと窓ガラスに小石を投げつけながら、少女が叫んでいる。「ウォ アイ ニー(我愛イ尓)」と聞こえるのだが、青年はまったくの無表情で、煙草をふかしながら、なおも音を立て続けている。
 カメラが少し退いて、青年がパソコンの前で、デッサン用紙に何やら白黒のイラストを描いていて、ベタ部分をクロッキー用鉛筆で乱暴に塗っていることがわかる。殺風景な部屋は、自宅なのか寄宿舎の1室なのか分らない。寄宿舎だとしたら、すぐ後で少女を案内してきたメガネの小太り青年の存在も納得できるのだけど。
 少女が投げつける石はだんだん大きくなり、突然窓ガラスが割れる。少女の声がやむ。数分もしないうちに、メガネの小太り青年が真っ赤なパーカーミニワンピースを着た少女を青年の部屋に案内し、箒とちりとり?を少女に渡す。少女は割れたガラスをさっと始末し、青年に話しかけるが、青年はイラストを見据えたまま見向きもしない。
 少女は「なんでライト付けないの?」と聞きながら青年の部屋の棚を見回し(下段にはフィギュア用のペイント絵具ボトルが並んでいるように見えた)、最上段にしまわれた黒い羽根?を出して、背中に背負う。堕天使のようにも、アニメキャラのようにも見える…。
 少女は今日が自分の誕生日だといい、「どこに花束があるの?」「一緒に食事に行こう」「プレゼントに何をくれるの?」と青年にしきりに話しかけるが、青年は押し黙ったまま。彼女を嫌いなのか、何かむくれるようなことをされて一時的に無視したいだけなのかも、わからない。

 結局、真っ赤なスクーターに2人が乗って、夜道を疾走する場面に変わる。運転しているのは少女のほう。青年はヘルメットもしていない。
 夕食に行くといいながら、結局2人がスクーターを停めて夜景を見下ろしているのは、路傍。少女はガラス瓶をラッパ飲み。白ワインなのか、ビールなのか。
 「なんで私のこと、好きにならないの?」「私のこと、好きなくせに」としきりに挑発する少女だが、青年はうつむいて全くの無表情。うざがっているとしか、思えない。あまりに少女がしつこいので、ついに青年はその場を去ろうとする。

 ようやくタイトルが出る。「To say Goodbye 是在返別」。

 思い直したのか、歩いて帰るのは無理だと悟ったのか、夜道を戻る青年。
 「もう帰らないか?」と聞かれて、今度は少女がムスッとする。
 「なんで私を好きじゃないの?」「おまえは俺のことを知らないからだ」
 あまりに少女がしつこいので、青年はついに口を開く。「おまえはいつもイメージが先で、俺に押し付けるだけじゃないか」というようなことを言ったと思うけど、少女は納得しない。
 「あんた、ゲイ?」
 まるで、男なら自分を好きになって当たり前という口調。そういうの、男には嫌われると思うよ?
 ため息をつく青年。「違うよ」。
 「じゃあどうして好きになってくれないの?」
 いまいましげに尋ねる青年。
 「おまえは、なんで俺のことが好きなわけ?」「あんたが、私のことが好きだって分ってるからよ」
 少女は言い続ける。「私のことが好きなあんたが好き。あんたは以前、イラスト描いてたわよね、あれは私のことを描いたんだと思ったの」
 青年はうんともすんとも言わない。「2次元キャラは好きだが、3次元のおまえはうざいだけだ、空想上の産物ならおまえほど厄介じゃない、俺の言うことには全て従ってくれる」とでも言ってやればいいのに。
 少女は酔った勢いなのか、4歳上の別の男と付き合ったことがあると告白し始める。2年付き合ったが、ある日、その男にバイクで迎えに来てもらい、高速道路を突っ走り、男は事故で死んだ。誰も知らない、後ろに乗っていた自分が彼の目を両手で塞いだから、事故が起きて彼が死んだことを、と。
 「彼と一緒に死にたかったのに、私だけ生き残った…誰も私が彼を殺したって知らないわ」
 やりきれなくなった青年は「なんで俺にそんなこと、打ち明けるわけ?」と尋ねる。
 「あなたに私を解ってほしいからよ」と、少女は平然と言い返す。
 「ムラカミの小説だろ?」と青年は言い返す。そう、村上春樹ですね。
 少女はかまわず、「誰も知らないの、私が彼を殺したことを」と言い続ける。そして彼女は「私を抱きしめてよ」と要求し、自分から抱きつく。
 拒めない青年。
 抱き合う二人。でも青年の顔には愛情などかけらも浮かんでいない。仕方が無いから、拒むともっと面倒くさいから、と書いてある。

 結局、二人はまたスクーターで夜道を走り始める。微笑む少女、どんどんスピードを上げる。
 少女の後ろの青年が、すっと両手で彼女の目をふさぐ……。
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2009年03月23日

第3回亞州電影大奨は日本勢が主要奨占める

 午後6時15分に、一般向け招待券をGETしてくれた友人と待ち合わせ。灣仔駅付近には2店もマクドナルドがあるんですねえ…。見事別々のマックで待ちぼうけしてしまった。
 もう一人の友人もここで合流。スイスへの出張から帰ったばかりで、機内で眠れなかったと疲れた表情。デキるキャリアウーマンは大変なのだ…。

 白を基調とした招待券には、午後6時半からゲストの受付開始・カクテルレセプション、午後8時から10時が香港「博覧」開幕式及び「亞州電影領奨典禮」と書いてあるのに、彼女たちは「どうせトニーは8時前にしか来ないのよ、いつもギリギリだから、焦らなくていいのよー」とのんびりしたもの。いやあの、トニーさんはギリギリでも、待つ身は座席をGETしておいてレッドカーペット横の少しでもいい位置に陣取らないと!と、追っかけとしては焦るんだけど…。

 案の定、レッドカーペット周囲の「Fans Zone」(ちゃんとメディアとは別に設けてあるのが、香港映画人の親切なところ)には、すでに台湾ドラマ「ラベンダー(梭゚草)」「カエルになった王子様」などで人気の女優ジョー・チェン陳喬恩のファン(そろいの黄色いTシャツ&帽子、黄色いひまわり風アレンジのプラカードを持って目立ってました)、松山研一こと松山ケンイチのファンや、イ・ビョンホン李秉憲のファンが手製プラカードやボードを持って最前列に陣取っている。
 …やはり韓流ファンって、香港でもnancixより年齢高いわぁぁ。
松山ファンら_.jpg

 nancixと同行の友人らが機転を利かせ、反対側のメディアゾーンとギリギリ境のところに陣取ってくれた。以後ずっと立ちづくめ…まさか襟のステッチがしゃれてる白タキシード+白蝶ネクタイ+黒ボトムのトニーさんが、午後8時15分にようやく姿を見せた。
 翌日のTVB娯楽情報番組「東張西望」を見ると、ちょうど黒ドレスで胸元の谷間を強調したジョアン・チェン陳冲が、メディアの取材に答えているタイミングで車が到着し、トニーに気づいたジョアンが手を振ってトニーを招き、インタビュースポットで二人はハグハグしていました♪ 「ラスト、コーション/色、戒」プロモ以来なんじゃないかしら、易夫妻が揃うのは?

 しかしトニー、その後は、他のスターはメディアの3箇所で立ち止まってコメントするのに、どこにも立ち止まらずに澤東スタッフと団子になって、後続の長髪チェン・ボーリン陳柏森&グイ・ルンメイ桂綸[金美]と一緒になってドヤドヤ入場するとは、思わなかったわよ…(泣)。「トニー!」といくら声をかけても(遅れたおくれた、ヤバイやばい、早く席に着かなくっちゃ)と顔に書いてあるトニーさんは、見向きもしないのだった。
トニー_.jpg

 トニーの直前に入場した松山ケンイチ君は、メディア取材を一通りこなした後、金切り声で叫び続ける香港人ファンの元に行ってサインしてあげてたのにさー…。
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 ↑ボディガードか付き添いに埋もれてるけど、ファンにサインしてあげる松山ケンイチくんです。

 でも、交通渋滞のせいでどのスターも到着が遅れ、午後8時半、最後に到着したのがミシェール・ヨー楊紫瓊審査委員長だったそうだから、トニーだけを責められないけどね。

 そんなわけでレッドカーペットでは、本木雅弘と樹木希林の婿殿&姑コンビも深津絵里も三谷幸喜も拝見できず。黒沢清監督は、記者席前で日本語でコメントする声だけが聞こえた。

 レッドカーペット脇で見られたのは、白タキシードに蝶ネクタイのトニーだけでなく、
 ヴァレンティノのエメラルドグリーンのドレスがあでやかなビビアン・スー徐若[王宣]、
ビビアンスー_.jpg

「レッドクリフ/赤壁」主題歌の歌手Alan(nancixの背後で背広姿の日本人ビジネスマン二人が彼女の名前を叫び、彼女がニッコリ会釈していたのは、AVEXの社員だったのか?)、
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妻のエスター・クワン關詠荷じゃなくて、韓国女優(多分、キム・ジヨン金智英)と腕組んで歩いて来たニック・チョン張家輝、
張家輝と韓国女優_.jpg
張家輝02_.jpg

アフリカンドレスのようなふんわりした青緑白のドレスを着こなし、とっても小顔の「新宿インシデント」のファン・ビンビン范冰冰、
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白スーツで決めて愛娘の謝[女亭][女亭]をエスコートするニコパパことパトリック・チェー謝賢、
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いつ見てもやはり「食いだおれ人形」似のレイモンド・ウォン黄百鳴、自分より背の高いテキパキ型の中年女性(後で、故・エドワード・ヤン楊徳昌夫人と判明)に腕を取られた、サングラス着用のほうちゃんことホウ・シャオシェン侯孝賢監督、
侯孝賢と楊徳昌夫人_.jpg

やはり妻に腕を取られていた高齢のランラン・ショウ邵逸夫、
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何だかあまりメディアに注目されないで寂しそうに入場した「梅蘭芳」の余少群クン、やはり丁寧に各メディアに挨拶しまくっていたツイ・ハーク徐克と施南生夫妻、
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真っ赤なミニドレスに黒ブーツ、おかっぱ頭も可愛い「ミラクル7号」の子役シュウ・チャオ徐矯ちゃん、
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同じく真っ赤な、背中を大きく開け裾を長く引いたフェラガモのイブニングドレスが長身に似合っていたジジ・リョン梁詠[王其]、
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いつもキャップのツバを後ろに回してかぶっている歌手の側田ことジャスティンと腕を組んだ黄色いタータンチェックのミニドレスの香港アイドル女優フィオナ・シッ薛凱[王其]、メディアの取材に丁寧に答え続けていたジョン・ウー呉宇森監督とアニー夫人、その背後に好奇心たっぷりにくっついてみたりしていたオリバー・ストーン、そしてかなりよぼよぼの白人おじいさん(新聞によって「フェイス/オフ」「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのプロデューサー、バリー・M・オズボーンと、「ひまわり」(70)「セントラル・ステーション」(98)「ビハインド・ザ・サン」(01) ウィリアム・ハート主演「幸福の黄色いハンカチ」ハリウッドリメイク版製作プロデューサーのアーサー・コーンの2説あり…TVB明珠台の放送で、やっとアーサー・コーンだと判明)をエスコートして入場した、あああ、頭髪がほとんど…のウィリアム・ハートだったのであった。

 しかし、昨夜ダニエル・ンー呉彦祖と加藤雅也のブラックスーツ&タキシード姿を見てしまったから、今夜のトニーさんは小学生が白タキシードと蝶ネクタイさせられて気張ってるようにしか見えなかったなー。
 ……あの小学生体型が、可愛い♪のだけど。

 トニーの入場を確かめて、我々も会場へと向かう。
 ステージ以外は高低差のない座席(折り畳み椅子)な上に、かなり後ろの方なので、ステージ横の2スクリーンだけが頼り。8時35分になっていたので、もう司会者のデレク・リー李浩林(チャンネルVの人気VJ、らしい)が話し始めていた。ゲスト陣の渋滞による遅刻のため、正式な開幕は45分も遅れたそうだ。

 翌日のTVB娯楽情報番組「東張西望」と、TVB明珠台でのズタボロカット特集番組を資料に補填しながら、思い出せる限り、以下にメモしておきます。
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「東京ソナタ」黒沢清監督と香港国際電影節「新宿事件」

黒沢清監督と司会者
 昨日の「東京ソナタ」ティーチインin油麻地・百老匯電影中心。
 メガネの人が主催者側の司会者です。

黒沢清監督02
 ブックストア兼サロン「Kublik」に移動してから。日本語=広東語通訳のお兄さんと。

黒沢清監督サイン会
 即席サイン会で、女の子に「チケットにサインしてください」と頼まれ嬉しげな黒沢清監督。

 高級ホテル宴会場で誰がだれだか解らないまま、挨拶しまくらなきゃいけないレセプションよりも、確かに自分の支持者にサービスする方が嬉しいことでしょう。ついでがあったからかもしれないけど、よくぞこのミニシアターまで足を運んでくださいました。「そんな質問が出るとは思わなかった」と苦笑したり、「香港ではどうなんでしょう、よくわからないけど」と言葉を選びつつ、一所懸命、若者たちの質問への答えを考えてる姿は好感度大でした。

 このニュース画像もせっかく使えるんだから、ご紹介しちゃおっと。


新宿事件男優3人組
 こちらは男優3人組。許して、端っこのチン・カーロッ錢家樂ちゃん…画面に入りきらなかった。かろちゃんをアップで撮ってもみたけど、コンパクトデジカメでは距離がありすぎ、ブレとボケが激しくて無理でした。あああ、一眼レフタイプのデジカメ欲しい…。

ダニエル・ンーと加藤雅也さん
 ダニエル・ンー呉彦祖&加藤雅也さん。ひこそって、日本が誇る長身の加藤雅也さん(身長183cmらしい)より背が高いのか!と驚いた。挨拶の最初を流暢な英語で始めた加藤さんは「皆さん、特にジャッキーさんによくしていただいて、共演できて本当に嬉しかった」などスピーチ、嬉しげでした。
 残念ながら、劇中ではほとんどひこそと加藤さんが相対するシーンがなかった…と思う。

 美女2人とジャッキー
 北京語でスピーチの大陸美女2人とジャッキー・チェン成龍。
 和服は似合ったけど、往年の「ボンカレー」ホーロー看板(松山容子さんだっけ)みたいな結髪が残念だったシュー・ジンレイ徐静蕾には、「傷だらけの男たち/傷城」でも感じたけど、単なる「花瓶」「サシミのツマ」でなく、女性映画もばんばん監督してほしいのだけどなあ。

 こちらは全員集合写真。
新宿全員写真

 で、こっちが足元。
 ……ひこそ〜〜銀色の目立つ靴は、どこで入手したの〜。
新宿足元アップ

 …やはりこの美男に対してのお仕置きは、顔に傷つけたりしないで、ホストクラブに売…(いつまで言うか)

 新宿男優3人その2
 客席でそんな妄想をされていようとは夢にも思わず、お澄ましのひこそクンだったのでした。
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2009年03月22日

「東京ソナタ」と「新宿事件」

 とりあえずのメモだけで申し訳ありません、画像などは後回し。

 午後3時40分からの「東京ソナタ」上映に駆けつける。上映後に、神戸市出身の黒澤清監督のティーチインがあるものだから。場所は昨日に続いて、油麻地のブロードウェイ・シネマテーク百老匯電影中心。

 「東京ソナタ」、中文字幕がなく英語字幕だけでした。心配だったけど、客席を埋めた大学生程度の若者はタイミングよく笑っていたから、日本語を学んだ学生やOLもいたのかもしれない。
 fortissimofilmsも出資していたのね。
 映画前半は日本の現状描写に窒息しそうになる。津田寛治〜〜(泣)。いや、リストラ報道の続く香港でもありえなくはない…。
 役所広司登場の中盤からは「ありえねーーー」の連続…。無賃乗車で小学高学年の男子を保護したら、普通は児童相談所に連れていかないのか? いきなり成人と一緒に拘置所って、貞操が危なくないのか??
 ショッピングモール清掃の仕事の給料で、私立中学の学費は払えるのか? 妻も働きに出なきゃとうてい無理だろう。

 黒澤清監督、主催者側が香港人通訳を用意しただけで、一人で映画館に来た様子だった。「英語もあんまり巧くないんで…」と断りつつも、誠実によく話された。観客は大学生っぽい子が多く、1人で幾つも質問。時間が足りず、主催者側(昨年の映画祭での司会進行役を務めた小柄なメガネ男性が、また登板!)の機転で、階下のブックストア兼サロンの「Kublik」に場所を移してティーチインが続行された。ありがたい!
 nancixも質問できました。「日本には香川照之さんのような素晴らしい俳優もいますが、香港にも国際的に活躍している俳優がたくさんいます。もしもどこかから資金提供されて、香港の俳優を起用できることになったら、誰を起用したいと思いますか?」
 黒澤監督、「わ、そんな質問が出るとは思わなかったなぁ」とぼやきながら「あまりたくさんの俳優は知らないので、有名どころになってしまって、自分が起用できるかどうかワカリマセンが、トニー・レオンさんなんかいいですよね。レッドクリフとかでも、ナイーブで、いつも心が揺れてる役が巧くて、日本人にもわかる演技で」と答えてくださいました!
 ぐふふーー、集まった50人程度のワカモノよ、ちゃんと聞いておけ。
 日本映画人にもトニー・レオンは評価されているのだ!

 黒澤監督、主催者が「今日の今後のご予定は?」と心配して聞くのに「いや、香港国際電影節のレセプションに招かれているけど、それは遅れても別にいいや。別件はあるけど夜遅くにだし、今は大丈夫」と答えて、にわかサイン会にも快く応じてくださってました。旧作のノヴェライズ小説「回路」の中国語版書籍にサインを求める男子もいて、黒澤人気、香港でも上々です。

 香港国際電影節開幕作品「新宿事件」鑑賞のために灣仔まで移動しなければならず、サイン会には残念ながら参加できず。しかも香港人のトニーファン仲間に出くわしたので、ネイザンロードまで話に夢中になり、目をつけていたベーカリーにも寄れず。
 夕食をあきらめ、MTRに飛び乗る。レセプション会場への階段を、見覚えのある澤東電影製作公司の男女スタッフ2人と男性が上がっていく後姿が見えて、トニー?とギョッとして立ち止まった。…トニーじゃなく、チャン・チェンかジュリアン・チョン張智霖だったようだ。トニーさん、こういう儀礼的な場にはできるだけ顔出さない人だしね…。

 幸い、ジャッキー・チェン成龍やイー・トンシン爾冬陞監督、2人の女優やダニエル・ンー呉彦祖、加藤雅也らが撮影用ステージでフォトセッション中に、会場に入れた。ほぼ満席なので、やむなく前から2列目の中央付近に陣取る。まん前は白人報道関係者二人で、座高が高い…(涙)。

 結局、上映開始は20分近く遅れた。でも一行が揃って舞台挨拶してくれたので満足。ジャッキー、相変わらず映画ファンへのお愛想がうまい。
 ダニエルと加藤雅也が隣り合わせだったんだけど、ダニエルの身長、決して加藤さんに負けてませんよ。口を少し開けるのをやめてくれれば、もっとクレバーに見えるのに…。

 本編は結局は「中日仁義なき戦い」で、これじゃ一般公開は多分観に行かない…_| ̄|○
 脚本協力に"歌舞伎町案内人"こと李小牧を迎えてドキュメンタリータッチを心がけながらも、やっぱりフィクションだよね、絵空事だねとしか思えない。中途半端。
 ジャッキーの魅力は、陽気で能天気で前向きひたむきだったところにあったんだけどなあ。
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2009年03月17日

台湾映画「Orzボーイズ!」を堪能

 nancixの通ってる某学校は非常に敷地が広くて緑がいっぱい。今週月曜からは教室外でウグイスが鳴き始めましたよ。
 広東語を学び始めて半年も経ったというのに、敷地内をうろついたことがないというインドネシア・韓国・ポーランド人(&nancix)クラスメイトのために、本日はクラス担任の女先生がはるばる山頂近くまで連れてってくれ、一緒に学食で安い・まずい・大量なランチを食べ、構内散策を楽しみました。
 おおっ、知らないうちにツツジが咲いている! 濃ピンク、淡ピンク、白とフルコース。そして桜のような淡い色の花が満開な木々は、バウヒニアの一種(フイリソシンカ、宮粉羊蹄甲 Bauhinia Variegata)だと判明しました。中華人民共和国香港特別行政区の区旗にもあしらわわれている、五弁の花の親戚です。陽射しも強く、もうすっかり初夏の陽気です。

 そんななかを、199香港ドルで新調したデイバッグ(米国ブランド…背中の花柄が大人の可愛げ♪ 日本から持参のデイバッグは一回り小さく、ノートPCを入れると出すのに苦労するほど詰め詰めなのです)をしょってルンルンと歩いていると、トートバッグを片側にだけ掛けるがゆえの肩こりも解消され、気分は赤や黒ではなく、水色ランドセルを買ってもらえた小学生気分。

 そのまんまの気分で突入したのが、百老匯電影中心で上映中の台湾映画「Orzボーイズ!/(四に似た字)男孩」。
 日本でも昨年、第9回NHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映されましたよね。
Orzボーイズポスター


 目の周りに指で○を作り、水路の壁の落書きをみやる小学生男子(パン・チンユー潘親御)。その特大アップから話は始まります。
 水辺での一人遊びはnancixもよくやったので、すんなり感情移入できました。nancixの場合は、卑怯ないじめっ子男子と教室で言い争って、見てみぬ振りで誰も味方してくれないばかりか「一人だけいい子ぶるんじゃねえ」と非難されたので、憤慨して教室を飛び出し、小さな川のほとりでピィピィ泣いていたんですが。
 その男子を下ネタでからかい、たちまち追いかけっこを始めるノッポでイケメンの同級生男子(リー・グァンイー李冠毅)。彼はパン・チンユー潘親御クンよりも身体が一回り大きいのですが、先輩じゃなくて同じ教室で学ぶ同級生という設定なんですね。そういえば小学生のときって、体格差が激しかったなあ。

 2人の繰り広げるイタズラは抱腹絶倒。悪意の嘘つきや騙し屋ではなく、想像世界で遊んでるのに、その世界を理解できない同級生にホラ吹き呼ばわりされるだけなんですよねえ。
 …それにしても女先生の、その懲罰方法……確かに男子には恥ずかしいことこの上なくて、お尻を叩く・殴る・蹴るよりマシだけど、セクハラじゃないのか…(^_^;)
>>ネタばれだけど続きを読む
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2009年03月10日

王家衛、ハリウッドの大手エージェンシー「CAA」と契約

 ところでトニー・レオン主演作「一代宗師」を鋭意準備中のはずの王家衛監督、ここにきてハリウッド5大エージェンシー(タレント代理業務事業会社)の一つ「CAA(クリエイティヴ・アーティスツ・エージェンシーCreative Artists Agency)」と契約を結んだというニュースが、香港・台湾の新聞を賑わせています。
 元ネタは米国Variety誌と、7日に香港ジェットトーン澤東製作有限公司から出された公式声明のようです。
ジャージ姿王家衛

 この「CAA」には、俳優、女優、脚本家、監督、プロデューサーなどが約2千人も所属しているとか。元々は老舗のウィリアム・モリス・エージェンシー(チョウ・ユンファ周潤發がマネージメントを任せていたし、アンディ・ラウ劉徳華も一時期契約していた)から75年に派生した会社で、ロサンゼルスのセンチュリーシティが創設の場でした。
 「CAA」はソニー、松下電器産業(Panasonic)などのハリウッド進出・ユニバーサル映画買収なども手がけたことがあります。一時は日本の坂本龍一やとんねるずの石橋貴明、吉本興業なども「CAA」のクライアントだったとか…(苦笑)。

 2004年には北京にもオフィスを開き、ここ数年は「グエムル」のポン・ジュノ、「私の頭の中の消しゴム」のイ・ジェハンなど、5人の韓国人監督と契約を交わしてもいます。我らがジョン・ウー呉宇森や北村龍平、紀里谷和明、スティーブン・スピルバーグ、スポーツ選手ならデビッド・ベッカム(妻のヴィクトリアも)、作家ならスティーヴン・キングもここの所属です。俳優ではトム・クルーズ&ケイティ・ホームズ、ニコール・キッドマン、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ケイト・ウィンスレット、ジュリア・ロバーツ、ナタリー・ポートマン、キアヌ・リーヴス、オーランド・ブルーム、ブルース・ウィリス、ジャッキー・チェン成龍、カレン・モク莫文蔚、菊地凛子、ミュージシャンならSTING、エリック・クラプトン、スティービー・ワンダー、チャカ・カーンらが所属しています。

 もちろん、王家衛は6月には「一代宗師」をクランクインする予定ではあるのですが、この映画の撮影はだらだら長く続けないつもりだとか(と、言いつつ…(^_^;))。
 「ブエノスアイレス/春光乍洩」「花様年華」でカンヌ国際映画祭の数々の部門で受賞経験があり、審査委員長まで務めた王家衛ですから、ハリウッドのエージェンシーもずっと勧誘を続けて"ハリウッド進出"を勧めてきたといいます。しかし当時の王家衛は「まだ機が熟してはいない」と慎重で、具体的な行動は起こしていませんでした。
 とりあえず「スラムドッグ$ミリオネア」やミッキー・ローク主演のアカデミー賞候補作「レスラー」のFOX Searching lightのために英語アクション映画3作を撮影する契約を取り付けたというのですが、ア、ア、アクション映画…?
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2009年03月08日

やっと観られたリバイバル上映「九月に降る風/九降風」

 カウルーン・ベイ九龍湾の「UAメガボックス」で、台湾青春映画「九月に降る風/九降風」(08)を観てきました。
 狭い横長の館内は3分の2は埋まっていて、若い観客ばかりでした。(途中からどんどん入ってくるんじゃなーい)
 昨年、第21回TIFF東京国際映画祭で上映された時は「九月の風」という邦題だったそう。

 もちろん香港での上映も、昨夏にはとっくに終わっていて観損ねていたのですが、第3回亞洲電影大獎 (Asian Film Awards)の最優秀シナリオ部門にノミネートされたのを記念しての、リバイバル上映です。ありがたい。
 香港版の「烈日當空」もやってくれないかしらん。見逃して後悔…もうDVDあるかなあ…?

 日本では「九月に降る風」として今夏公開予定なのだそうで、あらすじ紹介はやめておきますね。
 まあ棒棒堂のメンバーのマオディー毛弟以外は無名の若手ばかりですが、ほうちゃんこと侯孝賢の青春モノが好きだった皆さんも、ジェイ・チョウ周杰倫の「言えない秘密」に惹かれた女子(年齢不問)も、野球部員も、青春真っ只中のさまよえる息子とそのお母さんも、ぜひ足を運んでいただきたいです。

九降風03野球応援

 大丈夫だ、大麻もレイ○も10代未婚の母も凄惨ないじめも同性愛も出てこないから。日本のケータイ小説映画化とは、訳が違う。

 ……ま、何しろ思春期の少年が主人公(しかもアイドル映画じゃない)ですから、しぇーっ!!!と、目のやり場に困る、親子で見るにはチト適さない場面もありますが、イカ臭いというよりむしろ痛ましくて切ない場面、です。かかってくる電話のあたり、実に脚本が巧い!

 教室でふざけ合ってばかりの男子を(ホントにオバカさんだよ、あいつら。将来のこと何も考えずに、本も読まず世の中の出来事にも疎くて、今バカ騒ぎさえできればいいのかよ)と、どこか冷え冷えとした目で見つめる本の虫&ヲタク生徒だったnancixですが、その反面オンナノコのカラダの変化にオタオタして自己嫌悪に陥っていたわけですが、いや、男の子も実は色々、大変だったんだね…。

 主要登場人物は台湾に実在する国立竹東高級中学(高級中学は日本で言えば高校)の男子生徒7人と、女子生徒2人。
 最初こそ(…だれ? ええと、この子は誰だっけ?)ととまどいましたが、男子も女子もかなり外見に特徴ありますし、一部の香港映画のように全く人物紹介のないまま話が進んでいくようなことはないので、安心めされい。ちゃんとフルネームが何度か出てきます。

 まあ、nancixは、勝手にニックネームつけて観ていたんですがね…。
 それに、男子7人じゃなくて5人ぐらいが、誰がだれと見分けるためには、ちょうどよかったんだがなあ…。←特撮戦隊モノに毒されすぎ。
【男子諸君】
 狂言回しで、この映画の多くの「視点」を引き受ける男子、タン・チーチン湯啓進(チャン・チェ張捷)=小湯。
 人一倍身体がでかくて白人顔で、男子グループのリーダー格のチョン・シーイェン鄭希彦(ライディアン・ヴォーン鳳小岳)=ノッポの彦。
 リー・ヤオシン李曜行(ワン・ポージェ王柏傑)=屋上の親友。
 リン・ポーチュー林博助(シェン・ウェイニァン沈威年)=2年生・ヘタレのひろすけ。
九降風02ヘタレのひろすけ

 リン・チンチャオ林敬超(リン・チータイ林祺泰)=超人。
 シエ・チーション謝志昇(邱翊橙、棒棒堂のマオディー毛弟)=1年生・昇(のぼる)クン、または美少年。
 ホアン・チョンハン黄正翰(リー・ユエチェン李岳承)=1年生・眼鏡おでぶクン。

 【ブラスバンド部の女子生徒】
 気の強そうな小芸ことホアン・ユンチン黄芸晴(ジェニファー・チュウ初家晴)=マドンナ。彦の彼女。
 やはり白人顔の後輩女子、シェン・ペイシン沈培馨(チー・ペイフイ紀培慧)=班長。

 他に、チョイ役ですが長髪Tシャツ愚連隊(笑)のリーダー格として、「ラスト、コーション/色、戒」でヒロインのバージンを奪ったお坊ちゃま演劇部員役を演じた、クー・ユールン柯宇綸が出演しています。相変わらず華奢だなー。だんだん日本の俳優、堀内正美さんに雰囲気が似てきた。

 そして、本作品のプロデュースを務めたエリック・ツァン曾志偉も、口下手な大人役で、ほんの少し登場します。出番は「カンフーダンク」以上に「秘岸」以上に少なくても、印象的…。他の親や担任教師は、ほとんど描かれないからね。

 時代設定は、1996年夏から1997年6月まで。舞台は"台湾のシリコンバレーこと新竹市。岡山県岡山市と姉妹都市だというから、地方都市なんだろうなあ。ラスト近くには、台南にあたる屏東県の、とある場所も出てきます。
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チョウ・ユンファ、写真作品2人展開催

 3月9日〜19日に、コーズウェイベイ銅鑼湾にある香港中央図書館展覧館で、チョウ・ユンファ周潤發と医師のレオ・ウォン黄貴権氏が「香港印象-黄貴権+周潤發撮影作品展」という2人展を開くそうです。香港撮影学會沙龍影友協會の共催です。
ユンファと黄貴権氏
 ユンファ兄貴の作品をバックにした、お二人。

 レトロ香港を白黒写真で展覧するこの写真展に、レオ・ウォン黄貴権医師は1966〜1975年の香港の街と人々を捉えた作品、ユンファ兄貴は2000年〜2008年に撮り溜めた白黒作品を提供するそう。作品数は100点以上、全て初めて発表されるもの。EPSONがスポンサーで、引き伸ばし・デジタルプリント、紙や墨?の提供もEPSONによるんだそうです。
 兄貴の写真撮影の趣味とその腕は、広く知られていますからねー。セントラル中環の皇后碼頭=スターフェリー埠頭が取り壊される直前、抗議する市民団体がピケを張っている最中にも撮影に訪れ、市民との記念撮影に応じてたりしていましたっけ。
 記者が「なぜ90年代の写真がないのですか?」とユンファ兄貴に尋ねると「当時は生活に精一杯で、写真を撮る余裕がなかったんだ」とのお答え。現在は花草樹木以外、映画の撮影現場でも現場スタッフやキャストを撮ったりできる余裕があるんだとか。
 記者が再び「いつ個展を開くのですか?」と尋ねると、ユンファ兄貴は笑って「個展を開くことは考えていないけど、皆さんに(作品を)見て楽しんでほしいとは思うね。来年かな、梅の花が咲き乱れる時を待つよ。あるいは僕の妻が、桃の花が咲く時に写真展を開くのが先かも?」とジョークを飛ばしました。桃花といえば女性美の他、富貴も意味するのですが。
 レオ・ウォン黄貴権医師ともお互いエールを送り合い、ユンファ兄貴は「自分の作品は静的で、黄貴権氏の社会意識と風俗、歴史性が反映された作品には及ばない」と謙遜しました。レオ・ウォン黄貴権医師は「自分の撮影機材は周潤發さんに及ばない粗末なもので、ユンファさんは重い8×10カメラなどの機材を使い、じっくり時間をかけてシャッターチャンスを待つんですよ」と誉めました。
 二人は友人らからの祝いの花は断り、祝い金や収益は四川大震災の被災者支援に寄付するつもりだそうです。
 残念ながら、オープニング日の9日には、ユンファ兄貴は「ドラゴンボール-エボリューション」の日本プロモのため日本を訪れていて、出席できないとのこと。閉幕式には参加したいと希望しています。
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2009年03月02日

第33回香港国際電影節のネット予約

 第33回香港国際電影節、ネット申し込みで12作品GETできましたー!

 …ていうかですね、最後の支払いの段階で「エラー、○○番の○○先生に問い合わせてください」という画面を真に受けて、申し込みをやり直してたら、何だか後から、同じ作品の受付終了メールが同じ時刻付けで複数来てるんですけどー(涙)。「HKIFF33 Transaction Confirmation」のタイトルで、来たのは計17メール! 11作品12枚しか申し込んでないのに。
3月22日07:15 PM「新宿インシデント/新宿事件」香港會議展覽中心演講廰2(港灣道入口)
3月24日12:30 PM「上海之夜」香港科學館 - 演講廰
3月25日09:00 PM「愛・瘋・光」(台湾/ マレーシア/インドネシア合作)香港太空館 - 演講廰
3月27日09:45 PM「東京夜曲」(市川準監督)UA 朗豪坊
3月29日04:00 PM「不能沒有イ尓」(台湾作品、ダイ・リーレン戴立忍監督)UA 時代廣場 ×メールが4通
3月30日07:15 PM「東邪西毒終極版」香港文化中心 - 大劇院 ×2枚
3月31日07:00 PM「陽陽」(台湾作品)香港文化中心 - 大劇院 メールが3通
3月31日09:45 PM「天水圍的夜與霧」香港文化中心 - 大劇院

4月2日10:00 PM「我不買西裝(buy a suit スーツを買う)河上的愛情」(市川準監督の47分の遺作とジャ・ジャンクー賈樟柯監督作品)UA朗豪坊
4月3日09:30 PM「風塵三侠決戰地獄門(いい奴、悪い奴、変な奴)」(韓国作品)香港文化中心 - 大劇院 ×メールが3通
4月8日03:30 PM「天上の剣/蜀山傳」香港太空館 - 演講廰
4月10日06:00 PM「從印度到中國」(インド/米国合作)香港文化中心 - 大劇院 ×メール3通

 …これ、全部支払わないといけないんですよね…? 一度申し込んだら払い戻しできませんって断り書きがあったし…! 電話がまだ苦手なんで、掛けたくないんだよね…。
 あ、でも「交易編號: HKIFF-0000000」の000000の部分が同じ番号だったら、メールは複数でも発行されるチケットは1枚ってことなんだろうか?? うわーーん、解らないよう。

 とにかく、香港國際電影節協會は「予約開始日に1万9559枚売れて、新記録達成!」なんて喜んでますけど、それってシステム不具合のせいで「買わされた」んじゃないのー?と納得いかず。

 他に、日本でもすでに業務試写済みの「新宿インシデント/新宿事件」だけは、快達票香港有限公司ってところに飛ばされて、GET。
 こちらは「通利琴行」というお馴染みの楽器店の「チケット○あ」みたいな窓口(朝10時〜午後7時半)で、発行してもらわなくちゃ。あ、確か「通利琴行」は隣駅にあったっけ。

 「新宿事件」、オープニング上映の日はさすがに満席になってますね! 「東邪西毒終極版」は意外にも、学生価格だけ満席?(予約開始当日での話ですが)
 「東邪西毒終極版」、修復のためミョーな色合いになってそうだしトニー渾身の単身火攻め…じゃない!剣戟シーンが大幅に削られているらしいので、トニーファンとしては非常にビミョーなんですが…。

 「愛・瘋・光」と「陽陽」、奇しくも昨年のnancixが揺り動かされた「「[泪少][泪少](みゃおみゃお)」のヒロインの一人、サンドリーナ・ピンナ=張榕容ちゃんの出演作です。順調にキャリア積んでるなあ。

 中国と台湾作品、他のは保留中です…。体力に自信無い…。
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2009年02月16日

ピーター・チャン陳可辛、中国で映画制作会社を設立

 トニー・レオン主演の「風塵三侠」(未、93)「月夜の願い〜新難兄難弟」(93)や、レスリー・チョン張國榮&カリーナ・ラウ劉嘉玲主演の「君さえいれば〜金枝玉葉」(94)、レオン・ライ黎明&マギー・チャン張曼玉主演の「ラヴソング/甜蜜蜜」(96)、金城武&ジョウ・シュン周迅&ジャッキー・チョン張學友主演の「ウインターソング/如果、愛」、ジェット・リー李連杰&アンディ・ラウ劉徳華&金城武主演の「ウォーロード 男たちの誓い/投名状」(あああ、この邦題がなかなか覚えられない…男たちの絆とか男たちの…が多すぎ)の監督、ピーター・チャン陳可辛が、中国で新映画制作会社を設立しました。

 社名は「人人電影」公司です。

 今回の共同出資の相棒は、中国のホァン・チェンシン黄建新監督が率いる「我們製作」電影工作室と、中国最大の映画配給会社「保利博納POLYBONA FILMS」。
 「人人電影公司」名義で最初に製作される映画は、やはりピーターさんと長年親交のあるテディ・チャン陳徳森監督の「十月圍城」。浦川とめさんのブログでもこの作品の難産ぶりが紹介されていますが、いよいよ3月中旬には上海でクランクインすることが決定したそうです。

 2月15日、北京に於いて「人人電影」公司の誕生記念式典が盛大に行われました。ピーターさんの未婚妻=サンドラ・ンー呉君如の司会進行(当初予定されていた中国の女優が体調不良で、ピンチヒッターだったらしい)で、中国国家廣電総局の童剛局長、張宏森副局長、毛羽副局長、中影集団のハン・サンピン韓三平幹事長、上海文廣新聞傳媒集団の黎瑞剛総裁や多くの財界の代表が出席し、支持を表明したそうです。

陳可辛と呉君如、乾杯
 乾杯するピーター・チャン陳可辛とサンドラ・ンー呉君如。

 画像集は、こちら。

 「保利博納」の総裁はこの式典で「今回、5億人民元の流動撮影資金を注入しました。まさに『人人電影』は中国国内での発展に最良の資金プラットフォームと、各方面に対して優れたサービスを提供します」と声明を出したそうです。

 ピーター・チャンは「この会社では3年のうちに、15作の映画を完成させます。その中には億単位の巨大な投資をする商業作品のビッグプロジェクトも、中型などの各種の映画も含まれます。同時にこの会社を通じて、中国・香港の若い監督がより緊密に共同制作できるように、さらに多くの未来の中国映画界を背負って立つ中堅人材を培養できるように望みます」と挨拶したそうです。今後3年で、同社の中国香港での興収は累計で20億人民元を超えるはず、なんだとか…(取らぬ狸の…)。

 あああ、何だかとってもデ・ジャ・ブーな気が…。ピーターさん、UFO電影人製作有限公司時代も、1年に○作製作予定で、トニー・レオン梁朝偉、レスリー・チョン張國榮主演作が各○作ずつ、ノースターの良心的な佳作小品を○作作るとか宣言してなかったか…。
 UFOを飛び出し、ハリウッドでスピルバーグ夫人を主役にラブストーリー「ラブレター/誰かが私に恋してる?」(99)を1作作り、香港に戻ってからもテディ・チャン監督らと「アプローズ・ピクチャーズ」を鳴り物入りで派手に設立して、韓国、香港、台湾など東アジアを股にかけて映画を○作作るとか宣言してなかったか…?
 確かに「春の日は過ぎゆく」「ジャンダラ」「the EYE 【アイ】」などを製作し、オキサイド・パン&ダニー・パン兄弟をメジャーにしたわけだけど、あの会社は今はどうなったんだっけ…?
 
 まあとにかく、メジャーなスターを起用した商業大作も作りつつ、その収入で佳作小品も数多く作り、中堅や新鋭の人材にチャンスを与えていくっていう姿勢はUFO時代から一貫しているので、それはまあ頑張ってクダサイとしかいいようがないものの…。
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2009年02月13日

レオン・ライ黎明「花の生涯〜梅蘭芳」で来日決定

 香港でも公開され、このブログでご紹介した「花の生涯〜梅蘭芳」のプレミア上映会が新宿ピカデリーで行われ、安藤政信と共にレオン・ライ黎明、チャン・ツィイー章子怡が舞台挨拶予定だそうです!
 香港の芸能ニュースでも、第58回ベルリン国際映画祭での2人の動向が日々盛んに報じられておりました。日本でもチケット争奪戦に??
花の生涯日本版
『花の生涯 〜梅蘭芳〜』プレミア上映会

日時:2月25日(水) 開場18:30 開演19:00 
会場:新宿ピカデリー
登壇ゲスト(予定):レオン・ライ、チャン・ツィイー、安藤政信
入場料金:2,000円 
★ご来場者プレゼント★
北京の寺院で祈念した「梅花御守」と特製ポストカードを来場者全員に進呈。

〜チケット購入方法〜
チケットは2月14日(土)9:00AMより発売開始!!
新宿ピカデリーチケット窓口、およびオンラインチケット(劇場HP)にて発売。
 ただし書きがあって、
 特別興行の位置づけで、入場料金は2,000円均一となります。
 通常の割引のある前売鑑賞券を販売は行わず、さらに映画サービスデー、夫婦50割引、高校生友情プライス、ほか各種割引は適用しないことといたしました。
 鑑賞券は、当日窓口および劇場のオンラインチケットのみでの発売。先行上映となる新宿ピカデリーでは、プレリザーブチケットを2/21(土)9:00AMより販売いたします。
 だそうです。

 映画ファンとしては「レッドクリフ パート2」も、監督&キャストがこんな感じで舞台挨拶してくれればいいんであって、関係者だけで客席を埋めた1スクリーンで舞台挨拶、雑魚の一般映画ファンは中継だけ見りゃいいの、ってスタイルはどうにも好きになれません…。ハコのキャパシティーと、サインもらいにステージに突進して警備員に羽交い絞めにされるような、後先考えない明星迷へのセキュリティーのためには致し方ないとしても、です。

 舞台上のあでやかな姿と指先まで成り切った「東洋的な女性美」の表現に見とれると共に、舞台下の人々の夢と現実、「選ばれし者の、不安と恍惚」を、ぜひ堪能していただきたいと思いますです。
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2009年01月31日

「非誠勿擾」のウーさんは日本の会社代表で、重要な裏方さんだった。

 今回は、ウーさんについてのお話。

 と言っても世界的に有名な巨匠監督・ジョン・ウー呉宇森ではなく、「非誠勿擾」で唯一ご尊顔を拝める、映画界の裏方さんですよ。
非誠ポスター02葛優
 1月26日に香港・百老匯電影中心で、この中国映画「非誠勿擾」を見て以来、「知床旅情」を歌い上げて異郷のnancixをホロリとさせた[烏+おおざと]桑(うーさん)について知りたい、でも公式サイトにも一切名前が記載されてない…とあれこれ検索していましたらば。

 ネットの力は偉大なり。成都商報に1月7日に掲載されたという、ウーさん電話インタビュー記事を読むことができました。

 葛優が扮した主人公・秦奮の旧友で、北海道の女性と結婚し農家の人となったウーさんを演じたのは、[烏+おおざと]逸聡という方でした。すでに日本国籍を取得、ウで始まる日本名もお持ちで、千葉に自分が代表取締役を務める有限会社も持っておられるようですが、個人情報なのでここには書きません。
 実在のウーさんは上海出身、もう20年以上も日本で生活しておられる方です。日本人の奥さんと2人のお子さんも、日本で生活中。フォン・シャオガン馮小剛監督の長年の友人で、中国映画の日本でのポストプロダクション(いわゆる後工程、中国語では後期製作とも)や日本公開・セールスにも重要な役割を果たしてきた、映画人の一人なのでした。

 ウーさんが日本に来たのは1988年、中国では製薬工場の工員でした。日本で医学と薬学を学び、留学生として皿洗いや建築現場、新聞配達などのバイトもして生計を支えたそうです。しかし、いよいよ学費が払えなくなる危機に面したときに、偶然ある映画会社に、フィルムをマスターテープに起こす深夜アルバイトに雇われたのでした。その後、働きを認められ、その会社での中国映画のポストプロダクションに関する翻訳・通訳者として採用されたのでした。

 映画に対して元々興味のあったウーさんは、映画撮影全般について必死に勉強を続けます。ポストプロダクションの技術だけでなく、フィルム製作、劇伴音楽付けなども手がけるようになります。その当時は、日本で映画業界で働く中国人はウーさんただ一人だったといいます。彼がポストプロダクションを手がけた作品は40数作もあって、「さらば、わが愛〜覇王別姫」(93)「活きる/活着」(94)「陽光燦爛的日子」(94)「花の影/風月」(96)「太陽照常昇起(仮題:太陽はまた昇る)」(07)なども含まれているそうです。
 6、7年前に、ウーさんは別の会社にヘッドハンティングされ、中国映画の日本での配給にも関わるようになります。「HERO 英雄」(02)「LOVERS/十面埋伏」(04)「PROMISE/無極」(05)「SPIRIT/霍元甲」(06)など、40数作を手がけたそうです。また技術上のプロデュースを手がけたのは「孔雀―我が家の風景―/孔雀」http://eiga.com/official/kujaku/、香川照之出演の「故郷の香り/暖」(03)など。
 そして、馮小剛監督の作品「イノセントワールド −天下無賊−/天下無賊」(04)でも、ポストプロダクションとセールスに参加したのでした。

 馮小剛監督は「イノセントワールド −天下無賊−」のポストプロダクションを日本で行い、その時にウーさんと知り合いました。監督はその後も日本に来るたびにウーさんと酒を飲み、1歳違い(ウーさんは監督より1歳下)の同年代として意気投合したのでした。

 監督が日本に「女帝[エンペラー]/夜宴」(06)のプロモーションに来た時、「時間があるから一緒に北海道を旅行しよう」と、ウーさんを誘います。監督、監督の助手の張さん、ウーさんの3人での北海道・知床珍道中が、こうして実現したのでした。ウーさんが車を運転し、彼らは北海道を4日間旅します。当時たどったルートでの出来事が、今回の「非誠勿擾」でそのまんま再現されているそうです。ただ旅行当時は冬で、雪が積もっていたのですが、この映画の撮影は秋(2008年9月)に行われました。

 監督は車内では全く眠らず、ずっとおしゃべりを続けていたそう。彼の悩みは特に多く、映画の中の多くに反映されているそうです。たとえば、監督はとんがり屋根の建物に目を留め「アレは何だ?」とウーさんに聞きました。ウーさんは「懺悔をするための小さな教会ですよ」と教えます。助手の張さんは「あの教会は小さすぎて、監督の罪悪は多すぎるんだから、あそこには入りきらないでしょう。もっと大きな教会を探さなきゃ」とからかったのですが、そのエピソードも映画で再現・誇張されています。
 映画の中の、寺院で営まれていたある人物の葬儀、教会での懺悔、海鮮の炉端焼を食べたこと、四姉妹居酒屋に行ったことなどは、全てこの男3人珍道中の時に起こったことなのだそう。当時、ウーさんはまさかこの旅が映画にされるとは思っても見ず、単なる男同士の暇つぶしのように考えていたそうです。
 しかし当時から、監督は「ここはとても美しいなあ、映画にしたいなあ」と言っていたそう。その後、突然北海道で映画撮影をすると連絡があり、ウーさんは多くの日本の風土や人情、題材などについての資料を送ったそうです。そしてウーさんはこの映画の日本側プロデューサーとなり、日本での撮影部分の総責任者ともなったのでした。

 4月に北海道をロケハンした時は、監督は「ウーさんに出演してもらう」なんてことはおくびにも出しませんでした。その後、いよいよ撮影開始というときになっていきなり、ウーさんは出演依頼されたのでした。ウーさんはいったんは辞退しようとするのですが「君にアテ書きした役柄なんだから」と説得されて、不安いっぱいのまま引き受けます。撮影期間の3ヶ月の間、ウーさんは製作プロデューサーの仕事もこなしながら一方で演技もしなければならず、後悔で死にたくなったとか(笑)。まるで「賊の船に乗り込んでしまった」ような感じだったそうです。撮影第1日で早くも降板したかったのですが、誰も代わってくれる人がいず、撮影しないとスタッフ一同に申し訳ないし…と、責任感の強いウーさんだったのでした。

 ウーさんはシナリオの自分のセリフ部分に赤線を引いて必死で暗記したのですが、いざカメラの前に立つと全部忘れてしまう…毎回、グー・ヨウ葛優がセリフを言い終わると、もう自分がどのようにつなげればいいのかわからなくなるのでした。NG連発で、ついに監督は「ダメだ、君はその赤線入りのシナリオを捨てて、書き込みのないシナリオを使えよ」と、新しいシナリオをくれたのでした。そして監督は、普段、話をしている時のように自然に話してくれと注文をつけるのでした(それが演技の素人には最も難しいんですが!)。監督は「どうして普段話す時のようにセリフを言わないんだ?」と再三注意したそうです。
 ウーさんにとって最も印象的なのは、やはりあの小教会での懺悔を巡る一幕でした。当初、ウーさんは自分の役はもっとクールで冷静なのだと思い込んでいたのですが、監督は全体の画面の感じを考えていて、こう言ったそうです。「おまえの手は間違ってる、足も間違ってる!」。そしてNGを繰り返したあげく「もういい、このシーンは撮らない!」。スタッフは緊張するし、その現場にいたスタッフの半分は日本人で、何を監督が怒っているかも解らないし、ウーさんの面子も立たない…ウーさんは「監督、もう一度、最後のチャンスを私に下さい!」と叫んで、撮影を続行したのでした。
 ある時は、ウーさんは頭ではわかっていても、手足がついていかないというもどかしい思いもしたのでした。ウーさんはほとほと情けなくなり、役者で食っていくのは無理だなあ、と考えたそうです。「私はこんな話を信じますよ。君が豚なら、木に登るのは無理だ。それなら熊になろうとするな」。

 こんなウーさんですが、共演者としての葛優は辛抱強く相手をしてくれたそうです。葛優は毎晩、セリフの練習の相手をしてくれ、撮影現場では「小剛を相手にするな、ダメならやり直すまでさ」と言って緊張を解いてくれたそうです。あれほどの有名ベテラン俳優で、ウーさんを罵ることもできたのに、葛優は決して怒らず苛立たず、性格のとてもいい人だったそうです。
 で、あの小教会で延々とだらだら彼が続けた懺悔の内容ですが、脚本には何も書かれていず、葛優が即興でしゃべり続けた、ウーさんやスタッフらは小教会の外で思わず泣いたり笑ったりしながら聞いていたというのですから、さすが名優です。>>続きを読む
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2009年01月26日

中国旧正月映画「非誠勿擾」はインテリ版寅さんっぽかった

 年初一の朝は、早場=モーニングショーで45ドル(他の回は75ドル)になっている「赤壁2 決戦天下」鑑賞から始まりました。
 今回はトニー周瑜も堪能しつつ、趙雲やっぱりカッコいー! とか、その後の展開を知ってしまうと、やはり劉備は辛かったろう…それもこれもみーんな○○のせいなわけで! 何と罪作りな!!などと、複雑な思いにかられましたよ。
 新年早々、まだ少年の面影を残す雑兵の死屍累々に切ない思いをしたり。
 「初陣♪ 初陣♪」と血気にはやっていた勇ましい弓腰姫・孫尚香も、この戦いで初めて戦闘というものの残酷さを思い知ったのだな…パート1で周瑜が「私は初陣の後、二度と戦いたくないと思いましたよ」と述懐した訳が解っただろうか…?などと。
 それにしても、彼女に付き従っていた女兵士たちはーー? 全滅っすか?

 その足で油麻地の百老匯電影中心に向かったものの、油麻地の主な飲食スポットもほとんど休み。目当ての「非誠勿擾」は午後からの上映しかなく、とりあえず午後5時台のチケットを買って、近くの恵康スーパーで買い物して帰宅。昼食は自炊し、1時間半ほど昼寝。
非誠ポスター
 昨日見た「游龍戲鳳」に続き、「非誠勿擾」も、スー・チー舒淇がヒロイン役。
 それも空中小姐、フライトアテンダント役ということで、制服フェチも足フェチも露天風呂美女フェチ(?)もハァハァの、大サービスですよ。

非誠葛優01
 思えば「さらば、わが愛〜覇王別姫」で初めてグー・ヨウ葛優という俳優を知ったnancixには、ずっと"目つきが異常な色を帯びた、痩せぎすの醜男"というイメージが刷り込まれていて、彼が中国ではホームドラマもコメディもトレンディードラマもこなし、何でも来いの人気俳優だということが、にわかには信じられなかったんですよ。大陸ってそんなにイケメン俳優不足なの?などと。
 同じファン・シャオガン馮小剛監督の「ハッピー・フューネラル/大腕」(01)を東京の映画祭で見て、やっと都会的な、現代的な演技もお手の物なんだな、と納得した次第。
 そのとき、すでに葛優は「甲方乙方」 (97、未) 「遥かな想い チャイニーズ・ドリーム in U.S.A.」(98)「ミレニアム・ラブ」(99)と立て続けに馮小剛お正月映画に主演してたんですね…。

 さて、この「非誠勿擾」は、少なくとも百老匯電影中心では、観客の男性率高し。
 しかも、ハ○率も比較的高かった。
 やはり、葛優は彼らにとって希望の星…? いやいや、中高年夫婦や家族連れも多かったから、自然にそうなっただけ?

 配給会社はアンディ映画の「游龍戲鳳」と同じ中国の会社、華諠兄弟傳媒集団(ホワイー・ブラザースで、ワーナー・ブラザースじゃないっすよ)と、香港のメディア・アジアでしたよ。

 物語は、いきなり白黒またはセピアカラーのニュース映像から始まる。
 デモ、流血のストライキ、戦争…ベトナム戦争も。
 逃げ惑う人々、ナパーム爆弾投下。

 (何なに? まだ他の映画の予告編?)といぶかしみましたよ。

 キング牧師ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの力強い演説、「I Have a Dream=私には、夢があるー!」に重ねて、男性の北京語ナレーション。
 「…私には夢がある。ある日、世界中の争いが収まること。大地に平和が戻り、全ての子供たちに笑顔が戻ること…」みたいなことです、大体。
 その夢を実現する大発明品、そう、それこそが「分岐終端機」!
 「一切皆可解決」のキャッチコピーと共に、壁掛け液晶テレビの映像がストップする。

 そう、それは商品「分岐終端機」のプロモーションビデオだったのですね。
 ……なーーんだ。

 豪華なホテルの寝室の、キングサイズベッドに座ってそのプロモビデオを見ていたのは、ファン范先生と呼ばれる投資家(天使投資人? ファン・ウェイ范偉)。
 派手はでガウンを羽織った范先生は、その「分岐終端機」を発明した発明家の秦奮(葛優)と会うことになっていた。
 やたら胸元の谷間を強調したブラウスを着た、セクシー秘書(MIUMIU)に案内されて、秦奮は、朝食の食卓で范と会い、「分岐終極機」の説明をする。
 全く不正の心配なし、公正な解決をするための、画期的な発明なんだそうで…。
 その「分岐終極機」がどんなものなのかは、ここでは書きません。

 ラストのスタッフロールを読んで判明したのですが、この「分岐終極機」とそれを発明した人間は、実在するそうで!
 ……どこへいく、現代中国……?

 とにかく范先生は200万で、この「分岐終極機」の特許権だか独占発売権だかを買い取ることに決定する。
 「米ドルで200万ですよ?」「いや、英国ポンドでだよ!」
 このやり取りは、外貨MMFや外貨預金をやってる人には苦笑できるネタ。

 とにかく、秦奮は一攫千金、当面遊んでいても不自由のない大金を、手にした。
 だんだん明かされるのだけど、この40数歳でまだ独身の秦奮は、両親はすでに亡くなり、留学生として海外に出てそのまま移民、米国で旅行会社を共同経営したりと、海外生活が長かった中国人なのです。

 彼がいま、中国に戻ってやろうとしていることは…。

 なんと、出会い系サイトに結婚相手募集の文言を書きこみ、ネットを介したお見合いをすることだったのである。
 彼が書きこんだ文章、途中に「アンディ・ラウ劉徳華と阿湯哥のあのような才色兼備なイケメンが、あなたとの婚姻を募集しにくることはありえないので、当然私も『諾丁山』のような夢など持っていません。」なんてのがあって、場内爆笑。…でも、阿湯哥ってだ、誰…? あ、トム・クルーズか…。「諾丁山」は、ジュリア・ロバーツ主演の「ノッティングヒルの恋人」(99)ですよ。
 彼が最後に付け加えたのが「非誠勿擾」。つまりは「冷やかしお断り」という意味ですよね。

 こうして彼が、中国なんだか日本の銀座や六本木や南青山なんだかわかりゃしないおしゃれなレストランやカフェ、バー、彼の滞在先のリゾートホテルなどで会う相手は…。
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2009年01月18日

警告! ○の目が嫌いな人は要注意の「停車」

 奥歯をようやく治療できて、ルンルンと見に行こうとした、台湾映画「停車」。「赤壁」では孫権を演じている、チャン・チェン張震クン主演です。
 昨年3月には大阪にも来てくれたチャン・チェン張震クン。
 08年来阪張震
 素顔はこんなでした。従弟にこんな子がいたら、嬉しいのになー。

 でも役者としては、フィルモグラフィーを見ればわかるけど、とってもチャレンジャーですよね。
 ある意味、若き日のトニーさんよりチャレンジャー。決して二枚目役に安住してない。

 そのチャン・チェンくんのチャレンジャーぶりが満喫できる「停車」は、もう百老匯電影中心でも、一日2回上映になってしまっていた。ヒヤリ。
「停車」台湾版ポスター

 カンヌ映画祭版予告編は、こちら

 昨年の「香港亜州電影節」では、2008年台湾金馬賞での唯一のオープニングフィルムでもあって話題を呼んだせいか、追加上映さえチケットが売り切れてしまって見られなかった作品です。AMC又一城でも上映されている(時間帯が合わず)ので、一般受けするのかな?と思いながら見に行ったのですが…。

 おやおや、日本ならミニシアター系でしか上映されそうもない、ワンアイデアムービーでしたよ。
 つまり、「早く家に帰りたい、帰らないとまずいと思っているのに、何かしらに巻き込まれて帰れない男」です。
その巻きこまれ方が、半端じゃない。

 あ、まず警告しておきます。
 魚の目、足の裏に出来るウオノメじゃなくて、ホントの「おさかなのおめめ」ですね、あれが大嫌いな人、古びて不潔なトイレが耐えられない人、そして足が8本以上ある虫が嫌いな人は、絶対に見ちゃいけません。

 もう生理的に耐えられないギリギリまで、ワケもなくそういう不快指数90%のモノを出しまくる映画です、これは。

 nancixはそういうのがダメな人じゃないのですが、それでもじっと見ていたら、上映前に慌てて食べたホットドッグを吐きそうになった。
 広告業界出身だというチョン・モンホン鐘孟宏監督は、初監督作で観客に生理的嫌悪感を与えて、どうしたいわけ? ケンカ売ってんのか、おりゃーー!

 そしてチャン・チェンの下半身が、あわや剥き出しに!と思わず身を乗り出してハァハァしようとしたら、画面の上下がさっと黒くなって見えなくしてしまいますから、その手の皆さん(どんな手だ)は思わず「チェッ!」と舌打ちしないように。

 あ、多分東京Filmexか台湾映画フェスティバルで上映されるんじゃないかと思うんですよねえ。第61回カンヌ映画祭の「ある視点」部門に出品されているし、いかにもプログラムディレクターが目をつけそうなんだもの。

 ……カンヌには魚の目恐怖症のひとや潔癖症のひと、ぞろぞろ足の虫が嫌いなひとはいなかったんだろうか…いたとしたら同情申し上げますです、はい。

 舞台は台北。その日は日曜でしかも、母の日。

 陳莫(チャン・チェン張震)は携帯電話の呼び出し音のおかげで、車内で目を覚ます。彼は携帯電話で「いや、仕事に疲れて、ちょっと車を止めている間に眠ってしまった」と誰かに弁明する。その誰かに頼まれ…もしくは機嫌を取ろうと、ケーキを買いに行く。そして、古びた唐楼(1階が店舗、その上がアパートの中層建物)の前のパーキングエリアに車を止める。
 ケーキショップのオーナーは、理知的な感じのメガネ中年女性(ヤン・リーイン楊麗音)。イタリア風ティラミスケーキ、チョコレートムースなどの説明はなかなか興味深かったけど「チョコレートに精神があるかどうか」「精神がほしいならコンビニかスーパーで買ってください」のやりとりが、よく解らなかったです。
ケーキ屋チャンチェン

 ヤン・リーインさんって、かつてのほうちゃんこと侯孝賢映画の、ほぼ常連だったんですね。昨年の「台湾シネマフェスティバル」で見た佳作「練習曲」(07)でも、退職間際の校長先生の役でいい味を出していましたっけ。
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2009年01月11日

ツイィーとだけじゃなかった「梅蘭芳」

 さて「赤壁2 決戦天下」も楽しみだったんだけど、12月5日から1月4日まで帰国中に封切された諸作品を遅ればせながら観るのも、香港に戻る大いなる楽しみだったのだ。

 まずは陳凱歌監督作品「梅蘭芳」。日本では「花の生涯-梅蘭芳」ですよね。

 この、四大名旦の一人に数えられる、実在の京劇名優メイ・ランファンについては、あのレスリー・チョン張國榮主演の「さらば、我が愛〜覇王別姫」が日本公開される寸前まで、コツコツと自分で調べましたよ。当時は梅蘭芳に関する日本の研究本や紹介本がなかなか見つからず、某新聞社資料室に残されていた、大正時代の初来日公演観劇記集などを、コピーさせてもらったりもした。川端康成だったか谷崎潤一郎だったか、当時の文豪らが絶賛の文を寄せていて、実に興味深かったです。小説「覇王別姫」原作者のリー・ピクワー李碧華は、梅蘭芳の相手役として名高いヤン・シャオロウ楊小楼の名前をもじって、チャン・フォンイー張豊毅が演じた相手役をトァン・シャオロウ段小楼と名付けたのか、なんて一人で納得したりして。
 その資料を、香港に戻る時に持って来るつもりが、ブラックホールに吸い込まれて見つからず…_| ̄|○ 「葉問」資料と共に、日本の実家に虚しく眠っております。嗚呼……帰国できる頃には紙を食べる虫に食い荒らされて読めなくなってるんじゃないか…? バカバカバカ、nancixのバカーー。

 ただ、梅蘭芳が決して「さらば、わが愛〜」の程蝶衣と完全同一なわけではないというのも、その独学の時によくわかった。京劇役者の名家に生まれ育った梅蘭芳は他の無名の若き役者のように戯班で共同生活することもなく、生活のために&有力な後ろ盾を持つために堂子或いは相公と呼ばれ春をひさぐ必要はなかったし、たとえ誘惑があっても決然と断れ、そのために前途を潰される不安もなかった(多分。この辺は諸説あってしかるべきところ)。程蝶衣の名声は地域限定だったようだけど、梅蘭芳の名声は日本、そして米国にまで響き渡っていた。大正時代には芥川龍之介や歌舞伎名優たち、そして日本の文化人との交流も密だった。芥川龍之介の進言と梅蘭芳自身がが日本の歌舞伎を見聞きしヒントを得たことで、京劇舞台の背景などが改良されたんじゃなかったかな。ロシアのスタニスラフスキー(あのスタニスラフスキー・システムの!)ら、著名演劇人との交流を成功させた。北京でインドのタゴール氏とも会談した。さらに、1966年から10年吹き荒れた文化大革命で、京劇関係者が粛清・弾圧を受ける前の、1961年に60代にして病死されておられる。

 梅蘭芳は決して中国の激動の歴史に翻弄されて寄る辺無く漂った無力な人物ではなく、自らの意志で因習に立ち向かい、京劇の改革に取り組み、晩年には中国京劇院院長や中国劇曲学院院長を務めて国家に、芸術活動に尽力し、地位と名声を得て、後継者となった梅葆玖ら息子たちも立派に育て上げた、人民中国が誇る文化人だったのである。

 だからこそ、スタンリー・クワン關錦鵬監督が「トニー・レオン梁朝偉主演で梅蘭芳と第一、第二夫人、そしてよき共演者、理解者となりながら泣く泣くあきらめて上海に去った女性京劇役者という3人の女を巡る、バックステージものを撮りたい」と言い出した時は、ひそかに(うわあああ、せっかく梅蘭芳を登場させるのに、またまた尻切れトンボの女性映画かよ…やめとけー…梅蘭芳はあまりに有名すぎるし、レスリーが演じた程蝶衣のあでやかな残像がまだまだこんなにも鮮やかなのに…誰が演じても本物にかなわないと言われるし、誰が演じてもレスリーと比べられるんだよぉぉぉ)と、声にならない悲鳴を挙げたものである。
 どうしても撮るというなら、いっそ京劇界で修業中の若手を起用して一躍スターに育て上げるくらいでないと!(「少林寺」でジェット・リー李連杰が一挙に有名になったように!)などと。「それでは撮影資金が国際的に集まらないから、無理!」とスタンリーさんが却下するのは、百も承知で。

 結局、トニーもあれこれとリスクを考え合わせたのか、スタンリー・クワン監督の正式なGOサインが出るまではと控えたのか、彼が煮え切らないうちに「さらば、我が愛〜覇王別姫」のチェン・カイコー陳凱歌監督が映画化に漕ぎつけてしまいましたよ。
 母親が北京人で、5、6歳まで北京で過ごし、北京語に不自由しないレオン・ライ黎明主演、そしてなんと、チャン・ツイィー章子怡共演というかたちで。しかもこの映画が公開される寸前、梅蘭芳の実の息子さんが「今後50年は、他の梅蘭芳に関する映画化は許可しない」とコメントされたそうで……ハイ、關錦鵬監督、惜しい、残念でしたー。他の企画を立ててください、お早めに、お願い。

 それにしてもレオン・ライ黎明、つくづくチャレンジャーです。
 実在の梅蘭芳は小柄で、若い時代は小顔で目鼻立ちもちんまり・はんなりしていて小さな花のように愛らしく、素顔も女性以上にたおやかだったというのに。
 少年・梅蘭芳を演じた、浙江省の越劇團出身だというユイ・シャオチン余少群クンがかなーりイメージに近いけど、それでもまだきりっと濃い眉毛が凛々し過ぎる、くらいなのに。
 レオン・ライは四大天王と謳われたかつての香港歌星のなかで最も長身。あどけないすっきり顔に、肩幅の広いすらりとした男性そのものの体格で「ワタシをお姫様抱っこできる、理想の白馬の王子様〜」と、肩幅の狭い小柄な中国南方人男性を見慣れた香港少女たちの目をハートにしたというのに。

 …まあ、功成り名を遂げた後の梅蘭芳の写真を見る限り、恰幅がよくなられて、最も似ておられるのは日本の梨園で活躍されておられる、大河ドラマ「花神」時代の中村梅之助さんだったんですけどね。ええ、かつての「遠山の金さん」でございます。
壮年の梅蘭芳

 似てない外見、ニンではないという批評をモノともせずに挑んだりよん、さぞかし厳しい訓練を積んだことでしょう。舞台上の梅蘭芳のどこまでが黎明でどこまでが吹き替えなのかよくわかりませんでしたが(章子怡との共演は、本人ですよね?)、素顔で、スーツ姿で舞台を再現する場面が如何に難しかったことか。よくぞ挑んだ!
 小声・猫なで声で話す姿が、ぼよよーーん、いや茫洋と遠くを見つめる目つきがホラー映画「THREE 死への扉/三更之回家」(02)の"憑かれた男"にだぶってしまったけど、それはアジア映画マニアにしか理解されないネタだから、いいとしようじゃないか!

 なーーのーーにーーー。

 北京語を話す香港の観客さんらは、クスクス笑うのだ。
梅蘭芳と孟小冬の寸劇
 例の、名老生(立ち役)として普段の服のまま「遊龍戲鳳、或いは梅龍鎮」を演じるツイィーが噴き出して演技を止め「没扮上=役に扮してないと、あなたは一人の男性に見えますのね」「あなたも、没扮上=役に扮してないと一人の女性に見えます」と言い合う台詞のやりとりだけでなく。

 なーーんーーでーーー?

 ジェンダー(性差)を当たり前のことと信じて疑わない、一般人だから?
 職業として異性を演じる者の苦悩、苦労に思いが至らないから?
 茫洋とした、ぼよよーんりよんが歯がゆくて、可笑しくさえなっちゃうから?

 とにかく、この映画はりよんと章子怡の姿を大々的に押し出した広告図案と異なり、実は3部構成だったのです。ツイィーとのラブロマンス、だけじゃなかった「梅蘭芳」だったのでした。
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2008年12月02日

「彈.道」…果たして台湾と香港の温度差は?

 香港のローレンス・アモン劉國昌監督作品「彈.道」。
 九龍塘のフェスティバルウォーク内、AMC又一城で鑑賞。
弾道ポスター

 舞台は大半が台湾、ごく一部が香港。
 2004年3月19日、再選を目指して選挙活動中の某候補者と妻が台南で銃撃され、夫が太ももを、妻が脇腹を撃たれて負傷した、実際の「三一九槍撃事件」をモデルにしています。そのため、撮影当初は「江湖情」という、ありふれたタイトルにしてカモフラージュしていたとか。それでも「この映画に関わるな」と謎の電話を受けた撮影スタッフがいたとか…。
 特にその某候補者が、今年5月20日に総統を退任、いま、逮捕され収監され濡れ衣だと抗議の絶食をし、不正取引・汚職と文書偽造容疑で妻や娘婿が罪を問われている話題の人とあっちゃ、キャッチーで、見ないわけにはいかないと思ったんだけど…。

 この映画、ローレンス・アモン劉國昌監督自身が撮りたいと熱望した題材なのではなく、香港の出資者の要望により昨年撮影されたんだそう。監督の旧作でこれもモデル有りの「リー・ロック伝 大いなる野望/五億探長雷洛傳」(91)と同じようなスタイルの映画をと、要望したようだけど…ううむ、その出資者の意図を知りたい。

 アクション監督は「ハードボイルド 新・男たちの挽歌/辣手神探」で役者も兼任していた、フィリップ・クォック郭振鋒が、別名の「郭追」を使ってクレジットされていたと思う。台湾映画界では「郭追」を使うのだろうか?

 主人公は「花蓮の夏/盛夏光年」(06)のジョセフ・チャン張孝全。無精ひげに精悍な短髪で、イケメンなんだけど…何だかチャン・チェン張震がびっくりマナコになっているように見えて仕方なかったです。それにこの役回りだと、別にイケメンである必要もなく、とにかく走りに走れて格闘できる、若手なら誰でもよかったみたいな、損といえば損な役でした…。

 そしてもう一人の主人公と言っていいのが、孫學仁役の我らがヤムヤム、サイモン・ヤム任達華。そりゃ「SP」の堤真一演じる尾形総一郎よりも重量級の、刑偵局の上司。局長ら警察幹部の圧力と、若手部下の情熱の板ばさみになり、かつまた「地中海貧血(サラセミア)」に苦しむ一人息子を何とかして救いたい、いや同じ病で亡くなった妻に誓って育て上げると決意している、男。
弾道ヤムヤム

 何だかもうね、巨悪に挑む一捜査官に、不治の病の家族なんてぇアキレス腱があっちゃいけないよね…。あーなってこーなるに決まってるじゃないかぁ!と予想がついてしまった。

 狙撃を実行する、毛糸帽子にヒゲ、目だけがらんらんと輝く不気味な狙撃手・金水役は、ラム・ガートン林家棟。「インファナルアフェア」でのいまいち頼りない部下役とはうってかわり、目の下にだけ黒アイラインをぐぐっと引いて浅黒い肌色にして、ベトナム難民?を実の父に持ち、マフィアのボス・[广/龍]天南を義父と仰ぎ忠誠を誓った、はぐれ者の鉄砲玉を演じます。
 うーん、「証人」の必殺始末屋稼業ニック・チョン張家輝と一騎打ちさせてみたい。ものすごい死闘になりそう。

 改造銃を廃屋で作り続け、銃弾の火薬の調節を執拗に繰り返す、職人も不気味ないい味出してた。典型的直情径行正義漢の刑事より、林家棟とこの職人を主人公に、鉄砲玉に使われる側の悲劇として描いた方が、より面白く陰影に富んだかもしれないなあ。

 そして実行犯の林家棟の身代わりに仕立て上げられるのは、借金まみれのくせに虚勢を張りたがる、元職業軍人の小市民のオジサン、陳二同。演じるのは「証人」に続いてまたもや、リウ・カイチー廖啓智。服装といい、態度といい、台湾の下町のオッサンに、いるよなあ、こういう人…と、知り合いもいないくせに思ってしまうnancixなのでした。この作品ではリウ・カイチー廖啓智は全編、台湾の土着の言葉、ビン南語をしゃべってるらしい。

 サイモン・ヤムヤム演じる孫學仁に圧力をかけ続ける、呉立雄派の幕僚・方正北役には、チャン・チェン張震パパで台湾版「白色巨塔 ザ・ホスピタル」の内科主任役でも知られるベテランの張國柱。さすがに渋いオジサマです。せめて日本の政治家にこれくらい渋いイケメンオジサンがいてくれたらなあ。もっとワルっぽいか小物っぽい人しかいないから、情けない。

 「白色巨塔 ザ・ホスピタル」組でもう一人、ニヒルで渋い中年の味わいを出していた、レオン・ダイ・リーレン載立忍も出演していたはずなんですが…あれえ、どこにいたっけ? もう一人の警察幹部は歌手兼俳優のマイケル・ホワン黄仲昆、2時間ドラマやバラエティー番組にたまに出てる日本の男優の誰かさんにしか見えない、いかつい外見だったし…?
脇を固めるマフィアのボス[广/龍]天南役に、お懐かしい、「エンド・オブ・ザ・ロード/異域之末路英雄」(93)でトニー・レオン梁朝偉と共演した、貫禄たっぷりのオー・ジョンホンまたはクー・ジュンション柯俊雄。実は彼、立法委員(国会議員)新竹市の国民党公認候補として当選経験有り。…彼の口利きで、この映画のロケが新竹市内で行われたのかしらん…?
張國柱と柯俊雄
 左が張國柱、右が柯俊雄です。

 物語は、漁船の上で若い男、徐瑜昌が過去を回想するところから始まる。
 彼は台湾警察の刑偵局特捜部の刑事。隊長(主任)クラスです。改造銃器密輸の疑いでチャラ男の[广/龍]大松を自宅に乗り込んで行って痛めつけ、逮捕するが、彼の父親はマフィアのボス[广/龍]天南。[广/龍]天南は呉立雄側近の幕僚で警察上層部ともつるんでいる、方正北に息子の釈放を要求する。方正北は交換条件を出す。その結果、大松は特捜部から政治部に身柄を引き渡される。方正北の息のかかった政治部の連中に「手出し無用」と宣告されて腐る、徐瑜昌刑事。そんな彼に、直属の上司、孫學仁は値上げの相次ぐ台湾の街角を一緒に歩きながら「俺は無党派なので、米も菜も買えないのさ」と嘆いてみせる。清貧って奴ですかね。

 一方、台湾総統選挙戦たけなわの世間では、田正候補と、「阿雄」の愛称で呼ばれる眼鏡の小男・呉立雄(沈孟生)候補が激しく競り合っていた。投票日直前の世相調査では支持率が27%しかなく、苦戦中の呉立雄は側近にヒステリックに怒鳴り散らし、二人三脚の仲のはずの妻にさえ口汚く言い募る。方正北ら、呉立雄の側近は「情勢を変えなければならん。よい役者さえそろえば、我々の脚本で台湾金馬奨が取れる」と、何やら企む様子だ。
 まずは海賊FM局の男女DJを抱き込み、呉立雄を「台湾の希望の星、呉立雄無くして明日の台湾は無し!」とアジテーションさせる。

 冴えない初老の男、陳二同は、とあるビル屋上で、おどおどしながら[广/龍]天南の手下、阿炳から銃を受け取る。だが彼は水天宮で次の指示を待ちながら「俺は借金返済したいだけなんだ」と祈りを捧げている間に、阿炳に背後から殴られ気絶させられた。
 陳二同と同じ服装で、キャップを目深に被って、パレードする選挙カーを追う狙撃手、金水。
 [广/龍]天南の携帯電話の電波を追っていた徐瑜昌のチームの女刑事は「左側を狙え」という指示をキャッチし、沿道を警戒中の徐瑜昌に連絡する。相棒の鐵牛こと梁明智(28歳)と一緒に、金水をマークし続ける徐瑜昌。

 投票日前日、呉立雄総統と副総統でもある彼の妻の、仮面夫婦がにこやかに選挙カーの上から沿道に手を振る。呉立雄自身が「総統と副総統、2人とも同じ車に乗る。防弾チョッキは要らない、沿道の選挙民との親近感を演出するんだ」と提案したのだ。しかも彼の提案で、当初は彼の右側にいた妻は、左側に移動することに。方正北ら側近たちも、後続車に乗って成り行きを見守っている。
選挙カーの上には

 徐瑜昌と鐵牛は金水を追い続けるが、爆竹の音にまぎれて、金水は選挙カー上の仮面夫婦をついに撃った! 左側とは、夫と妻の中間点のことだったのだ…!
 脇腹を撃たれ、血を流しながらたまらずうずくまる呉の妻。だが気づかないふりをして、呉はにこやかに手を振り続ける。
 市場に逃げ込む金水。やがてスクーターを奪う。徐瑜昌は捜査車両に戻り、鐵牛は市民から借りたバイクで後を追う!
 呉立雄の選挙カーは病院の正面玄関に直行。車椅子を拒否して歩いて治療室に向かう呉立雄。彼は病床で激しく部下を罵る。自分ももっと重傷になるはずだったということか、頭の上がらない猛妻を犠牲にするつもりだったのか。
 病院の院長らの出入りを呉立雄の側近が差し止め、連れてきた医療スタッフにだけ治療をさせることに。単なるかすり傷を、より重傷に見せかける演出なのか…?

 鐵牛との無線連絡が取れなくなり、焦る徐瑜昌。川べりで、鐵牛は発砲して金水のスクーターを転倒させるが、金水は気絶したふりをして充分に鐵牛を引きつけ、ためらいなく彼を刺殺したのだった…。

 呉立雄の支持者らは暗殺未遂の報に逆上し、対立候補の田正の選挙事務所になだれ込んで暴れ回る。「放火して、一家全員殺してやる!」と脅され、顔色を変える田正。

 呉立雄の側近は病院のロビーで記者会見を開き、狙撃犯が使用した銃弾の種類を発表、傷口の痛々しい写真(捏造?)を見せる。「自作自演説もありますが」と無遠慮な女性記者に突っ込まれ、顔色を変えて「そんなことは断じてありえない!」と断言する側近。

 暗殺未遂の報道後、呉立雄の支持率は一気に上昇、田正を抜いた! 街中で喜びの声を取材するマスコミ。翌日の投票結果は…ニュース番組ではにこやかに手を振る呉立雄と、車椅子の上から笑顔で手を振る夫人の姿が流れる。

 その頃、川べりで鐵牛の遺体が発見された…遺体を目にしてショックを隠せない、同僚の女刑事。そして悔恨にさいなまれて佇む、徐瑜昌。
 「真相無くして選挙無し!」と、呉立雄狙撃事件の徹底捜査を要求してデモを続ける群衆。

 狙撃事件の起こった現場、景化街に駆けつける徐瑜昌ら。だがゴミ箱の中身は回収済み。失望を隠せない徐瑜昌に、一人の少女が駆け寄って、空薬莢を手渡した。「もう1個あるの」と…。
 景化街の監視カメラに残されていた挙動不審な男の映像から、刑偵局副署長は容疑者を陳二同(47)だと発表する。陳は10年前まで職業軍人で、最近は金の工面に困り、周囲に政治への恨み言を並べ立てていたと…。
 副署長一行と署内で出くわした徐瑜昌は、狙撃手が陳二同とは思えない、自分が鐵牛と共に目撃した犯人とは別人だと訴えるが、副署長は鐵牛こと梁明智の遺体が発見されたのは狙撃現場からかなり離れた場所であり、狙撃事件との関連は疑わしいと真っ向から否定する。怒りを隠せない徐瑜昌。

 その頃、陳二同は人形芝居小屋に監禁されていた。[广/龍]天南の手下、阿炳から撃たれそうになった陳二同は死に物狂いで反撃し、手を縛られたまま逃げ出す。
 [广/龍]天南との電話で、幕僚の方正北は陳二同を逃がした失態を責め、陳の口封じを命じる。
 [广/龍]天南は阿炳と金水の2人に面会する。「使用した改造銃は川に捨てた」と金水に聞いて激しくなじる[广/龍]天南。陳二同の指紋を付けた銃を、陳二同の犯行の動かぬ証拠にする手はずだったのだ。さらに彼は、陳二同を逃がしてしまったヘマな阿炳を、怒りに任せて自ら痛めつける。
 たまりかねて「義理のオヤジ、もう一度俺に機会をくれ」と申し出る金水。

 署長命令が下され、孫學仁(ヤムヤム)や徐瑜昌らは捜査中止を余儀なくされることに…しかし独断で、陳二同の自宅を女刑事(胡[女亭][女亭])と2人で訪れる徐瑜昌。自宅は荒らされ家具は壊され、小物が散乱していた。その上、顔には殴られた痕跡のある陳二同の妻。彼女は怯え切って、誰に何をされたか言おうとしないばかりか、狙撃は夫の仕業だと言い張る。夫婦なら、かばって当然なのにと疑念を抱く女刑事。部屋にあった、陳家の一人娘・陳青(アリス・ツァン曾ト[王玄])が香港の夜景を背景に撮った写真を、密かに携帯電話のカメラで複写する徐瑜昌。
張孝全と吊り目女

 この女刑事役の胡[女亭][女亭]がすごい吊り目で、サンディ・ラム林憶蓮をさらにきつくしたような…本当に女優なんだろうか?と疑問に思ってたら、台中市長の胡自強の娘で、英国オックスフォード大学に留学、大学卒業後はアン・リーのオフィスで、脚本を英語に翻訳する仕事もしていたとか。英語力を生かして「ブリジット・ジョーンズの日記2」にも出演を果たしている才媛令嬢らしい。人は見かけによら…いやいやそのあの。

 そんな時、一人息子の小忠が倒れて病院に運ばれたという電話に顔色を変えるヤムヤム、いや孫學仁。小忠は遺伝性の不治の病、「地中海貧血」を患っている上に、血液型が稀少なAB型マイナスなのだ。孫學仁の愛妻も、3年前に同じ病気で帰らぬ人となった…。その経緯を知る部下の徐瑜昌は、小忠を病院に見舞い、優しく励ますのだった。

 台北の街では、呉立雄狙撃事件の真相解明を求めてデモや暴動が相次ぐ。台湾検察局と警察の合同特別捜査班が結成され、孫學仁は刑偵局の副局長に昇格した。だが、局長は陳二同を犯人と決めつけ「他の容疑者など提出するな」と圧力をかけてくる。部下が手がかりをつかんだ真犯人を追うか? 局長ら上層部が押し付けてくる捜査結果を黙って受け入れるか? 苦悩する孫學仁。

 陳二同の行方はまだ手がかり無しだ。孫學仁の自宅を訪れ「彼はもう台湾を脱出したのでは? 香港の娘の元に身を寄せているのかも」と推理を上司に話す徐瑜昌。キッチンで瓶の割れる音がして、駆けつけた徐瑜昌の目の前で、小忠が倒れていた。「ママがね、来客にはおもてなしのために、ジュースを出しなさいって言ってたから…」と苦しそうに呟く小忠。明らかに病状が悪化している…!

 孫學仁を呼びつけ、「捜査はもう終わりにしろ、陳二同が真犯人だと発表するんだ」と宣告する幕僚の方正北。「できません!」と抗う孫學仁。
 その頃、徐瑜昌は密かに香港に飛び、陳二同の娘、陳青が勤めるカフェを訪れていた。ちょうどそこに、陳二同が訪ねて来る。「俺じゃない、俺がやったんじゃない。俺は無実だ」と娘に訴える陳二同だが、金の無心かと解釈し、店にあるだけの金を投げるように渡す陳青。

 その頃、台湾のとある廃屋では、例の改造銃の職人が高飛びの準備に専念していた。
 そこに忍び寄る殺し屋、阿炳。だが職人の方が一枚上手だった。撃たれて苦痛にうめく阿炳を冷ややかな笑みを浮かべて見つめ「どうだ? 人間の最も苦痛なことは、生死を自分でコントロールできないことだ」とからかう職人。やがて彼は阿炳の頭を撃ち抜いてとどめを刺し、[广/龍]天南に電話して逆に脅しにかかるのだった。

 香港のカフェには、何と金水まで訪れ、陳二同と背中合わせに座った。視線に気づいた金水と睨み合う徐瑜昌。やがて二人は格闘を始める! 陳二同も金水に気づき、娘を連れて逃げ出そうとする。
 追う金水、その金水を追う徐瑜昌!
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2008年11月17日

「[泪少][泪少]」日本語挿入歌が判明!

 nancixは全面的に台湾電影「[泪少][泪少](みゃおみゃお)」(08)を支持しております。

 このサイトで、16日の香港・西九龍中心でのイベントが詳しく報じられていました。
 サンドリーナ・ピンナこと張榕容ちゃんは現在、「[泪少][泪少]」で台湾金馬奨の最優秀主演女優賞(最佳女主角)にノミネートされちゃっているのですが、「とっても興奮してるし光栄に感じます、これは一つの肯定ですもの。この(ノミネートの)知らせを受け取った時は、家の中で2分間は歓声を上げまくってました!」と、微笑ましいこと限りないことをコメントしてたんですね。
 で、ノミネートされた他の女優で、ライバルと思えるのは誰ですか?という質問に対しては「私とカレーナ・ラム林嘉欣は共演したことがあるし、彼女の(出演)作品も見てます。彼女がとても好きです」とだけ答えました。惜しくもノミネートされなかったみゃおみゃお役の柯佳讌は、「失望はしていません、努力し続けるだけです」と模範的な回答をしたそうです。うん、彼女なら役柄に恵まれさえすれば、中国のチョウ・シュン周迅と互角の七変化女優になれると思う…。

 ファン・チーウェイ范植偉君に、司会が「どのようにサンドリーナを支持しますか?」と質問すると、彼は笑って「他の人が奨を必要でないよう希望します」とだけ語ったそうです。

 范植偉君はすでに、あの美青年好きのヤン・ファン楊凡監督作品「涙王子」に出演が決まっていて、彼は陸軍軍人の制服と髪型にならなければならないそうです…顔には痘痕(火傷?)の特殊メイクも必要だとか。「せっかくのハンサムを浪費することが怖くないですか?」という質問には「俳優であるかぎり仕方のないことです。先輩のレスリー・チョン張國榮も『夜半歌聲』でそうしましたから」と、答えたとか。
男好きもしそうな范植偉クン
 …トニーさんやレスリーに比べられるのはプレッシャーでしょうけど、負けるなー!

 で、香港産女性ユニット「Hotcha」のメンバーで腎炎で入院していたのは、リージェン・チョン張恵雅だったのねえ。彼女は運動に励み、また催しても我慢してしまう習慣を改める、と表明したそうです。過労とストレス(と薄着)で発病したんだろうけど、ご用心、ご用心。

 ところで、nancixは本日、嬉しくてたまらない。「[泪少][泪少]」を香港亞州電影節で見て以来、ずっと謎だった日本語の挿入歌の題名が、このサイトで判明したからだ。「長春花」という歌だったのねえ。
 しかも「長春花」でさっそくググってみたら、そのメロディと因縁を解説してくれている西日本新聞のサイトも発見した。
 日本の懐メロではなく、台湾南部の阿里山の先住民ツォウ族として生まれ、自力更生と自治の思想を唱えた男性、矢多一生こと高一生ことUongu Yatauyonganaが創作した歌だったとは! クルクスの花じゃなくて「♪窓辺に咲いた フロクスの花」だったのね…ハナシノブ科フロクス属の。創作年代が1949年なのも判明。てことは、第二次世界大戦の終戦(日本の敗戦)から4年後か…。当時、台湾で暮らしていた幼い少女が聞き覚えても、おかしくない??
 ここでも一部分を聞けます。
 どこか沖縄の民謡のようなゆったりとした美しいメロディライン、単純だけど詩的な言葉が散りばめられた歌詞…NHK「懐かしのメロディー」で由紀さおり、安田祥子姉妹に歌われても、ちっともおかしくないと思うのだが、どうでしょう。
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2008年11月16日

「[泪少][泪少]」香港イベントに参加してみた。

 nancixは全面的に台湾電影「[泪少][泪少](みゃおみゃお)」(08)を支持しております。

 たとえ「海角7號」のように、台湾で「ラスト、コーション/色、戒」「レッドクリフ/赤壁」を超える大ヒット興行成績を記録しなくても、心の琴線に触れまくるいい映画は、いい映画なんだい。

 そういうわけで、行って参りました、香港の西九龍中心での「[泪少][泪少]」イベント。
みゃおみゃおケーキ大作戦ポスター
 んが、こんな時に限って火車がどういうわけか遅延する……_| ̄|○。5分ごとに来るはずの火車が、10分近くたたないと来ませんよ。西九龍中心まで、3つの路線を乗り継がないと行けないのに(泣)。

みゃお01アトリウム
 結局、西九龍中心グランドフロアのアトリウムにたどり着いたのは、4時5分前。すでに記者と嘉寶=ゲストは柵の中で座ってる。ゲストっていうか、白髪のおばあさんも子供もカップルも若者もいる…んーむ、「西九龍中心の人に電話もらったんすけど」とか出入りを管理してる係員に言えばいいわけ? でも中に入れてもらうのも何だかなあ…。
 逡巡しながら、目の前が小学生?女子ばかりという、好位置を確保。もうここで撮影できればいいや、とあきらめる。特設ステージ正面の一番撮影しやすいいい位置は、当然メディアの皆さんが占拠してるしね。

 しかし、結局ファン・チーウェイ范植偉、張榕容ことサンドリーナ・ピンナ、予告にはなかったけどちゃんと登場のケー・ジァヤン柯佳讌の3人のキャストがスタンバイし、眼鏡太めの男性司会者が登場してイベントが始まったのは、4時20分ぐらいでしたよ。ゴシップ雑誌や芸能情報サイトの画像で顔を覚えたジェットトーン澤東電影公司スタッフもここかしこにいて、今回の映画にかなり社運かかってるんだなと痛感。

 アトリウムの特設ステージの左右に液晶スクリーンが設けられ、予告編が流されています。ここに制服誘惑トニーが映し出されないかなあ、と勝手に期待。司会がざっと映画の概要について紹介し、いよいよキャスト3人の登場!
 ベージュのノースリーブワンピースに、ロングブーツもベージュのサンドリーナちゃん、やはりグレーのノースリーブブラウスに黒アームカバー、もとい黒長手袋、黒タイツに黒ショートブーツのケー・ジァヤンちゃん。ヒロイン2人、「香港亞州電影節」開幕のときよりもナチュラルな化粧、ナチュラルな服装で、好感度UPです。
 そして長袖Tシャツにマフラー、ブルージーンズのカジュアルスタイルもなかなか似合う、ファン・チーウェイ范植偉君。髪は劇中より伸びてる、安心した。チーウェイ君のファンらしき、前の方の女の子たちがわっと色めき立ちますよ。

 一通り司会が映画について聞きますが、3人とも北京語_| ̄|○……まあいいや、写真撮影、写真撮影。しかし3人ともnancixと逆の方向にいる司会を見て話すので、顔が写せない…反対方向に行ってみると、そこは香港女性ユニット「HotCha」のファンの巣窟だったのでした。
みゃお03hotchaファン

 「HotCha」ファンの女の子は中学生メインで、男子の数人が日本でいう高校生? 揃いの「Hotcha」というボードを持って、脚立まで用意して、応援活動スタンバイOK状態。ていうか、誰も3人のキャストなんて気に留めてないし。

 今回は「ケーキ大作戦」と銘打ってるので、西九龍中心側だかイベント請負プロダクションだかが、3つのケーキを用意。ゲスト席にいた2人の男子と、1組のカップルがホールケーキを持ってステージに上がり、キャストと一緒にケーキを見せつつ写真撮影ですよ。ファン・チーウェイ君へのプレゼンテーターがカップルで、女の子が美人なのはいいけど、彼氏がチーウェイ君より背が高いのはどうしたことだ。それも気にせず、3人ショットを撮らせてあげる、気のいいチーウェイ君なのであった。
 この大作戦に協力した皆さんには、特製Tシャツか布製エコバッグがプレゼントされたのでした。
みゃお04Tシャツ

 nancixが元の位置に戻ってほどなくすると、キャスト3人がいったん退場。いよいよ「HotCha」の3人の美女が登場です! ていうか、3人とも日本でなら渋谷のギャル系ショップの販売員してそうな、付けまつ毛を外すと(……誰?)といぶかりたくなるようなタイプだなあ。ホットパンツが似合うすんなりした足は、羨ましいの一言だけど。
hotcha01

 …あれ、そういえば昨日まで、ボーカルの子が肝炎か何かで入院してたんじゃなかったっけ? もう退院?

 司会と少し話して、いよいよ「[泪少][泪少]」主題歌の披露。映画を見たときはてっきりヒロインのどちらかが歌っているものだと思ったのに、実はHotChaが歌っていたんですかそうですか。ファンらは金切り声で合唱しますよ。もう歌詞を覚えているのね、偉いえらい。
 歌が終わると、再びキャスト3人もステージに。今度は特大生クリームケーキ台を、同じブドウ粒やチョコでデコレートする「ケーキデコレート競争」スタートですよ。HotChaチームはともかく、みゃおみゃおチームでファン・チーウェイ君が女子2人に負けないくらい頑張っていたのが印象的でした。…トニーさんじゃ、そもそもこんな競争には参加しないだろうなあ…。
みゃお02ステージ上

 競争の終わりかけに、チーウェイ君はアトリウムの吹き抜けの上の方を見上げて、小さく手を振る。口も「ねいほう」と動く。あああ、トニーと同じだ…トニーも、2階席や3階席の皆さんを気遣って、必ずグーパーと手を振ったり口だけ「ねいほう」と動かしたりするんだよねえ。きゃわいいあの仕草、ちゃんと後輩に受け継がれてます。チーウェイ君、「サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋/地下鐵」で共演したトニーを見習ったのか? 誰かに「ファンに気づいたら、こうしなさいよ!」と知恵付けられてるのか? とにかく、気のいい誠実なタイプだと見た。日本でも彼の人気が上昇するといいなあ。ていうか、今後は澤東としては、チャン・チェン張震君とチーウェイ君にどんどん売れてもらわないと困るでしょうねぇ…。稼ぎ頭のトニーさん、「レッドクリフ/赤壁」以後、10本以上の出演依頼を断るほどマイペースだし…。

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2008年11月03日

マギー・チョン、タラちゃんと組んでブラピと共演?

 うはっ、最近映画出演がすっかり減って、香港でも高級ブランド関連のパーティーに出席、西洋人の彼氏との仲は…なんてニュースしか見ないで寂しい思いをしていたマギー・チョン張曼玉ですが、
 シャベリタランティーノことクエンティン・タランティーノ監督の「Inglourious Basterds」(本来は“bastards”だけど、わざと綴りを変えているとか)に、フランスの映画館主のMadame Mimieux役で出演が決まったと、香港明報が2日に報じています。ホントかなぁ…? "南京大虐殺モノ"を断って、"ナチスドイツもの"に出演って…??

 第二次世界大戦中、ユダヤ人少女・ショシャンナ(メラニー・ロラン)が外出中に、ナチス・ドイツの鬼大佐によって彼女の家族が惨殺され、彼女は「キル・ビルヒトラー!」を誓って単身、パリへ逃れる。
 一方、ユダヤ系米国人特殊部隊「Inglourious Basterds」を率いるレイン中佐(ブラッド・ピット)は、44年のナチスドイツVS連合軍の激闘の最前線(ノルマンディー上陸作戦?)で大活躍。やがて、パリの映画館に勤めることになったショシャンナ。ヒトラーがプロデュースしたプロパガンダ映画のプレミア上映が、パリの映画館で行われることになり、レイン中佐ら「Inglourious Basterds」の面々、そしてダイアン・クルーガー扮する女スパイがそれぞれヒトラー暗殺計画を実行しようとする…そしてパリで、ショシャンナの運命とレイン中佐らの運命が交錯し……!

 「「Inglourious Basterds」」は、そういうような映画だったと記憶するんだけど、マギーがショシャンナの勤め先の、映画館主に? 当時のフランスで、華人女性が映画館経営することなんて、できたんだろうか?
 メラニー・ロランは25歳でフランスのセザール賞有望若手女優賞を受賞し「真夜中のピアニスト」(05)にも出演した、新進気鋭の女優。なんと2004年にシルヴィア・チャン張艾嘉主演の「ライス・ラプソディ 海南鶏飯」に、フランスからの交換留学生サビーヌ役で出演してます。

 「恋する惑星」で、ウォン・カーワイ王家衛監督の米国での紹介者役を務めたり「HERO 英雄」(02)を改悪したがるミラマックスと闘って?プレゼンしたり(単なる便乗商法…かえってカンフーオタク向けB級作品扱いされて、迷惑だったような…)したタラちゃんですが、元々カンフー女優にご執心で、マギー&アニタ・ムイ梅艷芳&ミシェール・キング楊紫瓊主演の「東方三侠 ワンダー・ガールズ」(92)を「CoooooooL!!!!」」と絶賛していたのを覚えています。「恋する惑星」ではトニーや金城武クンには目もくれず、フェイ・ウォン王菲ばかり褒め称えていましたっけ。(もっともタラちゃんがトニーに夢中になるのも、ちと怖いし大迷惑)。
 2004年の第57回カンヌ国際映画祭で、タラちゃんは審査委員長に、マギーは麻薬を絶とうとするシングルマザーを演じた「クリーン」(04)で見事、最優秀女優賞を獲得したのでした。当時、タラちゃんはマギーと知り合えて有頂天だったと記憶していますが(そして「2046」のトニーさんは…まあ、いいや)、英国で少女時代を過ごし、自立したキャリアウーマンのマギー姐さんはその後「いい脚本がなければ、映画に出る必要なんてないわ」と強気発言。それから何となく、4年の歳月が流れてしまったのでした…。
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2008年10月20日

オッサーンに萌える。「機動部隊−警例」再び

 皆さんが東京国際映画祭中国映画週間の開幕で、
 トニー・レオン梁朝偉や張震チャン・チェンやリン・チーリン林志玲やチェン・カイコー陳凱歌ら美男美女に萌えておられる間に、
 ワタクシは香港の典型的なオッサーーン2人に、萌えておりました。

林雪と羅永昌監督
 「香港亞州電影節」の「機動部隊−警例」上映の後に現れた、中年俳優のラム・シュー林雪と、ロー・ウェンチョン羅永昌監督です。
 元々は映画の道具スタッフ(それも雑用係、下働きからスタート)で、トニー・レオンやチャン・チェン主演の「サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋/地下鐵」で、ミリアム・ヨン楊千[女華]のよきパパを演じたラムちゃんですよ。
 「ザ・ミッション 非情の掟/鎗火)」「放・逐/放・逐」などの一連のジョニー・トー印作品出演は、いうまでもなく。
 20年以上、テレビ番組・映画作りに従事してきて、この「機動部隊−警例」では編劇(シナリオ)・編集も手がけた羅永昌監督は、こないだの上映の後でやっと思い出したけど「文雀」で俳優もこなし、ラムちゃんと共演しております。サイモン・ヤム任達華の○○仲間の1人の役。

 ラムちゃーーーん!

 とは、さすがに最前列では叫べなかった…_| ̄|○

 ほーら、全身どこを取ってもオッサーーーン丸出しなんだぜ。すごいだろー。
林雪と監督全身像
 広東語の男先生が、腹の出た人を、男でも「子供がこの中に2人いるとか冗談で言う」と教えてくれましたが、林雪オッサーン、臨月をお迎えの様子で…それも3つ子か?(^_^;)
 これでもトニー・レオンより2歳下だ! 参ったか!

 でも二人ともおニューのスニーカーだった。ラムちゃんの白Tシャツ、新調したのか一点の染みもない、キレイなTシャツだった。オッサーーンなりに、人前に出るので気を使ったとみえた。

林雪01
 ラムちゃんのトレードマークのアゴの立体ほくろからは、1本の長い白毛と何本かの黒毛が伸びておりました。
 ……幸せぼくろ?

 羅監督は、あのジョニー・トー杜[王其]峰とーさんの下について、あの中国星の映画を撮っていたとはちょっと思えないほど、温厚な感じで声も穏やかな方でした。

 観客席は、カップルもいたけどむしろ男子率多め。映画祭主催者のちっさいおじさんの司会進行のもと、活発に質問が出ましたが、

 ……キミたちが「PTU」もこの映画も、出演者がダイスキなこともよくわかった、わかったよ。解ったからもっと簡潔な質問をしてくれないか。
 質問なのか、説明なのか、思いの丈をぶちまけて訳ワカメになっているのか(←経験者)、広東語初心者にはわからんけど長いのよ! スピーチが!
 「些細な質問が一つあります」とか何とか前置きしてながら、てめー2つも質問してるじゃねーかと司会者も突っ込み入れてたし。
林雪02しかめ面
 何を質問者が聞きたいのかわからないので、だんだんしかめ面になってくるラムちゃん。

 ……このまんま、戦神役や、老武将役に起用したい。 >>続きを読む
posted by nancix at 19:33| Comment(1) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月18日

中国のシェ・チン謝普監督、今朝逝去

 さっき香港TVBのニュース番組にチャンネルを合わせて、初めて知りました。中国の有名映画監督、シェ・チン謝普監督が今朝亡くなったそうです。1923年生まれとのことですから、84歳か85歳でしょうか?

 浙江省上虞市の、母校である春暉中学の100周年記念式典に参加し、当地のホテルに宿泊中、今朝7時40分ごろにホテルの従業員が、謝普監督が呼吸停止の状態なのを発見したとのことです。ベッドで就寝中に亡くなったのでしょうか…?

 謝普監督といえば中国第3世代に数えられ「芙蓉鎮」(84)、「最後の貴族」(89)、中国残留孤児を取り入れた「乳泉村の子/清涼寺鐘聲」(91)などで日本でも有名でしたね。生涯で34作の映画を撮り、東京国際映画祭の審査員を務められたこともあるそうで、国内外で大御所という扱いでした。

 同じく映画監督への道を歩き、ジョウ・シュン周迅の出演作「女兒紅」(95)を撮った長男も、今年8月23日午後に肺がんで、59歳の若さで亡くなっていたそうで…。後を追うように、とでも表現していいのでしょうか…。謝普には3人の息子と1人の娘がいて、長男以外の息子は先天性の知的障害があるそうで、長男の葬儀で悲嘆のあまり、謝夫人の徐大[雨/文]が昏倒。心臓発作と診断され、一時はICUに収容され、手術を受けたそうです。夫人が入院中、謝普監督は毎朝ICUを訪れ、ガラスを叩き続け、その姿は多くの人が「見るに忍びない」と同情するものだった、そうです。

 今日の香港のテレビニュースでは「香港の中国回帰にちなんで、『阿片戦争/鴉片戰爭』を製作し、香港人の歴史認識を変えようとした」監督だ、と紹介されていました。

 中国第5世代のチェン・カイコー陳凱歌、チャン・イーモウ張藝謀、ティエン・チュァンチュァン(田壮壮)、ホアン・チェンシン黄建新にとっては、乗り越えるべきとても高く険しい壁、のような存在でした。
 nancixのようなミーハー香港映画ファンにとっては「中国映画祭って、謝普監督作品みたいに教訓的な正攻法の映画ばっかりだから、つまんなーい」としらける対象でした…すびばせん…。

 生前、数々の賞に輝いた謝普監督は、常々こう語っておられたそうです。
 「経歴においてこんなに多くの風雨を経験したので、私はいま、受賞を気に掛けてはいない、私の作品が後世にまで残るかどうかを気に掛ける。なぜなら、最後に映画を審判するのは歴史、時間、人民なのだから」
 ……確かに、作品は不朽の名作として名を残してもその作品の監督は忘れ去られていることも、逆に監督の名声は轟いていても、代表作以外は歴史の闇に埋没することも、ありがち…。
 でもきっと、シェ・チン監督の名前が忘れられることはありえないし、作品も中国映画史を研究する者にとっては、決して避けては通れない「峠」になることと思います。

 ご冥福を祈るとともに、未亡人となられた夫人と遺児が、どうか悲嘆に沈むだけでなく、強く生きていってほしいと望むばかりです…。
posted by nancix at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月17日

ナマ林雪、ナマイーキン鄭伊健に会える、予定。

 迷惑コメントを阻止しようとして、なぜか自分のコメントまで書き込めないようにしてしまったおバカなnancixです。おかしーなー…どこで解除すればいいんだろぉ??

 一つひとつのコメントにお返事できませんが、こんな気ままなニンゲンにコメントを寄せていただいたことにしみじみ感謝しております。
 トニー・レオンがせっかく晴れてメジャー中のメジャーなVIP映画俳優として東京国際映画祭開幕を飾るというのに、夢に見まくっていたあーんなテレビ番組やこーんな番組に出演が決まったというのに(でも金城君の背後に隠れようとしそうで、絶えず金城君側に小首をかしげていそうで、愛嬌と甘えだと看てとれない皆さんにそういう関係かと疑われるのではないかととっても心配)、それをリアルタイムに目撃できないのはひとえに自分がバカで偏屈だからですが、どうせ東京に飛んでも1映画ファンなんかなーーーーんにも役に立たないのは解ってるので、いいのだ。適度な距離を置いて、"レッドクリフ狂想曲"を、高みの見物するのだ。

 昨日は口試=オーラルテストと友人との会食、今日は何にもない日なので、本日の記事は、とりとめもない雑記です。

「追憶の切符/車票」
 油麻地の百老匯電影中心の館前にはもう「車票」のポスターやスチールが貼られていて、2008年10月6日付の「信報副刊」の記事も貼り出されていたのだった。
 鄭天儀によるその記事によると、いまラブリージェイコブは4人の子持ち。長女はカナダ・バンクーバーの大学2年生。息子の3つ子は、もう13歳になったとのこと。そうか、かつて九龍塘にあったUFO電影人製作公司を某映画関係者と表敬訪問した時に「僕の子供。カナダで生まれたばかりなんだ」と誇らしげに副刊(新聞社が発行するグラフマガジン)表紙を見せてくれて、「映画監督の妻と3つ子も表紙になるんだー!」とビックリしたのは、もう13年も前のことか…。

 実は、ジェイコブさんの生母は抑鬱症のために、乳幼児期の彼と隔離されていたそうなんである。産後鬱だったのか、元々発病していたのに出産を迎えたのか…? 継母とはずっといい関係だったが、生母の死後、少しずつ疎遠に。ジェイコブさんは結婚し自分の子供が生まれてみて初めて、自然に親の真の愛を悟れたそうである。その後は、継母との関係を修復できたそうなんであるが。
 「追憶の切符/車票」では、チン・シュウホウ銭小豪らが演じる林夫妻が生まれる前からわが子に重度の心臓病があると知って苦悩するわけだが、ジェイコブさんも妻が三つ子を妊娠した時に、夫婦とも大きなプレッシャーにさらされたという。流産・死産・大量出血の可能性、母体に後遺症が残る可能性…いろいろ考えたんだろうね。
 「当時、私は瀋陽で映画撮影中で、バンクーバーの病院で妻に付き添えなかった」とジェイコブさんは悔やむのである。妻の出産の知らせを待っている間に読んだのが、前作「墨攻」コミック版だった。でもジェイコブさんにはすぐにこの秀逸なコミックを映画化する力がなかったというのである。
 「もしも私がチェン・カイコー陳凱歌やピーター・チャン陳可辛なら、当然さらに多くの撮影資金、あるいは有名な俳優を起用できただろう」とジェイコブさんは述懐するのだ。…ええっ…アンディ・ラウ劉徳華、ニッキー・ウー呉奇隆だけでも充分、豪華キャストでしたが…?

 「追憶の切符/車票」のヒロインとして当初想定していたのは、台湾出身、カムバックを遂げたチャーリー・ヨン楊采[女尼]だったとジェイコブさんは明かす。本人は乗り気だったが、チャーリーのマネージャーに一言ではねつけられたと。……長期ロケは儲からないから、かなぁ…_| ̄|○ 結局、元新体操選手というだけで集客力は危ういズォ・シャオチン左小青を起用する冒険を冒すことになったのだ。
 雲南省の片田舎で生涯を布教と孤児育成に捧げた老修道女役も、多くの女優の興味は引いたものの、ロケの大変さと老け役への抵抗感から辞退が相次ぎ、ようやくイップ・トン葉童が引き受けてくれることになったんだそうで。

 ジェイコブさんらが香港発の良心的な小品佳作を連作で!と企画し、レスリー・チョンがかつて1ドルで出演を引き受けた「流星語」は、興収としては惨憺たる成績に終わったそうで、その後に続くはずだった企画はポシャっちゃいました…。「今の映画界は、Aセットにアンディ・ラウ劉徳華を主演にしてトニー・レオン梁朝偉を共演させる、Bセットにはトニーにアンディ、金城武も加える。そんな発想しか出来ないんだ。基本的にマーケットは豪華キャストを揃えた大作しか受け入れない。小資本の独立系作品はたったの1文字『悶!』(退屈?)で片付けられるんだよ」と、ジェイコブさん、公開前からもう悲観的になられてます……。

 うーん、ジェイコブさんのような良心的で「うちの子に見せたくなるような作品を作りたい」と望む映画人も、映画界には必要なんである。…若い観客にはいささか鼻につくような良識、親子愛、無償の愛、自己犠牲を正攻法で描いて、すごい興行収入が得られるとは、確かにnancixにも思えないけど…。
 「追憶の切符/車票」を日本のミニシアター系でも公開してもらって、少しでも資金回収できて次作が早く作れるように、1ファンに過ぎないnancixとしては祈るしかないのである。あっそれからジェイコブさんはイマドキの若者ともどんどんディスカッションして、有望な若者がいれば脚本作りに加えて、どういう正攻法だと避けられるか、どういうふうにひねったら「悶!」と言われずに受け入れられるか、「ひねり」を学んだ方がいいかもよ。
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posted by nancix at 23:30| Comment(2) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月12日

慈しみ深き 友なるイエスは〜「車票」

 ♪慈しみ深〜き〜友なるイエスは〜〜罪、咎、憂いを〜取り去りたもう〜〜

 ……そこから先がどうしても思い出せない、日曜学校を「天国ってアニメも映画も見られなくて、退屈そうだから」という理由で行かなくなった、罪深きnancixです。ども。
 今は自称仏教徒。小乗仏教じゃなくて、善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや、信じる者は極楽へ行けるの大乗仏教。(解釈がかなり間違ってる)

 「香港亞州電影節」、本日の2本目は、世界初上映、ラブリージェイコブこと張之亮監督最新作の「車票」です。
 世界初上映だけど、「香港亞州電影節」の開幕作品ではないので、舞台挨拶や監督ティーチインは無しです。
 ていうか、ホントに香港の映画館は、ギリギリまで入場させてくれないのね…。21:50からの上映のはずで、15分前に待機してたのに、入れてくれたのは21:52、上映開始は21:56だった…_| ̄|○

 …香港人なのに、なぜにジェイコブなんてユダヤ系の名前?と疑問を下さった方が過去におられましたが、もしかしたらジェイコブさん、敬虔なクリスチャン? 洗礼名なの? 聖書にちょくちょく出てくる名前、ヤコブの英語読みが、ジェイコブでしたよね?

 さて、タイトルはシンプルなゴシック体白抜きで、スクリーンに現れます。
 物語は、雲南省のチベット族?の村で始まります。

 雪の積もった山々、あでやかな寺院らしき建物。

 そして、舞台はいきなり、大都会(多分、北京)へ。

 嬰児の先天性心臓病の治療法について、専門医にインタビューする長髪美人は、テレビ局レポーターの曾雨桐(ズオ・シャオチン左小青)。彼女はいま、臨月を迎えたものの、胎児に先天性の心臓疾患があると診断されている林夫妻を取材しているところなのです。
 専門医は「産むも産まないも、両親の決めること。我々には決定権はありません」と質問の矛先をかわします。
 妻をかばう夫の林さんは、おっ、「ラスト・コーション/色、戒」で易先生の香港時代の部下を憎々しく演じたチン・カーロッ銭嘉樂の実兄、チン・シュウホウ銭小豪ではありませんか! 10代からスタントマンの世界に飛び込み、アクション指導者としても活躍した彼をこういう作品に起用するとは、さすがラブリー・ジェイコブ。

 曾雨桐らの取材チームが今までに収録した映像をチェックした女上司は「"母の愛"を番組のテーマにしながら、肝心の林夫人へのインタビューはないの?」と、雨桐に問いかけます。まさに図星を突かれたかたちの雨桐。実は、彼女には"親の無償の愛"を、おいそれとは信じられない理由があったのでした…。

 舞台はさらに変わり、外国人上司に向かって新不動産開発計画をVAIOのノートパソコンを駆使してプレゼンする青年、志軒(「墨攻」に続いて起用された監督のお気に入り?ニッキー・ウー呉奇隆)へ。若いIT族好みの高級マンション群に、中国当局の「児童が幸福に成長できる計画」に沿った要素を盛り込んだ都市開発のプランです。彼はめでたく上司の承諾を得て、計画を実行できることになりました。
 会議の後、かかって来た1本の電話に、顔色を変える志軒。

 一方、呉雨桐が追いかけている取材対象、林夫人はいよいよ出産を迎えます。陣痛をこらえながら、夫に付き添われ分娩室に向かう彼女に「一言でいいからコメントを!」と追いすがる雨桐。そりゃあんまりだ。
 林先生はやはり妻をかばい、インタビューを阻止します。
 分娩室で苦しむ林夫人、ついに帝王切開に踏み切る女医。やっと産声を上げた我が子を、しかし林夫人は抱くこともできないまま、嬰児は大動脈に問題があると診断され、第一回目の心臓手術を受けることに。生まれたての赤子に、容赦なくメスが…。

 徹夜で林一家を追う取材チームメンバーに、病院の売店で差し入れを買う雨桐。彼女はふと思いついたように電動歯ブラシも買います。エレベーターホールで彼女にぶつかり、ドリンクなどを拾ってやった中年男は、後に彼女に関わることになる、タクシー運転手でした…。
 待ち合い室に戻ってみると、林さんが彼女に決然と宣言します。そっとカメラを向け、録画を始める、テレビ局カメラマン(プロだねえ)。「質問があるなら、いまここで、俺に質問してくれ。興味本位の取材で妻を傷つけないでくれ!」と。たじろぎながらも「なぜあなた方は、心臓疾患がある、生まれた後も何度も手術を受けて病と闘い続けることになると解っていながら、最初に『産む』という決断を下したのですか?」と尋ねる雨桐。それを受けての夫の答えを、車椅子に乗った林夫人も確かに耳にしていました。「私の答えも、夫と同じです」ときっぱりと言い放つ林夫人。雨桐はそれ以上の追及はせず「お子さんが早くおうちに帰れるように、一緒に祈らせてください」とだけ告げます。「あなた方にお願いしたいの、私たちには子供の名前を考える余裕がなくて…」と、涙をこらえつつ、雨桐を見つめる、林夫人でした。

 さて、小児科?では、タクシー運転手と、六[女乃][女乃]と呼ばれる老女が並んで、医師の苦言を受けていました。他人事とばかりにルービックキューブに熱中している幼い息子。医師が「この種の知能障害を持った子供には」と言いかけると、老女がムキになって否定します。「知能障害じゃないわ、高機能自閉症なだけよ!」…どうやら、他人と意思疎通が難しい運転手の息子は、家じゅうのビタミン剤や薬を全部飲み込んでしまったようなのです。1日入院して、副作用が出ないか様子を見ることになったのでした。

 雨桐は、あの青年、志軒からの電話で、ある人が脳溢血だと診断されたことを知ってショックを受けます。翌朝、病院から急いで空港に行こうとタクシーに乗り込む雨桐…ところが助手席には、運転手の息子・丁丁が乗っていたのでした。いったん下りた雨桐でしたが、運転手の「面倒を看てくれる人がいない」という説明を聞いて、やむなくタクシーに乗り込みます。子育てとは本当に大変なことなのだ、と実感しながら…。

 病室でもノートパソコンを使っている、仕事中毒の志軒。雨桐の到着にほっとした顔になります。
 脳溢血で倒れたのは、雨桐の育ての親ともいえるシスター(イップ・トン葉童…ミョーに顔が赤黒いのは、メイク??)でした。彼女はもう30年もチベット族の村に住みつき、教会を立てて、少数民族の皆さんを教化してきたのです…。目覚めたシスターに、北京で精密検査を受けるように勧める志軒でした。
 雨桐はシスターに、あの病院の売店で買った電動歯ブラシをプレゼントします。「まあ、こんなものを発案した人はきっと、怠け者に違いないわ」と微笑むシスター。
 回復したシスターは、雨桐に「あなたに話さなければならないことがあるの」と言い出します。
 教会に変じた寺院の門の前に捨てられていた生後1ヶ月前後の赤ん坊、それが雨桐でした。藍染めの布にくるまれた捨て子を、いったんは公安に委ねるシスターでしたが、「福利院」から正式な手続きを経て赤ん坊を引き取ります。シスターは、捨て子の雨桐をくるんでいた藍染めの布、衣服、そして2枚の車票=電車のチケットを雨桐に差し出します。「この車票は、玉台から松元まで、そして松元からここ、雪城行きのものよ。この2枚のチケットは、あなたの親にたどり着く手がかりだわ。…今まで、若いあなたに挫折感や(精神的)打撃を与えるのが怖くて、言えずに来たのです」。
 
 シスターは精密検査を受けるために北京に向かい、雨桐は幼馴染の志軒と地元の若者らと一緒に、教会の屋根修理や手入れに汗を流す。祖母に箒でぶたれそうになって、あわてて屋根上に逃げる志軒。笑いながら彼らを見つめていた雨桐に、1本の電話がかかってくる(ていうか、どこでも中国ケータイって繋がるのね…すごい…)。屋根の上で、泣き出す雨桐。

 北京で、シスターが二度目の脳溢血を起こし、帰らぬ人となったのだった…。

 シスターの簡素な葬儀を終え「全てが夢の中の出来事みたいだわ」と志軒に話す雨桐。「僕もそうだった、僕は夢の中で両親を亡くした」とぽつんと告げる、志軒。
 彼女はシスターの言葉を思い出す。「貧窮を極めた夫婦が、遠く離れた村に子供を捨てに行くの。でも聡明な子供は、夜目にも見える白い小石を点々と、道に置いて行った。傷心の夫婦は、白い小石を頼りに走って戻ってきた子供に喜び、二度と子供を手放そうとしなかったそうよ。…この車票は、あなたが実の両親に会うための手がかりであり、手がかりとなる"白い小石"なのよ」と、かつて語ったシスター…。

 志軒もまた、4歳の時に両親を失った子供でした。彼の両親は車で帰省し、彼の祖母の誕生日を祝おうとして、途中で事故に遭ったのです。母親は彼を抱きしめ、かばいながら死んで行きました。祖母の誕生日は両親の命日でもあり…その切ない日を、志軒は雨桐の実の親探しに協力することでやり過ごそうとするのです。しかし、雨桐は自分の出生の秘密、両親が自分を捨てた理由を知るのが怖い、自分はシスターの子供というだけで充分だと、ためらう気持ちを捨て切れません。
 2人は雲南省の玉台に向かい、現地の役所の戸籍課で1983年1月〜2月に子供の出生届を出した家族探しを依頼します。職員は検索期間を前後2ヶ月加えろ、死亡届も調べろとアドバイス。調査結果は翌日、雨桐に知らされました。対象となるのは、3家族に絞られます。
 民宿の主人が車を貸してくれることになり、2人は運転手兼現地ガイドの男に会います。……って、"活地図"と呼んでくれと調子よく話す彼は、台湾・香港でひところ大活躍したウー・マ午馬オジサンじゃないかー! お元気そうで何よりです…。

 TOYOTAのランドクルーザーで3人が最初に向かった村には、小さな小さな棚田がどこまでも広がっていました。調査候補の両親が揃って現れますが、彼らの赤ん坊は生後3ヶ月にもならないうちに高熱を発して死んだと語ります。医者に診せるには、丸一日以上かかる、間に合わないからとうとう診せなかったとも…それは、農村で暮らす彼らにとっての、厳しい現実でした。
 波しぶきを上げて流れる雪解け水の濁流を見つめながら、雨桐はどうしようもなくこみ上げる怒りを、志軒にぶつけます。「あきらめるかどうかは君が決めろ。今夜は宿に戻ろう」と静かに諭す志軒。
 翌日、3人は木という姓の一家を探して、さらに奥地へと向かいます。目隠しをされ、牛遣いの少年に追い立てられて、ぬかるみをぐるぐる歩き続ける牛の姿に、雨桐は胸を詰まらせます。「あの牛はいつまで、あんなふうに働き続けるの?」 雨桐の問いに、志軒もまた厳粛な表情になります。「…一生だ」。
 "活地図"は、木松という男を知っているという村人を見つけます。村人は、木松は数年前に死んだ、今は山の上の一軒家に妻が住んでいるだけだと3人に告げます。彼らはその家に向かいます。激しい川の流れを渡るには、ロープ1本に金具で自分の身体を縛り付けて、渡し役の少年の指示で渡るしかありません。志軒は独りで、雨桐は少年と2人で、川を渡りました。
 崖っぷちの細い道をたどり、原始的な水車を備えた小屋を過ぎ、2人はようやく、村長に会うことができました。村長は証言します。「木松と妻の間には息子がいたが、12歳のときに酔った木松の暴力のせいで負った傷が悪化して死んだ。その後、妻が生後1ヶ月の娘を抱いているのを確かに見たが、その後その娘を見たことはない」と。
 村長の許可を得て、2人は木松の家に入ります。飾られた家族写真では、粗野な男と並んだ女性、間に赤ん坊が写っていました。しかし女性の顔の部分がガラスに貼り付き、雨桐が剥がそうとすると破れて彼女の顔かたちがわからなくなってしまいます。
 志軒は、扉の上で変色した布のきれっぱしが、赤ん坊の時の雨桐をくるんでいた藍染めの布と同じかもしれないと気がつきます。未亡人になった木松の妻は、近くの小学校で下働きや、臨時教師をしているはずだと村長に教わった2人は、小学校に向かうのでした。
 帰りにまた川を渡ろうとして、雨桐には一つの記憶が呼び起こされます。幼い自分を抱いて、このロープで確かに、誰かが川を渡ったはずだ…彼女は藍染めの布を入れた自分のデイバッグを抱えて、手助け無しで渡ってみようとしますが、それは女の身では大変な作業でした。

 木松の妻…彼女が自分の母親だとして、何を話せばいいのか、何をどうすればいいのか、雨桐の心はまた、激しく揺れ動きます…。

 そして山あいの小学校で、彼女たちが知ったのは、あまりにも切ない母心だったのでした……。
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ダメ男と病弱女「尋找幸福的日子」

 「香港亞州電影節」で、唯一選んだ韓国映画。日本では「ハピネス」として上映されたんですかね。

 日本の「韓流シネマ・フェスティバル」にニューヨークアジア映画祭、上海国際映画祭にも参加したホ・ジノ許秦豪監督の新作は、いまどき堀辰雄の「風立ちぬ」「菜穂子」かいっと思わず呟くような、メロドラマだった。
 ……ま、ペ・ヨンジュン主演「外出」の後の作品だしなあ。

 アコースティックギターの調べがゆるやかにはじけ、物語は幕を開ける。
 片手で運転しながら、タバコを吸う、いかにもの遊び人風男。
 (吸殻を路上に投げ捨てるなぁぁぁ!)

 ソウルの、夜。

 酒とタバコと女とクラブ。

 吐くまで飲んでも、憂さは晴れない。

 絵に描いたような自堕落生活を、清算しようとしている男がいた。彼・ヨンス永沫は腐れ縁を続けて来た女・スヨン秀妍(コン・ヒョジン)に「私たちのゲームの終わり」を宣告され、仕事のパートナーに事業を託し、久々に母親を訪ね、膝枕してもらいながら「何年か外国に行く」と嘘をつく。

 そしてヨンス永沫が一人向かったのは、寒村の自然療法サナトリウム。禁酒禁煙、有機農法で作った野菜や山菜がメインの食事、朝の体操、笑いの訓練、農場で野菜作りの実習、規則正しい生活…。

 そこで彼は「肝硬化」(日本で言う肝硬変?)と呼ばれ、スタッフの目を盗んで患者仲間とインスタントラーメンを食べ、真露(韓国焼酎ですね)を飲むなど、以前の悪しき生活習慣を捨てきれないでいた。

 サナトリウムには、半ばスタッフ化した若い女・ウンヒ思熙がいた。8年も入所しているという彼女は、当初、自堕落なヨンス永沫を嫌悪し、避けようとする。
 ヨンス永沫のルームメイトは、肺ガンだと言いつつ禁煙できないでいる中年男だった。彼の高イビキに悩まされる永沫だったが、中年男は病院の定期検査で悪化を告げられ、悲鳴のように怒鳴りまくる。それでも野原で、永沫にタバコをせがむ男。「俺はどうして、タバコを吸いたいんだろうなあ…」と呟きながら。
 そして、ある日、永沫が部屋に戻ってみると、きれいに整理された中年男の荷物と、走り書きのメモが…「俺は死にたくない、生きたい…俺のプレイヤーをあんたにあげるよ」。バスルームを開けると、中年男はそこで首を吊っていた…。

 ショックを受け、落ち込む永沫に、ウンヒがそっと寄り添う。彼女の肺は4割しか機能せず、走り続けるだけでダメージを受け、死ぬかもしれない体なのだった。

 いつしか彼女に心惹かれる永沫。やがて二人は結ばれ、その関係はすぐに他の患者たちの知るところとなる。

 サナトリウムの主宰者で、身寄りのない彼女の親代わりでもある初老の女に、ウンヒは今後どうするつもりか問い詰められる。「ここを出て、二人で暮らしましょう。結婚する必要は無いわ、でも私はあなたの病状の好転を助けられる。もしも合わないと思えば、別れればいいし」…ウンヒにせがまれてうろたえを隠せない永沫だが、やがて野原で摘んだ花をウンヒに捧げ「一緒に住もう」と告げる。喜色満面で彼に抱きつくウンヒ。
 「私が死ぬ時は、あなたが傍にいてね」「じゃあ俺が死ぬ時も、おまえが傍にいてくれないと。約束してくれ、俺を一人ぼっちにしないと」…野原で語り合う二人。

 空いた農家を借り、二人のままごとのような暮らしが始まった。おそろいのパジャマ、おそろいのパッチワークの枕カバー。起きたら青汁を飲み、一緒に薬を飲み、一緒に朝の体操をし、農作業で汗を流し、菜園で作った野菜を食べ、やぎを飼い…。病院の定期検査では、2人とも病状が好転していると告げられる。喜ぶ2人。
 秋のある日、ソウルから、永沫の事業パートナーとかつての愛人・スヨン秀妍が車に同乗して尋ねてきた。何も知らず、ただ彼らが永沫の友人だからと精一杯歓待するウンヒ。だが見送りに出た永沫に、スヨン秀妍は「あんたは、ここにはそぐわない」と言い放ち、事業パートナーも、事業の一部を永沫に引き受けてほしいから、一度ソウルに出てくるように彼に勧める。
 「母親に会ってくる」と嘘をついて、ソウルに向かう永沫。ウンヒは手作りの干し柿を彼に持たせた。だが永沫は母には会わず電話で済ませ、秀妍のフラットに転がり込み、セックスにふけり、何日も戻らない…。不安な思いで待ち続けるウンヒ。

 やっと長距離バスで戻ってきた永沫。だが、都会の暮らしを思い出した永沫には、もはや田舎暮らしが退屈に思えてしかたがない。
 ある日、ウンヒは独りでサナトリウムを訪れ、主宰者に「私、ここに戻ってもいいかしら」とぽつんと呟く。「冗談でもそんなことを言うもんじゃないわ」と諌める主宰者。

 バスで戻ったウンヒを、バス停で泥酔して迎えた永沫。彼は帰宅するや、酒の勢いを借りて「ソウルに女がいる。ここの暮らしは俺には退屈すぎる。頼むから別れてくれ」と言い放って寝入ってしまう…あまりの勝手な言い草に、「私を捨てないで、傍にいてよ」と永沫にすがり、号泣するウンヒだった…。
 やがて彼女は泣きながら、小道を全速力で走り抜ける…だが、道に倒れはしても、死ねなかった…。

 二人だけの生活は、1年も保たなかった…。
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2008年10月11日

胸キュンの青春映画、また台湾から登場!「[泪少][泪少]」

 本日から、いよいよ開幕の「香港亞州電影節」。

 開幕作品を観に、勇んで中環へ飛んで行く。…っていうか、中環駅というより香港駅なのね、PALACE IFCって…。
 国際金融中心商場ということで、(又一城フェスティバルウォークと違ってご飯食べるところが無いかもぉぉ)と心配しながら空腹で駆けつけたのだが、大丈夫。ちゃんと美心マキシム系のファミリーレストランもどきが、近くで営業してました。日本の某映画祭会場とは大違いだぁ。

 テレビドラマやCMから続々とティーンズアイドルが登場する台湾では、何年かに1度は青春映画の傑作が登場して、本当に羨ましく感じたりする香港映画ファンである。こないだ東京で見た「言えない秘密」だって、西洋楽器であるはずのピアノの調べが見事にフィットした、甘酸っぱくも切ない傑作だったしね。

 どうも香港では、ティーンズのうちにデビューして八面六臂の活躍をするというわけにはなかなかいかないらしく、テレビドラマで育てられ、人気が出てやっと映画に進出できる頃には、みんな20代半ばだったりするんだよねえ。
 そして、あの王家衛率いる澤東電影製作公司ジェットトーン・プロダクションからは、トニー・レオン梁朝偉やチャン・チェン張震が活躍する国際的大作?だけでなく、実は少女マンガちっく小品佳作がいくつか誕生してもいるんである。トニー・レオンが年甲斐もなく?嘘に嘘を重ねる調子のいい結婚相談所所長を、チャン・チェン張震が失恋に傷ついた少女の心を、自分の失恋にダブらせて包容力たっぷりに癒す青年を演じた「サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋/地下鐵」もしかり。

 今回は、「ロアン・リンユィ」「長恨歌」のスタンリー・クァン關錦鵬監督と、ジェットトーンの実質的ボスでありトニー・レオンのマネージメントも担当するベテラン映画人、ジャッキー・パン彭綺華さんがプロデュースして、台湾ドラマ界からデビューした俊英監督のチェン・シャオツェー程孝澤をがっちりサポートする映画「[泪少][泪少](みゃおみゃお)」が、あの「ブエノスアイレス/春光乍洩」を送り出した春光映画Block2プロダクション製作のブランドで登場だ!
 撮影は大ベテランのクァン・プンリョン關本良、編集はウィリアム・チャン張叔平だぞ。確かストーリー構成監修は「藍宇LAN YU〜情熱の嵐〜」の脚本も担当していたジミー・ンガイ魏紹恩だ(スタンリーさんの人脈繋がり?だった)、どーだまいったかっっ。

 台湾の高校生、シャオアイ小[王愛](サンドリーナ・ピンナ)は、熱帯魚飼育?に熱中する父親と二人暮らし。鈴木杏か鈴木蘭々かはたまた吉川ひなのか?というほど西洋人っぽい顔立ちだ。反抗期を迎えた彼女は、朝食の席でも父親とろくに口もきかない。遅刻して慌てふためき学校に到着したが、目ざとい女教師に見つかって叱られ、教室の後ろに立たされた。
 そこでやっと気がついたのが、ちょっと陰りのある美少女の転校生、タイスー・シーミャオ戴思詩[泪少](ケー・ジァヤン柯佳讌)。彼女は日本から、交換留学生としてやって来たのだ。
 小[王愛]は物静かな彼女に興味津々、詩[泪少]が通学中に駅のホームで男子生徒に絡まれ、困惑して小[王愛]にすがったことから、2人は親しくなる。小[王愛]は彼女を[泪少][泪少](みゃおみゃお)と呼び、家庭科の授業で彼女のケーキ作りの腕前を知って放課後の製菓クラブ?に誘い、他の同級生と4人で、ケーキコンテスト出場を目指すのだった。
 屋上で「マンガで読んだんだけど、"太陽の手"っていうのがあって、とても温かくて、その手で作ったお菓子はとっても美味しくなるんだって」と[泪少][泪少]に話す小[王愛]。[泪少][泪少]は「マンガでしょ」と一笑に付すが、「私のパパはいつも水槽に手を入れるせいか、手がとっても冷たいの。…あなたの手はとっても温かくて気持ちいい、きっと"太陽の手"なのよ!」と無邪気に信じる小[王愛]なのだった。
 
 [泪少][泪少](みゃおみゃお)には夜、定期的に電話がかかってくる。雅子と[泪少][泪少](みゃおみゃお)を呼び、日本語で「今日、あの人に会ったわ…私を思って夜も眠れないんだって…」と話し続けるその女性は…?

 [泪少][泪少]は小[王愛]に、自分は台北生まれだが子供の頃に家族揃って日本に移民したと打ち明ける。彼女の交換留学には、実は自分が生まれ育った家、永記ケーキショップを探し出すという目的もあったのだ。小[王愛]は略図を書いてやる。地図と略図を元に、ようやくケーキショップがあった場所にたどり着いた[泪少][泪少]だが、そこは流行らない中古CDショップになっていた。しかも、店長はいつもヘッドフォンをかけたまま、ろくに口を利かない変人青年(ファン・チーウェイ范植偉)…。店内に流れていた日本語の懐メロ(♪窓辺に咲いた クルクスの花よ〜というような歌詞なんですが。何の歌?)が、祖母の愛唱歌だったと気づいた[泪少][泪少]は彼のことが気になり出す。小[王愛]も"憂鬱老閣"と店長を呼びながら、[泪少][泪少]に手を貸す。店長の読みかけの英文ペーパーバック(ジャック・ケルアックの「オン・ザ・ロード」)のサインから、彼の名前は「陳飛」だと突き止めたのも、小[王愛]だった。
 憂鬱老閣こと陳飛は、インターネットも駆使して1枚のCD「Get Together」を探している。それはデモ盤で、一般には出回ってないはずのCDだったが、ネット上のラジオ局(ポッドキャスト?)でその曲が流されたのを偶然耳にしたのだ。他の中古CDショップの店長に会ったり、「黒武士」というハンドルネームを使っている謎のバイカーと会ったりして、ようやくケースとジャケットだけは見つけ出すが、中身がまだ見つからない。そのCD「get together」は、彼の辛い記憶に密接に関わり合うものだった…。

 [泪少][泪少]は放課後、小[王愛]の自宅に招かれる。すると不在なはずの父親が、娘を待っていた。その日が小[王愛]の誕生日だったのだ。父親がせっかく用意していた誕生日ケーキも「要らない」とすねる小[王愛]だが、[泪少][泪少]が懸命に父と娘の間を取り持つ。
 ケーキを食べた後、自室で「私はママを知らないの。フランス人だったのかも。私が小学6年の時に、帰宅してみるとパパが女を連れ込んでいた。それ以来、私はパパが大嫌い!」と打ち明ける小[王愛]。

 憂鬱老閣・陳飛に「いつもヘッドフォンを掛けているのはなぜ? 何を聞いているの?」と尋ねる [泪少][泪少]。「音楽を聴きたくないから掛けている」とぶっきらぼうに答える陳飛。ヘッドフォンを貸してもらい「本当ね、自分の心臓の音が聞こえるだけだわ」と納得する[泪少][泪少]。
 ある日、中古CDショップに尋ねて来たのは、陳飛の昔のバンド仲間。メガネ、デブ、アゴヒゲの3人は「いつまで小貝が死んだあの日に留まっているつもりだよ?」と陳飛をなじり、彼らのバンド「インディゴ」への復帰を勧める。だが、かたくなに心を閉ざしたままの陳飛…。

 陳飛の名前でネット検索し、あの黒武士や、やたらにハグを求める奇妙な中古CD店の主人までたどり着いた[泪少][泪少]と小[王愛]。彼らから、陳飛がかつては有名なギタープレイヤーだったこと、彼がいたバンド「インディゴ」が、1枚だけデモ盤「Get Together」を出して解散したことを知る。ロックライブのチケットを2枚買った[泪少][泪少]は、小[王愛]に「このチケットを陳飛に渡してほしい」と頼む。「2枚だけ?(私の分は?)」と不満げな小[王愛]…もはやこれは、2人で憂鬱老閣の正体を探索するゲームではなく、[泪少][泪少]は本気で憂鬱老閣に恋をしているのだと悟る。
 [泪少][泪少]の心が離れていく不安からか、車内で酷い生理痛に襲われ、おなかを抱えて苦しむ小[王愛]。隣で心配する[泪少][泪少]に、「私のおなかにあなたの手を当てていて。あなたの手は温かい、"太陽の手"だから」と頼むのだった…。
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2008年10月08日

いかにもゲージツ映画「秘岸」を見る

 香港・九龍塘のフェスティバルウォーク内、AMC又一城で「秘岸」を見る。

 一般公開である。

 1日2回の上映、しかも午後6時の回で観客は6人……_| ̄|○

 まあね、香港人にはなじみのないジャン・イーバイ張一白という監督の北京語台詞作品だしね、物語の舞台は長江のほとりの重慶だしね…。東京国際映画祭「アジアの風」部門出品目当てとしか思えない、いかにもゲージツ映画っぽいポスターと予告編の作りなんである。
秘岸ポスター
 でも出演者はエリック・ツァン曾志偉とっつぁん、長い足を見せつけまくりのカレン・モク莫文蔚、友情出演という名目だけど「おばさんのポストモダン生活」のチョウ・ユンファ兄貴ばりに出番がちゃんとあるイーソン・チャン陳奕迅と、結構お馴染みの顔なんだけどね…みんな北京語で、ジャン・ウェンリー蒋[雨/文]麗ら、中国俳優女優と渡り合ってます。

張一白監督って、あのカリーナ・ラウ劉嘉玲に中国での主演女優賞を取らせた「好奇害死猫」の監督さんだったんですね! 「見知らぬ女からの手紙」では、何の役で出演してたんでしょ?

 なかなか演出力は達者だと思いました。
 (で、結局2人はヤッたの? ヤッてないの?)と、もどかしいような部分は、中国の検閲に合格するためのギリギリの線だったのか…? 未成年にあーんなことやこーんなことは、させちゃダメ!なんてお達しが中国なら有りそうだし。

 物語はまるで小説のように、章立てされて展開する。区切りとなる章の始めでは、「ママ/Mom」「パパ/Dad」「遊泳/Swim」などの文字と、主人公ともいえる少年、呉小川(オガワではない、シャオチュアン)が作ったフィギュア人形が現れる。このフィギュアがまた、日本のアニメキャラクターフィギュアほど可愛くもなく、アーティスト気取りの香港若者が作るほどひねたデフォルメし過ぎでもなく、ビミョーな出来。

 舞台は重慶、長江のほとり。
 16、7ぐらいの少年・シャオチュアン小川(壇健次)は、昼間は紡績工場内の診療所で、夜は獣医医院の当直でと掛け持ちで働く母親、凡麗(ジャン・ウェンリー蒋[雨/文]麗)と、タクシー運転手の父親・呉濤(エリック・ツァン曾志偉)と3人暮らし。気になる同級生のメガネっ娘、青青がいるのだが、思春期特有の照れと突っ張りで、うまく声がかけられない。
 ある夜、母親は獣医医院で夜勤中、モップ掛けをしながら酒の小瓶をあおる。そして、大型犬を慌てて運び込んだ青年、小易(Mr.Yi、イーソン・チャン陳奕迅)と出会う。その同じ夜、小川は親友の大志に、小食堂に一人でいる青青を見せるが、彼女に声をかける寸前にタクシーで流していた父親の呉濤に見咎められ「学生が夜に何をうろうろしてる、早く帰れ!」と怒鳴られてしまう。
 その日の未明、呉濤はKTV(カラオケクラブ)の前で、一人のクラブガールを拾ってタクシーに乗せた。長い足を見せびらかすように網タイツ+ハイヒールを履いた彼女は、蘇丹(カレン・モク莫文蔚)。そして夜明けも近い午前5時頃、呉濤とが運転し助手席に蘇丹が乗ったタクシーは、ほとんどブレーキもかけずに、岸壁の車止めを倒し、長江に突っ込んで沈んでいった…。

 病院のベッドで目覚めた満身創痍の蘇丹は、複雑骨折したのか金属製ギブスの金具が突き刺さった自分の左足を見つめて、鋭い悲鳴を上げる。
 やがて、公安が壊れたタクシーを長江から引き上げる。黒い喪服姿で声も無く見つめる小川の母親と、アディダスサッカーのTシャツ姿の小川。父親の呉濤の姿は、どこにもない…。
 身寄りの無いらしい蘇丹の介護は、小川母子が引き受けるしかなかった。「夫の責任ですので、できるだけのことはします」と蘇丹に謝罪する小川の母親。おまるをあてがったり、小便を始末したりを嫌々続ける小川だが、身動きできない状態でも色気を失わない蘇丹に、思春期の心は激しく揺れ動く。
 一方、小川の母親は生命保険会社で「2年間、ご主人の消息が知れなかったら、死亡とみなして保険金が支払われます」と説明を受ける。改造した車椅子を用意し、蘇丹に「入院費がかさんで私たちにはこれ以上払い切れない。私たちの家に移ってほしい。介護はするから」と告げる母親。蘇丹は気が進まないものの、同居を承諾するしかなかった。
 不機嫌な小川、不機嫌な蘇丹。奇妙な3人の食卓を、父親・呉濤の白黒の遺影(表情が時々変わる!)が見下ろしている。彼の遺体は、まだ見つからない…。
 蘇丹が翌朝、目覚めてみると、すでに母親も小川も出かけた後。彼女は車椅子に何とか乗り移り、窓を開けてみて息を呑む。建設中の巨大な金属橋のたもとに、小川たちのアパートメントはあったのだ。

 ミニバスを運転する、屈強な体格の小川の友人・大志。小川は気になる同級生の青青も誘い、3人でミニバスに乗り長江べりにやって来た。大志は海水パンツ1枚になって屈託なく川に飛び込む。青青も意外に大胆に、白ブラジャーと白パンツ(ビキニではなくボクサーパンツみたいなデザイン)だけになって川に飛び込んだ。心配性の母親に長江での水泳を禁じられている小川も、思い切って飛び込む。
 濡れた髪のまま、大志の運転するバスに乗って帰途についた青青は、車内で「北京大学に進学する」と小川に告げる。小川が思い切って彼女の手に手を重ねると、青青は潔癖にも彼の手を払い「止めて! 私、降りるわ!」と大志に告げた。
 「あの娘は優等生を演じてるけど、本当はスキモノだな。俺は一目で見破ったぜ」とニヤニヤする大志。小川が下りると、大志はバスを元来た道へと戻した。そこに現れる青青。彼女の意中の男は、小川ではなく大志だったのか…?

 タクシーの廃車捨て場?に深夜入り込んだ小川は、父が長江に飛び込んだタクシーを見つけ出し、カーステレオから1枚のCDを見つけ出した。その懐メロ?のラブソングを車内で聴きながら、涙を一筋流す小川。
 彼は翌日? アパートの屋上でその曲をCDプレーヤーにかけ、狂ったように手足を動かしてギクシャク踊り続ける。呆れて見つめる蘇丹。
 「あの夜、親父はこの曲を聴いていたんだろ?」「どうやって知ったの?」「この曲を、親父の車の中で見つけた」
 ……だが、まだ蘇丹はあの運命の夜のこと、事故の経緯を、小川にも小川の母親にも語ろうとはしなかった…。

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2008年06月17日

ハズシ技の妙、「カンフーダンク」

 このところ、何だか某海外ファンサイトフォーラムでは、nancixが17日に香港に行くとすっかり思い込んでる香港人メル友さんがいて、メールもバンバン来て、もーその何がどうしてどうなったか解らない勘違いの凄さに、あぜん呆然あぜんぼーでした(^_^;)

 分身の術+タケコプター+天から降ってくるオカネでもなければ、いたくてもいられない香港ですよ…シクシク。

 気を取り直して、今夜は一足お先に「カンフーダンク/功夫灌籃」の試写会in大阪梅田ブルク7に行ってまいりました!
カンフーダンク試写会

 日本語字幕は、伊東武司という人でした。「恋するブラジャー大作戦(仮)」も字幕を手がけておられる。

 あ、そーれ♪トウフートウフー! カンフーカンフー!とくりゃ。

 血湧き肉燃えましたねー、久々に。

 楽しかった! 「少林ラクロス」より百倍(推定)は楽しめた! 
 せめて「少林ラクロス」の10分の1(謙遜)はヒットしてほしい! ヒットすべき!

 2008年春節(旧正月)公開映画(中華圏で)だったんだから、これっくらいオバカで大げさでちょうどいいんですよ! 旧正月は辛気臭いゲージツ映画なんて見ずに、苦悩するトニーさんの大胆ヌードにハァハァするんでもなしに、家族そろって、あるいは若い仲間同士でギャハハと笑って喝采して、日頃の憂さを忘れられるハッピーエンド映画を見るのがいいんです!
 その旧正月気分を、日本の映画館で堂々と堪能できるとは……いい時代だ。しみじみ。

 背景となる高層ビル街は香港と見間違いそうになる(しかし「上海灘」香港店の前にあんなカフェテラスは無いと思われ…)くらい前衛的で、海辺のベンチのある広場は神戸メリケンパークがリニューアルしましたかっ?と早合点しそうになるほどお洒落で、レトロビルを改装したとおぼしきフレンチレストランは、大阪淀屋橋〜肥後橋に現存するレストランみたいにおハイソでおしゃれで、私立なのか第一大学構内もガラス張りを多用して明るくてスマートで、でも無国籍。台湾なのか上海なのかさーーーっぱり解らなかった。台湾といえば屋台街、上海といえば上海外灘(バンド)と、杓子定規な日本の旅グルメ番組では、絶対に登場しない景色ではある。

 予告編に登場する高層ビル街は上海で撮影したっていうから、本編も上海という設定だったんだろうか?

 ところで。

 実はnancix、昔から、笑いのテクニックに「ハズシの妙」ってのがあると思ってきました。
 大衆演劇「瞼の母」をイマドキ大真面目にやったら、ベタすぎて、もー笑うしかないのですが、お涙ちょうだいをうまいことハズすと、哄笑ギャグが生まれる。
 福井町おこし+上方落語振興+専業主婦母VS専門職を目指した娘の相克ドラマ「ちりとてちん」も、ハズシの絶妙さでクスリクスリと笑わせてくれましたっけ。
 
 星仔こと周星馳監督・主演映画「少林サッカー/少林足球」を見たときは「この調子で少林バスケ、少林野球、少林ラグビーと、どんどん少林拳法布教シリーズ作れるやん!」と冗談を言ってたわけですが、結局星仔は我々のヒット作への思いつきなど歯牙にもかけず、うまーくハズシて、なんと往年の長屋人情もの上海舞台劇→香港映画「七十二家房客」を土台に「カンフーハッスル/功夫」を作っちゃったんですよねえ。まさかこう来るとは思わなかった、と言わせたいがために。
 そしてベタに徹して「少林ラクロス」……じゃなかった、何だっけそれなりにヒットしちゃったアレ、まあいいや見る気ないから、まあその「少林ラクロス」を臆面もなく破綻した詰め込み過ぎストーリーで豪華キャスト(テレビ的に)で作っちゃったのが日本のテレビ局ってことで。ハズシ過ぎ。

 そしてあのオバカ映画粗製濫造の"台湾の王晶"ことチュー・イェンピン朱延平が、台湾+香港映画人パワーを結集して、ハズシの妙満載で作ったのが、この「カンフーバスケ」……じゃない、「カンフーダンク」なわけで。
 その意味では、この↓フランス版ポスターはとても正しい。
 図案がとってもベタだけど、正しい。
フランス版カンフーダンク
 
 随分前になると思うけど、最初に「ジェイ・チョウ周杰倫主演で台湾で人気コミック『スラムダンク』を映画化!」なんて速報を聞いたときは思わず「ちょ、待てってば、ヲイ! アニメ版もとっくに放送終了した、コミケでも桜木×流川派だの何だの言って萌える乙女がいなくなった21世紀の今頃、なんでスラムダンクだ? ジェイが桜木花道役? 何考えてんだ台湾人ーーー?」と叫んだものです。

 ……ガセネタでよかったです、しみじみ。

 しかし"KY的自信家"の桜木花道の片鱗は、青年方世杰(ちなみにこの役名、ジェット・リーも演じた広東省の伝説の武道家、方世玉のもじりです)が自転車を漕ぎこぎ登場後、女の子たちとのアレやコレやの挫折体験を、実にジコチューに思い出すシーンで垣間見られるんだよね。

 ってことは、「ごくせん」の仲間由紀恵並みに鼻っ柱の強いメガネっ娘のリリー莉莉=シャーリーン・チョイ蔡卓妍が赤木晴子で、シャーリーンの兄で第一大学バスケチーム主将のティン・ウェイ丁偉役のチェン・ボーリン陳柏霖http://chenbolin.jp/www/が赤木剛憲で、バロン・チェン陳楚河演じるショー・ラン蕭嵐が流川楓? ……まあ元ネタと思えないこともないか。
カンフーダンク01

 21世紀だっつーのに「スラムダンク」かよっと思わせておいて、エリック・ツァン曾志偉とっつぁん演じるホームレスのリーことチェン・リー陳立との絡みは「あしたのジョー」の孤児・矢吹丈とアル中の丹下段平

 21世紀だっつーのにまだ「あしたのジョー」かよと思わせておいて、やっぱりシュールレアリズム気功軽功♪とーーきーーーをーー 駆ける方世杰ーーー(by 原田知世)の世界に突入する。

 21世紀だっつーのにまだ金庸大先生の「射雕英雄伝」のごとく、4人の師父(一人は師姐)が愛弟子を超絶カンフー技で助けるのかと思いきや、あーなってこーなっちゃう。呉師父役でンー・マンタッおじさん、飛師父役でレオン・ガーヤン梁家仁おじさんを久々に見ることができて、嬉しいわ♪
 ちなみに夫婦漫才師匠のうち、編み物が好きらしい夫(北京電影学院卒業のホワン・ボー黄渤、「クレイジー・ストーン/瘋狂的石頭」にも出演)の方が、後半にあの「大英雄」でトニー・レオンが嬉々として使っていた「蝦蟇(ガマ)功」を使い始めたから、もー内心笑い過ぎて死にそうだった。(ガマ功は「カンフーハッスル」でも、火雲邪神役のブルース・リャン梁小龍が使ってましたぞ!) …というわけでカドカワ映画の広報スタッフさん、今さら言っても間に合わないけど、ヤモリに化ける術じゃないの、ガマなのよん。

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2008年05月16日

「聞者心傷、見者流涙」,但震災無情,人間有愛。

タイトルは今朝、中国寄りの香港メディア、大公網で見つけたフレーズ。
 「聞いた者は心傷つき、見た者は涙を流す」しかし震災は無情でも、人間には愛が有る。

 新浪網のこの特設サイトに、中華芸能界による寄付の動き及び、被災者への励まし・呼びかけのメッセージ動画、チャリティーイベント開催のニュースなどがまとめられています。中国の歌手・俳優はもちろん、台湾出身の歌手、香港芸能人も区別無しに、両岸三地で協力していますね。

 カンヌ入りの準備に忙しいはずのトニー&カリーナも、2人で50万人民元=約747万円を寄付したそうです。
 歌手のファン一同や後援会名義でも、寄付をしてますね。中華民族の団結力を感じます。なおnancixは、全体主義が大っ嫌いな一日本人として、募金に参加するしないは誰にも何処にも強制される必要は無い、個人の自由だと思うですよ。募金方法の情報だけは提供しますが。

 なお、上記のサイトの左側の動画は、バラバラな、てんで統率の取れていない「明天会更好」合唱なのですが(中国タレント御一同様なのか?)、この「明天会更好」という曲には個人的に思い入れがありまする。

 この曲を最初に聴いたのは、懐かしの名画「男たちの挽歌/英雄本色」のなかで。
 レスリー扮するキット刑事の恋人、ジャッキー(エミリー・チュウ朱寳意)が、なぜか児童合唱団の晴れの舞台をステージの袖から見守っているのですが、その児童合唱団が歌っているのがこの「明天会更好」でした。そのジャッキーの前に、ティ・ロン狄龍兄貴がひそかに別れを告げにやって来るわけですが…。
 美しいボーイソプラノ&少女の声で歌われるこの曲に惹かれたものの、日本の映画パンフレットなどでは全く紹介がありませんでした。1990年、初の香港で泊まったホテルのロビーラウンジで、カルテットが生演奏した中にこの曲があり、飛び上がってボーイに頼んで「今のはいったい何という曲ですか?」と聞いてもらったところ、メモで「明天會更好」だ、と教えてもらったのでした。
 さらに後になって、この曲は香港の流行歌ではなく、今から22年前に台湾で「USA For Africa - We Are The World」に刺激されて音楽プロデューサーのリー・ショウチュアン李壽全やシルヴィア・チェン張艾嘉お姉さまが発起人となって台湾歌謡界に呼びかけ、ロック・ミュージシャンでシンガーソングライターのルオ・ダーヨウ羅大佑が創り、台湾の当時の歌手たち60人が合唱し、その後香港でもサミュエル・ホイ許冠傑、レスリー、アニタ・ムイ梅艷芳、ジャッキー・チョン張學友らで合唱された曲だと知ったわけですが。※香港版「1985年群星大合唱-明天會更好」はこちら

 そして1989年5月、あの天安門事件の年、香港芸能界有志が開催し、木村佳乃…ではなくテレサ・テン[登B]麗君も飛び入りした「民主歌聲獻中華」というイベントでは、香港出身、台湾で有名になった歌手のエミール・チャウ周華健らが30万人の前で、この「明天會更好」を熱唱したのでした。Youtubeの映像はこちら。若きジャッキー・チョン張學友も参加しています。

 さらに時代は下り、2003年の香港の街角で、アジア同時不況とSARS禍に打ちのめされた香港の人々を励ますように、高層ビル壁面に掲げられていたのが「明天會更好」の大文字だったのです。

 政治・経済事情・主義主張は異なっても、中華な人々の「明日はもっとよくなる」と信じたい気持ちは、同じなのです。信じなければ、逆境に打ち勝てないのです。

 そしていま、香港芸能人らが結成している「香港演藝人協会」が協議を重ねた結果「両岸三地演藝界五.一二關愛行動」を行うことを決定。アラン・タム譚詠麟会長の発表によると、アンディ・ラウ副会長が召集人を担当します。(もう白地に赤字のTシャツまで出来てますね)
 そして、この活動の支援テーマソングを、かのBeyondの名曲「遥かなる夢に〜far away〜/海闊天空」(93年発表?)に、アンディ・ラウ劉徳華副会長とBeyondの一員、スティーブ・ウォン黄家強が新たな北京語歌詞を付けた「承諾」にすると発表したそうです。新たに作曲する時間も惜しい、誰もが口ずさめる名曲を、ということなのでしょうね。
 新歌詞は明報のこちらで紹介されています。漢字(BIG5)ならではの味をお楽しみください。(多少人=多くの人々、一輩子=生涯)

 そして芸能人で大合唱と相成るわけですが、香港部分をアラン・タム会長とアンディ・ラウ副会長、イーソン・チャン陳奕迅、BEYONDがプロデュース。中国部分をジャッキー・チェン成龍が、台湾部分を張小燕がプロデュースし、各地で録音したものを1曲にまとめるそうです。

 新たな支援テーマソング「承諾」は、果たして「明天會更好」のように、時を、主義主張を越えて歌い継がれていく名曲となるでしょうか。
 また、果たして香港発のこの活動に、アラン・タム会長らの言うとおり、全東南アジアの芸能界が呼応してくれるのでしょうか。具体的にどんな活動を行うのでしょうか。

 続報を待ちたいと思います。
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2008年03月02日

チャン・チェン張震、来阪!

張震in大阪01
 第3回おおさかシネマフェスティバルの最終日、授賞式で外国映画部門主演男優賞を受け取るために来阪したチャン・チェン張震、ご機嫌でトークショー「チャン・チェンとの夕べ」に臨んでくれました。

 関西一円から、囲碁関係者らしき高齢男性、長年のアンディ劉徳華ファンの友人、ジャッキー・チョン張學友のファン、レスリーファンらしきグループも見かけたし、そしてもちろんトニーファン仲間も澤東ジェットトーンの可愛い弟分+孫権サマを、周瑜の代理でお護りすべく駆けつけていたのですが、残念ながら日曜夕方の大阪国際交流センター大ホール(1006席)は、5分の3程度の入り…。
 中央は最後列近くまでほぼ埋まったのですが、左右翼の空席が辛かったです。

 グレーの光沢のあるタキシードジャケットの下に、切りっ放しの白Tシャツと黒長袖カットソー(袖口がかなり長く広いのがカワイイ)とを重ね着し、すらりと長い足はブルーグレーの洗いざらしジーンズで包むというカジュアルスタイルのチャン・チェンには、北京語通訳の女性が付いてくれたのですが、女性司会者の日本語に即時に反応して日本語で受け答えする、彼の聡明ぶりと機転にビックリ。

 「呉清源〜極みの棋譜」撮影後、北京で「レッド・クリフ/赤壁」を撮影したり、かなり日本語から遠ざかっていたはずなのに、すごいです。

 トークは「呉清源〜」撮影当時の話有り、田荘荘監督への敬愛ぶりありと楽しいもので、質問タイムも設けられ「ずっとずっとファンです! 結婚してくださいと言いたかったんですが、もーわざわざ大阪に来てくださっただけで…だけでも…感激です!!!」と涙声で絶句する女性ファンもいて、大受けでした。
 「ケッコンって…どっひゃー」とばかりに、前にのめり顔を伏せて照れ笑いするチャン・チェンが、初々しくも可愛かったです。
 えと、31歳…のはずなんだけど、そうは見えない。絶対に。
 髪型は少年ぽいのに、物腰が落ち着いたムードの20代後半にしか見えない。
 来場者10人に、彼のサイン入り「呉清源」大判ポスターのプレゼントまでありました。

 東京ではなく大阪での催しとあって、色々と制限が緩く、トークの後には、ちゃんと参加者のための撮影タイムを設けてくれたのです。
 電子ぴあで大奮闘し、前の方の席にありついたおかげで、ありがたく撮らせていただきました。
張震in大阪02

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2008年02月20日

チャン・チェン張震、3月に来阪!

 どもども。

 業務がややヒマになった職場で、隣の部署での研修を半強制的に4時間ずつ受けさせられて、日々ヘトヘトのnancixです。

 やっともらえた休憩タイムに、何気なく日刊スポーツを開いて、目を剥いた。この小さなベタ記事↓が、目に飛び込んできたのです。
 主演男優賞チェン出席、大阪シネマフェス
 中国映画「呉清源 極みの棋譜」で第3回大阪シネマフェスティバル外国映画部門の主演男優賞を受賞したチャン・チェン(31)が3月2日、大阪歴史博物館(大阪市中央区)で行われる授賞式に出席することが19日、決まった。14歳で来日し昭和の囲碁の世界で一世を風びした“20世紀最高の天才棋士”を田壮壮監督が描きあげた作品。究極の映像美が高く評価された。関係者によると、受賞を聞いた本人が大喜び、自ら「出席したい」と熱望し来日を決めたという。同映画祭は33年(中断5年)の歴史ある手作り映画祭だが、外国関係の受賞者が出席するのは初めて。当日午後6時半から大阪国際交流センターで「チャン・チェンとの夕べ」(上映とトークショー)を行う。[2008年2月20日11時46分 紙面から]

 あのチャン・チェンが!
 トニー・レオンと同じ澤東ジェットトーン・プロダクション所属で、トニーの弟分とも言える、チャン・チェンが!
 「百年恋歌」「呉清源 極みの棋譜」の好演はもちろん、韓国のキム・ギドク監督の「ブレス/息 breath」(日本ではシネマート六本木で5月3日公開)にも主演した、東アジア一円でノリノリのチャン・チェンが!
 「レッド・クリフ/赤壁」で周瑜の主君、亡き親友の弟、呉(現在の蘇州)の命運を背負って立つ若き孫権を演じる、チャン・チェンがーー!

 しかし、「おおさかシネマフェスティバル」といえば、地元でも知る人ぞ知る、大阪歴史博物館やミニシアターの「シネ・ヌーヴォ」の有志がNPO法人コミュニティシネマ大阪として頑張るだけで、万年累積赤字の積み上がる大阪府や大阪市の助成は得られない、OSAKA ASIAN BEAT 推進協議会の共催などによって何とかなっている、地元民手作りの映画祭…。
 この映画祭の概要は、大阪歴史博物館のサイトのこちらで。
 「チャン・チェンとの夕べ」については、こちらで。
 
 チャン・チェンともあろう、カンヌにヴェネチアにベルリンと世界の熱い注目を集める映画スターが、そんなあなた、自ら熱望して出席してくださるなんてことが……あるんだなァ…。
 外国からのゲストを迎えるのが初めて、なんて映画祭なのに…粗相があったら大阪の、いや関西の恥であるぞ!
 何より、トークショーに客が集まらなかったら、どれだけチャン・チェンががっかりするか! 大阪国際交流センターの大ホール座席数1006もあるのに!
 いやその話がジェットトーンに伝わって、トニー・レオンが大阪に来てくれなくなったら!(自己中)。
 あの橋元大阪府知事が「税金の無駄遣い」とか何とかケチつけてこないうちに、このイベントを成功させて実績作らなきゃ!

 周瑜気分でお守りします、孫権さまぁぁぁ!
 というわけで、2月23日(土)は地元の歯科医で歯の定期健診なのだが、何とかしてチケットぴあに並んで前売券をGETする決心であります!
 おっと、この23日って、東京では、シネマート六本木で上映される「ブレス」の前売券発売日なんですね。
 チャン・チェンファン、がんばれー。
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2007年11月17日

TOKYO FILMeX 「それぞれのシネマ」02

 「ハイファの悪霊」は、タイトルが作品終了後に出てくる一作。「ワルシャワ1936」と注釈付きで紳士淑女が白黒映画(悪魔メフィストフェレスが出てくる「ファウスト」じゃないかと思った)を鑑賞する姿が映し出された後、時空はその70年後のハイファ(イスラエルで3番目に大きな都市)に飛ぶ。
 客席にはジーンズなどアメリカン・カジュアルなファッションの若者が多い。彼らも70年前のワルシャワと同じ白黒映画を見ているのだが、突然上映が打ち切られ「空襲警報が発令されました。ただいま情報を集めています」と映画館スタッフが説明に現れる。いっせいにブーイングする若者たち。
 だがその時…爆撃機が投下した一発が、観客をも襲うのだった…。「ラスト、コーション/色、戒」で、日本占領下にある上海の映画館で、洋画を見ていると唐突に打ち切られてニュース映画(戦果を告げる日本の自己宣伝映画)が始まる、あの一幕を連想した。映写技師がたけしでなくても、平和でないと映画は楽しめないのよね…しみじみ。

 どんどん飛ばして「是夢」と漢字でタイトルが出たとたん、「あ、ツァイ・ミンリャン蔡明亮!」と思わず呟きそうになった作品。ナレーションで「父親の夢を見た…」と状況説明がなされ、映画館内で、なぜか若い父親、幼い息子、白髪のおばあちゃんが床に座り込み、父親がドリアンを手で裂いて息子とおばあちゃんに分け与える。息子は何だか、匂いにへきえきしているような表情。BGMは李香蘭の甘いあまーーーい声の「是夢是真」、懐メロだ。
 マナーも何も吹っ飛ばして貪り食らうこと+タバコ+懐メロが、やはりツァイ・ミンリャンセットなのね!
 もちろん「父親」に扮しているのは小康こと李康生。白髪のおばあちゃんは何と、ツァイ・ミンリャンの母親?!

 続くマギー・チャンの元亭主オリヴィエ・アサイヤス監督作「Recrudescence(再発?)」。カップルが待ち合わせて映画館へ。その様子をじっと見ている一人の男。元カレか?女の方と何やら因縁があるのか?と思いきや、館内に入って行き、彼女が座席に無造作に置いたバッグを置き引きする。まったくもう、映画館は危険がいっぱい、の警告CMなのか? 映画人がそんなアピールしては、逆効果では?
 置き引きは映画館を出て行き、カフェに入る。しばらくすると、バッグから取り出し、テーブルに置かれた女の携帯電話が鳴り出す。なぜか置き引きは電源を切らない。カフェのガラス窓の向こうに、動揺したカップルが歩いて来る。面と向かって対決する気か? どうするつもりだ、置き引き!
 これも(……で、オチは?)。

 「職業」も、上映中の客席が舞台。「きちんと蝶ネクタイをしめ、タキシードを着た紳士、ドレス姿の淑女が居並ぶ客席。そのなかで、一人の観客の男が傍若無人にも、髪型だけスピルバーグに似た隣の男に話しかける。話しかけられた男は別に彼の知り合いでも何でもないようで、迷惑そうな表情。なのに、おしゃべり男は話しかけるのを止めない。自分は事業に成功した実業家で、車を8台持っていて、毎日別の車に乗り、1台は"特別な用途にしか使わないなど、まあ単なる自慢話ですな。酒の席ならともかく、そこは映画館だっつーに。だんだん彼の声が大きくなり、周囲の観客も驚き顔をしかめる。当然、話しかけられている男が最も映画に集中できずいらついている。
 「で、あんたの職業は?」とおしゃべり男に聞かれた隣の男、ついにこう言って金槌を取り出す。「俺か? 俺は殺人者だよ!」。そして容赦なく、金槌のとがってる方でおしゃべり男をめった打ち…。あーりーえーねー…。
 血しぶきが周囲の淑女の花のかんばせやドレスにも飛んでるっつーのに、男は「もういい、大丈夫ですから」などと周囲をなだめ、無残な血まみれ頭蓋骨陥没遺骸を横に置いたまま、平然と映画鑑賞再開…。
 監督はやはり、悪趣味で、二度と観たくないとnancixに思わせた「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を撮影したラース・フォン・トリアー。"隣の男"役も彼本人でした……。何か溜まってますか、監督?

 ところで「今年のウォン・カーワイ王家衛は一味違うぞ!?」と題して紹介した王家衛監督作品「I Travelled 9000 Kilometers To Give It To You」、ぜーーーーんぜん予期した内容とは違ってました(泣)。ファン・チーウェイ范植偉君のアップがスローモーションで映し出されるのだけど、それは機内でも列車内でもなくて、映画館内。しかもロードムービーでも何でもなくて、舞台は映画館内だけ。台湾「聯合新聞網」の嘘つき(泣)。真っ赤な座席の背もたれは印象的だけど。
 ま、内容は世の男どもの妄想をスケッチしてみましたって感じで。悲しいのは香港女優、チャン・ヨーリン張睿玲。一瞬でもいいから顔を映してあげれば?! いくら美脚の持ち主だとしても、膝のあたりしか映らないなんて、酷いよ……。まったくもって足フェチ優先、出演者の心理なぞ二の次の王家衛には困ったものだ。とかボヤキながらもぐぐぐーーーっと見入ってしまうんだからマニアも困ったものだ。
 作品タイトルは范植偉が見ているという設定の映画の台詞(歯が浮くような…)にも出てきた。何でしたっけ、この映画タイトル?

 チェン・カイコー陳凱歌の作品は、文字通りの"寒村"が舞台の「Zhanxiou Village」…漢字で書いたら何村になるのだっけ?
 1960年代、冬の中国の寒村。やはり村の腕白坊主たちが、自転車にまたがったまま集まってたむろする、広場?に設置されたスクリーンと、映写機(8ミリ? 16ミリ?)。映し出されているのはチャーリー・チャップリンのドタバタコメディ。腕白坊主たちは大喜び。ところが映写機の電源が切れてしまい、がっかり。ある子が思いつく。自転車にコイル?をつなぎ、漕いだらライトの要領で電気が生じるんじゃないか? 思いつきは3台の自転車を懸命に漕ぐことで実現、再びチャップリンが、スクリーン狭しと動き出す。調子に乗って夢中で自転車を漕ぎ、映像を早回ししていると、映写技師と思しき青年が駆けつけ、一喝。腕白坊主らは蜘蛛の子を散らすように逃げ去る。ところが、1人だけ逃げずにスクリーンに向かってじっと座ったままの子供がいた…。「おじさん、もう映画見るの、やめてもいい?」と子供は尋ねる。何故彼は逃げずにそう尋ねたのか? ご想像にお任せします。
 数十年後。その子は成人し、ゆっくりと映画館内の通路をたどっている…。
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TOKYO FILMeX 「それぞれのシネマ」01

 今回は初めて、神戸空港から羽田へ。
 ところが乗り継ぎ駅に到着してみると、土・休日ダイヤのため、いつもと違って接続の電車が12分後になることが判明。こりゃ間に合わない!と青ざめて、その駅前からタクシーに切り替えた。沖縄出身という運転手さんの機転と温かい励ましで、何とか到着。せっかく往復2万100円に抑えたのに、6000円弱は痛い出費…。でも時間的には、ミネラルウォーターを自販機で買える余裕もあった。ありがとう、運転手さん!

 羽田からはモノレール+山手線内割引切符を利用、500円で東京駅まで行けた。成田とは時間といい運賃といい、やはり雲泥の差だなー。
 丸の内の和食ダイニング(個室といっても簡単に仕切っただけで騒がしい関西の店と違い、しっかりした造りでとてもいい感じ)で友人らと和食ランチして、いったん皆と別れてビックカメラへ。持ってくるのを忘れた携帯電話の充電アダプターを購入。これで3個目だぞ…自分。いざ東京国際フォーラム・ホールCへ。東京国際フォーラムはレスリーコンサート、「インファナル・アフェア」プレミア上映会と、思い出深い場所。「東京攻略」ロケ地のひとつでもあるしね(^_^;)

 まずはオープニング・セレモニー。会場にはプレノン・アッシュの篠原弘子さんや、アジア映画研究家で字幕翻訳家の松岡環さんのお姿もあった。エスカレーターで上に上がっていく、俳優の西島秀俊さんを見たという目撃談も有り。NHK土曜ドラマ「ジャッジ」、シニカル過ぎもしない、浪花節にもならない、いいドラマでしたっすぅぅ!(エンクミちゃんこと遠藤久美子ちゃんと藤木勇人さんという、トニー主演作の出演者が2人も出てたし!)
 そういえば、この日の夜の「無用」上映後は、敬愛する中国語通訳のサミュエル・チャウ周家[王探]さんもお見かけしました! 業界人の方をエスコートしていらしたようなので、お声はかけませんでしたが。

 ディレクターの林加奈子さんの挨拶は、日本語と英語を交互に。
 「37本の素晴らしい映画に支えられて、今日この日を迎えることができました」「何度でも申し上げます、映画祭の命は充実したプログラムです!」という力強いメッセージが心に響いた。
 そう、豪華スターや有名タレント監督、お騒がせTVアイドルなどのゲストではなく、プログラム作りに腐心し作品集め・字幕付けに奔走するスタッフの熱意と、観客の熱気による総合的イベントなのだよ、映画祭とは。
 そして市山尚三さんもステージへ。嗚呼…ほとんど白髪になっておられる…はっと胸を突かれた。「フラワーズ・オブ・シャンハイ」製作当時は「若手の」「新進気鋭の」プロデューサーだと思っていたのに…(その分、自分も老けたのよね…ううう)

 行定勲監督ら、審査員も登場。なんと、イ・チャンドン審査委員長は「所用でオープニング・セレモニーには参加できない」とのことで、ちょっとあっけに取られた。代わりに、是枝裕和監督作「ワンダフル・ライフ」や「誰も知らない」などの撮影監督を務めてこられた山崎裕(ゆたか)さんがスピーチした。テレビドキュメンタリー出身の山崎さんだけど、子供の頃から映画が好きだったそう。「作り手の思いと、スタッフの汗で作るのが、映画です。しかし、ひとたびスクリーンにかかった時から、映画は観客のモノになります。どうか存分に楽しんでください」というようなメッセージをされておられた。

 そしていよいよ、カンヌ映画祭60周年記念作品「それぞれのシネマ」の上映に突入。
 おっと、その前に、カンヌ映画祭プレジデント(首席代表?)のジル・ジャコブからのメッセージを、今回の審査員でもある、坊主頭のクリスチャン・ジュンヌ氏がフランス語で代読した。「ミーゾグーチィ、クロサァワー、イマムーハー、オーシマ、ティシーガワラァ、オグーリィ、クマイ、アオヤマ、コレエダァ、そしてもちろんタケーシ・キタノォ」って、一瞬頭のなかで漢字に置き換えられなくて参ったよ。もちろん溝口健二、黒澤明、今村正、大島渚、勅使河原宏、小栗康平、今年5月に亡くなられた熊井啓(合掌)、青山真治、是枝裕和、北野武のことである。おっこれだけ漢字変換できれば、「映画検定」受かるかも?! なんちゃって。

 「〜映画を作ること自体をミッション(任務)として〜、”映画館”をテーマに、こうして7番目の芸術である映画に関する、まるで愛の告白のような映画作品が完成しました」って、さすがはロマンチストのフランス人だね。短編のなかには、どう考えても愛の告白というよりペシミストの自虐ネタ、みたいなのもあったんだけどね。
 「五大陸25カ国からやってきた、35人(兄弟ペア含む)の監督たちによる作品には、中には突拍子もないものもあります。ヴィム・ヴェンダースはコンゴで、ツァイ・ミンリャンはクアラルンプールで、そしてクローネンバーグはなんと、トイレで撮影しました。そしてタケシ・キタノの作品……田舎の映画館で、あの自転車はどこへ消えたのだと思いますか? それぞれの美的感受性をご覧ください。(中略)そしてひょっとしたら、続きがあるかもしれないこのプロジェクトをお楽しみください、そして皆様にボン・ヴォヤージュ(よいご旅行を)!と申し上げたい」と、粋に結ぶジル・ジャコブなのでした。
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TOKYO FILMEXに初参戦。

 ご無沙汰いたしました!
 香港から戻ると職場で新人教育係に任ぜられ、ルーティンワークにプラスアルファで声無き悲鳴を上げてました。

 ま、いろいろありましたが大阪シネマート心斎橋で「私の胸の思い出」を見られ、「大阪アジアン映画祭」も半分参加でき、何とかかんとか過ごしております。

 そして本日は東京に。「TOKYO FILMeX」に初参戦中。
 といっても「オープニングセレモニー&『それぞれのシネマ』」と、ジャ・ジャンクー監督の「無用」しかチケット取れなかったんですけどね…。

 来る前に書き込むと、また変な嫌がらせコメント(@ニフティをプロバイダにしてる人間…国籍不明)が殺到し、削除作業に追われそうで怖かったんですけどね。
 来ちゃったんだもーん。明日には帰るんだもーん…(涙)。

 では、映画の感想は今夜にでも。さっと夕食食べて、また懐かしの国際フォーラムに駆けつけなきゃーー!
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2007年08月28日

朝日新聞朝刊に陳凱歌監督登場

 現在、朝日新聞では朝刊で「歴史は生きている 東アジアの150年」という特集を不定期に掲載しています。
 今朝の特集は、韓国の「明成皇后(閔妃)、日本海海戦と「三笠」。そして「シリーズ・識者20人に聞く――東アジア近現代史の10大出来事は?」のコーナーに、中国のチェン・カイコー陳凱歌監督が登場。京都の立命館大学ででもインタビューしたんでしょうかね。「京劇の名女形を描く『梅蘭芳』を制作中」とも紹介されています。
 陳監督が選んだ「10大出来事」は。
1:アヘン戦争
2:ペリー来航と日本の開国
3:日本の倒幕と統一国家の形成
4:戊戌の変法と失敗
5:中日戦争
6:米軍の日本占領
7:中ソ、日米の同盟関係
8:文化大革命
9:[登β]小平の改革・解放
10:温家宝、安倍晋三首相の相互訪問
 というもので、読者が日本人であることを前提にしているとしても、やや意外。
 監督の実の父との、あまりに苛酷な記憶を抱えた、文化大革命がもっと上位に来るものと思っておりました。

 で、高2からは日本史を選択してほとんど世界史をやらなかったnancixは、「戊戌(ぼじゅつ)の変法」を知りませんでした。日本の「戊辰戦争」なら覚えているんだけどなあ。

 「戊戌(ぼじゅつ)変法」とは、清朝末期の光緒帝の御世の1898年に起きた政治改革運動のことなんですね。日本では「戊戌の政変、または百日維新」と呼ばれているそうよ朝日新聞の記者さん。あえて陳凱歌監督の口にした用語に合わせたのかしらん。

 光緒帝自ら立憲君主制への政治体制の変革・現代化を図るも、慈禧太后こと西太后と清朝廷内の保守勢力、並びに袁世凱の武力に阻まれて、光緒帝は軟禁され、「日本明治変政考」の著者で広東省南海出身の康有為は、英国領事館員の援助を受け上海〜香港経由で日本に逃げ去り、康有為の弟は殺され、康有為の弟子の梁啓超は日本大使館に逃げ込んで保護を求め、そのほか数十人が逮捕されて主要な6人の官僚は斬殺され、永久監禁を言い渡された者もいたという体たらく…。

 たったの103日で、清国を一気に近代化・改革の夢はあえなくも費(つい)えたのでした。
 …あー、何だか映画「ラストエンペラー」「火龍」つながりで西太后や光緒帝関連の本を読んだとき、そういう逸話も織り込まれていたような気が、かすかにする。光緒帝が幽閉されたために、わずか3歳で愛新覚羅溥儀が即位したんだよね?

 とにかく、陳凱歌監督が不思議がる「日本の急速な近代化」、そういわれてみれば確かに、内戦を幾つも経ながら、どうにかこうにか欧米ロシアに侵略されずに、政治経済に於いてぐんぐん近代化を推し進められたことは、奇跡的だったのかもしれないなあ。多くの血は流れたんだけどなあ…と、"日本最後の内戦"とされる西南戦争で西郷隆盛+桐野利秋側に加担したご先祖様が一人いたnancixとしては、思ったりなんかする。

 まあとにかく、asahi.comにインタビュー全文が載ったら、興味のある方は読んでみておくんなまし。って、まだ載ってないけど。

 この「歴史は生きている 東アジアの150年」特集、次は「辛亥革命と民衆運動」がテーマで、10月初めの朝刊に載るらしい。ではアン・リー監督へのインタビューは、その次の特集に載れば「色、戒」日本公開に間に合うかな、などと。取らぬ狸の皮算用。

日中戦争の全貌 (河出文庫) まだ張愛玲が愛した"漢奸"胡蘭成の著書「今生今世」(中国語! 分厚い!)も読み終わってないのに、昼休みに文庫本「日中戦争の全貌 (河出文庫 (た22-6))」(2007年7月20日初版発行)なんか買っちゃったよ…。
 というのも、文中に挿入されている白黒写真のなかに「ガーデンブリッジにおける中国車両の検閲」という一枚があり、「色、戒」予告編のなかに出てきた鉄橋と車両、日本兵の姿が酷似していたものだから。この文庫本の写真・資料協力は「近現代フォトライブラリー」となっているけど、アン・リー監督らも、この写真やそれに近い資料をもとに、あの外白渡橋(旧ガーデン・ブリッジ)のシーンを作り出したのだろうか。

 上海事変、南京攻略、広東攻略、桐工作と汪兆銘(精衛)政府の承認、日本、米英に宣戦、香港を占領…と、読み進めるのは日本人としてまことに辛いけど、その時代に生き、その時代に斃れた易先生や王佳芝を想うには、やはり基本的な時代の流れを知っておかなくては……(-_-;)
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2007年08月27日

東京国際映画祭でエドワード・ヤン追悼特集?

 本日届いた「香港電影通信」第203号に、東京国際映画祭アジアの風部門の新ディレクター、石坂健治氏の文章が載っていた。

 「東京国際映画祭はエドワード・ヤン追悼特集をやります」という見出しで、どうやら同映画祭では、初期作品「海辺の一日」「タイペイ・ストーリー」の35mmフィルム・字幕付き初上映や「恐怖イ分子」「ヤンヤン・夏の思い出」上映、関係者による追悼トークは期待できそう。
 「海辺の一日」は未見だし、主演があの、敬愛してやまないシルヴィア・チャン張艾嘉ですよ! ほうちゃんこと侯孝賢も俳優として出てるんですよ! 撮影はクリストファー・ドイル杜可風なんですよ! 見たいなあ……。

166分もあるけど……。

 問題は、それらの日程が平日か否かってことなんですよ、地方の勤め人には…………_| ̄|○

 追悼トークはこの際無念の涙を呑むとして、大阪でせめて同じ内容で上映を……ダメ?

 それにしても「恐怖イ分子」、「エドワード・ヤンの恋愛時代」「カップルズ」が、プリントは配給会社に残っているが上映権が切れているという状態というのは、いささかショック。まして、「クーリンチェ([牛古]嶺街)少年殺人事件」の権利関係が、そんなややこしいことになっていようとは…。あわてて文中で紹介されていた、シネマヴェーラ渋谷館主の内藤篤氏のブログ「館主のひとりごと」を読みに行きましたよ。

 いつかはトニー・レオン出演作特集上映なんて、日本でやれないのかなあ、と胸ときめかせていた時代もあったけど、トニーも旧作は全くバラバラな配給会社が諸権利を持っているわけで、「月夜の願い〜新難兄難弟」みたいに上映権が切れたものも多々あるんだろうなあ。市川雷蔵特集、ジェラール・フィリップ特集のように、一部の企画者の情熱と苦労で可能になる企画もあるんだろうけど…。
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2007年08月24日

「待ち暮らし」金城&ツイィーで映画化

 ジョン・ウー呉宇森監督作品でトニー・レオン、金城武らの「赤壁」や、ピーター・チャン陳可辛監督のアンディ・ラウ、ジェット・リー、金城武主演の「投名状」はもちろん、
 チェン・カイコー陳凱歌監督の新作「梅蘭芳」、チャウ・シンチー周星馳の新作「長江7號」、ジャッキー・チェン成龍とイー・トンシン爾冬陞が組む注目の「新宿事件」、ルー・チュアン陸川監督の「南京! 南京!」などに出資している、半官半民の、中国最大の映画会社といえば、中影こと中国電影集団公司です。
韓三平董事長
 ↑中華圏映画界で独り、ブイブイ言わせまくってる"勝ち組"の中影集団・韓三平董事長。

 23日、中国では「中影星美院線」の中国映画配給網についての「上映検討会及び国産映画推介会」が、北京の中影で開かれ、香港から駆けつけたピーター・チャン陳可辛監督、「温故一九四二」の著名な作家で「手機」やブラックユーモアコメディ映画「我叫劉趺進」のシナリオライターでもある劉震雲、女優のチン・ハイルー秦海[王路]らが出席したそうです。
 その席で、中影集団董事長の韓三平が、中影の今年と来年の上映予定及び撮影計画を説明しました。そのなかの目玉として、なんとピーター・チャン陳可辛が長年温めてきた企画、ハ・ジン金哈による小説「待ち暮らし」の映画化を、チャン・ツイィー章子怡と金城武で実現するという発表もあったのです!

 新華網の記事はこちら
 Chinafilm.comの記事はこちら。


韓三平とピーターさん
 会場でいかにも和気あいあいとした様子を見せる、韓三平とピーターさん。(ピーターさん、キミはもう、香港の中国回帰による中国共産主義の絶対圧力を怖れ、規制のない自由な映画作りを切望してハリウッドに行った時期のことは、無かったことにしておるのだね…)

 ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁん………_| ̄|○

 そりゃ、チョウ・ユンファ周潤發兄貴とマギー・チョン張曼玉が出演を承諾するのを待ってたら、それこそ18年経ってしまうけどさぁ……。

 ツイィーですかぁ……。

 そりゃアジア圏以外の、日本や欧米にも売れる女優ではあるけどさ……。
 広東語訛りを心配しなくても済むけどさ……。

 「待ち暮らし/Waiting」は、米国で最も権威のある文学賞とされる全米図書賞(99年)や、ノーベル賞受賞作家のウィリアム・フォークナーの名前にちなんだPEN/フォークナー賞(00年)を受賞した、全編英語の小説。
待ち暮らし ハ・ジン金哈は中国遼寧省に生まれ、14歳で人民解放軍に入隊、中ソ国境の警備をしながら読書に励み、文学に目覚めます。19歳で除隊後、文化大革命が終わって学校が再開された年に大学に入学、米国文学を専攻します。1985年にボストンの大学に留学。4年後、あの天安門事件をテレビで見てショックを受け、もう中国で作家活動を続けることはできないと絶望してから、英語で小説を書き始めたという大器晩成型の作家なのです。

 中国ではその受賞・米国での評価・作家活動がほとんど報道されておらず、この「Waiting」も、英語で出版されてから土屋京子先生による日本語訳が2000年に早川書房から出て、その後台湾で中国語訳が出版されたはず。中国では今ではもう出版されたんでしょうか?

 あらすじはこんな感じ↓
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2007年08月22日

イ・ビョンホンとショーン・ユー余文樂も出る「I come with the Rain」

 あらら、何だか情報が錯綜している…。

 2000年9月の台湾金馬映画祭の頃からトラン・アン・ユン(中国語表記は陳英雄)監督が撮りたい、撮りたいと表明していた「I come with Rain(仮の中国語タイトルは2000年当時は「他從雨中來」、今年6月頃は「我隨雨來」、現在は「伴雨行」)」。

 トニー・レオンとハーヴェイ・カイテル共演で、"現代の短髪キリスト"的な人類の救世主やら、連続殺人犯やら私立探偵やらが出てくると聞いただけで、当時は(……「アンディ・ラウのアルマゲドン/天地雄心」的トンデモ映画?)と引きまくっていたのですが。

 香港ロケハンにやって来たトラン・アン・ユン夫妻を迎えて、もてなしていたトニーが、夫の仕事中に香港見物させてあげようと、何の気なしにトラン・ヌー・イェン・ケー陳努安姫夫人を助手席に乗せたせいで「トニーに新恋人出現か! しかも結構年齢いってるし、オンナの趣味を変えたか!」と失礼な騒がれ方をした今年6月の事件を経て、いよいよ撮影開始してたんですねー。
 「バベル」(06)のセントラル・フィルムズや、王家衛作品「The Lady from Shanghai 」にも出資予定のStudio Canal(フランス)など4社による、米国・フランス共同出資映画ですが、全編英語だそうです。海外配給会社はTFIインターナショナル。すでに今年のカンヌ映画祭フィルムマーケットで、同社がイ・ビョンホンの出演予定をセールスポイントとしてアピールしてたんですが、キム・ジウン監督の韓国映画「いい奴、悪い奴、変な奴」の撮影スケジュールと重なるので無理かも、とビョンホン側は慎重だったはず…。スケジュール、何とかなったんですね。

 しかし、あくまで主演はクライン役のジョシュ・ハートネット(29)。クラインはロサンゼルス市警の元刑事、シリアル・キラーを自分の手で射殺したトラウマを癒やすことができず退職し、今は私立探偵(ん? どっかで聞いたような設定…)。ハーヴェイ・カイテルがやるはずだった役なんでしょうね。

 共演が、クラインの調査協力者となる香港警察の刑事「孟子」役のショーン・ユー余文樂と、マフィア組織ボスのス・ドンポ役のイ・ビョンホン李秉憲。その美しき愛人だが麻薬依存症のリリ役がトラン・ヌー・イェン・ケー。クラインが射殺の記憶に悩まされるシリアル・キラーのハスフォード役が、カナダ出身、アクターズ・スタジオで演技を学んだイライアス・コーティーズ(エリアス・コーティアスとも表記。「ゾディアック」(07)「コラテラル・ダメージ」(02)「シン・レッド・ライン」(98)「悪魔を憐れむ歌」(97)デヴィッド・クローネンバーグ監督の「クラッシュ」(96)ほか)。

 そして、失踪し誘拐の疑いがあると家族がジョシュ・ハートネットに捜索を依頼することになる富豪御曹司、シタオ役の木村拓哉さん。ショーン・ユーとの共演シーンがかなりある様子です。
 これは……中村獅童と木村拓哉さんの共演映画実現を目論む某A社映画部門のプッシュがあったのか…? いやこれは単なるナントカの勘繰り。トラン・アン・ユン監督はドラマ「華麗なる一族」も見ていて、7月下旬には密かに来日して打ち合わせしていたそう。うわーん、緊急来日トニーとはすれ違いだぁ!

 というわけで、助演とはいえ、ショーン・ユー君のカンヌ・レッドカーペット闊歩が楽しみですねえ。今月は4作の映画が同時にクランクイン、今年後半で6作の映画を撮る予定というほどの売れっ子になってますし♪(10月には南京大虐殺を描く中国映画に出演し、一般庶民を演じるとか…ひぃぃ、大日本帝国軍の兵隊の銃剣で殺されるのかぁぁ! まさか自分で墓穴掘らされて、日本人兵士が日本刀で首を……あああぁぁぁあ…)

 韓国系新聞サイトでは、イ・ビョンホンの役名は「蘇東坡」_| ̄|○。(ヲイヲイ…北宋代最高の詩人の名前じゃないか…)。木村拓哉の役名は「石島」。うん、シタオよりはマシ…。

 中華系新聞サイトには、失踪したのは中国富豪の御曹司で、木村拓哉の役は現在のところ不明、と報じているところもある。


 残念ながら米国滞在中に足を負傷して、アクションシーンの撮影が不可能だからと降板を余儀なくされたダニエル・ンー呉彦祖ですが、なぜか21日、イ・ビョンホン、ショーン・ユーの九龍城・旧啓徳国際空港跡地でのカーチェイス撮影現場にいたとか。午後4時過ぎでもまだまだ炎天下で暑く、ダニエルはジュースや冷やしたお茶を段ボール箱一個分、気前よく差し入れし、イ・ビョンホンと握手して挨拶し、ショーン・ユーと談笑していたとか。…ダニエルの友情出演も有り得る??
 イ・ビョンホンはパパラッチに気づいてもムッとした顔もせず、微笑して手まで振っていたそうです。
 あいにく午後6時過ぎには夕立に見舞われ、6時15分過ぎには撮影はお開きに。

 このフレンドリーな皆さんのフレンドリーな雰囲気の中に、果たしてまたまたの日本代表選手?は溶け込めるんでしょーか…?
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2007年07月02日

エドワード・ヤンの静かなる微笑み

 エドワード・ヤン楊徳昌監督の訃報を、ついさっき知った。

 米国ビバリーヒルズで結腸癌と7年闘い続けてきて、ついに6月29日に力尽き、自宅で亡くなられたそうだ。

 ……ガンを発病していたことですら、全然知らなかった……。香港以上に冷え込んだままの台湾映画界で、資金集めに苦労しつつ、じっくりと次作のプランを練っているんだろうとばかり思ってたのに。
 享年59歳。nancixの亡き母がガンで亡くなったのと、同じ年齢じゃないか…。
 映画監督としては脂が乗り、ますます円熟味を増した人物描写で楽しませてくれるはずの年齢なのに。

 思えばチョウ・ユンファという、アクションもハートフルな恋愛もイメージかなぐり捨ててのコメディもやってのける稀有な男優との巡り会いをきっかけに、香港を中心とするアジア映画に興味を引かれた頃、羅針盤にできたのはたった2冊の書籍だけだった。

 「電影ニューシネマ イメージフォーラムNo.103」(88年、ダゲレオ出版)と「台湾香港新映画宣言 WAVE21」(89年、ペヨトル書房)。
 どちらでもエドワード・ヤン監督は注目すべき映画人として紹介されていた。だけど4人の新人監督がオムニバスで撮影したという「光陰的故事」(82)も、クリストファー・ドイルが撮影し、シルヴィア・チャン張艾嘉が出演した長編映画第一作「海辺の一日/海灘的一天」(83)も、「恐怖分子」(86)も、当時は上映会もなく、見る機会に恵まれなくて、ただただ本の簡単な紹介で、どんなシーンがどのように展開されるのか、想像してばかりいたものだ。ほうちゃんことホウ・シャオシエン侯孝賢監督の作品は、すでに東京じゃ映画祭まで開かれて、一気見もできてたのになあ。

 そして第4回東京国際映画祭インターナショナル・コンペティションで、あの衝撃作「クーリンチェ少年殺人事件/[牛古]嶺街殺人事件」(91)に巡り会う。チャン・チェン張震のデビュー作でもあるこの作品、長いながい、重いテーマの映画なのだが、決して飽きなかった。最後まで息を詰めるようにして見届けた。
 少年のあどけなさや初々しさと、危なっかしい、思い詰めがちな生真面目さを併せ持ったチャン・チェン。その実父でありベテラン俳優でもあるチャン・クォチュー張國柱(ジェリー・イェン出演の「「白色巨塔」 にも出てる)が見せた、大人の苦悩と葛藤。能面のような色白、静謐なクールフェイスが日本のカワイコちゃんアイドルには決して出せない少女の妖しさをかもし出していた、ヒロイン。
 ただ途中で日本のヤクザ映画か歌舞伎の"だんまり"か?という大立ち回りが、暗闇のなかで展開するので、いやそんな凄惨な抗争描写でなく、少年犯罪の経緯に早く話を戻してよ、と思ったのも確かである。何だかその後、4時間バージョンも、ビデオだっけ?で発売されて、さすがにこっちには手が出せなかったっけ。

 「恋する惑星/重慶森林」を追いかけフラレまくった94年、nancixは初めて香港から台湾に足を伸ばし、西門町に宿を取って台湾・香港映画を見まくった。そのなかの1本が「エドワード・ヤンの恋愛時代/獨立時代」(94)だったんである。

 Confucian Confusion=儒者の困惑、なんて韻を踏んだ英語題がついていて、アイロニーあふれる漢字字幕が随時挿入されるのだけど、要するに"ギョーカイ人"とその周辺の男女の恋愛群像劇であって、日本の舞台劇にアレンジしたって充分受ける内容。
 まあ日本人女性にはあまり見られないほどやいのやいのと叫びまくるボーイッシュな女社長と、その彼女に、愛されキャラでソツの無いお嬢さんぶりをなじられ困惑する"台湾のオードリー・ヘップバーン"チェン・シャンチー陳湘[王其]、結婚しても苦労させられるだけとはなっから解るような、殴りたいほどだらしなくロクでもないトホホ男どもの右往左往、を描いていて。
 nancixにとっては明石屋さんまと大竹しのぶなんかでリメイクしてもおかしくないなあ、ヒロインを巡る連中が宮本亜門のそっくりさんと、佐野史郎のそっくりさんと、大鶴義丹のそっくりさんと、松尾貴史のそっくりさんと、越前屋俵太のそっくりさんにしか見えないし、なんてふうにしか思えなかったのであった。
 これを日本の映画批評家が「都市部の若者たちが感じている伝統的な価値観と現代的な実利主義との葛藤を表している」なんつー小難しい言葉を駆使して絶賛し深読みするので、これだからアジア映画への一般女性の敷居が高くなるんだわ…と痛感したりもしたのだった。

 だって、常日頃トホホ男に手を焼いているOLやら自営業やらの女性が見たって、絶対苦笑いできるし女の友情についてわが身を振り返れるし、ギョーカイ人に憧れたって所詮は連中だってトホホ男に過ぎないんだよ、と教訓を得られるし……ってな気安いアプローチで、なぜ誰も紹介してくれなかったんだろう。

 台湾くんだりまでわざわざ出かけていってトレンディー恋愛群像劇を見る必要があったのだろうか、などと首をひねりながら、まあいいや次、とばかりに「アンディ・ラウの天と地/天與地」(94)上映館に移り、「しまったぁぁぁ、北京語吹き替えだぁぁぁ」と内心泣きながら映画館内を舞台にしたアンディ兄貴の派手なワイヤーアクションに口を開けて見とれ、何十回めかの(やっぱりどーしてもこーしてもこういう悲劇的な結末にしないとアンディ兄貴は気がすまんのかーーーい!)との内心の叫びを上げながら堪能したことであったよ。

 その年の秋、第7回東京国際映画祭・京都大会で、いちはやく「エドワード・ヤンの恋愛時代/獨立時代」が上映され、おなじみ宇田川幸洋せんせとエドワード・ヤンが上映後のティーチ・インに現れたのだった。
 「少年時代から、コミックを読むのも描くのも好きだった」と話していたエドワード・ヤン。確か映画製作のかたわら、コミック雑誌の編集長を務めていた時期があったはずだ。当時、開港したばかりだった関西国際空港に降り立った時、後の便で到着するはずの当時の妻でベテラン歌手のツァイ・チン蔡琴(トニー・レオンとは「地下情」で共演、「インファナル・アフェア」シリーズの挿入歌「被遺忘的時光」の歌い手)やスタッフを待つ間に、空港案内所で「宝塚市立手塚治虫記念館には車で何時間ぐらいで行けるのか?」と聞いていたというほどだ。
 彼の個人プロダクションは「アトム・フィルム/原子電影」と名付けられ、「エドワード・ヤンの恋愛時代」に登場するある人物は「アトムだいすき!」と日本語でプリントされたTシャツを着ていたりもした。「関空からは往復4時間はかかります」と案内嬢に言われ、その日の見学はあきらめたとのことだったが、その後宝塚に行ける機会はあったのだろうか。1995年8月には、蔡琴とも離婚したし……。

 するってぇと、エドワード・ヤン監督が神戸100年映画祭のゲストとして来神してくれたのは、 「カップルズ/麻将」(96)の完成後のことだったんだろうか。「さらば、わが愛〜覇王別姫」の日本公開前だったチェン・カイコー陳凱歌監督、長蛇の列ができた「ブエノスアイレス」撮影中だったクリストファー・ドイル杜可風に比べると地味な扱いだったけど、地元映画サークル所属の映画祭スタッフと、テルちゃんこと暉峻創三せんせとの計らいで、地元での映画祭の告知に少しだけ賛助できたnancixも、夜の古めかしいパブでの歓談会に参加させてもらったと記憶しているんだけど。それともあれはメイベル・チャン張婉[女亭]&アレックス・ロー羅啓鋭が来神した99年のことだったっけ? エドワード・ヤンとは、テルちゃんが「ちょっと飲みに行きますか」と数人だけを誘ってくれた時に同席したのかなあ。

 寡黙で、だけど店内に流れるジャズに耳を傾けながら、気だるい雰囲気に身を浸しているようなエドワード・ヤンだった。こちらも決して雄弁ではなくトツトツとしゃべるテルちゃん、英語のボキャブラリーに不自由なnancixでは、わっと盛り上がるまではいかなかったし、いくら手塚漫画の話をしたくても台湾題名と日本題名の対照表でもなければ会話にできないジレンマがあったりした。覚えているのは「音楽でいちばん好きなのはどんなものですか?」とnancixが聞くと「……ビートルズ」と答えたのが、やや意外だったことぐらいだ。てっきりビートルズ以前の、いわゆるオールディーズなのかと思っていたのだが…。
>>また長くなったけど続きを読む
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2007年06月03日

6月16日から上海国際映画祭開催

 香港國際電影節&香港電影金像奨領奨典禮に追いつけ追い越せで頑張っている、中国唯一の国家A級クラス国際映画祭「上海電影節」=上海国際映画祭&金爵賞、今年でついに第10回を迎えました。今年は6月16日〜24日に開催です。(公式サイト、むちゃくちゃ重くてなかなか表示されません。海外からの閲覧は当局の監視下にあるのか??)
 すでに映画祭参加が確定しているゲスト・スターは、王家衛と組んでのディオールCAPTUREのCM撮影もしたシャロン・ストーン、ドラマ「LOST」や映画「プライベート・ライアン」(98)で知られるカナダ生まれのネイサン・フィリオン
 母親が上海人のマギー・チョン張曼玉、ジェイと再会かアンソニー・ウォン黄秋生、いまやすっかりジョニー・トー一派のニック・チョン張家輝、シャーリーン・チョイ蔡卓妍、
 台湾のスー・チー舒淇、ジェイ・チョウ周杰倫、チャン・チェン張震、すっかり男っぽくなったチェン・ボーリン陳柏霖、
 韓国からは「王の男」「初雪の恋〜ヴァージン・スノー」の若手俳優のイ・ジュンギ李準基、ドラマ「イブのすべて」と中華圏映画「セブンソード/七剣」(05)でブレイクした女優のキム・ソヨン金素妍、
 日本からは「武士の一分」が参加ということで、「SAYURI」でも中華圏で注目の我らが桃井かおり姐さん(主人公役は呼ばれていない様子)、
 中国武侠ドラマで人気のホァン・シャオミン黄暁明、リウ・イエ劉[火華]、チェン・クン陳坤(彼はヴィッキー・チャオ趙薇と北京電影学院で同級生だったそう)、「墨攻」の紅一点で上海戯劇学院出身のファン・ビンビン范冰冰、「セブンソード/七剣」「門徒」(07)のチャン・ジンチュー張靜初、大ベテラン女優のスーチン・ガオワー斯琴高琴や「大地の子」の陸一心の妻役が懐かしいチァン・ウェンリー蒋[雨/文]麗、米中合作映画「紅美麗/Shanghai Red」(07)のヒロイン&製作プロデューサーも務めたヴィヴィアン・ウー郎君梅、
 という顔ぶれ。
 久しく中国映画関連のイベントに出席していなかったマギー・チョン、今回は回顧上映特集の対象になるそうで、これは出席しないわけにはいかないでしょうね。あああ、上映されるフィルムとマギー本人を、瞬間移動でそのまんま東京国立近代美術館フィルムセンターにさらって来たい! 金もヒマもコネもない単なる日本人ファンは指をくわえてせっかくの機会を傍観するしかなくて、辛いなぁ……(T_T)。

 今年から、カンヌやベルリン映画祭と同じく国際フィルムマーケット部門が設けられることになり、取引会場は中国映画と国際映画に分けられます。また中国映画撮影基地展(中国国内の撮影所紹介ってことかな)、共同撮影プロジェクトの商談コーナーも設置され、3ゾーン構成に。上海影視楽園で日本のドラマ「華麗なる一族」、横店影視城で映画「西遊記」、勝強影視基地で映画「魍魎の箱」を撮影したようなケースも、世界的にもっと増えるかもしれないわけね。

 73の国と地域から895作品が参加とのことで、誰が全作品を見られるんだか(^_^;) あっ犬童一心監督の「眉山─びざん─」もコンペ部門に参加してます。「蒼き狼」よりも興収的によかったと伝え聞く「バッテリー」や、のだめこと上野樹里主演の「幸福のスイッチ」、チン・シウトン程小東が参加した「どろろ」も「日本映画週間」(6月17日〜26日)で招待上映予定。この「日本映画週間」協賛企業募集の勧誘ページを見ると、1口1万元(約16万円)なんだそうで、うひゃー……。

 目玉となる中華圏の作品といえば、

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2007年05月15日

ユンファ、"友情出演"を否定

 【続報】 前後しますが、東方網経由での北京娯楽信報の報道によりますと、黄蓋役は、14日午後に中国の俳優・チャン・シャン張山が「赤壁」製作側との正式出演契約を成立させたそうです。何というか、綱渡り状態…。

 この張山という俳優は、CCCVこと中国中央電視台が4年かけて製作、日本でもNHK BSで放映されたことがあり、今ではDVD-BOXになっている1994年度テレビドラマ「三国志(原題:三國演義)」(全84話)で趙雲役を演じたことがあります。
 この「シネマルネサンス」のページで、趙雲に扮した張山の勇姿が拝めます。上から5番目、銀白色の鎧兜に身を包んだ方ですね。
 このヒトとトニーが示し合わせ、衆人の前で言い争い、トニーが激怒したフリして杖で百叩きする(させる?)のか〜〜。
 曹操の"潜入捜査官"にその姿を充分見せ付けておいて「こんな仕打ちをする周瑜には到底付いていけません。寝返ります」と黄蓋が一芝居打つのか〜(だからそれは「三国演義」のエピソードで、正史に基づく『赤壁』ではあるかどうか…?)
 でも孫堅の代から仕えた老将にしては、若く見えるような。あっでも94年のドラマだからこのときから13年経ってるのか。老けメイクすればおかしくないか。

 北京娯楽信報の記者は当初、「赤壁」広報担当の翁さんに問い合わせ、ユンファの「黄蓋」役での友情出演は「可能性大です。『パイレーツ・オブ・カリビアン3-ワールドエンド』の宣伝に香港を出発する前に、チョウ・ユンファが自ら製作サイドに連絡を入れて来て『黄蓋』役で復帰を、と申し入れてきた。しかし協議中で、まだ口約束の段階なので可能性は大であるとしか申し上げられない。劇中で400人以上の武将が登場するのですから、大スターがどこにゲスト出演してもおかしくありません」という証言を得ていたそうです。
 ところが、記者が原稿を書き上げた直後、突然張山が黄蓋役で出演とのニュースが飛び込んできた。すぐに張山のマネージメント会社の華映星國際傳媒集團の広報担当者に連絡を取ったところ「契約成立は事実。チョウ・ユンファがこの役を演じるかもしれないという話は全く知らなかった」との返答。「『赤壁』製作側が流した派手な宣伝なのかもしれません。しかし我々の手元には契約に合意したという証書があります。我々は今日の午後、正式な契約を交わしたのです」という話も聞けたということです。
 広報担当者も記者も、混乱の極みですね…。やれやれ。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
 
 やはりチョウ・ユンファご本人は否定されたそうです〜。
 今朝の香港「文匯報」サイトによりますと、同紙の記者がチョウ・ユンファ周潤發に電話連絡を取ろうとしましたが、もちろんチョウ・ユンファは「パイレーツ・オブ・カリビアン3/ワールドエンド」のプレミア上映に参加するため香港から米国に出発した後。しかし、アシスタントを通じて記者の問い合わせに返答をくれたそうです。
・「赤壁」に黄蓋役で友情出演する、という説については全く知らない。
・ユエン・ウーピン袁和平監督の「周瑜傳」なる映画の出演依頼を受けたという説についても、映画自体「聞いたことがない」。
 とのことで、やっぱりデマかーーーーっ!
 東方日報もユンファ側のアシスタントは否定した、と報じています。ただし「黄蓋」役はいったんは中国のある俳優に決まっていたが、ウー監督が面談して役に合わないと判断、配役発表を保留しているとも。そこからこんな話が出て来たんでしょうか?

 しかし一方、中国の東方網では午前0時半付けで
ユンファがジョン・ウー呉宇森に電話をかけて丁重に契約不成立の行き違いとそれに伴い多大な心労をかけたことを詫び、ギャラ無しでいいから何かお手伝いしたいと涙声で告げ、ジョン・ウーももちろん感動して熱い涙を流し、双方泣きながら和解し、ウー監督はすぐに復帰を快諾し、テレンス・チャンと検討して臨時に参加できる役として「黄蓋」役を選び、しかしこれらは口約束であって本契約成立ではないので、前回の騒ぎを教訓として、大々的に発表しないのだ…
と、まことしやかに伝えているのでした。
 うーーーーーん…香港と中国のメディアの温度差が気になります…。 それに1本の電話で復帰決定って、ジョン・ウー監督が語ったトニーのエピソードを真似て大げさにしたようなでっち上げ方?で、ほんっっっとにもう、何だかなあ…。
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2007年04月22日

お買い物ユンファと東西映画界事情

 とりあえず、突然長いオフタイムが取れてプレッシャーから解放された気分なのか、
 夜7時ごろ、灰色のスポーツウェアに身を包みスニーカーを履きキャップを被った、完全な"休日のパパ"スタイル(*^^*)で、ユンファ兄貴は一人でぶらぶらと香港の九龍城(かなり下町の住宅街)の市場に姿を現しました。
 彼は市場の常連客なので、各店舗の店主も一般市民も「發哥(ユンファ兄貴!)」と、気軽に呼びかけていたといいます。
買い物中ユンファ
 香港の街中でお買い物するチョウ・ユンファ周潤發兄貴。

 香港で見た「満城蓋帯黄金甲」では(……老けたなぁ…(T_T)でもよくぞここまで、自己チューで歪んだ心の帝王の役作りをしたなあ)と内心涙しつつ喝采したものですが、すっかり若返って見える…。

 香港市民は80%の敬意と20%の好奇心で、彼を眺めていたようですよ。中には市場に入る前のユンファ兄貴に、自分の携帯電話カメラをかざして「2ショット写真お願いします!」と頼む市民も。ユンファは笑顔で応え、自分でその市民の電話を手に取り、ふざけて自分を撮影したりしていたそう。
 また子どもが「サインくだしゃい」と頼むと、ユンファ兄貴は気さくに応え「勉強、頑張るんだぞ!」と子どもに言い聞かせてから、市場に入ったのでした。

 ユンファ兄貴はまずは魚屋に向かい、エビやカニ類を1袋買いました。店主が生きたカニを調理している間、彼は外の雑貨店にも入り、海鮮料理に使う調味料を調達。また顔馴染みの店主や常連客と冗談を言い合ったりして立ち話を続けたのでした。
 まだカニの調理が終わらないので、ユンファ兄貴は店の隣の惣菜屋台を覗き、店頭で調理中の各種の煮物や炒め物の香ばしい香りを嗅いでしばし楽しみました。そして1箱16香港ドルの惣菜を二種類選び、2箱で30ドルにしてもらってアツアツをお持ち帰り。代金を払う前に店主と値引きの掛け合いをしましたが、もちろん店主はユンファ兄貴が冗談半分で「まけてくれー」と頼んでいるのを解っていて、2箱に目一杯惣菜を詰めてやり、彼が自宅に帰ってゆっくりと食事できるように取り計らったのでした。
鼻くんくんユンファ

 ユンファ兄貴の食欲旺盛なこと、また街角でフランクに話しては笑っていたことで、取材陣は彼が最近の一連の騒動に少しも影響を受けず、人生を笑って楽しく過ごしていることを悟った、と書いてありますが、意識的なデモンストレーションなのでしょうか…? 明らかに芸能記者に尾行され撮影されているのに気づいてますが。

 そしてこの海鮮の手料理と惣菜、夫人と二人で食べたんでしょうか…?

 こんなフランクでゴーイング・マイ・ウェイで庶民的なユンファ兄貴が、なぜ「赤壁」契約に対して強硬になり一方的に悪者にされるハメになったのか…本当に合点がいかない(泣)。

 匿名スタッフが語ったという、契約条件のなかに「撮影現場ではウー監督と台詞担当者以外は一切、ユンファと口を利くな。違反した時はすぐに降板する」なんて条件が本当にあったのか誇張が過ぎるのか解りませんが、誰も口を利いてくれない、きけない職場なんて楽しいですか? よほど「満城蓋帯黄金甲」(日本公開予定)の撮影現場で何かあったんでしょうか。持ち前のサービス精神で冗談口を叩いたら現場に居合わせた誰かから漏れ、芸能記者がそれっとばかりに悪く書きたてたんでしょうか…?

 ところで、華商報の記者はハリウッドと中国映画の両方にまたがって仕事をしてきた、事情通の何人かに今回の件にちなんだインタビューを敢行しています。東西合作の現在がわかりちょっと興味深かったので、はしょってご紹介。

 インタビューされた一人は、懐かしの女優ヴィヴィアン・ウー郎君梅。「ラスト・エンペラー」で清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀から離れていく、泣きそうな顔の第二夫人を演じましたね。その後彼女は渡米して「ミュータント・ニンジャ・タートルズ3」「天と地と」(93)などに出た後、「ジョイ・ラック・クラブ」「宋家の三姉妹」(97)のような文芸作品にも出演。「宋家の三姉妹」以後、中国映画界での仕事に重点を置き始めたとのこと。最新作は29日から公開予定の米中合作映画「紅美麗/Shanghai Red」(07)で、ドラマ「デスペラートな妻たち」でヒロインの一人スーザンの元夫役を演じたリチャード・バージと、香港のケニー・B鍾鎭濤と共演。監督はOscar L. Costo。ヴィヴィアンはこの映画の製作プロデューサーも務めています。
ヴィヴィアン・ウーとリチャード・バージ

 ヴィヴィアンによると「紅美麗」もハリウッドスタイルで製作・撮影し、どのキャストもハリウッド俳優と同じ待遇だった、またハリウッドから上海にやって来たCosto監督も、撮影監督らも、撮影チームもハリウッドの標準的な映画撮影時と同じ扱いだったといいます。

 また記者はヴィヴィアンに紹介され、この作品の別のプロデューサー、台湾出身で現在は北京で仕事をしているスン・ワイクォン孫維均にも電話インタビューしています。
 ヴィヴィアン以上に業界に詳しい孫維均によると、俳優へのギャラの支払いは、ハリウッドでも出演契約を交わした後に、支払いを開始します。まずはギャラの2割を手付金とします。俳優が撮影を始めてから、またギャラの3割を支払います。撮影が峠を越し半分辺りまで撮り終わった時に、さらに3割を払います。撮影が無事に終了した後、最後の2割を支払うのです。
 もしもユンファ側が「ギャラを一括払いで、撮影開始前に支払ってくれ」と要求したとすれば「それはユンファ側の製作チームに対する不信の表れでしかない、普通は俳優がそのような要求をするはずがない」と孫維均は言うのです。映画撮影には莫大な資金が動きます。俳優が撮影前にそのような多額のギャラを取ってしまえば、映画撮影に大きな影響を及ぼすのです。

 またユンファが「満城蓋帯黄金甲」で、出資会社の北京新画面影業有限公司社長のチャン・ウェイピン張偉平プロデューサー(「HERO/英雄」でも製作総指揮したんですね…忘れてた)と組んだとき、張偉平はユンファが宿泊地(ホテル)を出発した時間からを就業時間としてギャラ請求したことに、とても不満を抱いたと報じられています。
張偉平と張藝謀
 長年の盟友、チャン・イーモウ張藝謀監督と、病院薬剤師から不動産投資や航空、食品業などで成功し、映画製作に転じた経歴を持つ張偉平です。

 孫維均が記者に説明したところによると、ハリウッド基準では、俳優の1日の就業時間は8時間が標準で、また週休2日制なのだそうです。しかし一般的に言って、この俳優の「就業時間」は楽屋やメイクルームに入ってからで計算されます。宿泊地から計算し始めるのは、不合理といえないだろうかと、記者は疑念を明らかにしています。
 トニーとマギー・チャン張曼玉が「HERO/英雄」撮影で、ロケ地まで自転車で仲よく"通勤"していた時間は、まさか就業時間とはいえないでしょう…。もしも俳優の宿泊地がスタジオやロケ現場から車で2時間離れているなら、その移動中の2時間まで就業時間に含められるものなのでしょうか?
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posted by nancix at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月19日

トニーは「赤壁」周瑜、ユンファは孫文に?

 今朝の香港・台湾ニュースサイトでも、トニー・レオン梁朝偉が改めて「赤壁」に加わることが報道されました。
 「周瑜役」と断言するところもあれば、台湾「総合新聞網」のようにトニーのマネージメント事務所の澤東公司は「トニーはじっくりと脚本を読み、それから役柄についてジョン・ウーと討論する」と言っているところも。

 そして奇妙なことに、本来は金城武が演じると発表されていた映画「孫中山」の孫文役を、突然チョウ・ユンファが演じることになると、台灣電影基金會のチュウ・フウション邱復生董事長(かつては「悲情城市」の製作者)が発表したところによると、この作品で孫文を演じるには大量の英語台詞を話さなければならず、ハリウッドでも実績を築いてきたユンファが適任だし、最も重要なのはユンファのまなざしが、孫文のものとそっくりなことだ、と言うのですが…??
 nancixは孫文さんとゆかりの深い神戸生まれの神戸育ちで、地元紙などで写真も幾つか拝見していますが、同じくっきり二重まぶたでも、ユンファ兄貴のいかにも南方中国人のパッチリまなこと、孫文さんの、夏目漱石を連想させる文人の奥深いまなざしは、あまり合致しませんが…。
 あまりのタイミングのよさに、記者が邱復生に「ユンファは孫文を演じるために、周瑜役を降りたのか?」と問い質すと、彼はこの映画がまだ準備中であるため、キャスティングに影響を与えないために詳細は語りたがらなかった、とのことです。

 さて、かつては米国留学中の大学生の身ながら、夏休みにジョン・ウーのもとで映画のタイロケの下働きを務め、映画界入りのきっかけを作り、
 なおかつUFO電影人製作有限公司で活躍時には、チョウ・ユンファ主演作として「裏街の聖者」製作を企画し、米国から香港映画界に戻ってからも小説「待ち暮らし」の映画化をユンファ主演でと企画していたピーター・チャン陳可辛監督は、ユンファの降板&ジョン・ウー呉宇森との決裂のニュースに大変ショックを受けています。
 ピーターさんのハリウッド進出に大いに貢献し、「ウインターソング」も共に創った米国人プロデューサーのアンドレ・モーガン氏と共に、台湾で新会社「發行拳發行國際有限公司」(東西のメインストリームの映画を配給する会社だそうで、「TAXI4」の台湾配給も手がけるとのこと)を設立したピーターさん(また会社作ったのかー!)。「赤壁」をユンファがギャラ問題と脚本の遅れを不服として降板したと聞かされ、大いに震撼したそう。
 俳優が早くからシナリオに目を通すことと、それに関連して待遇に対する要求を提出するのはごく当然のことであり、誰が誰に対して間違っていたかではない、要するにコミュニケーション不足がもたらした悲劇だと、ピーターさんは言うのです。
「(自分の最新作の)『投名状』を例にとれば、昨年12月1日にクランクインしたときはただシノプシスがあるだけで、今年の撮影終了の3日前まで、完全な脚本はなかった。3大国際ビッグスターを起用することは自分にとってとても大きな挑戦で、幸いに自分自身は独裁的な監督ではない、充分にスターと公平に接したので、とても順調に撮影が進んだ。みんな視点は異なるもので、自分が3人のスターのうち1人とコミュニケーションを取る時は、絶対に傍に来てもらって面と向き合い、じっくりと話し合った。そうでなければスタジオ内で(他人を介さずに本人同士で)互いに携帯電話(レシーバーかもしれません)でコミュニケーションを取ったよ」。
 「ジェット・リー李連杰と交わした出演契約も、ハリウッドクラスだよ。多くのビッグ・スターの契約項目は、100を超えるものなんだ。ジョン・ウーもチョウ・ユンファも、映画界で最も紳士的な監督と俳優だと僕には思えるのに。こんなに反目するなんて、これでは"相討ち"になってしまう。本当に残念だよ。実際には何があったのか、僕には本当に解らないよ」。
 また、ピーターさんはどの俳優も当然自分の役柄について主観と考えがあり、彼は監督はそれぞれの役柄のバランスを取るもので、それが映画のクランクイン時には俳優に完成脚本を渡せない原因だと言います。「投名状」撮影当時、彼は常にその日の撮影終了時に、俳優が素晴らしい演技をしたと感じ、帰宅後再びその日の演技を元に脚本を書き換えた、そのために完成脚本は撮影終了3日前にやっと出来上がったといいます。


 ええですから世界中を飛び回ってるおイソガシ屋のピーターさん、どうかサンドラとも東西各国の映画人とも仲よく、穏やかに付き合って、短気を起こさず頑張るんですよー!

 ところで、仕事しながら昨夜〜今朝飛ばし読みした中華圏ニュースを思い返してつらつら考えるに。
 一見、ユンファ降板劇に寄せてジョン・ウー支持を表明するかに思えた、4月18日の中影集団公司の声明文と、橙天艾迴公司が出した声明文が、にわかに重要なもののように思われてきました。
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posted by nancix at 07:54| Comment(2) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

再び参戦! トニーが周瑜に!!

 ……やはり今夜も……寝られそうにないよ……トニー…(T_T)

 北京晨報に、出ました。「梁朝偉火線回帰《赤壁》 前諸葛亮改行扮周瑜」。
 "トニー・レオン、「赤壁」最前線に復帰 以前の諸葛亮孔明、転職して周瑜に"てな見出しですね。

 新浪娯楽では、「梁朝偉回赤壁救駕 暫定接替發哥演“周瑜”」。
 "トニー・レオンが戻って赤壁を救わんと操縦する 暫定的にユンファに替わって周瑜を演じる"とでも訳しましょうか。

 北京晨報の楊蓮潔記者は、周瑜諸葛亮(孔明)の宿命の逸話を踏まえつつ
「紀元210年、長い嘆息の後に"天はこの世に周瑜を生みながら、なぜ諸葛亮をも生んだのだ!"と一言残して、東呉における最高の美男子と称された周瑜が巴丘(現在の湖南省岳陽市一帯)で、血を吐いて亡くなった。現代では、カンヌ影帝トニー・レオンが諸葛亮を"投げ打って"、毅然として周瑜を選択することを決めた。昨晩7時(北京時間)、「赤壁」制作プロデューサーが各メディアに声明した。チョウ・ユンファの代わりに出演し周瑜を演じる人物が確定した。まさに先日、諸葛亮役を辞退したばかりのトニー・レオンであると。周公瑾(周瑜の字=あざな)は1000年以上後に、1作の映画を通じて宿敵の諸葛亮に打ち勝ったのだ、もって瞑目すべし」
と記事を始めています。

(中略) 中影集団が昨日発表したのは、後継者の俳優はチョウ・ユンファよりも若く、演技は素晴らしく、国際知名度もユンファに劣らないということだった……結果はぐるりと一回りして、ジョン・ウーは馬上から槍の一突きで殺し、先ほど出演を辞退したトニー・レオンを招き周瑜を演じさせることにしたのだった。「赤壁」のプロデューサー、テレンス・チャン張家振は昨晩発表した。「トニー・レオン氏と連絡した後、トニー・レオン氏はジョン・ウー呉宇森監督との20年以上の友情に基づき、またチョウ・ユンファ周潤發がキャストから抜けたことを見て、「赤壁」は中国映画史上これほど期待されている作品であるから撮り続けなければならないと痛感した。そこでジョン・ウー監督が、彼にチームに戻ってほしいと懇願した時に、彼は一言で承諾したのだ」

 記者がトニーのマネージメント事務所に確かめたところ、ジョン・ウーの招請を受けて、香港で王家衛の「一代宗師」の準備をしていた(え? 王家衛はまだカンヌ映画祭関連で忙殺されているはず…トニーは金像奨出席だし)トニーは、急いで北京に飛び、特別に「赤壁」の契約を結んだ。ジョン・ウーがかつて言ったようには、「赤壁」の周瑜はもうチョウ・ユンファに属さない。バトンを渡されたトニーはイメージ上、ユンファと相当違っている。しかしテレンス・チャンは「トニー・レオンの容姿はもちろん、彼が演技上で形作れる空間はとても大きい。トニー・レオン版の周瑜はきっと、大きな驚きと喜びを観客に与えるだろうことを信じている」と表明している。

 というわけで記者は了解した。「赤壁」の中の周瑜の役回りはとても重要で、決して金城武の演じる諸葛亮孔明よりも目立たないことはないと。

 トニー・レオンが周瑜を演じるにあたり、第一の難問は身長だ。「三国志・周瑜伝」の中に記載されている「背が高く容姿が壮麗」「身長七尺七寸」などによると、現在の180cmぐらいはあったはずだ。トニーの身長は古代の周瑜に比べて追いつかず、身長174cmの小喬役の林志玲と一緒のシーンでは、ハイヒールを履かなければならないだろう。
 第二の難問は、台詞をそらんじることだ。記者は理解しているが、「赤壁」の中の周瑜のファーストシーンは遅くても5月中旬に撮影開始になる。たとえトニーが昨日、最終稿の脚本を受け取ったとしても、1ヶ月足らずの時間で周瑜の台詞と演技を熟悉しなければならない。トニーの役作りに対する真剣さは映画界でも知られているところで、今年のゴールデンウイーク(中華圏の)にはトニーは休暇を取ることができないと看た。


 ゴールデンウイークどころか…トニーは、いやトニー&金城武ほかの皆さんは、これから半年以上、大変な苦労を強いられるですよ(T_T)
 身長のことは、言わないでやってよぉぉぉ! 林志玲とのシーンは、トニーが台に乗ってチーリンが裸足になって、足元を映さなければいいだけの話よー!

 さて、新浪娯楽の記事は…。
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posted by nancix at 03:37| Comment(0) | TrackBack(1) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月30日

マギーは"南京モノ"映画に出演せず…

 はー、やれやれ。やっとマギー・チョン張曼玉本人のコメントらしきものが各紙に出ましたよ。
 「大紀元(epochtimes.com)
 「新華網
 「北京新浪網」などなど。
華のように微笑むマギー・チョン張曼玉

 マギーはやはり、陸川監督の「南京、南京」及び、スタンリー・トン唐季禮監督の「日記」という、中華圏における2大?南京事件70周年モノ映画の出演は辞退したそうです。「南京、南京」のシナリオは確かにマネージャーから受け取って目を通し、陸川監督や唐季禮監督とは積極的にやり取りをしてみたものの、最終的には出演する気にはなれず、とのこと。陸川監督は、女教師役をマギーに、女教師と恋仲?の軍士官役をトニーに、出演依頼していたようなんですけどねえ…。
 ただしジャ・ジャンクー賈樟柯監督の叙事詩映画「雙雄會」は彼女のお眼鏡にかない、出演を決めたそう。おっとその前に、何とツァイ・ミンリャン蔡明亮監督+ルーブル美術館の合作「莎樂美(たぶん、サロメ?)」もしくは「臉」のヒロイン役で出演する予定だとか。ロケはパリで行われる予定。共演はトニーではなく、もはやツァイ・ミンリャンの分身とも言えるリー・カンション李康生です。

 カンヌ映画祭で最優秀女優賞を獲得した「クリーン」(04)以来、スクリーンから遠ざかっていたマギーですが、「クリーン」以後、出演依頼のあった作品の脚本はなんと40数冊にも及ぶとか。彼女の役柄とストーリーに対する要求はますます苛烈になり、どんな類型的な役でも嫌がるわけではないけれど、自分の心を揺り動かすような物語や役でなければ、むしろ平穏なオフタイムを楽しんでいたいそうで。キモチはわかりますよ、ええ。
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posted by nancix at 23:46| Comment(1) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月15日

いったい三国志映画ブームはどうなって…

 いったい"三国志映画ブーム"は今後どうなってしまうんだろう、尻つぼみか?と心配になってしまった「三国志:龍的復活」改め「三國之見龍卸甲」からのアンディ・ラウ劉徳華降板の知らせ。

 かつては、ジョン・ウー呉宇森監督がユンファに加えアンディ&トニーの「赤壁」出演を熱望しているともっぱらの評判だったというのに、
 アンディは男一匹わが道を行く!とばかりに2006年10月15日に韓国・釜山電影節の機会を借りて、ダニエル・リー李仁港監督と組んでの「三国志:龍的復活」製作記者会見を敢行、
 そして現在では「三國之見龍卸甲」としてポスターまで出来上がっているというのに、
 ここにきて"アンディ・ラウ降板か?"っていうのは、どーしたことなんでしょう。
幻に終わるか?趙子龍アンディ

 14日の東方日報の記事を見て以来、反論や記事を笑い飛ばす、打ち消すような関係者の談話は出ないものかとネットサーフィンしてきましたが、どうも思わしくない。

 とりあえずアンディの映画会社(Focus Film?)の担当者は「我々が答えるべき話ではありません」と電話取材を拒否。うろたえているともっぱらの噂のダニエル・リー監督ご本人は、電話取材に対して「いま、私はすでに敦煌にいて、撮影準備を急いでいるところだ。ただの噂だろう? 仕事は順調、いまの段階で言えるのはこれだけ」でガチャン。

 そもそもこの「三国志」を題材にした映画は、中国・韓国(「王の男」「タイフーン」のCJエンターテインメント)共同で2500万米国ドル=約29億3000万円を投資(日本からの出資も有りとも)して、ダニエル・リー監督が幼い頃、文人だった亡き父が寝る前に枕元で語ってくれた三国志への思いが忘れ難く、2時間の映画にすることを目標に、「三国演義」を現代的に解読し新解釈を加えたという小説「三國之見龍卸甲」を書き下ろし、それを原作として蜀の国の大将軍・槍の名手の趙子龍(趙雲とも)の伝奇的な一生を中心に据えて描くという企画でした。

 アンディ自身も、子どもの頃から「三国演義」の漫画版を読んで育ち、文武両道の豪胆な趙子龍を演じることが長年の念願だったと大乗り気だった…自らの会社Focus Filmで製作を決めた、と記憶しているのです。

 当初は今年3月8日に敦煌でロケ開始、のはずだったのですが…。
 はて、アンディ本人はピーター・チャン陳可辛監督作品「刺馬」改め「投名状」の上海での撮影、ついこないだ終わったばかりですよねえ?  撮影は終わっても、アフレコ(録音)作業などがあるかもしれないし…。
 ダニエル・リー監督は4月1日から敦煌で撮影開始、アンディも6月から北京で「三國之見龍卸甲」の撮影に入る、とも読みましたが、ここに来て……。

 たとえば今回の降板騒動を伝える新華網の記事では
・ジョン・ウー作品「赤壁」と題材的にぶつかるため「三國之見龍卸甲」の投資者が(「赤壁」を上回るヒットを狙えるか)自信不足な上に(各国への配給権販売などでの)資金集めも難しい
・中国のリー・シャオホン李少紅監督が「青龍偃月刀」、香港のメイベル・チャン張婉[女亭]監督も女性的視点で「三國演義之紅[王久]瑰與白[王久]瑰」を企画する(年末にはジョウ・シュン周迅出演でクランクイン予定)など、三国志モノの濫作で観客にうんざり感を与える
・いくら2500万米国ドルの資金の大作と言っても「赤壁」の7500万米国ドルにはかなわず、ショボいイメージになってしまう。もちろんチョウ・ユンファ、金城武、林志玲、張震といった豪華な顔ぶれを揃えた「赤壁」に、たとえアンディ・ラウという金看板があってもかなうわけがない、「赤壁」は世界規模での公開を狙っており、そこまでの規模にはなりそうもない「三國之見龍卸甲」が頼みとするアジアマーケットだって「赤壁」に席巻されること間違いない。こうした情況では投資側が二の足を踏んでも致し方ない…ましてやアンディが降板しても…。
 なんて分析しております。

 いやそんなの、ずっと前から解っていながら、それでもあえて智恵と勇気と工夫でハリウッド後押しの大作「赤壁」に挑むんだって話だと思ってた…(唖然呆然)。

 この映画製作の夢を、14年も追って来たというダニエル・リー監督、無期延期なんてことになれば、さぞやご心痛でありましょう。
 アンディ、頼むからこの映画の代わりに、もう一つのトレンド(?)南京大虐殺を題材とした映画に出る、なんてことにはしないでくれい…(ーー;)。日本人として忸怩たる思いがあるんだからさ……出ないよね? ね?ね?

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posted by nancix at 23:58| Comment(2) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月07日

王家衛は關錦鵬と台湾青春映画製作

 トニー・レオン梁朝偉降板のニュースを聞いて、すわっっ王家衛が香港に戻って即興映画を撮影するんじゃ?と冗談のつもりで書いたりしましたが、
 実はホントに4月には、王家衛率いるジェット・トーンフィルム澤東電影公司が、初めての台湾映画製作に入るそうです。

 タイトルは「[泪少][泪少](Miao Miao)」
 猫の鳴き声みたいだ(^_^;)
 プロデューサーは香港・台湾共に人脈のあるスタンリー・クワン關錦鵬が務めます。
 主演は「サウンド・オブ・カラー/地下鐵」(03)でトニー・レオンらと共演した、ファン・チーウェイ范植偉。地下鉄天使として、様々な場面に登場するあの青年です。最近は、英語名がViterとなっている。ヴィター・ファンでいいんだろうか?
トニーとファン・チィワイ
 ↑「地下鐵」公開当時の范植偉クンと、トニー。

地下鉄天使の范植偉クン
 ↑「地下鐵」劇中の、クリスマスのショッピングモールでキャンディを配るサンドイッチマン、実は"地下鉄天使"姿になった范植偉クン。
 さあ思い出すんだ、「地下鐵」を見た皆さん!

 「最愛の夏」(99)で映画デビュー、「きらめきの季節/美麗時光」(01)を経て「地下鐵」の映画及び舞台劇に出演し、F4揃い踏みドラマとして知られる「部屋(うち)においでよ〜Come To My Place〜」の塩村ミキオ役など、ドラマ出演を活動の中心に据える。

 台湾の有名作家白先勇の同名小説を原作にした中国ドラマ「玉卿嫂」に昨年出演した後、ファン・チーウェイはいったん故郷の竹東に戻り、ビリヤード店を開いて経営に専念していたそうで。道理で全然、映画やドラマ出演の話を聞かないと思ったわ…。まだジェット・トーンとマネージメント契約をしていたのね。

「一年之初」ポスター そして台湾の女優、ケー・ジァヤン柯佳[女燕]。2006年の「一年之初/Do Over」という映画でスクリーン・デビューを飾っています。この作品は昨年の第19回東京国際映画祭アジアの風部門では「一年の初め」という邦題で上映されています。ティーチインには彼女も参加したんですね。
 もともとは幼稚園の先生をしていて、彼女の抜きん出た美貌に台北メトロの同じ車両に乗り合わせた業界人が驚愕、スカウトしてCMやミュージックビデオに出演するようになったとか。ジェイ・チョウ周杰倫のMV「楓」にも、ジェイの親友の恋人として登場しています。
 「[泪少][泪少]」が映画第2作目。何だか中学生(日本でいう高校生)時代に2歳上の初恋の男性と衝動的に結婚手続きを取り、激怒した父親は1年、彼女と口を利かなかった、芸能界デビューしたために結局は20歳で離婚せざるを得なかった…なんて過去も暴露されています。

 映画の内容は、2人の中学高等科の女生徒の物語。この二人は擬似同性愛関係にあるのかな? しかし1人の女生徒は、いつもビリヤード店にたむろしていて、ギターを弾き音楽好きな、どこか虚無的ムードを漂わせる若者を好きになってしまい…という、ライトコメディー?らしい。
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2007年02月20日

劉徳華主演「三國之見龍卸甲」にネット有名人出演

 ジョン・ウー呉宇森監督の「赤壁」もさることながら、アレはどうなってるの?と気にかかっておりました。
 そう、アレです。アンディ・ラウ劉徳華が旧友のダニエル・リー李仁港監督と組んで、ジョン・ウー+国際スター組にまっこうから立ち向かう…もとい、製作する「三国志:龍的復活」改め「三國之見龍卸甲」です。
アンディ三國志ポスター

 英語題は「Three Kingdoms-Resurrection of the Dragon」。
英題アンディ三國志ポスター
 おおっかっこいーーい。

 2006年10月15日に韓国・釜山で製作記者会見して以来、どうなってるんだろうなあ、タフなアンディ兄貴もさすがに「門徒」を撮影しながら「墨攻」プロモで来日したりして大変だもんなあ…と心配していたら、どしどし製作を進めて、この3月8日にクランクイン、敦煌での風景撮影は5月8日に終わらせ、6月に北京でアンディ兄貴が撮影開始、2008年3月1日に公開……、とまで具体的な予定を立てているらしい。ポスターも上記の2種類を発表済み。

 さすがはスーパープロデューサー様だ、仕事が早い!
 出資は中国+韓国となり、総投資額は2500万米国ドルに達したとか。
 
 で、出演者なんですけど。
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2007年02月04日

この非常時に愛など…「墨攻」

 公開2日目の日曜夜なのに、「日立世界ふしぎ発見!」で取り上げてくれた翌日なのに「墨攻」観客は20人足らず…。
 神戸の観客〜〜。「どろろ」見るよりこっち見ようよーー!
「墨攻」中国版DVDジャケット

 嘆きつつも、面白く興味深く見ましたですよ。
 告白いたしますと、nancixはかつて「ビッグコミック」よりも「ビッグコミックスピリッツ」派でありまして、ビッグコミックでの「墨攻」連載時は「画力のあるヒトだなあ、描き分け上手いなあ」と感心しながら立ち読みしてたんですが(買えよ)、何しろ週刊だとなかなか話が進まない。
 しかも泥臭いかクセのある人物ばかりで、ちっとも爽やかな王子様だとか、すらりとした美青年だとか、美少年小姓だとかが活躍しない。
 主人公が澄んだ眼をした"ヒゲのおっさん"で、見た目はちっとも強そうじゃないのに超人的な跳躍や五感をフルに駆使して智略で活躍するのがミソ、と解ってはいたんですが、やはりオンナとしては美形に弱く。
 単行本で一気に読もう、よもうと思いながら月日がいたずらに流れてしまったことでした。

 かつて「北朝鮮で大軍勢のモブシーンを撮影する、北朝鮮軍部も全面的協力を約束してくれたよ」と嬉しげにジェイコブ・"ラヴリー"・チョン張之亮監督が語っていたのも、おそらくはこの「墨攻」のことだったんでしょうね。
 「北朝鮮だけは関わるのやめとけーー! 拉致軟禁されて将軍様の偉大さを称えるアクション映画を作らされたらどーするんだ! 朝鮮戦争での将軍様の尊父の大活躍を描く映画を作らされたら! 奥さんと娘さんと双子の息子さんがどれだけ心配するかーー!」と叫んだものでした…。

 結局、北朝鮮の代わり(というわけじゃないけど)に、ブイブイ言わせている韓国企業が出資してくれて、アン・ソンギ安聖基とアンディ夢の競演が実現して、この上もなくうれしいよん。
 若者向け韓国映画「デュエリスト」では、あまりにコミカルな演技をさせられていて(おいたわしや…アン・ソンギともあろう名優が…)と内心ハラハラと涙をこぼしたものですが、今回は渋い!
 いつかはアン・ソンギと緒形拳とチョウ・ユンファが異なる立場に立ちながら、熱い男の友情の絆を結ぶアジア合作映画を創ってほしいよ…と密かに願っているのですが、どーでしょうか井関惺(さとる)プロデューサー!

 妄想はこのへんにしておいて、映画の話。
 荒れた大地で、振り向く寂しそうな幼女に「隠れているのよ、絶対に出ちゃダメ…」と別の少女の声が響く、ちょっと謎めいた冒頭から、すでに「どろろ」とは異なり”映画だぁー!”と引き込まれます。
 
 革離って、北京語ではクーリーって発音するんですね。
 頭の中で勝手に「苦力」って誤変換するので、困りました。
 粗末な麻衣、粗末な靴(ブーツ?)に厩舎の藁くっつけたまま宮廷で梁国王に謁見する姿は、まさに「苦力」でしたけどね。

 その革離は、軍師として諸国に頼られている墨家の一員であり、なぜか墨家のグループではなく単身で、大国・趙の軍勢に蹂躙される危機を迎えた小国・梁の城にやって来る。

 趙といえば、「HERO 英雄」の残剣さまと飛雪の出身国であり、まもなく秦帝国に滅ぼされる運命にあるあの国でありますよ。映画「墨攻」ではまだ大国として権勢を誇っていて、燕国への侵攻を目論んで10万人の大軍勢を送り出したわけですが。
 燕国と趙国との境にあるのが、小国・梁なんですね。

 「HERO 英雄」中国語原作本では、軍師として趙国王に秦に立ち向かう軍略を説いた青年残剣さまに、ヘタレ趙国王が従わず、城を出た残剣さまが血の涙を流して咆哮し、一刺客となる経緯が描かれていましたっけ。
 一刺客となった残剣さまが、実の両親及び趙国民の復讐を目指す無名に、そして無名を通じて間接的に秦王に説いた「天下(を思え)」というのも、墨家が説いたという「非攻」「兼愛」の精神に近かったのでしょうか…?
 いやしかし、「大国の強大な統率者が天下統一してこそ戦乱の世を終わらせることができ、民の心を安らかにできる」という考えは、墨家の「非攻」の正反対の考えなのか。超人的な力を身につけた残剣さまには、凡人を統率したり弾圧したり政治的術策を謀ったりなんて面倒なこと、できないもんなあ。

 浦川とめさんも書いているパンフレットを読んで、いろいろ考えさせられました。

 後の趙国王がヘタレなら、「墨攻」の梁国王(ワン・チーウェン王志文)も祖国存亡の危機だというのに美姫をはべらせて酒宴にふけるばかりのヘタレ。確か、老獪な重臣の司徒(ウー・マ午馬)の勧めでだったか、あっさりと趙に「降伏する」と伝える親書を送ったと思う。なんせ10万人の大軍勢に対し、梁国は全住民足しても4千人…。
 梁適王子と牛子張将軍(チン・シウホウ銭小豪)だけが、危機感を露わにします。国王直属近衛兵の騎馬隊を率いるオスカル…じゃなくて女戦士の逸悦(ファン・ビンビン)もです。
 …って、おおっ! さすがはラヴリー・ジェイコブ。ちゃんと香港から昔なじみのチン・シウホウ銭小豪を起用しているではないですか。
 銭小豪、銭嘉楽(チン・カーロッ)兄弟といえば、幼時から武術を学び、80年代から90年代にかけて主演級のアクションスター兼アクション指導者としてならした兄弟。兄の方がすっきりと整った容貌で、女性にモテモテでスピード感溢れるアクションやカースタントを魅せてくれていましたよ。「セブンスカース・七番目の呪い/原振侠與衛斯理」(86)ではチョウ・ユンファ演じるウェスリー衛斯理の助手・原振侠の役とはいえ、実質的には主役として大活躍でした。懐かしいなあ。ジェイコブ・チョン監督とは監督の作品「玩命雙雄/Goodbye Hero」(90)で、身体障害者になってしまった元スタントマン役を演じて以来の縁なのかなあ。イー・トンシン爾冬陞監督とは縁が深いようだけど、アンディとは共演したことあっただろーか?

 そして名バイプレイヤーとして、台湾と香港で活躍したウー・マ午馬さん。「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」シリーズで人気を呼んだら、さっそく台湾でモドキ映画を製作し出演してたっけ。監督・映画製作者としてもベテランです。最近あまり見かけなかっただけに、何もかも、懐かしい…。

 梁適王子に侮られ「墨家に送ったはずのナントカ玉を持っていない」と疑われ、厩舎にしか泊めてもらえない革離。平気のへいざで飼い葉桶に藁を詰め込み、寝台にしてさっさと寝てしまいます。……ん? 飼い葉桶? まさか救世主イエス・キリストになっちまうのでは…?
 なりませんでした。しかし趙国の先遣隊を率いる高賀用隊長(将軍?)の出鼻を、逆光で放った1本の矢でくじき、弓隊の一兵卒・子団(ニッキー・ウー…っていうかウー・チーロン呉奇隆)の信望を得て、国王に要望してついには戦略に関する全権を得ることができました。
 ……さすがは元アイドルトリオ・小虎隊のニッキー。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのレゴラス王子ばりの気品と凛々しさで、戦場に咲いた一輪の花と化します。
 …花と思ったのはnancixだけか?

 革離は巧みな演説で国民の危機感を煽り、老若男女に囚人まで大動員して、食糧や物資をかき集めます。一兵卒の子団の抜擢に気を悪くし、弓の腕勝負を挑む梁適王子は、さすがに「宮廷女官 チャングムの誓い」でラスト近くにミン・ジョンホとの弓勝負を挑んだ"王様"晋城大君と同じ国の人…。いやいや。
 
 マクダラのマリアならぬ逸悦に付きまとわれ、困惑するストイックぶりは、いつものアンディ映画のノリですな。どうも逸悦の甲高い声が耳障りで、柴崎コウと声だけトレードしたかったです。
>>ややネタばれだが続きを読む
posted by nancix at 23:03| Comment(7) | TrackBack(2) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「どろろ」「墨攻」ハシゴ〜!

 今朝は初めて、漢字検定試験二級と準二級を受検して来ました。
 社会人になってしまうと、なかなか「試験勉強」「試験」って味わえないものだしね。
 案の定、弱点だと思ってきた部首はボロボロだし、久々の「試験」にすっかり惑乱して「蚊」を「虫交」「撤去」を「徹去」「諮問」を「詔問」と書いてしまうし、
 さんざんでした…(--;)
 2級は200点満点で175点、準2級は185点は取れたと思うんだけど、どうかなあ?

 とにかく午後から映画鑑賞、晴れて解禁です!
 まずはミント神戸で「どろろ」鑑賞。
 うへ〜っ、前売券持ってシネコンの長い列に並んでならんで、ぎりぎり座席指定券にありつけた、満席でした!

 映画自体は…。
 確かにニュージーランドロケだけあって、タイヤ跡など少しもない広大な荒野、雄大な山脈、断崖絶壁には事欠きません。
 賢帝暦○○年、と架空の時代の架空の国の話ですから、「南総里見八犬伝」よりもさらにさらに自由に設定できるはず。

 しかーし。
 
 赤と黒の旗印のもと、激突する歩兵たちは「赤と黒のエクスタシー」がキャッチコピーだった某角川映画から借りてきたようにしか見えなかったし。
 黄色い落葉ハラハラ舞い散る中で、空中戦? アレ?
 クライマックスの対決で、和太鼓ドンドコドンドン? あれれ?
 
 さすがは、パクリドラマ「無間輪舞曲」を東アジアに売ったTBS製作の映画だ……。

 まあ今回は大御所チン・シウトン程小東をアクション指導に迎えて「パクリじゃないもん、ちゃんとギャラ払ってるもん」と言い訳できるよね(爆)。

 でもチン・シウトン先生、「満城蓋尽黄金甲」ではあんなにたくさんお気に入りの忍者を出せたのに、ご本家日本映画ではたった二人しか出させてもらえなくて、しかも弱っちくアクション付けさせられて、ご不満じゃなかったかと(^-^;
 母の遺言と、戦乱の世に放り出された孤児の少女…「宮廷女官チャングムの誓い」? 「功名が辻」の千代? あっこれは手塚治虫大先生の方が先か。

 予想外に柴崎コウが、野太い腕白そのものの声を出して、頑張って踏ん張って突っ張っていたんですが…。

 やはり中井貴一と、貴一っつぁんの息子役がピッタリな汎アジア顔の瑛太と、原田美枝子が現れると世界が変わるんだよね…ちゃんと手塚映画になる。
 義理の父・寿海役の原田芳雄はそのまんまチャン・イーモウ張藝謀の映画に出しても恥ずかしくない存在感だし、琵琶法師の中村嘉葎雄は「HERO 英雄」の盲目の琴弾きと見間違うばかりでありましたよ。

 妻夫木クン、止めのポーズは頑張ってクールにカッコよく決めているんだけど、やはりアクションの素養がないとこうなっちゃうか…。
 いいところはほとんど中国スタントチームが巧みに入れ替わってまして。
 何より、ウォーターボーイ・妻夫木クンの「隣のお兄ちゃん」的な親しみやすさは、テレビドラマサイズの画面なら映えるんだけど、スクリーンでは物足りない。「涙そうそう」で長澤まさみに「ニイニーィ(おにいちゃーん)」と甘えられ頼られてる方が、断然似合った。
 百鬼丸って、どんなに設定年齢が若くても(原作では14歳??)、ものすごい屈託を抱え、世の中を斜に構えて見てしまう昏さが必要だと思うのです。
 育ての親しか知らない、実の親に捨てられたらしい、生まれながらのハンディキャップを抱えて戦乱の世のどこにも居場所がなく、流浪しているという条件からしても。
 松田"悪夢探偵"龍平ほどの根っからのドス暗さでなくても、もうちょっと翳りと少年っぽさを兼ね備えた若手俳優ならなあ…。
 せめて、トニーさんみたいに減量して、頬をもう少しこけさせてくれれば…。

 何が「世界に通用する映画」じゃないなあと感じたって、やっぱり妖怪ですよ。
 クリーチャーのマンガチックさですよ。
 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの、キリスト教の悪魔やドラゴンをイメージしたと思われる魔物オークやウルク=ハイやバルログ達があれだけ、恐ろしくも生身では到底かないそうもなく食われそうなほど怖くて強そうだったからこそ、迫力があったわけで。
 それが、胎児ふうのあやかしは(…ギャグ漫画ですか?)だし、桜魔人は能面そのまんま大樹にくっつけたシロモノだし、大山椒魚は爬虫類系だからってウルトラマンシリーズに出てきそうな造型だし、カラス天狗は……特撮ドラマ「仮面の忍者赤影」を彷彿とさせ…_| ̄|○
 しょうがないかなあ。日本の妖怪って、基本的に禍々しいというよりコミカルで愛らしいもんなあ。
 「妖怪大戦争」なら、子供向け夏休み映画だからと許せたんだけどなあ。「ゲゲゲの鬼太郎」でもかまわない(特撮効果のうち、鬼太郎の必殺技?は香港のセントロ・デジタル・ピクチャーズが担当だそうで、それはそれで心配…)。
 でも「どろろ」は海外セールスを見込んでるわけっしょ? それでコレ…。
 パンフレットの百武朋氏のデザイン画を見ると、もっと「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの魔物の和風って感じで禍々しく恐ろしいのに、どうして動かすとああなっちゃったんだろう…。

 どろろが、圧倒的な軍事力に踏みにじられるだけの無力な庶民の口惜しさと意地を、醍醐の城に向かって怒鳴り叫ぶシーンも、何だか説明的過ぎて。

 声帯を取り戻して泥まみれのまま水溜りに倒れこんで、どろろと「どろろーー!」と叫びつつ嬉しげに笑いまくるシーン、ムダに長いよ…。

 そういえば「あと28か所!」だったかの字幕が出ましたから、百鬼丸が完全に生身の体になるまで、続編作る気なんだよね…?
 完全な生身になったら、弱点だらけ隙だらけの普通人になりそうなんですが…乱世で生き延びられるのか、百鬼丸?

200702041816000.jpg
 今から、神戸国際会館の国際松竹に移動して「墨攻」です。
一時間前に座席指定券引き換えに行ったら「ハイ、それはもう、どこの列でもお取りできます」とおねーさんが余裕でニッコリ。

 ……アンディ兄貴〜〜〜!(号泣)
posted by nancix at 18:40| Comment(2) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月23日

こらこらどうした、韓国映画!

 そーーーいえば最近、全然韓国映画を見ていません。
 昨年やっと、Cinem@rt心斎橋という、アジア映画を中心とした映画館が大阪に誕生したのに、香港映画しか見に行ってない。
 (面白そうな韓国映画があったら、気軽に見に行けるなー♪)と、それなりに楽しみにしていたのに。

 でもさあ、面白そうと言っても「プライベートレッスン/青い体験」をこの年齢で見に行く気にはなれないしさあ…(^_^;)
 「素敵な夜、ボクにください」吹石一恵&キム・スンウが共演? フジテレビの月9ドラマですか? このキム君、全然主人公って感じじゃないおやっさんルックスなんだけど、写りが悪いだけ?
 「フライ、ダディ」?? あれ? 確か堤真一と誰かジャニーズ系のひとが主演してませんでしたかね? …「世界の中心で愛を叫ぶ」→「僕の、世界の中心は、君だ」のように、邦画のリメイク作?

 というわけで、イマイチ食指が動かないのだ…。

 どうも映画業界では、韓流ブームに乗り遅れるなとばかり何でもかんでもやみくもに高い権利金を払って争って買った韓国映画が、もはやかける時期・かける映画館に事欠くほどだぶついているらしいというのは昨年後半から言われていることで。「韓国映画いまや「寒流」」なんてA○RAのオヤジギャグみたいな引っかけを笑えない声も出ているというし…。

 だからって「韓流から華流へ」って、それっとばかりに韓流ブームに乗じて粗製濫造されたガイド本や韓国ドラマ写真集?で味を占めた質の悪いライターが流れ込み、香港電影金像奨授賞式や台湾金馬奨授賞式でウロウロされて「あれ誰? あれ何に出てる人? 日本で人気あるの?」と日本人ファンに聞きまくり(昔はよくそんなテレビ局下請けスタッフや女性週刊誌ライターが東京や香港やいろんなところにいました)、てっとりばやく人名作品名間違いだらけのルポをされても、困るだけだしねえ……(^_^;)

 そして今日、スポーツ紙で知った、このニュース
 韓国“彼女シリーズ”最終章に綾瀬はるか:日刊スポーツ
  日本でも大ヒットした韓国映画「猟奇的な彼女」「僕の彼女を紹介します」に続く“彼女シリーズ”最終章が、日本を舞台に、日本人キャストで製作されることが22日、分かった。映画「僕の彼女はサイボーグ」で、主演のサイボーグを綾瀬はるか(21)が演じる。相手役の“僕”は小出恵介(22)。前2作に続き、韓国のクァク・ジェヨン監督(47)がメガホンを取る。08年春公開予定。
 どどど、どないなっとんじゃい韓国映画界!
 「猟奇的な彼女」といえば、「藍宇」より「電車男」より遥かに早く、ネット掲示板でのネチズンのやりとりを元に映画化された名作で。チョン・ジヒョンみたいなあどけない容姿の美少女が、日本のロリロリタレントのように男に媚びることが全くなく、気ままに思いのままにふるまい、ガツンと周囲の大人や男どもに鉄槌を食らわす姿が爽快で。でも内心に抱えている屈託や哀しみは、ただのワガママコギャルとは一線を画していて。
 「僕の彼女を紹介します」は、残念ながらどうも見る気がしなくて未見だけど…。

 イ・ヨンエさんと共に、nancixと香港男どものハートをわしづかみにして振り回してくれたキュートで芯が強くて魅力的な「猟奇的」ヒロインだったのに、その「彼女」シリーズ3作目に、日本の若手女優を起用?
 相手役はアフロヘアの真澄ちゃんじゃなくて、小出恵介君?(いやそりゃ若手の中では滑舌が達者なほうで演技派だけどさ…つぶらな瞳もいい…。)
 そしてロケ地は、おらが街の神戸だぁ? 釜山じゃなくて?

 しかも新聞の方に載っていた、このあらすじ。…どこかの自主制作映画サークルの連中の脚本ですか? いや、コミックスクール投稿用作品の原作? どう考えても「どこかで読んだようなプロットばかり。オリジナリティがありません」と落選だよ?↓
>>ネタバレだけど続きを読む
posted by nancix at 22:02| Comment(0) | TrackBack(1) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月20日

アカデミー賞外国語映画賞部門にはゼロ

 アイヤー…。

 確かチャン・イーモウ張藝謀監督の「満城蓋帯黄金甲」も、
 香港代表?の「夜宴」も、
 台湾代表の「深海 Blue Cha-Cha」も、
 韓国代表の「王の男」もノミネートに参加していた、第79回アカデミー賞外国語映画賞部門。
 61か国の61本の中から最終選考に進んだ9作品が発表されたそうですが、上記の作品は1本も残らなかったですよ。
 キビスィーーー!

 公式サイトのリストはこちら
 アルジェリア、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、メキシコ、オランダ、スペイン、スイス……。
 ううむ、世界は広いですな。

 というか、「氷の微笑」や「トータル・リコール」「スターシップ・トゥルーパーズ」のポール・バーホーヴェン監督なんて、すっかりハリウッド人だと思ってたんだけど、故国に戻ってオランダ語で映画撮ってたのかなあ。
 
 9作品のなかからさらに選考が行われ、ノミネート5作品が決定され23日に発表されるそうですが、まあ中華圏映画が無いとなったら、どれが獲ってもいいや。

 あれだけリキ入れて「満城蓋帯黄金甲」を撮影したイーモウ監督や製作陣、かなり気落ちしてるかも?
 1月25日には韓国公開が始まるし、いつになるかわからないけど日本公開も控えているんだから…。
 特にイーモウ監督はこの作品を"時代劇映画最後の作品"と思い決めていたというしなあ。アカデミー賞、やはり映画人としては、獲れるものなら獲りたかっただろうなあ。
 北京オリンピックの後は、壮大で派手な中華オペラ演出家になりきっちゃうんだろうか?
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posted by nancix at 23:35| Comment(1) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月17日

劉徳華、釜山で「今年の映画もん」賞に輝く!

 本日入りました速報によると、来年早々には「墨攻」で日本のスクリーンにお目見えする予定のアンディ・ラウ劉徳華兄貴が、
 韓国で20日まで開催中の第11回釜山国際映画祭で「フィルムメイカー・オブ・ザ・イヤーThe Asian Filmmaker of the Year 《アジア映画製作者賞》」を受賞したそうです!

 この賞は"アジア映画産業の発展と改善に活躍した映画製作者や製作団体の業績"に対して贈られる賞で、今回アンディ兄貴の受賞は新人監督の発掘など、プロデューサーとしての業績が評価されたものなのだそうです。
 いやもうね、今年だけでなくって、過去何年も何十年も映画製作に関わってきたアンディ兄貴じゃないですか!表彰は今更遅すぎるくらいですよ! 生涯一映画もん、として今後もどっぷり、アジアはもちろん世界各国に勝負かけて、映画製作にのめりこんでいくんじゃないかなあ。
 俳優として歌手として、香港・台湾・中華圏では数々の賞に輝いてきたアンディ兄貴ですが、今回は格別の喜びじゃないのかなあ。いろいろもめて人間の浅ましさや汚さも垣間見て、苦悩の日々も借金騒動もあったけど、くじけず再起し続けて、今があるんだしなあ。

 ちなみに2005年の受賞者は、わが国の「NHKアジア・フィルム・フェスティバル」。
 最初の受賞者はイランのモフセン・マフバルバフ監督、2回目の受賞者は、台湾のホウ・シャオシェン侯孝賢監督だったそうです。

 NHKともほうちゃんとも肩を並べた映画もん・アンディ・ラウ。
 「笑っていいとも」で若手芸人にタメ口叩かれいじられ笑いを取るだけの男じゃないのよーん!
 今年の東京国際映画祭アジアの風部門だって、アンディが率い、ヨン様プロデュースで名を馳せたIMX(株式会社インタラクティブメディアミックス)が日本配給権を有するフォーカス・ファースト・カッツ《FFC:アジア新星流》プロジェクトの作品群がなかりせば、かなーり地味なラインナップになっていたかと思いますのですよ!

 それにしても、今回の釜山国際映画祭のゲスト…。
 中華圏から、
Aaron KWOK Fusing /actor After This Our Exile
Andy LAU / producer Asian Filmmaker of the Year
Charlie YEUNG /actress After This Our Exile
Daniel YU /producer Jury of New Currents
Mingliang TSAI/director Master Class
Daniel WU /director The Heavenly Kings
NING Hao / director Crazy Stone (Closing Film)

 日本から、
MOMOI Kaori /director Faces of a Big Tree
Masanobu ANDO /actor Nightmare Detective
MATSUDA Ryuhei /actor Nightmare Detective
Aoi YU /actress

 もちろん韓国から、
YU Jitae /actor Trace of Love

 ……誰がだれかわかるかな? あえて漢字名では書かないわん♪

 ほんっとに相変わらず何て贅沢な顔ぶれなんや…。ううう羨ましい…。
 アンディと韓国のベテラン名優、アン・ソンギ安聖基との座談会なんて、日本の映画祭じゃ夢のまた夢の夢のなかの夢じゃーあーりませんか! 日本語通訳付きでぜひノーカット映像が見たい!

 さすがは「花様年華」上映の時にトニー・レオン梁朝偉、マギー・チャン張曼玉、王家衛監督を見ようと目抜き通りに人が万単位で溢れ返り、危うく将棋倒しか!と手に汗握らせた釜山だけのことはあります。日本ではありえねー…。
 「宮廷女官 チャングムの誓い」のイ・ヨンエさんとトニーのカジュアル2ショットに、鼻血出そうに喜んだのも懐かしい…。あの時は"トックおじさんの妻"(おばさんは、春香という名前らしい(^_^;))と化して、勝手に腕が動いて踊り出しましたですよ。

 で、この釜山で15日に、喜びのアンディが製作発表会見したのが、「ドラゴン・スクワッド/猛龍」のダニエル・リー李仁港監督作品「三國.見龍卸甲」を、2500万米ドルを投じてFocus Filmで製作すること! 中韓との共同出資で!
 共演はレオン・ライ黎明とサモハン・キンポー洪金寶!
 「三国志映画を撮るのが、僕の長年の夢だったんだ! 三国志キャラクターのなかでは、趙子龍の性格が最も僕に近いな。好きな人物だ。なぜなら最も人間味が感じられるから」と、アンディプロデューサーは意気揚々としておられるようです。
 またダニエル・リー監督も「主人公を演じる男優は誰がいいかと、長い時間をかけて物色してきたが、やはりアンディがぴったり合っている。映像化が決まってからずっとアンディを思い浮かべて来た」とコメント。三国・見龍卸甲製作発表.jpg
 ダニエル・リー監督、マギー・Q、アンディ兄貴、サモハン・キンポーです。 

 …って、ちょうどジョン・ウー呉宇森監督がぶち上げたオールスターキャスト「赤壁之戦」に名前が出なかったりよんとサモハンだ…。アンディ兄貴は「赤壁」キャストに名前が出てたけど、出演どうするんだろう?
 クランクインは来年3月、完成予定は2008年。

 ちょうど、こんな書籍も2005年2月から、香港では発売されている様子で。
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posted by nancix at 01:04| Comment(1) | TrackBack(1) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月05日

関西にも吹く、「アジアの風」!

 「大阪アジアン映画祭2006」のめぼしい作品の前売り券を10月1日にファミリーマートでFAX機を苦心して操作し、首尾よくゲットし、
 うっかりその日が発売日だと忘れていた(あうあう!)第5回京都映画祭開幕作品「ウインターソング」についても、2日後に何とか出先で苦心して公式サイトを見て、どうやら祇園会館1日券を買うしかないのだと見当をつけて(graceちゃんにもお世話になりました…)Pコードをメモしてまた別のファミリーマートに走り、
 大阪・神戸では11月11日ロードショー公開らしい「ウインターソング」試写会の応募のために、最近は立ち読みで済ませていた「ぴあ」関西版を3冊買い占めて応募専用ハガキをせっせと出し。

 「ドラゴン・スクワッド/猛龍」10月14日公開も上映開始時間をきっちりチェックし。

 さあ、これで関西にいても、映画の秋三昧よ!

 ホッとしたのもつかの間。

 本日発売の「ぴあ」関西版10月19日号を、早めに家を出て職場近くの書店に朝から寄り道して、立ち読み。ぶったまげてすぐにとりあえず1冊買い求めましたわ。
 「第1回 東京国際映画祭『アジアの風』in OSAKA」
 って、ちょっとぉぉぉぉ!\(^o^)/ヽ(^。^)ノヽ(^o^)丿

 上映作品は韓国映画「王の男」(大阪アジアン映画祭2006とダブってますけど!)、
 「おばさんのポストモダン生活/姨[女馬]的后現代生活」
 「シルク/詭絲
 インド映画「さよならは言わないで
 の、たった4作品なんですけどね。

 「四大天王」も「イザベラ」も、観たかったぞぉぉぉぉぉ!(夕陽に向かって全力で走る…)

 1本1400円(前売り・当日とも)と、「大阪アジアン映画祭2006」よりも200〜400円高いんですけどね。
 って、あれ? 東京国際より100円安いがな!

 会場の朝日放送ABCホールといえば、試写会会場のメッカの一つ。学生時代は某テレビシリーズの初回試写会に行き、はたまた公開録画を見学に行ったりもした場所です。定員は400人程度ではなかろうか。

ユンファとガオワーで覇王別姫?.jpg

 土曜は仕事なんですが、早めに終わるので 「おばさんのポストモダン生活」なら間に合う! 駆けつけられる!
 ああもう、東京国際には行けないからと、とっくにあきらめていたのになあ…アジア映画の神様は、忠実なるしもべを見放されはしなかった!
 感涙ですよ。(まだ前売り券を売り出してないってば)

 誰に感謝したらいいのかわからないので、とりあえずテルちゃんこと暉峻創三プログラミングディレクター先生のお住まいであろう東に向かって手を合わせる。
 多謝、多謝! ナーミーダーブー♪

 とはいえ、この第1回の企画で、全然人が入んなかったら、今年限りで終わっちゃうかもしれないし…。
 平安建都1200年記念事業として、京都国際映画祭(第7回東京国際映画祭京都大会)が9日間にわたって行われたのも、なんと1994年のこと…台風による上映中止と、東京との往復で大いに困ったあの年から、12年も経ったのかい! とにかく12年ぶりの好企画。ぜひとも毎年の恒例行事となるように、そしていつかは監督やキャストも東京だけでなく関西を訪れ、熱〜い、おかしゅうてやがて楽しきティーチインが繰り広げられるように、関西の映画ファンの皆様、何とぞ足をお運びくださいましーーー!
 
 さあて、10月14日(土)の前売り券発売日は張り切って……あああっ! その日も早出で出勤だぁぁぁあ(T_T)

 神様仏様関羽様天后様暉峻様、何とぞこのワタクシめに「おばさんのポストモダン生活」前売り券か招待券を恵んでくださり、オマケに「ウインター・ソング」試写会にも当選させてくださり「おっと、釣りは要らねえぜ」と太っ腹なところを見せてくださいましーーー!
posted by nancix at 23:20| Comment(3) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月31日

コムストック社が社名変更

 うーうーうー、せっかく大阪レイトショー最終日に観た「ドラゴン・プロジェクト」の"感想文"が、まだ完成できてなーい…。
 それより先に、ちょっと速報をば。

 「インファナル・アフェア」シリーズの配給会社として覚えた株式会社コムストックが、7月31日をもって社名変更したそうです。
 創立25周年(ええーっそんなに昔から!)を記念し、株式会社キュービカル・エンタティンメントとするそうであります。グループ会社で、ヨーロッパや日本の小品佳作を配給してきた株式会社キネティックも同日付けで同じ住所へ移転するそうな。
 きゅ、きゅ、キュービカル…?
 劇団ひとりが大会予選落ちしたキュービック・ルー…いやあれは、ルービック・キューブ。
 立方体の、という意味の英単語のようだけど、訳ワカリマセン。
 
 アジア映画ではアンディ・ラウ劉徳華主演、久々のジェイコブ・チョン張之亮監督作品「墨攻」も"2007年新春第二弾 拡大ロードショー!"で公開してくれる予定の同社。ホンマ、今後もアジア系エンタティーメント作品の配給を頼んまっせー!と勝手に期待してしまう。なんせ、レントラックジャパンの100%子会社なもので、TSUTAYA(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)チェーンで大々的にキャンペーン張ってくれるんだもんね…。

 で、そのコムストックの前取締役社長(現在は川村静哉という方がクレジットされています…)、現在はレントラック・ジャパンの経営戦略担当役員である長澤一史さんが、「2046」についてコメントしているインタビューを見つけたので、勝手にリンク。
 ………"アジアのレオナルド・ディカプリオ"が主演……。
 ええと。
 当時はまあ、そういうことになってたのか…ナントカも方便で。

 あ、米国のレオナルド・ディカプリオ主演(ヲイ)の「The Departed」予告編、TORA BUTTERさんのご紹介で観ました〜。
 いや、ホントに「あのシーンもあのシーンも、あるんだぁ」ですな。
 ディカプリオが、エディソン・チャン陳冠希に見えたりしたのは、きっと気のせいでしょう。そうに違いない。
 ほ、放火…? 誰が、どこに放火?
 そしてハリウッド映画らしく、ベッドシーンもしっかり……_| ̄|○
 で、「奠」みたいな漢字のネオンサインは、いったい何よ?
 中華色は思い切りよく消していただいた方が、リメイクとしてはいいと思うのになあ。

 何だかんだ言いながら、見に行くんだろうな…いえ、日本で(^_^;)
posted by nancix at 23:51| Comment(2) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月12日

東京映画祭をコンテンツ祭に?

東京映画祭をコンテンツ祭に ゲーム、アニメ売り込みも:asahi.com
 経済産業省は、財団法人の日本映像国際振興協会が毎年秋に開いている東京国際映画祭を、アニメやゲームなどコンテンツ全体を扱う催しに衣替えしようと、業界関係者を集めた会議を立ち上げた。日本に強みがある分野も含め、コンテンツを世界に売り込むのが狙い。来年秋からの衣替えを目指す。

 会議は映画会社やアニメプロダクション、ゲームソフトメーカーの代表ら約10人で構成する。

 経産省の構想では、従来の映画祭行事と同時に、アジア各国のアニメやゲーム、漫画、テレビ番組などを紹介する催しや、コンテンツを売買する商談会、各国の制作者によるシンポジウムなどを開く。今後、出品国や出品分野、予算規模などの詳細を詰める。

 現在の東京国際映画祭は85年から続くが、国際的な知名度は低い。そこで、世界的に評価が高い日本のアニメやゲームなどにテーマを広げることで、盛り上げを図る。(後略)
 ……暴挙だ……。
 マジですか。勘弁してくださいよ。それじゃあ"映画のお祭り"ではなく、国際見本市でしょうが。
 国際見本市としたって、カンヌ映画祭に併設されているマーケットや上海、香港、釜山ですでに行われているマーケットにかないっこないでしょうが。

 「アジア各国のアニメやゲーム、漫画、テレビ番組などを紹介する催し」ってのには興味がなくもないけど、それよりも「アジアの風」部門の充実を! もっと予算と交渉者をたっぷりつけて、1作品につき監督と主演者1人以上が必ず来日できるように奮闘努力してくださいよぉ!

 首相が「NHKはチャンネル数が多すぎる、BSの見直しを」と発言したときも「何言ってんのー! 民放こそ見たい番組なんか全然ないのに! BSでしか見られないような国内外、古今東西の映画やドキュメンタリーこそ、テレビでCM抜きで見たいのにぃぃぃ!」と地団駄踏んだものだったが。

 やはり、東京もんにはもう、期待しちゃいけないのか……。
 受け身で好みのコンテンツだけを楽しませてもらおうというのが、ムシがよすぎるのか……?

 東京国際ファンタスティック映画祭休止に続いて、苦悩の続く夏なのであった。
 
 
posted by nancix at 23:54| Comment(2) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月08日

「母の呪い」に打ち勝てるか…映画「ジャスミンの花開く」

 シネリーブル梅田で「ジャスミンの花開く/茉莉花開」を見てきました。
 「ああ、アレ。ツイィーのプロモーションビデオなんだってね」と何人かに言われたけど、うーん…これでツイィーの宣伝効果があるか、女性客の共感を呼び彼女の格が上がるかというと、大いに疑問。

「上海ルージュ」の鞏俐より清楚な歌姫ツイィー
 じゃあちょっと、あんまりツイィーの資質だの女優としての好感度には触れないで、映画を観てみようかな、と天邪鬼がうごめき出す。

 むしろ、中華系女性映画ってことで、興味がありました。
 ちょっと思い出すだけでも、
 チョウ・ユンファ周潤發&コラ・ミャオ繆騫人の「傾城の恋」(84)、マギー・チャン張曼玉がブラザーコンプレックス娘からしっとりとしたオトナの女まで、ユンファがタイプの異なる2役を演じた「ストーリーローズ 恋を追いかけて」(86)、
 故・久世光彦さんが「ヒロインが向田邦子さんに似ていてハッとした」と評した、ブリジット・リン林青霞&マギー・チョン張曼玉の「レッドダスト」(90)、nancixの両親の故郷・大分県でロケが行われマギーが自転車で田園風景をかっ飛ばした「客途秋恨」(90)、
 やはりオールド上海が舞台の「赤い薔薇、白い薔薇/紅[王久]瑰白[王久]瑰」(94)、福岡アジアフォーカス映画祭で見たきりの「べにおしろい(紅粉)」(94)、ミシェール・リーやマギー・チョンの存在感で、スケールがドンと増した「宋家の三姉妹」(98)などなど。
 そういえば、未だ日本公開の話を聞かないスタンリー・クワン關錦鵬監督の「長恨歌」(05)は、どうなったんだろう。中華系女性映画研究志望者(いるのか?)は、絶対見ておくべき佳作なんだけど。

 強引に総括すると、総じて中華の女たちは日本女性よりよほど強いけど、香港映画の女たちは「オットコマエ」、中国映画の女たちは「しぶとい!」って感じがしますねえ。

 さて、今回の「ジャスミンの花開く」。
 原作はおなじみの女性作家・張愛玲ではなく、スー・トン蘇童という男性作家の「婦女生活」という小説だそうです。
オンライン現代中国作家辞典」によると、トニー・レオンより1歳下の1963年生まれ。40代。
 あらま。「べにおしろい」と、あのチャン・イーモウ張藝謀監督の「紅夢/大紅灯篭高高掛」(91)の原作者だわ。こりゃちょっと、ペーソスきつそう。「べにおしろい」は、せっかく身重の妻にせっせと料理を作ってくれる夫に、妻がガンガン文句つけるシーンに辟易したもんなあ。

 監督は、張藝謀と北京電影学院撮影科の同級生だったというホウ・ヨン侯咏。下放後に遅まきながら北京電影学院に進学した張藝謀だから、ホウ・ヨンの方がかなり年下か。と推理して調べたら、やはり1960年西安生まれの40代でした。すでに中国国内の撮影賞を何度も受賞し、北京電影学院撮影科の同期では最も手がけた作品の多い、定評ある撮影監督です。91年に映画監督デビューを果たし、今作が2作目。
姜文とホウ・ヨン監督
 40男が考え出し、40男が脚色・演出する女性映画。
 どうなんだ。お手並み拝見といきましょう。

 「長恨歌」のレビューでは
 で、お話は「時代に翻弄された、非常に男運の悪い上海美女」
 というものでした。

 おしまい。
 と書いたnancixですが、 「ジャスミンの花開く」も、
 お話は「時代に翻弄された、非常に男運の悪い上海美女3代」
 というものでした。

 おしまい。
 と書こうと思えば書ける。

 でもむしろ、今回強く印象に残ったのは、
 (どーーーして母親ってのは、娘に対して呪いをかけちゃうもんなんだろうなあ!)と嘆息したい気分でした。
 これは中国に限ったことじゃない。
 昔読んだ精神分析の本に、母性というのは豊穣の地母神デメテルのごとく、慈しみ癒しを与える包容力と、逆に子供を束縛し徹底的に支配し思いのままに制御しようとし、独立を妨げ抗うと殺してしまいかねない面の二面性があるものだ、という説(ユング心理学のグレートマザー論?)を見つけたときは、いやもう全くその通り!と拍手したくなったものです。
 母性本能、なんて簡単に言うけど、案外怖いんだよ。母性って。

 雑誌「AERA」がもう特集のネタにしてきたかもしれないけど、nancixの周囲にも、母親がかけた呪いがとけずに悩んでいる女性が、たんといる。両親の目の前で投身自殺しちゃった人も……(涙)。

 つまり、思春期を迎えた娘に"悪いムシ"がついて、"キズモノ"になっちゃーいかんと口を酸っぱくして説教し、男女交際を禁じ、
 それでも自然に好きになったボーイフレンドには何かとケチをつけ、生活環境や経済格差を言い立て、ラブ×2モードの浮き立った心に冷や水をぶっかけ、
 適齢期前と真っ最中には「そんなことではいい嫁になれない、いい妻になれない、いい母親になれない、結婚生活とは我慢の連続なのだから、今からこれしきのことを我慢できないでどうする」など呪文のような小言を並べ、
 そんなに結婚・妊娠・出産ってメンドくさくて我慢しなきゃ耐えられない、不幸なものなのか!と娘をうんざりさせるってことです。

 じゃあ、結婚しなきゃラクちんじゃん、面倒じゃなくなるじゃん、と安易に発想しのほほんと暮らしていると、「うちの娘が婚期に遅れる」とあせってあれこれ画策する。
 どーせモテないんだし、面倒だから任せてみるか、と釣り書を書いてみると、何だコレ? 「ワタシ」って、学歴と親の職業と兄弟の数でしか量ってもらえないモノなの?と愕然とする。
 「趣味・読書と映画鑑賞」って、めちゃくちゃ平凡じゃん!
 読書といっても、愛読書が男性側は「嫌韓流」と「ゴー宣言」シリーズで、女性側が「韓ドラのノヴェライズ」だったらどーするのさ?
 そのいいかげんな釣り書きで量ってあてがわれた男は、nancixの場合、ろくすっぽ異性と口が利けないような、見合いに母親と叔母さんが付き添ってくるようなヒトでした……。
 母よ、貴女はあまりにも娘を知らなすぎた。
 天国に向かって今更言っても、しょうがないけどね。

 3世代にわたる、上海美女の「茉」「莉」「花」にも、母の呪いがかけられる。

ぶりっ子ツイィーと陳冲
 第一章、祖母と紹介されるモー茉は、父を亡くして母一人、娘一人で流行らない写真館を営んでいる。
 1930年代、いよいよ日本軍が侵攻してこようかという時に、のんびり写真を撮影する余裕のある上海市民は、まずいない。
 夢見る18歳の乙女のモーはそれでも、憧れの映画スター・カオ・ジャンフェイ高占菲を見るために、映画館へ向かう。母親(ジョアン・チェン陳冲)は「映画は今日で最後にしてちょうだい、(不景気のために)使用人を解雇したから、明日からはあなたが店番よ」といいつける。
コート姿の姜文 店番第1日目、訪れたのは「カサブランカ」のハンフリー・ボガードかいっ!と突っ込みたくなるようなダンディぶりを見せる、映画会社社長の孟(チャン・ウェン姜文)だった。彼はモーを見初め、強引に映画女優として育てていく。反対する母だが、モーはすっかり舞い上がって耳をかさない。
 孟社長はモーの第一回出演作の撮影のために高級ホテルの一室を与える。ベッドの上には絹の刺繍入り寝衣と、ジャスミンの香水……ホントに中年男の気配りって(苦笑)。
 その手を何人の女優に使ってきたのぉ?と突っ込みたいところだが、モーは全く気が付かない。おそらく彼女は、不在の父親像を孟社長に求めたのだ。強く、逞しく、頼りになり、決して自分を見放さない理想の父親像。
 監督も姜文と現場でディスカッションし、孟社長がじっとモーを見つめるシーンを「父が娘を見守るような表情で」と決めたという。
 しかし当然ながら孟社長とモーは男女関係を結び、社長の愛人としてモーは華々しく誕生日パーティーを開いてもらえ、マイクの前で愛らしく「茉莉花」を歌い、さらに女優のステップを駆け上がろうと…ろうと……したその時、彼女を襲うのは悪阻なのだった……。

 嗚呼、「母の呪い」、ここに具現化。

 ま、日本でもそうですけど、堕胎するしかない…と孟社長は判断する。
 だけどモーは18歳。
 とにかく怖い。そりゃそーでしょ、まだ麻酔技術も進歩していない時代、自分の体内をかき回され、掻き出されるのに平気なティーンズがいましょうか。
 だからって……だからってホテル内に引きこもって、どうする?
 依怙地になればなるほど、幸せは逃げていくのに。
 孟社長も寄せ付けず、母にも救いを求められずにいるうちに、彼女は日本軍に占領された上海に取り残される。
 よくまあ、誰にも乱暴狼藉を働かれずに、実家に帰れたもの。
 母は身重の娘をなじるばかり。写真館の1階を葬儀屋に貸し、母は美容師のワンという愛人を得て"女"に戻っていたのだから、そりゃ娘に戻られても困るだけだ。
 そればかりか、出産を成し遂げて一児の母となった娘に、愛人の王は目を奪われてしまうではないか。
 「一人目の子供を産んだ女性こそ、最も美しい時期」と「御宿かわせみ」で平岩弓枝さんも書かれておりましたしね。
 何度香港に手紙を出しても、孟社長の返事はなく、母の嫉妬と恐れを知りながら、育児にも投げやりなモーは、王の誘惑に身を任せようとする。
 泣く娘の声にも耳をかさず。愛撫のせいか、母乳が染み出たのか、チーパオ旗袍の両胸が濡れているのが、何ともエロチックです。
 母が帰って来て逆上するのも、彼女には解っていたことだったのか?

 愛人は出て行き、どっと老け込んだ母は錯乱して「形見の金時計を取られた、指輪も取られた。あなた取り返しに行って来てよ」と悲しくモーに訴えかける。

 そして…。
 モーは取り返しのつかない悲劇が起こったことを、警官に知らされる。

 美容師・ワンの職場に乗り込み、欧米人顧客のひざに娘を載せて、ワンを平手打ちして金時計だけでも取り返すモーは、確かに強い。
 娘を抱き上げ、昂然と顔を上げて街路を行く姿も、確かに雄々しい。
 でもなあ、その強さを、別の方向に向けていれば……。
 間違った方向に、自分の芯の強さを向けてばっかりの、母と娘であります。

 第2章は、そのモーに抱かれていた、額に幸運の赤あざがある娘・リー莉の思春期から始まる。
 結局、モー(またもやジョアン・チェン)は母から受け継いだ写真館を手放さず、名称だけ変えて雇い人に営業させているらしい。
 リーは経済的には何不自由なく育つ。折りしも国内戦が終結し、共産主義国家となった新中国では「労働者こそ国の花、共産党員こそ真のエリート」ともてはやされていた時代。
 学校の花形は、労働者階級の家に生まれ育ち、バスケット部キャプテンとして活躍し、共産党員になれた青年・ジェ鄒傑だ。
 「セブン・ソード」の村の牧童、韓志邦役で初めて認識したルー・イー陸毅君、まさに体育会系ハンサム・ガイで適役だね。上海戯劇学院卒だそうで、上海語にも問題ないのか。
 いつも女生徒に取り囲まれている鄒傑のそばに、リーは半ば強引に割り込んで行き、彼の目を奪う……。
 そんな真似するから、女友達の一人もできないんじゃないの、リー…?

 初恋に有頂天になったリーに、またもや母の呪いがかけられる。めげずに自宅に彼を招くが、母はハンサムな彼を「高くん」と呼び、昔の映画俳優、高占菲に似ていると誉め言葉のつもりか口走り、額に汗して工場で働き、生産に寄与することこそ国家への崇高な義務だと信じてやまない鄒傑に「映画俳優なんて、社会の寄生虫だ!」と逆襲されてしまう。
 「寄生虫になるにも、才覚がいるのよ」とやんわり反論する母。あああ、噛み合わない…。
 気まずく出て行く傑、母と口論するリー。物心ついてからずっと母に「おまえを産んでさえいなければ、私は映画スターになれて幸せになれたはず」と愚痴られていただろう彼女は、ついに家を出ることを決意する。頼るのは、同じ鉄鋼工場で働く鄒傑しかいない。傑の姉の家に身を寄せるのは「他人の家だから気詰まりだわ」と嫌がるけど、あのう、鄒家だってまだ他人の家…、暗に正式結婚を催促するリー、やはり打算的にしか見えませんが、これは許容範囲か…?

陸毅とツイィー婚礼中
 鄒傑の実家で、隣近所の人々を招いて結婚披露をする2人。もちろん、リーの母は姿を現さない。
 新婚初夜を、実家の一室で過ごした二人。……シーツに残った血痕が、ナマナマしいです…やはり40男の演出って…。どうもロストバージンはリーにとっては辛い体験だったらしく、傑の母親はすすり泣きまで聞いてしまっている。プライバシーゼロ…。
 屋外に共同トイレしかない鄒傑家のこと、夜には寝室におまるを置く習慣も、リーには耐えられない。やがて彼女は一家の食卓で食事ができなくなり、姑の提案もすげなく断り、姑や小姑からの聞こえよがしの批判にさらされて、家族のなかで完全に孤立する。

 依怙地になればなるほど、幸せは逃げていくのに。
 「お義母さん、その紅焼肉の作り方を教えてください、私、料理の才能ないんですけど、一生懸命覚えます」と頭の一つも下げてりゃ、表面上は何とか収まりがつくのに。
 と思ってしまうのは、なあなあでナントカしようとする日本人だからでしょうか?

 実家に戻ったリー。傷心の娘を優しく包み込むどころか、さらに呪いを強化する母。それでもリーは夫を待ちわびる。雨の夜、ついに鄒傑は実家を出て来て、リーと一緒に暮らし始める。なんて優しい男なんだ!

 ところが今度は、リーは実の母と夫の関係を疑い始め、不妊症を気に病んで、幻覚まで見始める。
 夫は「二人だけで暮らしたい、引っ越したい」というリーの訴えに、最初は取り合わない。
 要するに、彼女は心のどこかで、母に完全に受け入れてもらえなかった、愛情を存分に注いでもらえなかった、いつかは母に見捨てられるという不安を抱えて、これまで生きてきたのだ。母が祖母の愛人を奪いかけた、その結果が…ということも、どこかで耳に入れてしまっていたのかもしれない。だから、やっと手に入れたはずの夫の愛情も、安心するどころかいつかは他に奪われるという恐怖にかられてしまう。
 現代ならアダルトチルドレン、境界性人格障害と診断されるだろうか。

 リーの自殺未遂にショックを受け、傑は養子をもらうことを提案する。

 だーかーらーー、そこで養女ではなく、男の子を養子にしていればあああ!
 当時の中国では、女児のほうが手放す人が多かったのかもしれないし、女は女同士のほうがと傑が安易に考えたのかもしれないが…。
 折りしも、中国は文化大革命に突入。因習、道徳観念、伝統、文化、全て古いモノを打ち壊し、新しいモノを受け入れよう、新しければ何でもよいと社会が狂奔していた時代。
 となると、夫も「女房とナントカは、新しいほうがいい」と考えるだろうとリーは脅えたのだろうか?
 老いた母ではなく、今度はまだあどけない小学生の養女、花が彼女の仮想敵となってしまう。
 妻の執念深い疑い、「党に訴えてやる!」と口走った憎しみの言葉が現実になることへの恐れ…。子供が親を、妻が夫を密告して破滅させていた時代に、リーの妄執が吐き出した言葉は、清廉潔白な党員として生きようとした夫を絶望させるのに、充分だったのか。
 傑は命を絶ち、リーも後を追ったことが暗示される。
 写真館に取り残されたのは、祖母のモーと、幼いファ花…。

 第3章は、80年代の物語。中学だか高校だかを卒業後、辺境の農場に下放されていた花と、同い年の恋人のトー小杜(やっと出て来た! リウ・イエ劉[火華]くーーーん♪)が上海に戻ってくるシーンから始まる。
 メガネっ娘の花はすでに、24歳。写真館は婚礼写真を請け負い、大いに繁盛している様子だ。さすがに義理の祖母のモーも老い込み、うつらうつらと昼寝をしていることも多くなった。
 花は小杜を自宅に招き、食事を祖母と共にさせるが、祖母はまたしても小杜を「高くん」と呼び、「花はあなたの姉代わりなんでしょ」と決め付け、彼は結婚するにはふさわしくない男だと義理の孫娘に告げる。

 ……どこまで、「母の呪い」をかけるんでしょ。

 花はすでに小杜との結婚証明書も取得していたのだが、「結婚は条件のいい男としないと、一生をムダにする」と口やかましい祖母には打ち明けられずにいる。小杜は蘭州の大学に入学し、二人は別居結婚だ。花は働きながら、夜なべでセーターを編む内職もして、小杜の学費や生活費をせっせと仕送りしているらしい。
 祖母が手配した、米国在住の男との縁談を断り、花はついに、小杜と結婚していることを祖母に打ち明ける。
 言いつけを守らなかったばかりか、ずっと隠されていたことに、ショックを受ける祖母。
 そりゃ、あの娘に育てられた養女ですもの…覚悟しておかなきゃあ。

 しかし、当の小杜は「僕は大学の専攻を間違えた、就職も思わしくない」と愚痴り、日本留学を決めてしまう。
 そりゃねえ、大学には"山口百恵に似たかわい子ちゃん"だっているでしょうよ。あなたは三浦友和の誠実さ、愛する彼女を守る包容力に欠けていますけど? 日本に行けば、ツイィーよりもっとセクシーだったり純情だったりする女の子にも会えるでしょうよ。それにしたって…。

 花は短い小杜との逢瀬で妊娠したのに、小杜は日本からの手紙で離婚を申し入れて来る。その手紙をついつい盗み読みした祖母は「だからあんな男はダメだと言ったのに!」と怒りを花にぶつけ、発作を起こして倒れてしまう。
 花にはどうしようもなく、堕胎のために産婦人科に行くが…。
 すでに「一人っ子政策」が普及しているらしい時代の産婦人科の壁には「バースコントロールをしないわけにはいかない」というスローガンが書かれています。イラスト入りポスターが張られた待合室も、30年代よりもずっと明るいムード。
 花が家に戻ると、祖母はいつもの寝台で、眠るように息を引き取っていた…。
 側には、大切にしていた唯一の映画雑誌。表紙には、若き日の祖母が微笑んでいる。その思い出の品を、寿命を悟ったのか、祖母は自ら焼いたらしい…。
 「話したいことがあったのに!」と号泣する花。

 日本の少女なら♪あなた ワタシの最後のお願い聞いてね〜 涙を拭く木綿のハンカチーフをください〜と泣き寝入りするけど、上海娘はそうはいかないぞ〜怖いぞ〜。
 リウ・イエ君、よくまあこの役を引き受けた…。

 絶望の果てに、彼女は決めたのだ。祖母と同じく、たった一人で子供を産み、育てる覚悟をしたのだ。
 室内に可愛い赤ちゃんの写真を貼りつけ、出産講座でも受けたのかラマーズ呼吸法の練習をして、大きなおなかでベッドに横たわり、せっせと体操する花。
 けなげです。……まあ、「ツイィーたん」ファンの日本男性が喜ぶかというと、大いに疑問ですが。

 自宅前でタクシーを呼んで乗り込み、大手産婦人科病院までの時間を計ったり、準備万端。

 の、はずだったのだが……。

 まったく、40男に任せていると、クライマックスにはこういうことを持ってくるのね…?>>ネタばれ覚悟で続きを読む
posted by nancix at 23:07| Comment(0) | TrackBack(4) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月07日

7月に、観たい映画が集中しすぎ。

 何だか、関西地区ではこんなにも集中してるんですけど……_| ̄|○
 嬉しい悲鳴というべきか。
 怒涛の中華圏映画公開ラッシュ、どーしましょ。

「ジャスミンの花開く/茉莉花開」 大阪:シネ・リーブル梅田 上映中。7/14までなら11:00/13:30/16:00/18:30(〜20:50終映)、15日からは10時からの1回のみ
 神戸:シネ・リーブル神戸 7/15〜 
「ジャスミンの花開く」中国ポスター

ココシリ/可可西里」 大阪:三番街シネマ 上映中。7/22までロードショー。22日以降は不明。

柔道龍虎房」 大阪:天六ユウラク座 7/15〜21 ロードショー

エンター・ザ・フェニックス/大イ老愛美麗」 大阪:シネマート心斎橋 7/15〜28(レイトショーのみ)

ドラゴン・プロジェクト/精武家庭」 大阪:シネマート心斎橋 7/15〜28(レイトショーのみ)

胡同のひまわり」 大阪:OS名画座 7/15〜
      神戸:シネカノン神戸 7/22〜

「絶世好Bra」
恋するブラジャー大作戦(仮)/絶世好Bra」 大阪:第七藝術劇場 7/22〜8/4
 "面接にきた映画監督"役が、かの有名フォトグラファー、ウィン・シャ夏永康って…(^_^;)

緑茶」 大阪:第七藝術劇場 7/22〜8/4

 体がいくつあっても足りないよーな…。
 シネマート心斎橋での2本は、すでにQooちゃんが購入してくれている。しかしレイトショー後、空腹のまま駆けて駆けて地下鉄に飛び乗っても、果たして三宮での終電に間に合うのであろうか。

 七夕のお願い。
 神様ホトケ様關羽様織姫彦星様、黙って財布の中身を3倍にして、「おっと、釣りは要らねえぜ☆」と気前よくおっしゃってください……。
posted by nancix at 02:01| Comment(0) | TrackBack(1) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月05日

矢でもミサイルでも「玲玲の電影日記」

 海にミサイルが降り注ぐ日も、nancixにとっては「久々に用事もなく映画鑑賞が楽しめるレディース・デー」に過ぎないのであった。
 もうね、どうせニンゲン200年も生きられないんだから、映画館で映画を観終わった後になら、ミサイルだか大地震だかで即死しても悔いはないよ。ちょうど面白いところで不意に観られなくなったら、惜しくて無念で地縛霊と化してしまうかもしれないが。

 てなわけで、雨の中、久々に大阪・梅田のOS名画座に足を伸ばしました。おお、シネコン通いを続けて足を向けないでいるうちに、いつのまにか付近は「シネマ横丁」と名づけられ、手ごろな定食屋や居酒屋が林立している。鑑賞後に一杯、が楽しめるではないか。来る道でサンドイッチ買わなくてもよかったかなあ。

「電影往事」VCDジャケット

 本日の鑑賞は中国映画「玲玲(りんりん)の電影日記(中国名:電影童年または電影往事)」。シア・ユイ夏雨クンが主演、あの「花様年華」でも美しい、金の鈴を振るような歌声を聞かせた女性歌手のチョウ・シュアン周[王旋]がモチーフとして登場するという以外、ほとんど予備知識無しで見た。

屈託ない笑顔が魅力の夏雨クン
 あまりにも普通っぽくて屈託ない笑顔が魅力の夏雨クン。
 "中国の佐藤隆太"的存在か? 佐藤クンが"日本の夏雨"なのか?

 のっけからのけぞった。おおお、製作総指揮はもじゃもじゃ