「ブエノスアイレス摂氏零度」と同じく、王家衛の試行錯誤=フィルムと時間の無駄遣いが、トニーマギーのインタビュー、「花様的年華」を歌った歌姫周[王旋]の白黒映画断片などと共に記録されている貴重なDVDだ。
何せ「撮影開始した当初は、正常人で善良だった…のにだんだん…」とトニーが証言する周慕雲は、ホテルの2046号室(当初は307号室だったので、スタイリッシュなサングラスのトニーがフロントでキーをもらうシーンは無駄に終わった)で蘇麗珍を待ち受け、ノックの音に(ついに罠にはまったな、これで彼女は俺の思うツボ)とニヤリとする、こんな腹に一物ありそうなワルに変貌を遂げるし、

「花様年華」のエピソードは1972年まで構想しており、周慕雲の元妻役(ただし後姿のみ)を演じた女優の孫佳君が、シンガポールで出会い、周にまとわりついて離れなくなった女友達ルル露露をも演じたのだった。
……またルルかよ!

ルルはあのアパートメントを堂々と訪問し、まもなく海外移民のためアパートメントを引き払う予定のスー・リーチェン蘇麗珍に部屋を見せてくれと頼み「新聞記者の周の妻。だけど周夫人とは呼ばないで、そういうの好きじゃないの。ルルと呼んでちょうだい」と名乗って対決する。
一歩も引かないエレガントな蘇麗珍。女の格がやはり違う。
なのにどうして周さんは悪妻タイプの、こんな鼻っ柱の強いヒステリックな女とばかり関係してしまうのか(号泣)
そして「パンタロンに柄シャツ柄ジャケット、口ヒゲにティアドロップサングラス」の、若き日の藤竜也がニヤケまくったようなトニーが、ルルとアパートメント前の路上で口論する…。

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「2046」撮影当初、王家衛にトニーが「(変化を表現するために)ヒゲ生やしたいんだけど」と言ったとき、王家衛が連想したのは絶対、このときのトニーだと思う…。
そりゃ王家衛、いい顔しないわなあ…。
「何よ、上がって行って会って来たらいいでしょ、どうしてそうしないの!」となじるルルに「おまえに俺の選択を手伝ってもらう必要なんかない!」と冷たく言いのける周さん。
相手の女によって、態度変わりすぎでしょうが。
そして、スクープ!
日本出張が多く、食事の時にクチャクチャ音を立てて食い、隣室の妻もさっさと食い、平然とナショナルの炊飯器や複数のハンドバッグや隣室の夫=周慕雲のネクタイまで買ってきた厚顔無恥夫の顔は、1972年にはこんなふうになっていた!

誰だよこのおっさん……。
声の出演を務めた、ニヒルなロイ・チョン張燿揚とは、似ても似つかないじゃないか…。
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やはり本編がいちばん練られていいものになってます。たとえ「今夜は帰りたくないわ」と、周さんに1本もらったタバコを指にはさんだ蘇麗珍がけだるげに言い、雨のしたたる窓ガラス越しにマギーのあえぐセクシーな声が聞けるとしてもです。
きっとこのときの周さん、チャン・ツイィー相手とは全く違う、厳粛な思い詰めた顔で、あらゆるテクを駆使して優しく細やかに……(あっ…鼻血……)。
編集も手がけたアートディレクターのウィリアム・チョン張叔平先生、素晴らしいです。

トニーの大阪舞台挨拶証言によれば、本当はエプロンつけたスーパーだかコンビニだかの店長のヒゲトニーと、客のマギーという現代エピソード3も撮ったそうなんですが、短編映画に編集されたこのエピソードは、かつてのカンヌ映画祭でしか上映されていない。
英文ファンサイトでも、最近、このエピソード3からのトニマギのスチールがアップされて話題を呼んでいる。
まあ、こんなふうに楽しくトニマギでああでもない、こうでもないと、遊んでるとしか思われないかもしれない試行錯誤の末に「2046」は後回しにされてずるずると5年……。
遊びでもなんでもいい! トニマギを日本人にも見せろー! 権利金幾らなんだー!!
王家衛、レント○ックジャ○ンにいますぐお電話をー!
でないと香港で出した赤字は補填できないんじゃ…?
以前、海外のサイトで目にして「トニー谷?」と一人突っ込んだ「口髭チャウ氏」はこの時の御姿でしたか。
だすものは全部だして「すっきり」してほしい、させてほしいっす、ウォン監督。
どこにしまい込んでいるのか知らないが「私家版トニー映像コレクション」もありそう。
出しなさい!今すぐに!
「出しなさい! 今すぐに!」にもう1票です。 (^^)/
つぎは「(60年代)香港摂氏零度」ですか?
いつになってもいいので、待ってます・・・。
(現代版の構想もあったとしたら、やっぱり2046って、ほんとは 「つづく」 なのかしら。。。)