2008年04月03日

冒頭しか見られなかった「三國志之見龍卸甲」

 さて、エアポートエキスプレス機場快線の九龍駅上シネコンで、いよいよ始まった「三國志之見龍卸甲」。

 制作中の頃のニュースに関しては、こちら↓。
いったい三国志映画ブームはどうなって
劉徳華主演「三國之見龍卸甲」にネット有名人出演
「三国志之見龍卸甲」ポスター02
 重厚な、堂々とした風格のあるオープニングに、期待が高まる。CGといい、筆文字(アンディの自筆?)で展開するスタッフロールといい、日本の大河がドラマにも遜色ない、威厳ある出来栄えだ。

 そして、いよいよアンディ・ラウ劉徳華、登場。
 山中のお堂のような場所にたたずむ老けメイクアンディ。お堂の中で、仏像を見上げている。
 対峙する大軍、どっかと座った女将軍?、マギー・Q。

 アンディのモノローグ付きで、どうやら老年の趙子龍の回想のかたちを取って、現在→過去→現在と物語を進めていく構成だとわかる。
 同じ仏像が何度か出て来て、ふと「インファナル・アフェア/無間道」を連想させるけど、さすがに趙子龍が無間地獄をさまようわけではなく、世の無常さ、はかなさ、諦念を表現したいのか…?

 この映画の製作発表の時は、サモハン・キンポー洪金寶が老年の趙子龍を、アンディが若い時の趙子龍を演じると報道されたりもしたが、そうじゃなかった。
 サモハンは、若き流浪者、趙子龍と同郷の常山で、一足早く劉備軍の義勇兵に志願し、趙子龍に「アニキ」となつかれる先輩の一兵卒・羅平安を演じていたのだ。
 少なくとも、この時までは羅平安が兄貴格であり、地図を持ち、それを読み解ける教養を趙子龍に示す。
「三國志之見龍卸甲」ポスター
 後ろ盾もなく、妻子も親もいないらしい、しがない義勇兵の二人だが、ある嵐の夜、不安なまま砦を守ろうとしていると、不思議な男が砦に出現する。
 砦に立てこもる兵卒たちに、思い込みを正し的確な指示を与える、その飄々とした不思議な男こそ、後の劉備寵愛の軍師・諸葛孔明だったのである。
 ……地味顔です。
  プー・ツンシン濮存マという俳優が演じています。中国の俳優さんだと思われます。あとで調べたら、栗原小巻が出演した「乳泉村の子」(謝晋監督)に中国残留孤児の明鏡法師役で出演していました。「青い凧」「こころの湯/洗澡」にも出ていたんだとか。覚えていない…。

 しかし、羅平安は劉備夫人と、まだ赤子の阿斗(後の劉禅)を曹操の軽騎兵隊から護衛する役目に失敗。夫人らの馬車は行方不明になる。
 劉備(オッ・ワー岳華、おおっ、「傷だらけの男たち/傷城」で阿頭の舅、殺される富豪役を演じた老優! 往年の武侠映画の剣士!)は、羅平安と趙子龍を、軍議の場に呼びつける。
 羅平安アニキを懸命にかばう趙子龍。氏素性の卑しい彼に母子奪還の任務を与えることに、劉備の義兄弟である関羽・張飛(陳之輝)は反対し、血気盛んな張飛は「責任を取れ!」と羅平安に襲い掛かる。
 アニキの身代りになって受けて立つ、義侠の人アンディ!
 殿の御前にも関わらず、丁々発止と激しく打ち合う張飛と趙子龍、割って入る関羽。
 三つ巴のこの激闘には、所作にも効果音にも京劇テイストが入ってます。
 劉備の横で、冷静に見守る孔明。
 何と、趙子龍は張飛と互角の戦士ぶりを見せた。

 そこで、劉備は趙子龍に、夫人と息子の奪還を命じた。任務に成功すれば、羅平安の失態は許されます。
 こうして、あの有名な荊州当陽県長坂における「長坂(ちょうはん)の戦い」が展開するわけです。
 趙子龍は、無惨に蹴散らされた馬車と、舌を噛んで自決したと思われる夫人2人を発見する。(あれ…三国志演義では、甘夫人は生き延びて救われ、重傷を負っていた糜夫人が「足手まといになっては」と井戸に飛び込んで自殺したんじゃなかったっけか?)
 阿斗もダメか…と思いきや、女官が赤子を胸に抱いてかばい、野原に斃れていた。
 その死体の陰で元気な泣き声をたてる赤子を背負い、趙子龍はただ一騎だけで、敵の大軍勢の中を駆け抜ける!

 馬がやられても、片手で槍を、剣を揮い、赤子を抱え、背負い、獅子奮迅、血潮にまみれ、鬼気迫る阿修羅のごとき闘いを繰り広げる趙子龍!
 確かにスタントマンによる吹き替えではなく、アンディ本人が演じています。

 …いやだから、どうして雑兵どもってのは、一気に円陣の真ん中に、槍を突き出さないのかねえ。
 どうして一人ずつ槍を突き出して、正義のヒーローにかいくぐる隙を与えるのかねえ?と、大河ドラマ「風林火山」でも思ったし、昨夜も「江山美人」を見ていて思った気がする。

 その趙子龍のすさまじい死闘ぶりを、大陣営のなかで、ある老人が、幼い孫娘に見せていた。
 老人こそが、あの曹操(おお、「新仙鶴神針」(93)でトニーと共演した懐かしい顔だ。ダミアン・ラウ劉松仁)であり、幼い孫娘の曹嬰こそが、成長後にはマギー・Qになるんである(全然子役がマギー・Qに似てない…フツーのモンゴロイド顔)。

 趙子龍は超人のごとき、阿修羅のごとき活躍をみせ、今までのアンディではありえなかった「ウワハハハハッ」の高笑いまでやってのけて、死中を脱し、無事に阿斗を劉備の元へ送り届ける。
 この手柄により、一兵卒だった趙子龍は牙門将軍に大出世。いったん常山に戻り、故郷に錦を飾って、子供たちに大人気の"英雄"となるのだった。

 当然、弟分に出し抜かれたかたちの先輩、羅平安は、忸怩たる思いであり……。

 あああ、というところで、もう時間切れ。残念……。
 マギー・Qも、ヴァネス・ウーも、後の阿斗を例のネット有名人が演じてるかどうかも、見られないじゃないか…。

 とりあえず、やっぱり予想していた通り、地味な孔明も劉備も関羽・張飛も張子龍の引き立て役に徹するという、
 やはりアンディの、アンディによる、アンディの理想のための悲劇のヒーロー(ナルシスト入ってますがそれがまた微笑ましい)映画になっていることは、
 ここまで見ただけでもよーーーくわかった。

 あ、そうそう、関羽役を、あのティ・ロン狄龍が演じていることには、おおっと思った。
 狄龍さんの役者人生後半のドラマ当たり役は、何といっても中国の大岡越前こと包青天(95年の香港TVB版)なんですもんねー。道理で長いながいおひげが似合うことったら。

 4月22日時点では「中国で大ヒット、制作者ホクホクで続編も構想中」ということなので、アンディファンは安心ですね。「スリー・キングダム」三部作、あの「インファナル・アフェア」のアンディ・ラウが再び!なんつって、日本公開されるんでしょうか…?
 とりあえず、香港版DVDで、今回最後まで見られない無念を晴らす所存であります!

 そそくさと、映画館を脱出して、階下へと走る!
posted by nancix at 13:15 | 香港映画
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