
Bloggerの皆さん、周慕雲を「史上最低な男」「嫌な男」、「芸域をえろじじい(爆)にまで広げんでも(汗)」「…島耕作」と書いているので、あららそうかなあ、と思ってしまう。
ひいき目が過ぎるnancixの目には、極彩色ウロコが何枚も入りまくっているのだろうか。
それともnancixの男脳度が高いので、どうしても女たちに感情移入できないのだろうか。
とりわけチャン・ツイィー扮するバイ・リン白玲にはどうにも、感情移入できません。
だって彼女は自分の美人度、男をそそる度を知りすぎている。それを武器に、世の中を独力で渡っていこうとする。
何人もの男を気まぐれに引っ掛け、気に入らなければ突っぱね、がっかりして離れようとすると思わせぶりに甘くささやいて引き留める。
両天秤どころか三股だってかけてしまうのも平気。男心を弄ぶのが楽しくてたまらないのだ。
きらびやかなチャイナドレスとメイクに彩られて目がくらんでしまうけど、本性はそんじょそこらのモデル志願、タレント志願の女の子と変わりません。
とてもじゃないけど「添い遂げられる女」じゃございません。nancixが男なら、遊び相手としてはスリル満点だけど、一生こういう女に振り回されてボロボロにされるのは、ごめんこうむります。お金で手っ取り早く一定の距離を置けて巻き込まれずに済むなら、出します、10ドル(当時の1000円?)ぐらい。
そんな彼女の、若さゆえの過ちが、周慕雲=外見はトニー・レオンで中身は王家衛という手ごわい男=に心を許してしまったこと。
さらに、楽しく夜を謳歌するセフレでいればいいものを、嫉妬丸出しに独占欲を発揮したこと。
まず「(部屋に入れた)あの女は何なのよ」と食ってかかったのが過ち1。
(俺がそんなにも好きなのか、可愛いなあ)と鼻の下がビロ〜ンと伸びる男もいるかもしれませんが、周慕雲のような男はげんなりします。
その上に情事の後に「朝までいたい」とせがんだことが過ち2。ただでさえ男は虚脱状態で何もかも面倒になっているのに、嫉妬の次は独占欲かよ、と引きまくりです。
これはエッチ前、男がそそられてもうもう生理的欲求を我慢できない!やる! やらせてください!押し倒す!とはやっているときに「じゃあ、このまま朝までいてくれるなら、許してもいい」と交換条件にすべきでした。(…でもだいたい「そんなこと言ったか?」と忘れられちゃうけど。終わった後は。)
それに周さんは、今から自室で仕事をするのです。執筆中に電話が鳴るだけでも腹が立つのに、背後から何やかんやと声をかけられ、注意を惹こうとあれこれいじられ壊されくすぐられ噛まれ、しまいに「私の相手をしてくれないなら、なんで私を部屋に入れたの。つまんない!」とむくれられ飛び出されるに決まってます。
………仕・事・に・な・る・かーーーー!
男の仕事の邪魔をしない女。これが長続きのコツです。
そして駄目押しで「ずっとあなたを独占していたい」。
これ、最悪最低です。周慕雲は「ずっと」を信じられないデカダン男なのです。
永遠の愛を誓ったはずの妻にあっさりと捨てられ、この女なら自分を理解してくれると感じたスー・リーチェン蘇麗珍にもついて来てもらえず、黒蜘蛛さんにも拒まれた男です。「ずっと」は禁句なのです。
ずっと売文業で生計を立てていけるのか、政変続く中華圏で、動乱の続いた60年代香港で、東アジアで生き延びられるのか、未来が全然見えてない状況で、自分だけでなく足かせになる女までどうして面倒を見切れるでしょうか?
中国本土ではインテリとその妻子が家族が、共産主義者に理不尽に糾弾され弾圧され、命さえ奪われていたのです。
拷問の末、病院の廊下に放置され、のたれ死にした著名作曲家。
やはり拷問を受け自己批判を迫られたあげく、自死を選んだ著名作家。
そんな例が山ほどあったのです。
「いいよ、一緒に生きよう」と一言言うのは本当に簡単です。単なる口約束なのですから。
それを白玲に言えるぐらいなら、周さんは「花様年華」のスー・リーチェン蘇麗珍に「船の切符がもう一枚取れたら、僕と一緒に行かないか」を何が何でも言っています。
あのとき言えずにあきらめたのに、お互いまだよく本性を見極めてもいないセフレに向かって口から出まかせを言うなんて、周さん的には許されないことなのです。
彼には彼なりのモラルがあったのです。
そのモラルを見抜けなかった白玲。あれこれ期待し過ぎた白玲。
いじらしいほど未熟な彼女が傷つくとわかっていても、周さんにはあそこで徹底的に「望みは一切ないのだ」とわからせなければならなかったのです。
でないと「ああ、口ではそんなことを言いながらも本当は」と勘違いは続き、つきまとわれ、二人ともくたくたです。「こんなに愛してるのに!」と刃傷沙汰にだってなりかねません。
その上に面(つら)当てです。男を連れ込み、あえぎ声を盛大に隣室に聞かせる。
もうダメです。修復不可能です。腹を立てれば、面子を潰されればそういうことをする女だとわかっていたから、周さんは深みにはまりたくなかったのです。
「どうしてあのままじゃいけなかったのかしら。…もうちょっと続けたかったわ」の彼女の台詞に「そりゃー当たり前だー!」と、トホホ感いっぱいに突っ込んだnancixでした。
ホテル管理人の娘とのひそやかな交情と失恋を経た周さんは、もう白玲をもセックスシンボル、ヤリたい女としては見なくなっています。
男たちとのあれこれに疲れ果て、香港を見限り、希望もないまま新天地へ去ろうとしている一人の若者として、彼女を見守り、自分にできることなら援助しようとするのです。同情であり、憐れみであり、愛情ではありません。
本当に「嫌な男」なら、優しいふりしてよりを戻し、彼女に貢がせたに決まってます。
決して「優しい男」ではない。
微笑むことで自己防衛し続け、相手の過去を一緒に背負えない小心者で臆病者で、自分を傍観者の立場にしかおけない性(さが)の男。
誰よりも自分に対しての、虚無感とひそやかな怒りの炎を消せない男。
ちっくしょーーーー。ダメだだめだ、ずぇんずぇん望みはないのに。
肩貸したいよーーーーーー、ぬくもりをあげたいよーーすやすや気持ちよく眠らせてあげたいよぉーーーー。
無垢な寝顔を見つめていたいよーーーーー。
こんな丸っこいぷよぷよの肩でよかったら、周さん寄りかかって〜〜〜。
あ、ソウルに逃げられた……_| ̄|○
島耕作というのは知らなかったです(笑)
えろじじい・・・というのは、「花様年華と比べて、すごいから!」と、見る前にいろんな方からそのような評判を聞いてたので、書いちゃいました。
でも、jugemはこれからメンテなので、その文章は、もしかしたら2046年の彼方に行ってしまうかも(汗)
私はどこかのブログで読んだ 「2046は近未来SFじゃなくて、チョビヒゲおじさんの愛と苦悩を描いた映画」ていうのが忘れられません・・・。
ソウルに逃げちゃった林さん。
韓国語でも、また「ヤダ」とか新たな語録を披露してくださるのでしょうか・・・。
以前トラックバックさせていただきましたが、コメントは初かもです。
宜しくお願いします。
私もチャンツィイちゃん演じるバイリンの
『私だけを特別にして。あなたは私を愛してないかもしれないけど、私はあなたを愛している』
みたいなセリフにドンビキしました(笑)
nancixさんに1票!
私が言われてもドンビキです(言われないけど)
いやーそれはダメだろ!・・・と。冷静になって。
例えていうなら『私と仕事どっちが大切なのよ!』
て言っちゃう感じですかね?これ禁句ですね。
これはやはり男視点もしくは、トニーさんが演じるチャウだからのひいき目なんでしょうか。
うーん。
トニーさんはソウルですか。
寒そうですから、お体に気をつけて欲しいですね。
これを読んでから今日(2日)のだったのですね。
私も昨日見てこれを激しく感じてたので
「はぁ!?」ってとこはあったんです。
「そんな勝手な・・・・」って。
女だ・・・ってね。(女を武器にしてるのほうが正しいか)
だめだめ私の私情が入ってる・・・
しかぁし、私の理想とする峰不二子は
やはり違うタイプですね。(関係ないって)
男の足手まといにならず助手としては最高!
で、神出鬼没で男はちょっと気になってる、ってね。
いまだになれませんわ・・・
が、バイにはなってないからいいっかぁ。(^▽^)
私文を書くのはヘタだからこうやってnancixさんの文章を読ませてもらって「そうそう!」とすっきりいたしましたわ。
試写会で観終わった後、連れの最初の一言。
「トニー、最低。なんて嫌な男」
(トニーじゃなくて、周さんといいたいわけですが(笑))
・・・花様年華も欲望の翼も大好きな香港映画ファンの友人の思いがけない発言に、唖然。
でも他にもそんなにたくさん、こういう感想の人がいたのですね!
友人の場合は、どうも、うかつにもツーイーの役に感情移入してしまったようなのです。・・・思えば彼女、数年前に結婚も考えてきた男に二股かけられて、喧嘩のあげく捨てられた経緯がありました。それゆえ???
でも私などはかつてあれほど身持ちが固い紳士だったのに、こんなに女性不振で孤独な魂に成り果ててしまった周さんに映画の途中で涙さえしていたので、ぜんぜん最低でもなく、かわいそうに、せつないなぁ、という一点でみていたので、友人とは意見がまっぷたつ。でも映画は観た人のもの。説得とか解説なんて野暮な真似はやめてそのままお茶して散会しましたけれど、王家衛映画初心者でもない友人でさえ思わずおっこちたツーイーキャラの巧みな設定に脱帽すべきなのでしょうか。
わたしとしては優しくて罪作りな男の周さんが、一日も早く幸せになるよう、祈ってやまないのですが・・・。