2008年04月01日

フィナーレ、その後にレスリーの歌声

 ファンクラブの皆さんはスクリーンに向かって「レスリー!」「レスリー!!!」と絶叫し続ける。
 いなくなった母を恋い慕う、迷える子供のように…。
 切ない…。

 スクリーンには、再び各界の著名人が映像で登場して一言メッセージを述べる。スタンリー・クァン關錦鵬監督、シルヴィア・チェン張艾嘉お姉様…。

 さて、まだ涙が乾かないうちに、出演者(16人だろうか?)がステージに横一列に並んで、いよいよフィナーレ。
 今回は、とっとと帰ったりしないで、トニーは中央近く、藝術顧問でもあるジャッキー・チョン張學友と、カレン・モク莫文蔚の間に挟まれている。
 フィナーレ曲は「風再起時」。
 映像でも紅凧が翻り、巨大な模型の紅凧も、ステージ脇の宙を舞う。
 トニーは一点を見つめて、決して視線を外さない。視線の先には歌詞が示されるモニターでもあるんだろうか?
 歌いながら、時折り隣のジャッキーがトニーを優しいまなざしで見つめるのに、トニーは全く気づかない。もー、歌うので一杯いっぱいらしい。
 90年代には、ジャッキーと肩組んで、照れてれのはにかみ笑顔を向けて、あんなになついてて、nancixの胸をキュンとさせてたのになぁ…。

 出演者一同が退場すると、やがて1本のマイクスタンドがスポットライトを浴びてせり上がって来た。
 1990年の「告別演唱會」の時、敬愛していた山口百恵がステージの上にマイクを置き、二度と振り返らずに引退を成し遂げたことに倣って、「封ロ米儀式」=マイクを納める儀式をしたとき用いられたマイクらしい。
 マイクスタンドの背後のスクリーンには、歌手引退を決意、二度とステージには上がらない悲壮な決意をして白光に輝く舞台奥に歩みつつ、百恵ちゃんと異なり、なおも客席を振り返った時の、若いわかいレスリーのアップが……。

 そしてスクリーンに歌詞が字幕で流され、
 レスリーのライブ音源かららしい、声と歌が場内に響き渡る。
 歌は「」だ。
 「私は私…」と、ミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」(映画化もされた)の1曲「I AM WHAT I AM」からヒントを得て作られたらしい、これも忘れられない1曲。

 「私は私」と、自信を持って、誰が何と言おうと、自分なりの道を歩んでいくんじゃなかったの?レスリー…。
 それができる貴方ではなかったの?

 ファンクラブ会員さんらを中心に、観客席からも歌声が…。

 歌のラストには、マイクスタンドが、火を噴く!
 いや、花火仕掛けでまぶしく白銀の輝きを放つ!

 無人のステージ……。

 しかし、そうすると、これまでの他の歌手が懸命にレスリーの名曲を歌いこなそうと努力したこと、存在意義は一体……(汗)。
 レスリーの映像を集めたフィルムコンサートでも、レスリーファンは堪能できたのかも…と、ふと疑念がよぎる。 マイクスタンドが静かにセリに下がって消えていき、
 客ハケの曲はピアノソロによるインストゥルメンタル「月亮代表我的心」で…。
 あああ、この曲、日本でのコンサートでレスリーが、(テレサ・テンも歌ったんだし当然君たちも知ってるでしょ)とばかりに客席にマイクを向け、
 (えええっ日本のカバー曲でもないのにレスリーさん、殺生やぁぁ)と必死になって合唱したら、満足げに一緒に歌ってくれた……。

 その時響いた場内アナウンスは、また蘇絲黄さんの声だったかもしれない。
 後で新聞記事を読んだら「2日間のコンサートが即日完売したのが、もうすでにレスリーと皆さんが起こした奇跡よね。ここから帰るときには、悲しみではなく、レスリーの前向きに仕事に取り組む姿勢を、胸に留めてほしい。これからもレスリーを愛し続けましょう!」というような呼びかけだったようだ。

 ファンクラブ会員は、アリーナ席からまだ一人も動かず、「月亮代表我的心」を歌い続けてる。
 歌い続けている限り、レスリーの魂は場内から去らず、一緒にいてくれると信じているかのように……。
 
 彼女たちはこの5年間、あの4月1日から、どんな思いで、どんな生き方をしてきたんだろう……胸がキリキリ痛む。

 どんな素晴らしいスーパー・エンターティナーであろうと、自分を愛し、支持し、心の拠りどころにしてきた彼女たちを打っちゃって放り出して顧みないなんて、そんなことしちゃ…しちゃ……だけど……だけどそれもあの頃のレスリーにはおそらく、重荷でしかなくて…放っておいてほしい思いと、自分をもっともっと構って大事にしてほしい思いとが…。
 扁桃腺が腫れただけでもこんなに辛いのに、胃酸が逆流して喉を焼く症状なんて有ったら、声をいのちとしてきた歌手レスリーにはどんなに苦しかったことか…自分を叱咤したか…?

 フィナーレ直後から、nancixの周辺の客は「バスの最終がぁ…」などと呟きながらさっさと帰って行っていた。
 さすがは香港人…アンコール2回はやってもらわんと、モトが取れヘンでえ!と粘る大阪人とは、随分と異なる。

 泣き疲れで放心状態のnancixだったが、せめて少しでもコンサートグッズを見ないと…と、重い腰を上げる。
 もう咳は出るわ、頭は重いわ、完全に風邪引きさん。
 "ホタルのだめ"と化して、よろよろと会場の外に出て、人の流れから無理に脱出して、グッズコーナーへ…。
posted by nancix at 20:30 | 旅行記
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