2008年04月01日

張學友の「追」にも泣きむせぶ…

 登場したのは………。

 いよっ! 真打ち、ジャッキーーーーー・チョン張學友ーーーーー!
 白のポケットチーフは正統的だけど、白シャツの裾を黒ジャケットとボトムの間にはみ出させた、ラフさ。四大天王時代にはご法度だったらしい無精ヒゲ?もちょっと生やして。
 彼のナマ歌を香港でnancixが聞くのは、もしかしてこの香港体育館で観たミュージカル「雪狼湖」以来じゃないのかーー!

 彼が歌い出したのは、レスリーがフォークソングのようなと形容していた「春夏秋冬」。(泉谷しげるの「春夏秋冬」は全然違うぞー)
 揺るぎない音程、優しさに満ちた、時には朗々と響くジャッキーの歌声に、うっとりと聞き惚れる。
 さすがは桑田圭祐、安全地帯or玉置浩二、槇原敬之、浜田省吾、何でも歌いこなし、どれを聴いてもジャッキーのためにあらかじめ作られた持ち歌としか聞こえないまでに歌える"歌神"様である。
 この「春夏秋冬」も、え? ジャッキーの新曲でしょ?というくらいに歌いこなしてる…それがいいのか悪いのかわからないけど。

 そして再び登場の女性歌手、エリサ・チャン陳潔靈とのデュエットは、実際にレスリーとエリサがデュエットした「只怕不再遇上」、「誰令イ尓心痴」の2曲、レスリーとアニタ・ムイもデュエットしてた「縁イ分」。
 「誰令イ尓心痴」は、"金妻"ことドラマ「金曜日の妻たちへIII 恋におちて」の主題歌だった、小坂明子の「恋におちて -Fall in love-」のカバー曲だよね。最近は徳永英明もカバーした…nancixもそっと日本語歌詞で學友とデュエットしました。

 だけど……。
 だけど……。

 次の曲が「追」だなんて……………!!!!

 「張國榮跨越97演唱會」で「追」を歌った時のレスリーと同じく、緑のレーザー光線がジャッキーの周囲を包み込む。後光かオーラのように…。

 また、nancixの目から鼻から力水。
 あまりにも、思い出がありすぎる歌なんだもの!!!
 記憶細胞のどこに潜んでいたのかと自分でも驚くほど、歌詞が(カタカナ発音だけど)発音できた。
 「恋する惑星/重慶森林」を観たくて飛んだ1994年夏の香港で、前日で「恋する惑星」が打ち切られて、そんなぁぁと泣く泣く、でもトニー主演で「風塵三侠」「月夜の願い〜新難兄難弟」を作ったピーター・チャン陳可辛監督作品だし久々のレスリー主演作だしと、後番組の「君さえいれば〜金枝玉葉」を観て、あまりの面白さに引っくり返ったこと。それもどの映画館も満席、満席で、香港島をさまよい歩いてようやく入場できたこと。
 鼻ピアスに巻きロングスカートのオーディション参加者に、「ピーター・チャン! 歌手トニーをネタにしやがって、いつか首絞める!」と怒りつつ座席からずり落ちるほど笑ったこと、前年のトニー歌手再デビューのおかげで香港の歌番組を観て、四大天王の歌やMTVを観ていたからこそ、満員の香港人観客と一緒になって大笑いできたこと…。
 翌95年の金像奨領奨典禮、入り待ちの陳小春香港人ファンらと一緒にいて、入場しようとするピーター・チャン監督を見つけて「ハイ! 来ちゃった!」と手を振ったら、目をまんまるにして、慌てふためいてやって来て「チケットあげるから、中に入って見てごらん」と入場させてもらえてこっちがビックラこいたこと…。やっぱり最後列近くの座席で、王家衛派らしきインテリ青年(新進映画批評家だったのか?)と並び、最優秀監督賞発表のときにnancixが「ピーターさん、ピーターさん!」とブツブツ念じてたら、彼は「王家衛、王家衛」と念じ出し、むきーーーっ!となったこと。おかげで黒サングラスにビニールワイシャツに白ネクタイの珍妙な(あっ……)トニーが「恋する惑星/重慶森林」で最優秀主演男優賞を獲得し、隣席のカリーナにハグしてキッスし(ちぇーー…)、「君さえいれば〜金枝玉葉」でアニタ・ユン袁詠儀が最優秀主演女優賞に輝いたのを、目に焼き付けることができたこと…。

 そしてそして、97年「Leslie Cheung World Tour '97」in東京国際フォーラムでこの「追」をレスリーが歌った時に、間奏で思いっきり「サーーーム! I Love YOU!」と叫んだら、(いち早く香港で「ボクらはいつも恋してる!/金枝玉葉2」を観た客だな)と悟ったレスリーがニッコリ笑って「I Love You Too!」と返してくれたこと……。
 憧れ続けて来た日本で、ついに満場の日本人(+日本在住の華人)を熱狂させた達成感なのか感激なのか、ひとすじの涙を流していたレスリー…。

 あんな一体感、誰とももう味わえない。

 あんな時代、もう戻らない。

 あんな無邪気な追っかけの自分に、香港映画に、凛々しくて義に篤くて日本の芸能人よりストイックだと信じてやまなかった、日本との絆を大事にしてくれたきらびやかな香港スターたちに憧れてやまなかった自分に、もう戻れない。

 ジャッキーの見事な歌声に聞き入りながら、深いふかい喪失感に苛まれて、涙がいくらでも湧き出て来て……。
 
 
 きらきらした幾つもの想い出を、レスリー、本当にありがとね。 
 この5年、いろんな葛藤から記憶の底に封じ込めていて、本当にごめんね。

 あなたはあまりにも多くの人に愛されすぎていて、日本でも多すぎるほどの支持者を集めていて、ということでnancixごときの「イ尓是真正目標」ではなかったけど、でも同じ時代を共有できた、稀有のエンターティナーだった。
 プロとしての真剣な姿勢も魅力だったけど、おちゃめでイタズラっぽくて気ままな性格があればこその、みんなのアイドルだった。一過性の狂乱ファンからは守り通したい、存在だった。

 でもホントのホントに、5年前の3月末の貴方は、5年経ってもこんなに大勢の音楽人、映画人、観衆があなたを慕って集まるなんて、思わなかったんじゃないの? どうせ僕のことなんか、1年もしないうちに皆口に出さなくなって、すぐ忘れちゃうんだ…なんて悲観してたんなら、本当に張り飛ばしてやりたかったよ…羽交い絞めにして、自室に閉じ込めて、泣こうがわめこうが一歩も出したくなかったよ…。なんて、ガイジンの1ファンが言えることではないけど…。
posted by nancix at 19:00 | 旅行記
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