2008年04月01日

「由零開始」〜蘇絲黄のぶっちゃけトーク

 「Miss You Much Leslie 繼續寵愛音樂會」、開幕を飾ったベテラン歌手ディニー・イップ葉徳嫻の次の歌声は、「Will you remember…」としっとりと始まりました。やはり黒いドレスのベテラン女性歌手、エリサ・チャン陳潔霊。歌は「由零開始」である。

 歌い手の顔がよく見えず、誰なのか解らないので、nancixの右側のシニア夫婦連れの小父さんに「あれは誰ですか?」と聞いてみた。60過ぎぐらいの小父さんは妻に相談してから「チャン・ギッレンだぁ」と答えてくれた。…うう、その時は漢字が思い浮かばなかったのであるよ。
 ちなみにその小父さんがミニデジカメで、バッチリフラッシュ焚いて写真を撮ろうとする(この距離じゃ、小父さん、フラッシュ焚いても何にも写らないよ…)と、サッと私服警備員が懐中電灯で照らして警告を送ってきたので、やはりデジカメは置いてきて正解だったんである。

 セリで上がってきたのは、女性ダンサー2人。揃いの白と赤のパンツスーツ、オカッパがバクハツしている。さすがは香港、背後のボックスがワイヤーワークで宙に浮き、白と赤の薄布が風に翻る。女性ダンサー2人もワイヤーに器具を引っ掛け、宙に舞い上がる。なぜかステージ脇に、マッチョな男性ダンサー2人が抱き合い、睦み合うようにそぞろ歩きます……えーい、歌に集中できないじゃないか、と思うが、これこそ香港演唱會テイスト。

 彼女たちはとても歌が巧く、堂々としたものなのに、nancixの背後の香港師[女乃]の皆さんはぺちゃくちゃとおしゃべりに忙しい。

 次は男性歌手。グラスホッパー草[虫孟]の蔡一傑が名曲「為イ尓鍾情」を歌い上げる。黒スーツに金ぴかシャツといういでたち。……少々音を外していたような…。
 前日31日の、元お耽美デュオ・達明一派の黄達明による「為イ尓鍾情」「這麼遠那麼近」が聞きたかったです…。

 また場内が真っ暗になり、なんとビッグサイズの紅いハイヒールが、電飾ギラギラでゆっくりとステージに降りてきました。あの、日本・東京国際フォーラムも大阪フェスティバルホールも妖しい興奮と熱狂に陥れた、「紅」のイントロがっっ!
 嗚呼しかし、セリから上がってくる寝台に寝そべり、女性ダンサーらをはべらせながら上がってきた美脚の持ち主は、もちろんレスリーではなく、日本ツアーに同行もしたカレン・モク莫文蔚だったのでした…。まとめ髪に、長いお箸も刺して…。

 ……ちゃうねん。

 女じゃあかんねん。

 いくら女が、カレンのように「ワタシは前衛的なのよー! 体当たりでどんな色っぽい演技でもこなすわぁぁ」とセクシーに媚を表現し淫らに振る舞っても、萌えない…。
 気品も漂わせ、お澄まししたら誰よりも貴公子ぽかったレスリーが、あえて両性具有を妖しく淫らに演じてみせたことに、我々は萌えたんだってば…。

 そんな呟きなんか知らない黒ラメミニドレスのカレンは、女性ダンサーに絡みつかれている。
 やがてダンサー達が彼女の紅ハイヒールを脱がせ、膝上までの革ブーツをはかせ、黄金のジャケットを着せ掛ける。

 ……ボンテージ・ファッション?
 ……にしおかすみこ…?

 曲は「大熱」に変わり、歌い踊るカレン。
 カッコイイのはカッコイイのよ、カレン姐御。

 カレンの退場の後、スクリーンには、映像と共に浮かび上がる文字。
 漢字の国の人であることに、感謝します、神様仏様天后様關羽様。

 「明・當年情」
 「我・全身都是愛」

 そして、スクリーンいっぱいに広がる花火の映像と、「煙花湯/火」の文字。
 フローレンス・チャン陳淑芬の署名入りで。

 ステージには白い紗布が。その紗布越しに、ほとんど顔の見えないあの新人女性歌手、エラ・ウォン王若卉がすっと立っている。白い薄布を幾重にも重ねたようなドレスで、素晴らしい透明感あふれるソプラノで歌い上げる。まさに、絶唱。
 アリーナ席の一角にスポットライトが当てられ、赤いジャケットの女性がそこにいたような気がするんだけど、もしやそれが陳淑芬さんだったんだろうか…? 違うか。
 歌が終わると、スツールに座った、ショートカットに眼鏡のオバサン、スージー・ソー蘇絲黄(蘇施黄と書いているニュースも)が、オトコのようなガサツなアルトの声でしゃべり始める。

 話によると、彼女はレスリーの長年の"麻雀脚"=麻雀仲間。
 レスリーの麻雀の腕前や癖、なんかについて話していたと思う。
 レスリーは新曲の楽譜を麻雀の場に持ち込んで、ずっとフンフン鼻歌で歌っているので、その曲がレコードになりコンサートで歌われあんたたちが覚える頃には、自分たちは何千回と聞いてるわけで、もう聞き飽きてた!なんて。

 あと、1988年の東京国際音楽祭で、レスリーと東京で落ち合ってご馳走してもらった時のエピソードを話す時に「ガー仔が…あっここには日本人も来てるわよね。まっ彼女たちにはわかんないからいっか」とのたまい、また「で、日本妹が牛肉を焼いてくれて」とか言ってたこと。
 …ガー仔とは、香港を占領した大日本帝国軍人らが「〜が、○○が」と話す助詞の「が」が有気音でとっても際立って聞こえて耳障りだったので、反感を込めて呼んだ日本人の蔑称だと学んだ記憶があります(語学的に間違ってたらすいません)。…広東語にはングァ、とか狗仔(ガウチャイ)の音はあっても、「ガ」に当たる音はないんだろうな…。それと「日本妹」は本来は別に蔑称ではないと思うけど、AV女優とかホテトル嬢の呼称が「日本妹」「泰國妹」だったりします…あからさまに香港のオッサンどもに「日本妹」と呼ばれたらムッとしていい。「日本女人と呼べ!」って。
 内容については「Welcome to Leslie Legacy News Blog」ステラさんのブログ「継続レスリー・チャン…and the story goes on…」などが詳しいです。

 ま、こんなガサツな毒舌女とも、レスリーはフランクに友達付き合いしてたんですねえ。彼女の率直さを好んでいたのかなあ。
posted by nancix at 17:00 | 旅行記
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