2005年11月14日

第42回台湾金馬奨とBS1「世界潮流2005スクリーン・ウォーズ」

 いやー、トニー・レオンがノミネートされない、プレゼンテーターでも参加しないとなると、全然実況なんてする気になれないっす。
 こうも信頼できる情報源のblogが増えたし。
 第42回台湾金馬奨の受賞結果は、
 HongKong Addict Blog
 東京、香港。香港、東京。
 香港電影迷宮+blog
 でご確認を。
 アーロン、主演男優賞の受賞、ほんっとおおおおおおおおおおおおにおめでとう!
 (泣いたかな? やっぱり男泣きに泣いたのかな?)
 そして星仔、監督賞おめでとーーーーーーーー!
 今後も、庶民も楽しめる娯楽作をみっちり細部までこだわりにこだわって、作ってくれーい。
 最優秀美術デザイン賞に、あの低予算・スタッフのこだわりとセンスで勝負の「靴に恋する人魚」の王逸飛さんが輝いたのも、めでたい。ロビン・リー監督、よかったね。

 で、今夜はぼんやりと、何となく、「トリック」スペシャルを見ながら
 (カリスマ占い師役の名取裕子が、赤いアイラインを目の下に引いていたのは「親切なクムジャさん」をイメージしてのことか?)
 (深夜のシリーズドラマだったときより、ブラックな面が薄れてしまった…)
 (Laoxの紙袋をいつも抱えて仲間由紀恵ちゃんに「萌え〜」を連発するむさいオタク刑事なんて、あまりにベタすぎる…由紀恵ちゃん、リアクションに困ってないか?)
 (どーして「東京攻略」の阿部寛と、黒カンフースーツを着込んだ西村雅彦が詠春拳のような真似をして、カメラの範囲外でドカボカ闘わなきゃいけないんだーーー! 誰かいる? スタッフに香港映画オタク、あるいは星馳映画マニアが誰かいるのー?)
 と、勝手な突っ込みを入れていたら、noelogueのnoeさんからメール。
 何々? BS1で「SAYURI」がヒットするか、なんて取り上げてるの? 何だか米国では、米ぬか化粧品だのとタイアップで、「ラスト・サムライ」に続くエキゾチーーーック・ジャパーーーーーン!(by 郷ひろみ)で売るみたいだしねえ、全米を泣かせてそれなりにヒットさせて、日本では「全米が泣いた!」「全米大ヒット!」を売り物にしないと、トンデモ映画扱いでしょー…。
 なんて思いながら、「トリック」終了後にチャンネルを変えたら。
 ありゃ? 見覚えのある黒い甲冑を着込んだ、童顔の人民解放軍の皆さんが、砂漠に並んでる?
 とっても、デ・ジャヴーな光景のような…。
 あれえ? アクション監督が香港のトン・ワイ董[王葦]!! いやあの、彼は確か「HERO英雄」は途中降板してるから、「HERO」の撮影風景じゃない…カメラマンか誰か、日本語話してるし…何? あら? 久しぶりに日本のテレビ画面で見る、ジェイコブ・チョン張之亮監督ーーー! すっかり色黒になっちゃってー!

 驚きました。撮影進行中ながらアンディ・ラウ劉徳華がつい先日、靭帯を切っちゃった、あの「墨攻」の撮影風景や、北京での「墨攻」製作発表会見の模様が映し出されたのです。何故かアンディは画面の隅っこにしか映らなかったけど。もちろんキャストや靭帯の話は出なかったけど。

 これが「世界潮流2005 スクリーン・ウォーズ」でした。何だよぉ、こんなタイトルで新聞で小さく紹介されても、アジア映画のことだとは、わかんないよー! んもー!
 スタジオで話し合っていたのは、司会進行役らしき住信基礎研究所主席研究員の伊藤 洋一氏、キネマ旬報映画総合研究所所長の掛尾良夫氏、
ツイ・ハークの霊戦英雄伝 そしてウェイン・ワン監督の「スモーク」や「始皇帝暗殺」のプロデューサーとして記憶していた、井関惺(いせき・さとる)プロデューサーだったのでした。最近では「ツイ・ハークの霊戦英雄伝」でも製作総指揮を務めた彼が「墨攻」に大きく関わっていようとは…!

 「墨攻」の製作費は総計16億円を予定、日本が35%、中国と韓国が各20%、香港が25%を出資するシステムだと説明があったような気がする。その35%分は全て、映画配給会社ではなく井関氏に責任があり、もしもヒットすれば差益は日本では全て井関氏個人にわたり、失敗すれば赤字返済は、日本では井関氏独りの責任に…という、日本では今までにないシステムをとると説明があったように思う。海外では製作総指揮=エグゼクティブ・プロデューサーとはそういうものだけど、日本ではまだまだ、プロデューサーとはいろんな面での調整役に過ぎない、とも。
 北京のシネコンが映し出されると、アンディの「再説一次、我愛イ尓」の大きなタペストリーが貼られている。もう公開してるんだ。北京語吹き替えかな? 入場料は800円〜VIP席1600円。……VIP席って!(;O;) いやはや、ヒルズ族みたいなセレブが中国にもはびこってるのか。
 中国電影集団に付設されているデジタル技術研究所?では、世界のCGやデジタルテクをぱくり、習い研究しているのだそうだ。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや「ハリー・ポッター」シリーズ並みのCGを巧みに取り込んだ、アジア合作超大作を、北京で後工程を済ませて迅速に公開できるようになる日も近いのかなあ。「HERO英雄」の合成などを手がけた女性スタッフが、確かジョージ・ルーカス率いる「ILM」出身だったはずだ。
 井関氏いわく、
香港の映画人とは、共通のコトバ(言語ではなく、映画の現場ならではの業界常識というか)で話せる、彼らは世界スタンダードを身につけているので、同じ土俵の上で仕事ができる。経済開放からまだ日が浅い中国では、まだまだ共通のコトバでは話せない。
 何となく、解るような気がする。

 そしてアジア最大の映画祭として、釜山国際映画祭も映る。ちぇっ、昨年度なら、トニーがイ・ビョンホンやジャッキー・チェン成龍の代わりに映ったはずなのにぃぃ。ここでは経済面の番組なので、企画マーケットでの商談がメインに。キム・キドク監督作品の売り込みに励む広報女性の言い草が面白かった。フルーツ・チャン陳果監督の作品も売買された様子だ。
 キネマ旬報は、金大中大統領がアジア経済危機の後に、コンテンツビジネスに力を入れると宣言し、日本映画の上映を一部解禁したときに、韓国の映画雑誌と提携したという。その頃は韓国側が日本映画の資料を欲しがったのに、今ではキネ旬の方が韓国スターの写真をもらうばかりで、形勢は逆転しているとのこと。
 …同誌が定期的に韓国映画特集をするのは、韓流スターのグラビアがやけにキレイなのは、その提携のせいもあるのか…。香港の「電影双週刊」とも、提携してくれーい!

 通りがぎっしり映画ファンで埋め尽くされた釜山の映画館街。それに比べて東京国際映画祭は、アジア最大とは言えず…なんて思ってたら、出ました。東京六本木でのレッド・カーペットの様子や、高倉健とチャン・イーモウ監督の2ショット。そして、我々映画ファンが走り回っていた同じ建物内で進行していた、フィルム・マーケットの様子。ここではモデルケースに取り上げられたのが、角川ヘラルド・ピクチャーズの「妖怪大戦争」海外セールス売り込みの様子。
 いや、あの……荒俣宏、宮川みゆき、京極夏彦、水木しげる、忌野清志郎を知らない外国人バイヤーに、魔人カトーを知らない人々に、どうやって売り込むつもりよー!
 と心配してたら、英国人バイヤーも覗きに来るし、インド人バイヤーは「血がドバッと出たりしないか? 怖すぎないか?」なんて聞いてた。…もしやインドの、文部省指定夏休み映画になるんだろーか?

 スタジオでは、ラストに「日本の映画はなぜ海外に出られないのか?」と、「電車男」や「NANA」がいかにも小粒で、アジア合作映画のスケールのでかさに比べ線が細いという話をしていた。…その「線の細い」映画が、香港の公開映画ランキングでけっこう健闘しているんだけど(泣)。
 井関氏は黒澤明監督の「乱」でもプロデューサーとして働いたのだけど、それを話すとアジアの映画人はみな一様に尊敬してくれるという。ツイ・ハークではないけど、やはりハリウッド何するものぞという気概に満ち、国内でのバッシングにも耐え抜いて映画を生涯撮り続けた黒澤は、アジアの映画人の憧れであり続けるのだなあ。そして井関氏は「アジアでは、日本はただ出資さえしてくれればいいんだという言われ方をすることがあって、悔しくはあるんだけど」と言うようなことを言っていた。
 そう、確かに日本のアジア映画ファンだって思ってきたよ、「日本側は、口は挟まず黙って出資だけしててくれー! 無理やりに日本人タレントや演技力のない女優の出演を、トレンディードラマの脚本家の起用をゴリ押ししないでくれー!」なんてね。
 だって、邦画界&日本芸能界の閉鎖的な因習が、クリストファー・ドイルみたいな海外の人材をやすやすとは入れないで来たじゃない? やっとこさ最近よぉ、日本語が流暢ではないエディソン・チャン陳冠希を主演の一人に起用するほど、「春の雪」で台湾のリー・ビンビン李屏賓を撮影に起用するほど開けてきたのは。
 それでもまだ、ヘンなことはいっぱいあるけどね。「プロミス 無極」で主要人物の一人のはずのニコラス・チェー謝霆鋒が黙殺されそうだとか(日本女性は美形悪役が好きなのに、わかってないなー宣伝のひと)。
 
 ま、とにかく興味深い番組ではあった。映画そのものの質や見応え、スター出演の有無などをとっぱらった、あくまで"ビジネス・コンテンツ"としてのアジア映画の取り上げ方だったけど。うう、最初から見たかったな。地上波(NHK教育か総合)での再放送…ないかなあ? 今度こそ録画してとっくりと見るのに。
 
posted by nancix at 03:06| Comment(5) | TrackBack(3) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>これが「世界潮流2005 スクリーン・ウォーズ」でした。

そんな貴重な映像が流れていたとは全然知りませんでした・・!来年「単騎、千里を走る。」の公開もありますし、今後アジア映画が取り上げられる機会が増えそうですね。BS、NHK要チェックですね。
Posted by ぐう at 2005年11月14日 23:00
『世界潮流』の詳細なご紹介、ありがとうございました。せっかくBSが観られる環境にありながら(愛読している某NHK系TV雑誌にも紹介されていたのに!)、うっかり見落としておりました…。
NHKはアジアフィルムフェスティバルなどでアジア影がへ積極的に出資しているからこういう特集をやるのもなんかわかりますね。でも確かに、日本映画にえぢやチェン・ボーリンのような中華俳優やリー・ピンビンさんやリー・チーガイさんなどの中華映画人が参加してお仕事しているなんて、5年前には考えられなかったですよね。そうはいってもいろいろ考えてしまうこともあるのですが、とりあえずは前向きに行くように見守っていきたい(それしか出来ないし^_^;)ものですね。
Posted by もとはし at 2005年11月14日 23:37
あ、タイプミス発見しました。
アジア影がじゃなくてアジア「映画」ですね。
失礼しました。
Posted by もとはし at 2005年11月15日 00:43
ぐう様:
 日本人俳優が出演すると、その人の苦労話のクローズアップばっかりになっちゃうんですよねえ。海外進出する日本人俳優のプロモーション作品扱いになっちゃう。「2046」「プロミス〜無極」のように。周囲の香港人、中国人だって苦労してるんだーい!とボヤキつつ11月21日(月)午後8時からの「高倉 健 千里を走る」は絶対見る!録画する!と決めているワタシ。
http://www.nhk.or.jp/bs/navi/docum_td.html

>もとはし様:
 今年12月の「NHKアジアフィルムフェスティバル」の開催の詳細も決まったようですね。「美麗時光」「戀の風景」が東京で上映されるみたい。
 リー・チーガイさんの新作情報、ホントなんでしょうかねえ…香港では彼に投資しようという企業や出資者はいないのかなあ? 不思議。ピーター・チャン監督はすっかり角川ヘラルド・ピクチャーズとべったりですよね。「パーハップス・ラブ/如果…愛」公開が待ち遠しい!がこれも金城武クンばっかしがクローズアップされるのだろーか…仕方ないけど…。(邦題をもうちょっと考えてくれー! パファップスならともかく、パーハップスって…)

Posted by nancix at 2005年11月15日 01:13
>11月21日(月)午後8時からの「高倉 健 千里を走る」
これってBSハイビジョンなんですね。
BSは観られるんだけど、BSハイビジョンは観られないのでした。BSで再放送してくれー!
Posted by ぐう at 2005年11月16日 22:43
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