2004年10月30日

2046聖地巡礼の思い出

 ロケ地巡りは別に韓国ドラマファンだけの特権ではない。10年以上前から香港映画ファンは、香港に馳せ参じてロケ地巡りを敢行してきた。名づけて「聖地巡礼」。

 たとえそこが現地の人間でもめったに行かない辺鄙な場所であろうと、行ってみたら何てことなかろうと、ほこりまみれ鉄さびまみれ飛行機の爆音で耳鳴りがしようと、映画と同じ風景を一目見られるなら、たとえ火の中無間地獄。時には映画館を出て、そのまんまロケ地に走り(ああっこの交差点でトニーが…! あの歩道橋で携帯を…!)と一人でほくそ笑んだりもできたのだ。

 とはいえ大勢でぞろぞろ押しかけて勤勉な労働者の方々に(これだから金持ちでヒマな日本人はっっ)と舌打ちされるのも、決して金もヒマも有り余っているわけではないのでいまいましい。一人で(観光客が偶然迷い込んでしまいましたぁ、失礼があってもお許しを〜)としらばくれるか、あるいはジモティファン数人と現地のマナーに従って訪問するのが何よりである。大人数でゾロゾロは野暮ってもの。少人数がイチバンよん。

 まあ、ロケ地でもレストランなら、金さえきちんと払って飲み食いすれば従業員だってもみ手状態で歓待してくれる。「花様年華」で周慕雲と蘇麗珍が、互いの伴侶の好物を注文し合い、伴侶を寝取られた敵討ちとばかりに、ステーキやポークチョップを残虐に切り刻み咀嚼し格闘を繰り広げていたのが香港島コーズウェイベイ銅鑼灣(とんろーわん)の「金雀餐廳Goldfinch Restaurant Ltd」。場所は「地球の歩き方」などで調べて。
金雀餐廳外観とレトロな紙ナプキン


 「2046」ではクリスマスイブにフェイ・ウォンとトニーがここでディナーを食べているほか、トニーの自室以外の執筆の場もここである。
 コン・リー鞏俐とトニーが向かい合って会話しているスチールも見かけたけど、ええと本編にあったかな。土曜に見て確認してきます。
 1962年、トニーの生まれた年に開業したこの洋食店は、何だか神戸のステーキ屋と雰囲気が似ている。開業当時は洋食店といえばウェイターが普通だったのに、この店だけはウェイトレスを雇って話題を呼んだそうだ。

 ここには2002年2月11日にトニーファンばかりで初めて行った。トニーとマギーが向かい合って食事しているスチールが大きく引き伸ばされて、該当の座席の壁に掲げられていた。旧正月とはいえまだディナータイムには時間が早かったので、従業員が愛想よくその席を教えてくれたものだ。
 さすがに「花様年華セットメニュー」提供期間は終わっていたが、記念にステーキとポークチョップを頼んだら、これがまたもんのすごいボリューム。メインディッシュが運ばれて来る前に、名物のボルシチとパンを食べてしまったのを心から後悔した。女3人で1人分のコースを注文する程度でやっと食べきれるボリュームだ。
でかい!金雀餐廳のステーキとポークチョップ。

 ここには、「地下鉄」公開直後の2003年12月23日夜にも再訪した。メル友の香港人トニーファンと、映画館前で行われたイベントで合流したら、車で去ったトニーを見送った後で「みんなで夕飯食べよう」と連れられて行ったのがこの「金雀餐廳」だった。主要メンバーはもはや支配人と顔なじみらしく、顔を合わせたとたん「おお、君たちまた来たね」と破顔一笑されていた。ボーイさんらが椅子を持ち寄って、たちまち10人程度の席を確保してくれた。なんとイスタンブールから一人で香港にトニー映画を見に来たという熱烈な女の子もいて、英語でしゃべりまくっていた。
 今回はステーキではなく、単品で勝負。その上、フレンチポテトケチャップ付きが回ってきて香港人得意の「食べろ、食べろ」攻撃にさらされたが、何とか相手が気分を害さない程度に持ちこたえた。広東語英語日本語北京語が飛び交う環境だったが、そこは「梁朝偉」が世界共通言語。長い間、一人でトニーファンを続け、香港でも一人でトニー映画を見てふらふら街で遊んでいたnancixにとっては、少し日付は違うけど「平安夜」だった。少なくともあの悲劇的な2003年、nancixにとってだけは1224-25前のゾーンは温かかったのだ。

 そしてその年、nancixは一人でマカオにも足を延ばした。「2046」ロケが行われたという以前の新聞記事のプリントアウトだけを頼りに。
 周慕雲がピンら飲み仲間と交際花=ホステスらを連れてなだれ込んだレストラン内部は、マカオ・議事亭前地=セナド広場に面した広東料理店「龍記酒家」で撮影された。周囲はパステルカラーのしっくいが塗られた、ポルトガル的建築物なのに、よくまあこんな懐古趣味な料理店を知ってたものだよ王家衛スタッフ。
マカオの龍記酒家外観。

 一人だったので、昼食は卵あん掛けご飯を注文。広東語で通じます。まあまあの味だった。
 レジでおっちゃんに「ここで王家衛が梁朝偉の映画を撮影したのか?」と聞くと「おおそうだ、映画にはあいつも出てるぞ、えーと、日本人だ」と思い出すようなそぶり。
 「モクチュン?」「そうそう!木村だ! あんた日本人か」「そうだよ、でも梁朝偉のファンなの」「へえ、そうか! 日本人も好きか!」と、何だかおっちゃんは誇らしげだった。もっと広東語が話せたら「ロケ見てた人いる? トニーどんなだった? どんなシーンを撮影してたの?」と聞けたのになあ。
龍記酒家のレトロなシャンデリア

龍記酒家の店内。この椅子にテーブルにトニーが…!
 「今度は日本人の友達いっぱい連れて来るね! みんな梁朝偉のことを好きなんだよ!」とアピールして店を出たけど、まだ約束を実現してないなー。

 そしてバスに乗って向かったのは、内港に面した海岸通り「河邊新街」だった。
マカオの街の表示板。陶板のようでしゃれていた
 クリスマスイブに二人で飲んだ後、トニーとチャン・ツイィーがそぞろ歩いて「陰気な酒だったわね」〜「飲み友達で我慢できる?」「難しいがやってみよう」と会話するシーン、そして周慕雲が、タクシーを指を鳴らして停めるシーンのロケ地である。

マカオの河邊新街。惰眠をむさぼっているかのような、さびれた商店街だった

 真昼間に見ると、正直、古ぼけているだけで、なんてことのない街並みだ。治安についてはよくわからないので、夜は女がうろうろすべきではないかも。ちょっと歩くとしゃれた欧風レストランやバーもあったが、車で店に乗り付けタクシーで帰るべき場所だ。

靴店のシャッターに書かれた、味のある書き文字。
 この文字がほんのちらっと「2046」に登場したときは、ああやっぱりあそこだったんだ、と感動してしまった。
 ロケ中に一服しているトニーの背後にご注目。
ロケ中喫煙トニー

 DVDが出たら、同じ角度から撮影するためにあの通りを再訪したいなあ。
posted by nancix at 00:38 | Comment(3) | TrackBack(2) | 2046
この記事へのコメント
指を鳴らしてタクシーを呼ぶチャウさん、かっこよかったです。DVDが出たら何度もリピートしそう(そんなシーンばっかりなんですがね・・・)
その場所、写真で見ると、昼間でも近づき難い雰囲気を感じますが・・・nancixさん勇気ありますね(尊敬)

写真のおいしそうなお料理、いつか食べたい♪
私にはなんてことない量だわ。軽く平らげられそうです(^^)
Posted by レイ at 2004年10月30日 01:43
nancixさんの情熱、行動力、すべてトニーへの愛ゆえですね(*^.^*)。一度は行ってみたい場所の数々のご紹介に、トニーファンになるまでは「何かごちゃごちゃして、ブランド好きの人が行く、ちょっとこわそうな所」と思っていた香港が一番憧れの地になりました。しかし、マカオまでとは!先日ブエノスアイレスに6歳まで住んでいたという日系の20歳くらいの女の子が入社してきて、思わずキラキラ目で映画の話をしたら「聞いたことがあります」と一応嬉しそうにはしてくれましたけど・・。かの地が身近になった気がして、それだけでしんどい職場に行く元気がほんのすこ〜し出てきました。nancixさんはいつか行くのでしょうか・・・・?
Posted by ろくさん at 2004年10月31日 13:34
うわぁ!
セナドの龍記酒家ですか!

実は10月の終わりに香港とマカオに行ったんですけど、あれらのシーンはマカオだったんですねー。

せっかくマカオも行ったのにそういう楽しみ方ができなかったのはもったいなかったなァ!一緒に行った友人にゆったら、彼女倒れるかもしれませんよー(笑)。

香港では無間道のロケ地まわりなどはしたんですけどね。もちろんnancixさんのサイトを参考にさせてもらって・・・・。ありがとうございました。

ご存知かもしれないですが、超域音響、存在していましたよ。明らかに無間道ファンとばれているのが恥ずかしかったので、中に入って店員のおにいにあらかじめトニートニーと連呼しておきました。えへ。
Posted by laksmi312 at 2004年11月03日 00:04
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Weblog: 633 little fish fai lin ...
Tracked: 2004-10-31 21:18

「2046」のレストランへ
Excerpt: 1967年の12月24日、クリスマスイヴ。香港のあるホテルの2046号に住む作家チャウは、酔って帰ってきた隣の部屋のクラブのホステスをを夕食に誘う。「クリスマスイヴに一人で食事するのは嫌だから」「別に...
Weblog: It's a Wonderful Life
Tracked: 2004-12-25 10:38
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