たとえそこが現地の人間でもめったに行かない辺鄙な場所であろうと、行ってみたら何てことなかろうと、ほこりまみれ鉄さびまみれ飛行機の爆音で耳鳴りがしようと、映画と同じ風景を一目見られるなら、たとえ火の中無間地獄。時には映画館を出て、そのまんまロケ地に走り(ああっこの交差点でトニーが…! あの歩道橋で携帯を…!)と一人でほくそ笑んだりもできたのだ。
とはいえ大勢でぞろぞろ押しかけて勤勉な労働者の方々に(これだから金持ちでヒマな日本人はっっ)と舌打ちされるのも、決して金もヒマも有り余っているわけではないのでいまいましい。一人で(観光客が偶然迷い込んでしまいましたぁ、失礼があってもお許しを〜)としらばくれるか、あるいはジモティファン数人と現地のマナーに従って訪問するのが何よりである。大人数でゾロゾロは野暮ってもの。少人数がイチバンよん。
まあ、ロケ地でもレストランなら、金さえきちんと払って飲み食いすれば従業員だってもみ手状態で歓待してくれる。「花様年華」で周慕雲と蘇麗珍が、互いの伴侶の好物を注文し合い、伴侶を寝取られた敵討ちとばかりに、ステーキやポークチョップを残虐に切り刻み咀嚼し格闘を繰り広げていたのが香港島コーズウェイベイ銅鑼灣(とんろーわん)の「金雀餐廳Goldfinch Restaurant Ltd」。場所は「地球の歩き方」などで調べて。

「2046」ではクリスマスイブにフェイ・ウォンとトニーがここでディナーを食べているほか、トニーの自室以外の執筆の場もここである。
コン・リー鞏俐とトニーが向かい合って会話しているスチールも見かけたけど、ええと本編にあったかな。土曜に見て確認してきます。
1962年、トニーの生まれた年に開業したこの洋食店は、何だか神戸のステーキ屋と雰囲気が似ている。開業当時は洋食店といえばウェイターが普通だったのに、この店だけはウェイトレスを雇って話題を呼んだそうだ。
ここには2002年2月11日にトニーファンばかりで初めて行った。トニーとマギーが向かい合って食事しているスチールが大きく引き伸ばされて、該当の座席の壁に掲げられていた。旧正月とはいえまだディナータイムには時間が早かったので、従業員が愛想よくその席を教えてくれたものだ。
さすがに「花様年華セットメニュー」提供期間は終わっていたが、記念にステーキとポークチョップを頼んだら、これがまたもんのすごいボリューム。メインディッシュが運ばれて来る前に、名物のボルシチとパンを食べてしまったのを心から後悔した。女3人で1人分のコースを注文する程度でやっと食べきれるボリュームだ。

ここには、「地下鉄」公開直後の2003年12月23日夜にも再訪した。メル友の香港人トニーファンと、映画館前で行われたイベントで合流したら、車で去ったトニーを見送った後で「みんなで夕飯食べよう」と連れられて行ったのがこの「金雀餐廳」だった。主要メンバーはもはや支配人と顔なじみらしく、顔を合わせたとたん「おお、君たちまた来たね」と破顔一笑されていた。ボーイさんらが椅子を持ち寄って、たちまち10人程度の席を確保してくれた。なんとイスタンブールから一人で香港にトニー映画を見に来たという熱烈な女の子もいて、英語でしゃべりまくっていた。
今回はステーキではなく、単品で勝負。その上、フレンチポテトケチャップ付きが回ってきて香港人得意の「食べろ、食べろ」攻撃にさらされたが、何とか相手が気分を害さない程度に持ちこたえた。広東語英語日本語北京語が飛び交う環境だったが、そこは「梁朝偉」が世界共通言語。長い間、一人でトニーファンを続け、香港でも一人でトニー映画を見てふらふら街で遊んでいたnancixにとっては、少し日付は違うけど「平安夜」だった。少なくともあの悲劇的な2003年、nancixにとってだけは1224-25前のゾーンは温かかったのだ。
そしてその年、nancixは一人でマカオにも足を延ばした。「2046」ロケが行われたという以前の新聞記事のプリントアウトだけを頼りに。
周慕雲がピンら飲み仲間と交際花=ホステスらを連れてなだれ込んだレストラン内部は、マカオ・議事亭前地=セナド広場に面した広東料理店「龍記酒家」で撮影された。周囲はパステルカラーのしっくいが塗られた、ポルトガル的建築物なのに、よくまあこんな懐古趣味な料理店を知ってたものだよ王家衛スタッフ。

一人だったので、昼食は卵あん掛けご飯を注文。広東語で通じます。まあまあの味だった。
レジでおっちゃんに「ここで王家衛が梁朝偉の映画を撮影したのか?」と聞くと「おおそうだ、映画にはあいつも出てるぞ、えーと、日本人だ」と思い出すようなそぶり。
「モクチュン?」「そうそう!木村だ! あんた日本人か」「そうだよ、でも梁朝偉のファンなの」「へえ、そうか! 日本人も好きか!」と、何だかおっちゃんは誇らしげだった。もっと広東語が話せたら「ロケ見てた人いる? トニーどんなだった? どんなシーンを撮影してたの?」と聞けたのになあ。


「今度は日本人の友達いっぱい連れて来るね! みんな梁朝偉のことを好きなんだよ!」とアピールして店を出たけど、まだ約束を実現してないなー。
そしてバスに乗って向かったのは、内港に面した海岸通り「河邊新街」だった。

クリスマスイブに二人で飲んだ後、トニーとチャン・ツイィーがそぞろ歩いて「陰気な酒だったわね」〜「飲み友達で我慢できる?」「難しいがやってみよう」と会話するシーン、そして周慕雲が、タクシーを指を鳴らして停めるシーンのロケ地である。

真昼間に見ると、正直、古ぼけているだけで、なんてことのない街並みだ。治安についてはよくわからないので、夜は女がうろうろすべきではないかも。ちょっと歩くとしゃれた欧風レストランやバーもあったが、車で店に乗り付けタクシーで帰るべき場所だ。

この文字がほんのちらっと「2046」に登場したときは、ああやっぱりあそこだったんだ、と感動してしまった。
ロケ中に一服しているトニーの背後にご注目。

DVDが出たら、同じ角度から撮影するためにあの通りを再訪したいなあ。
その場所、写真で見ると、昼間でも近づき難い雰囲気を感じますが・・・nancixさん勇気ありますね(尊敬)
写真のおいしそうなお料理、いつか食べたい♪
私にはなんてことない量だわ。軽く平らげられそうです(^^)
セナドの龍記酒家ですか!
実は10月の終わりに香港とマカオに行ったんですけど、あれらのシーンはマカオだったんですねー。
せっかくマカオも行ったのにそういう楽しみ方ができなかったのはもったいなかったなァ!一緒に行った友人にゆったら、彼女倒れるかもしれませんよー(笑)。
香港では無間道のロケ地まわりなどはしたんですけどね。もちろんnancixさんのサイトを参考にさせてもらって・・・・。ありがとうございました。
ご存知かもしれないですが、超域音響、存在していましたよ。明らかに無間道ファンとばれているのが恥ずかしかったので、中に入って店員のおにいにあらかじめトニートニーと連呼しておきました。えへ。