2005年10月29日

華仔、滑跌倒。「愛していると、もう一度」

愛イチ横長

 あ、さて。
「愛していると、もう一度/再説一次我愛イ尓」
愛していると言ってくれ BOXセット いよいよですよ、みなさん。
 何度もnancixが「愛していると言ってくれ」と言い間違えた映画です。
 そうそう、親友のOちゃんが聴覚障害を持つ画家トヨエツにハマってはまって、手話講座まで通って「アイシテ、イマス」だけをようやく覚えた…。
 それは日本の旧作純愛ドラマだってば。

 なんせ英語題が「All About Love」。
 愛に関して。
 全ての愛について。
愛イチ香港版ポスター

 大きく出たわね、アンディ。うひょひょひょ(喜び笑い)。
 かつて香港で見て、(いやだから、なぜ、どうして、このような…何が何でも、鼻血をどうして…)と突っ込みどころ満載だった「奇異旅程之真心愛生命」(96、未)を思い出すわ。
 テーマは永遠に一生涯「宇宙の愛」を貫き通す、宇宙戦艦ヤマ……もとい、アンディ・ラウ劉徳華ならではの、ベタ甘ロマンスへの期待が高まります。
 まして、アンディが1人2役を演じるとあっては。
 うにょー、同じ人物なのに「花様年華」「2046」と演じ分けた演技派トニー・レオンのお株を奪うか、東アジアに君臨するスアーパースター!
 やってみてやってみて! 見たい!!!!

 3階席まで、あのオーチャードホールは満席でした。
 みんな、アンディ本人が来るかと期待したのかなあ。
 この作品も、先ほど見た「靴に恋した人魚」と同じく、Focus Films作品です。
 北京の会社も共同出資している。

 えっと、ここで念のためお断りしておきますが、このBlogを今まで読んだことがおありの皆様なら、
 nancixが映画評論だの映画分析だのをやる気はさらさらなく(できる能力もなく)、
 「四月の雪」を見ればヨン様のぶっとくて透明な鼻水に目が吸いつけられて他の一切を忘れ、
 しみじみ泣けるはずの映画の細部をつつきまくって重箱に穴を空ける、ネタ探求気質だということはよぉくご存知のことと思います。
 ですから素直に感動した、あるいはこれからしたい方は、これ以上読まない方が身のためです。
 いいですか? 確かに警告しましたよ? ミランダ警告までは読み上げないけど。

 もうね、最初のキャスト表示で友情出演のアンソニー・ウォン黄秋生や、共演のラム・シュー林雪の名前が出ただけで、ホールじゅうの観客がうわっと声あげて、受けるの。
 ここは2003年に解体されたはずの東急文化会館か? 東京国際ファンタスティック映画祭じゃないんだよ? 嬉しいじゃねーか同志たち!

 nancixは、アンディ扮するコウ医師を呼び止める上司が「インファナル・アフェア2 無間序曲」のヤンパパもしくは「ラヴソング」のレストラン主人役のジョー・チョン張同祖元映画監督協会会長なのを見て、狂喜乱舞。
 一気に香港の映画館で、香港映画を見てる気にさせられました。

 そして、2役アンディ、2役アンディと待ち構えていたnancixは、SONYのCLIEを駆使する超多忙有能外科医のコウ高役のはずのアンディ兄貴が、幼な妻・リョン・チーチン梁紫晴の交通事故の描写直後、突如として交通課警官みたいな制服を着て敬礼しているのを見て、ははん、これがもう一つの役なんだな、王家衛映画ではないけど、♪あの日あのときあの場所ーで君に会わなかったら〜僕らーはぁ……と、香港の別の場所で生きている男に扮するのだな、とまんまと騙されました。
 …そっか。6年後、コウが外科医を辞めて救急隊員になってただけなのか。
 多分、トラウマから手が震えてメスが持てなくなり、心配した妻の父が誘って、自分の勤務する消防局に転職させたんだろうな。
 もう隊長に出世してるのか。デキる男は違うなあ。

 いま、コウは妻の両親と、悲しみを分け合うように、身を寄せ合うように同居しているのです。
 昼休みもノートパソコンで雅虎香港=Yahoo Hongkong(スポンサー)にアクセス、何やら検索して情報チェック。部下は「隊長は、時間に厳しいからな」なんて噂している。
 「インファナル・アフェア」に続き、しっかり「道地」(スポンサー)印の緑茶ペットボトルからお茶を飲む、スポンサーに律儀で忠実なアンディです。


 ちなみに香港では、民間救急サービスの救急車に乗るのは有料ですが、消防局救護車だと無料だそうです。その場合、基本的には近くの国立病院へ搬送されるのですが、かかり付けの医師がいるなど希望する私立病院があれば搬送してくれるそう。

 ある日、道路3号線で正面衝突し大破した車を見たコウは、突然片目からだけ涙が流れてしまい、とまどう。
 彼は、事故の時刻が妻の事故が発生したのと同じ、8時15分だと気づいてハッとする。相棒の林雪をせきたてて、運転者の救出にとりかかる。
 運転していたのは、ツェー・ヨンサム謝婉森(チャーリー・ヤン楊采[女尼])という薄幸そうな色白美女。彼女はかろうじて意識があり、コウに心臓の手術を受けたことがあると申告し、主治医がいる病院に運んでもらう。
 その病院は、かつてコウが外科医として勤めていた病院。彼女の主治医・ホー何医師(無精ひげのアンソニー・ウォン黄秋生)は、コウのかつての同僚でもあった。
 コウはもしや、と感じる。彼の妻の心臓は、ホー何医師が担当した移植手術によって、別の女性の体内にあるはずだ。
 移植を受けたのは、もしやあのツェー・ヨンサム謝婉森…?
 病院からいったんは部外者として追い出され、かつての妻と同じように孤独を噛みしめるが、偶然現れた面会者の一行と共に、まんまと病室前まで行って、嬉しそうな彼女を見つめる。
 
 ……こら。
 こらこら、アンディ。
 君も「ディバージェンス(仮題)」のアーロンと同じクチか。
 相手に何も告げず、熱血ストーカーと化すか。
 さらに、忘れ物を届けることを口実に、ヨンサムが勤める児童絵画教室を訪れ、ガラス越しに彼女の笑顔を眺めるコウ。
 傍から見れば、立派な挙動不審男だってば。
 「生徒の女児をじろじろ見て品定めしている金魚[イ老]=ロリコン中年が徘徊しているわ!」と、警察呼ばれたら、どーすんですかっ。

 しかし、ヨンサムは突然泣き出し、夫…ではなくて教室の経営者のフォン夫妻に慰められ「彼に会いに行けば?」と忠告される。
 心臓移植をしたのに、どうも、現在の彼女は幸せではないらしい。
 胸キュンのコウは、ついに家宅侵入罪まで犯す。
 真っ白+金属で覆われ、無機質で冷たい感じの内装。
 不思議にも、彼女の自宅リビングのインテリアだけは、かつて自分と妻が過ごした部屋のリビングに雰囲気が似ていた。
 コウはさらに、彼女の茶革の手帖を見つけて読みふける。
 それは日記で、まるで出て行った夫にあてた遺書のようにして終わっていた。
 あの夜の交通事故は、絶望したヨンサムが故意に起こしたものだったのだ。

 手帖にはさまっていた新聞娯楽欄切り抜きの男の顔に、コウはハッとする。
 ファッションショーの成功を報じるそのグラビア記事は、コウそっくりの有名ヘアデザイナー、デレク・ホイについてのものだった。
 彼こそ、ヨンサムを置いて出て行った夫。

 そして、ヨンサムの回想。
 ヒゲを生やし、黒を好んで着て、赤いヒモを胸元にのぞかせたキザ男の夫デレクは、ファッションショーの控え室で、慣れた調子で美人モデルのアンバーらと挨拶を交わし、楽しげに語らう。
 妻ヨンサムの方は、どことなく居心地悪そう。
 ええと、ステージ上を闊歩するアンディより女性モデルの皆さんが一律に背が高いが、そんなこたーアンディは意にも介しておりませんよ。
 デレクは妻を労わる態度が不器用過ぎ、病弱が負い目となって神経過敏になっているヨンサムには、そのいたわりが通じない。心がすれ違う。
 夫の携帯メールをチェックし、モデルのアンバーからの呼び出しメールを見つけて不安になる。
 夜、外出した夫を追って、雨の中で車を走らせるヨンサム。
 夫が会いに行ったのは、控え室で「日本での仕事に誘われているの。一緒に行かない?」と露骨に誘いを掛けていた、あのアンバーだった。
 なぜに日本へ。
 「花様年華」のマギー夫とトニー妻でも、模倣しているのかな?

 しかしデレクはアンバーの誘いを断り「二度と携帯にメールしてくれるな、妻が誤解するから」と宣言しに来たのだった。
 そんなことも知らず、わざわざ車から出て雨の中で泣くヨンサム。
 心臓、そりゃ弱りますって。

 帰宅したデレクは、ヘアデザイナーのくせに、ぐっしょり濡れたままのヨンサムの髪に気づかない。…ありえなーい…。
 夫を疑い、なじり、泣くヨンサム。かっとなるデレク。窓ガラスを拳で叩き、亀裂を入れる。
 この修羅場でちゃんと理性的に心情を説明しないから、誤解が解けないんじゃないのよ、まったく。
 デレクは家を飛び出し、やがてあのモデルと一緒に日本に行ったらしいことが暗示される。
 だがそれは、心臓の機能低下を予感したヨンサムが「2人で消耗するより、1人の方がいいわ」と強がり、わざと追い出したも同然だった。
 彼女は、一人ぼっちで死のうと決意していたのだ…。

 ホー医師を問い詰め、コウはヨンサムに移植されたチーチンの心臓に拒絶反応が出始め、病状が極度に悪化していて限界、再移植が必要だがドナーが簡単には見つからない、てなことを知り、ある決意をする。
 ちなみに、近年の香港での心臓移植手術についてのデータは、(社)日本臓器移植ネットワーク・ホームページの[こちら]に出ています。
 香港での心臓移植は92年に始められ、99年11月までに23例行われた。1年及び3年生存率は80%の成績とのことで、そうすると6年生存できたのはかなりの成功といえるのか…?

 コウは妻の両親に「せめてチーチンの心臓のそばにいてやりたいんです」と告げ、家を出る。
 デレクの古巣のヘアサロンに行くと「あれ、デレク。日本から戻ったのか?」と美容師に聞かれる。
 コウは日本にいるはずのデレクに電話をかけるが、むなしく「こちらは、auお留守番サービスです 合図の音が…」のアナウンスが流れるだけ。
 そこにメッセージを録音しときゃいいのに、日本語がわからないせいか切ってしまうコウ。

 絵画教室のフォン夫妻に別れを告げに外出したヨンサムは、長いながい石段で、1本の電話を受ける。
 携帯電話から響いて来たのは、あの誰よりも聞きたかった声。
 「戻ってきたよ。君のそばにいたくて」
 「日本には?」
 「もう行かない」
 うれし泣きにむせぶ、ヨンサム。
 「独りに慣れてほしいのに」
 「なぜ?」
 「私は、遠いところに行くの」
 「逃がさないよ」
 ……もうお分かりですよね?
 携帯電話を持ったヨンサムの背後から、しっかりと抱きしめる、デレクそっくりの格好をした、コウ!
 一世一代の大芝居が、始まろうとしているのですー!

 しかーし。
 デレクが不意に戻ってきたら、どうするつもりだコウ!
 体臭が違う、トイレでの、ベッドでの(起き抜けの)クセが違うなどと、夫婦なんだからすぐに見破られるんじゃないのかコウ!
 ふんとにもう、いつも強引ね、アンディったら…(泣き笑い)

おヒゲアンディ
 とにかく、ヨンサムはデレク=コウと共にホー医師の助言を受け、生きる努力をするようになる。
 「これからは毎日が、二人の記念日だよ」と宣言し、日々涙ぐましいほどの演出をするデレク=コウ。
 ……仕事は? お金は? と気にしないのか、ヨンサム?
 ♪二人のため〜世界はあるの〜気分なのか?
 外国人である我々は、多少とも香港の祝日について、学べるというものですけどね。
 「お正月」=旧正月には、年始客として、なんとチーチンの両親までコウが招待し「ドナーの両親だ」と紹介してしまう。
 医師として、ドナーの守秘義務はーーーっ。
 涙ながらに「実の娘と思うわ」と手を取り合う両親とヨンサム。
 ヨンサムの両親、兄弟姉妹はどうしたんだろう…?

 しかし、ついに集中治療室入りしなければならなくなるヨンサム。
 やっと連絡がつき、日本のCM撮影現場にいた本物デレクは、女性アシスタントから妻の病状悪化を知らされ顔色を変え、アンバーに別れを告げる。
 ここで入る、日本人CMディレクターの怒声とぼやきが、妙にリアルです。いや、ほんとこんな人いるよね。

 ヨンサムに付き添うデレク=コウは、彼女に悲しい物語を聞かせる。(とてもとても、心臓に悪いと思うんだが…)
 それは、ヨンサムの心臓ドナーの夫が、妻の死に目にあえなかったエピソードだった。
 ずっとずっと、親身になって昏睡状態の愛妻に付き添い、「四月の雪」のヨン様と違って浮気もしなかった(いやその、事情が異なるけど)誠実な夫なのに、ある日、病棟で断水があった。
 妻の体を拭いてやりたかった夫は、水を求めて病棟内をさまよう。
 やっと見つけた水の出る蛇口は、チョロチョロとしか水が出ない。香港の水道、それでなくても水圧低いし。トイレはトイレットペーパーがなかなか流れなくてイライラするし。

 水音を聞きながらうずくまった夫は、介護の疲れが溜まっていたのか、ついついうたた寝してしまう。
 だがその時、昏睡状態だった妻は突然吐血し、窒息しかかる。医師が駆けつけ、緊急治療にあたっていた。
 何分過ぎたのか、はっと目覚めた夫は、ガバっっと立ち上がろうとして、床にあふれた水のために滑り、ハデにすっ転ぶ。

 滑って転ぶんです。アンディが。

 それを超高速度撮影による、スローモーションで、この映画はじっくりと丹念に、美しく描く。お金も時間もかけて。

 いやあの、もしもし? スタッフの皆さん?
 「アンディ、滑って転ぶ」という、それだけのシーンなんですけど。
 脚本があったとしても「華仔、滑跌倒。」としか書いてなさそうなシーンなんですけど。
 2回も頭を床に打ち付けるほど、激しく転ぶ必要が、どこにあるんです?
 脳震盪を起こして、数分間気絶していたから、妻の死に目に遭えなかった、心臓移植に同意のサインができなかったっていう言い訳?
 普通に飛び起きて走って戻ったって、多分間に合わないですよ?
 nancixは(まさか、この衝撃で脳出血を起こしたコウが、実はこのときに死んでいて、救急隊員になったりヨンサムに出会ったっていうのは死に際に走馬灯のように思い浮かべた夢だった…なんていうシックス・センス的オチじゃ…)と激しく恐怖したですよ!

 そうならなくて、本当によかった。
 アンディといえば鼻血ですが、今回は観客の意表をついて、コメカミから血を流すに留まりました。
 どっちにしろ、流血のアンディですが。
 誰か、アンディに「このシーンに、そこまでこだわる必要があるんですか?」と直言できるスタッフは、いなかったのか……_| ̄|○

 妻の主治医が付き添い、係員が無表情に押してくる、白いシーツにくるまれた……。
 主治医がコウを認めて、静かに首を横に振ります。
 待合室でそれを見つめ、おののき、絶望の表情になりつつ、後ずさるばかりの流血アンディ。
 まさに名演です。
 ここぞという見せ場です。
 泣かせどころその1です。(その2か3かもしれない)

 決して、とうとう最後には待合室の椅子に座り込んだアンディのコメカミに、突然銃口を突きつけ「対唔住、我係差人!(すまないな、俺は警官なんだ)」と「インファナル・アフェア3 終極無間」のヤンが微笑むのでは…えらいこっちゃえらいこっちゃよいよいよいよいなどと、妄想してはなりません。

 なりませんよ?

 ホー医師は、コウに「この薬を使うと、少しは延命措置になるが、苦痛も伴う。使うかどうかは、おまえに任せる」と、ドーパミン何とかと書かれた液体を渡す。
 ん? 神経伝達物質を??
 ドーパミンには、心筋に対して筋収縮を増大させる作用があるらしいです。副作用は、頻脈に嘔吐、異常不随意運動など。

 日本公開を祈願して、この後のクライマックスは、内緒にしておきましょう。
 
 二人のデレク。
 二人のアンディ。
 病床のチャーリー・ヤンが、気管切開された身でありながら、普通の声を出して伝える言葉、それは……?

 印象に残るのは、滑って転ぶアンディだけでは(もちろん)なく、
 オレンジを、放心状態ながら、全く同じ大きさに切り分け続ける、アンディの姿。

 まさにメスさばきが天才的に巧い外科医だったのだろうな、医学生時代には懸命にメスを正確に使う練習をしたのかな、と思わせる、1シーンでした。様子を見守って心配する、チーチンの両親のささやき合いもいい。
 二度もの伴侶の喪失体験も、この両親の支えで、きっとゆっくりと克服していけるんでしょう、アンディだし。
 ティーチインでこのオレンジ切り分けシーンの意味をファンに問われ、困惑の表情を見せるダニエル・ユー監督は見ものでした。
 「広東語で、オレンジは酸っぱいので、心が酸っぱくなってしまったことを意味するのですが」みたいなとっさの言い訳をしてました。
 「忍不住心酸」とか、そういう意味…?
 うーむ、この監督では、ジョニー・トー杜[王其]峰のようにアンディに「はぁーん? 永遠の愛だぁ? 御託はいいから、俺の言うとおりに演技すりゃいいんだよ! 脚本は変えねえ! 俺の考えたとおりでいく! イメチェンを恐れるな!」と怒鳴ることはできまい…。
 いや、怒鳴ってはいないだろうけど、互いに真摯にディスカッションしてるだろうけど、何となく。

 抑えた演技でアンディを支えるアンソニー・ウォン、やっぱりダイエットした成果か、スーツ姿が英国紳士っぽく賢そうに見えました。
 豆腐屋のオヤジだとセクシーで、心臓医だとエリートで頼もしい。
 うーん、いいなぁ。

 女優復帰以降目ざましく仕事しているチャーリー、阿saことシャーリーン・チョイ蔡卓妍とアンディは、初共演だったんですね。
 1982年生まれのシャーリーンと、1961年生まれのアンディ…。うううむ、ロリコンすれすれか…?
 とにかく旬の女優たちとの共演、
 マジックまで映像トリック無し・長回しで披露するサービス精神(絶対誰にも見えないところで黙々と必死に練習して、本番では涼しい顔してやってのけて、OK出してるんだよねえ)、
 ただ滑って転ぶだけの演技でもワイヤーワークを7回使ってみる、マジに自分で頭を床に打ち付ける、その真摯さ。
 専業主婦の紫晴が韓流メロドラマが好きで、ドラマに感情移入してぽろぽろ泣いちゃってたなんて語られるシーンが二度も出てきて、相当韓流ブームを意識してるんだなあ、と思いましたが、なあに、アンディも負けてない、負けてない。
 アンディの、映画作りに対する妥協のないひたむきな情熱、ヒットさせるためには、観客を呼び戻すには何だってしてみるぞ、韓流ドラマも日劇純愛ドラマの「セカチュウ」も「イマ、アイ」も要素を取り込んでみるさという責任感、しかと受け止めましたぞ。

 日本人既婚男性の意見によると、妻への尽くし方が噴飯ものだそうですが、え? 香港では普通よ? 多分。
 今まで、女性に甘ったるくて決して女のワガママに勝てなくてキスシーンも上手でどこか抜け作でトホホな男を可愛くイヤミなく演じるのは、トニー・レオンが世界一!と信じてきましたが、
 ……トニーさん、危うい_| ̄|○。

 ただ、確かにティーチインで男性の質問者が指摘した通り、コウもデレクも基本的には「いい人。」で、決して妻を粗略にしたりバカにしたり軽蔑したりしてない。
 職業は異なっても、基礎が同じ。
 いっそ、デレクが口先でだけ「君は大事な妻だよ」と甘く囁きつつ、モデルと手当たり次第に寝て、酒飲んだら人格豹変して怒鳴り出す男だったり、
 「妻は生涯君一人、だから浮気は男と……(殴)」……もとい、とにかくDV亭主だとか、怒りっぽいとか、無口過ぎて何を考えているのかわからないか、逆に多弁で理屈っぽいとか、何かコウとは異なるパーソナリティーの持ち主で、
 コウが必死に説得して連れ戻しても邪魔臭そうにしていて、病床の病みやつれたチャーリーを見て初めてハッと胸を突かれ、気持ちが変わる…ぐらいにした方が、確かにコントラストがついたと思う。
 ファンだって、今更「何て酷い男! 一気にアンディが嫌いになったわ、キィーッ! オークションで長年集めた全部のCD+DVDを売り飛ばしてやるぅ!」なんて逆上は、決してしないと思うなあ。
 ティーチインで監督が「アンディはとてもファンを大切にする人だから、女性に嫌悪感を持たせるような悪人役はできないのです」的な発言をしたとき、近所の席で思い切り溜め息をついて「だっから華仔は………」とぼやいた女性ファンもいらっしゃいましたわよ。

 華仔は……の続きは、知りません(^_^;)。
 
posted by nancix at 22:53| Comment(7) | TrackBack(0) | 香港映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
nancix様

nancix様の感想というかツッコミは本当に楽しくて、(私も同じ事考えてたなぁ)と映画の記憶も蘇って来ます。

私は〈アンディが一人二役やる〉と聞いて、オムニバス形式なのかなと勘違いしていたので、救急隊員のアンディが出て来た時は(もう違うエピソードなのか)と思ってしまって、チャーリー・ヤンが出て来て初めて一話の中で二役やることに気付きました(汗)
出遅れた…

アンディがストーカーと化した時や、ウォン警視…ならぬウォン医師が心臓移植について軽々喋っちゃった時は苦笑したり、チーチンパパが出て来た時は『暗戦』を思い出して吹き出しそうになるのをこらえたり、アンディが派手にすっころんだ時は(ここは笑っていいのか?)と戸惑ったり、チャーリー・ヤンが喉に穴空いてるのに喋ってる時は(ホントに香港映画ってのは…そこが好きなんだけどね)と思ったり、様々な思いが去来しました。

でもチーチンパパの墓前でのセリフには本当に感動しましたし、チーチンの遺体を前にしたアンディの演技には胸が痛くなりましたし、ちゃんと泣かされてもいました(笑)

難しいというか非常にデリケートな題材ですが、丁寧に作っているなと思いました。

いやはやしかし、「夫が戻って来てくれた!」と感動にむせび泣くチャーリー・ヤンに「顔がクシャクシャじゃないか」と言って涙を拭ってあげるのかと思いきや、彼女の鼻水を拭ってあげるアンディに(大人の男ってのは、40年生きてるってのは、20年スターやってるってのはこういうことなのか…)と妙に感動したり、『ベルベット・レイン』でも見せたナイフさばきにちょっとドキっとしたり、アンディの魅力再発見の映画だったような気がします。

時間が遅かったのでT.Iには参加出来なかったのですが、そんな厳しい質問が出たのですか…映画ファンだからこその愛のムチですかね。
でも、「わざわざ韓国映画を観なくても、香港にだって素晴らしいラブストーリーは作れるんだぞっ!」というアンディの戦線布告的なメッセージは伝わったのではないでしょうか。

伝わってきたのは私だけでしょうか?(汗)
Posted by 008 at 2005年11月01日 13:17
008さん:
さっそくのコメント、ありがとー!
そうか、オムニバス?という受け取り方もありましたよね。別々のカップルを主人公にした短編2つを見せて、最後に少しリンクするとか。アンディもトニーも、充分演じ分けられる俳優だもんね。
チーチンパパ、許さんもキャリアの長い俳優さんですよね。うん、「おまえは近眼だから、オレの方が捜しに行ってやるさ」には素直に泣けました。(「あそこがいちばん泣けました」という友人には、それじゃあアンディの立つ瀬ないじゃん、と突っ込みましたが)年に一度、九州の母の墓参りしているウチの老父は、何か話しかけたりしているのか、花供えて掃除したらそそくさと帰っているのか…?

気管切開して管を入れたら、ささやくようにしかしゃべれないのに…というのはスタンリー・クァン監督の旧作「地下情」で、トニーが管の根もとを抑えてしゃべりやすいようにしてあげてたのをみんなで思い出して、話題にしていたのでした。

チャーリーの鼻水を拭うのは気づかなかった!観察が細かくて素晴らしい。もしも映画館で見られたら、そこもチェックしますね。
ティーチインの質問はもっと厳しい場合もあります。今回はまだ、緩かった方では。オレンジについて質問したのがわざわざ香港から駆けつけた、香港人のアンディファンだったりしましたしね。
アンディ、宣戦布告はいいんだけど、枝葉のシーンまでミョーにリキ入れずに、イエスマンではない、辛口アドバイザーを身近に置いてほしい…みんなが頼りにしてるんだから…。
Posted by nancix at 2005年11月01日 17:48
はじめまして、いつも楽しく拝見させて頂いています。
『愛していると、もう一度』『靴に恋した人魚』見に行きました。
日本に来なかったアンディのメッセージは悔しかったです。
クソー、まんまと泣いちゃったよ…

私も救急隊員で出てきたときに勘違いした派です!
そしてシックスセンスオチも考えました。
チーチンパパの台詞で一番泣いちゃった…。
こちらを読ませていただいてもう爆笑です。
『靴に…』の方でTBさせていただきました。
確かに監督はアンディの意見を過剰に尊重している感じに聞こえましたね。
「彼は観客のことを考えてしまうので…」ということなら、
二役にコントラストが欲しかったところです。

そういえばauの留守番電話サービスに
みんなが受けているのがおかしかったです、
別に笑わそうとしているわけではないのに!

これからこの映画を思い出しつつ、
『インファナルアフェア』のBOXを鑑賞します!
Posted by notfspurejam at 2005年11月03日 23:11
はじめまして!!いつも楽しく拝見させて頂いています。nancixさんのツッコミ大好きです。
『愛していると、もう一度』昨日『靴に恋した人魚』を見てきました。
アンディは来ないと知りつつも最前列だった為、上映中も期待してしまいました。

私も秋生の名前が出た時は思わず笑ってしまいました。

同じく二役にコントラストが欲しかったところですね。香港で購入した漫画を読んでいたので、デレクは女にだらしのない、ひどい男かと勝手に解釈していたのでちょっとガッカリ・・・

ワイヤーワークと聞いて別にそこまでしなくても・・・
別に転ばなくても血を流さなくても眠ってただけじゃだめなの??と思いました。
流血しながらの熱演、3のラウと重なりました。

石段で「顔が・・・」と言って彼女の鼻水を拭ってあげるアンディ。潔癖主義のアンディが人の鼻水など拭くはずはないやはり水なのでは節が友人の間で浮上!!

久しぶりにアンディ映画で泣けました。


Posted by みーみ at 2005年11月04日 10:42
この作品のアンディがとっても見たくなりました。貼り付けてあるアンディの横顔が相変わらず素敵ですネ。日本でぜひ封切られてほしいです。
Posted by もごもご at 2005年11月10日 22:13
はじめまして。あまりに感想が面白かったので、ついつい書き込みしてしまいました。
わたしもあの日、オーチャードホールで観ました。何でもアリの香港映画を、まるで香港で観ているかのような観客の反応。
とても楽しかったです。
わたしも不覚にも泣いてしまったわけですが…さすがにあのすっ転びシーンはびっくりしましたww
日本で観れるといいですね^^どっちにしろ、素敵なのには変わりないので♪
Posted by まい at 2005年11月12日 00:55
あんまり面白かったので、書き込みます。ほんとにあの転ぶところは、そこだけ違う映画を見ているかのようでした。
この作品は、日本で買い手がついていますよ。
「童夢・・」と同じ会社が買ったそうです。「靴に恋する人魚」も別の日本(?)の会社(韓国のというべきか・・・)が買ってます。
Posted by 関係者 at 2005年11月16日 11:42
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/8828806

この記事へのトラックバック