享年52歳。
馬術競技中の落馬事故で頸髄を損傷し、リハビリの末にヒッチコック監督の「裏窓」のテレビドラマリメイク(99)に車椅子で主演するまで回復していたというのに。
「スーパーマン」リメイクのプロデューサーを引き受け、精力的に働いていたが事故以来の血圧トラブルが心配されていた矢先――の心臓発作だったらしい。
どの記事を見ても「スーパーマン」の、と書かれているけれど、nancixにとっては何よりも「ある日どこかで」(80)の主演男優だった。日本版サイトは、実に充実した内容だ。
超マイナーな映画「ある日どこかで」とは、テレビの深夜放送で出会った。何となく見ていたのだけど、美しい旋律に、時代考証をきちんとしたのだなと思わせる衣装や小道具、クラシックなホテルのたたずまい、そして男女の駆け引きに、どんどん引き込まれてしまった。
タイムトリップものにしては郷愁に満ち、レイ・ブラッドベリ「火星年代記」やロバート・A・ハインラインの「夏への扉」でSFに耽溺していた中高時代の思い出を持つnancixにはぴったりの作品だった。
ヒロインのジェーン・シーモアにももちろん花丸を付けたが、何より典型的アメリカン・ハンサムで(体格はすばらしいけど演技力はどうなんだろう)とそれまで思っていたクリストファー・リーヴをすっかり見直してしまった。
あの長身、広い肩幅なのに、クラシックなスーツに窮屈そうに身を包むのがユーモラスで。過去の世界の女優に愛を語り、果てはどうしようもない別離の悲しみのあまり抜け殻同然になり、病床についてしまう…そんな繊細な演劇青年を、彼は見事に演じきっていた。
後で知ったのだけど、リーヴはもともと演劇畑の出身だったのだ。ニューヨークの名門ジュリアード学院にも入学を認められるほどの才能の持ち主だった(卒業しないままブロードウェイデビューしてしまったが)。
「ある日どこかで」を好きになったから、ジャック・フィニィの「ゲイルズバーグの春を愛す」も「ふりだしに戻る」も夢中になって読んだ。そしてその延長でトニー・レオン主演の「月夜の願い〜新難兄難弟」にすっかりハマってしまったようなものだ。原点は「ある日どこかで」だったのだ。グアムに旅行したとき、巨大ショッピングモールで見つけて狂喜乱舞した米国サウンドトラック盤(17.95米国ドル)は、今でも大事にしている。
のちに香港映画に夢中になった頃、レオン・ライ黎明のMTVで「ある日どこかで」とそっくりな作品を見つけてしまった。香港では「ある日どこかで」は80年代に「時光倒流七十年」というタイトルで上映され、大層なロングラン記録を打ち立てたらしい。少年の憧れのマドンナ、インテリ女子大生がその「時光倒流七十年」を「もう何十回と見たわ」と目を輝かせるシーンもUFO作品であったっけ…。
2002年、その「ある日どこかで」の原作小説が日本で初めて翻訳出版され、こんな奇跡があるのか!と感激したのに。
ジェーン・シーモアは「大西部の女医ドクター・クイン」の主演女優として記憶されるようになり、原田美枝子さん、シルヴィア・チャンと同じく「年輪を重ねたおんなの魅力」を発揮するようになっていた。
事故後の、やつれ果てたリーヴを目にするのは辛かったが、快復と平穏な日々を過ごせることを祈っていたのに。
50代だなんて、早すぎる。
同じクラシックなスーツに身を包んでいても、周慕雲は失われた愛に殉じたりしない。
追憶のなかの女はどんどん美化され神々しいまでの輝きを放つとしても、それはそれとして、彼は卑俗な日常をそれなりに生きていく。したたかに、しなやかに。
だって、それが香港人なんだから、さ。
間違いなくトニー・レオンにとって「花様年華」「2046」の2作は代表作であり、周慕雲はいつまでも忘れがたい人物になるだろう。
30年、40年後(であってくれたら)にトニーが家族や友人に囲まれ安らかに息を引き取った後(nancixは不摂生が祟ってその前に死んでまーす)、世間で「あの○○のトニー・レオン」と言うときに、○○には何が入るんだろう。やっぱり「花様年華」「2046」の、なのかな。「インファナル・アフェア/無間道」シリーズのヤンこと陳永仁、なのかな。それとも我々がまだ見ぬ傑作の登場人物なのか…?
まあ、縁起でもない妄想はここらで止めておこうっと。
クリストファー・リーヴの冥福を心から祈る。
そして、愛はとこしえに甘美なり。
まさしく彼の容姿は、ぴったり漫画通りのスーパーマンだった。でも、悲しいかな余りにピッタリだったために彼のその後は役者として良かったとは言えないでしょうね。まさしくハリウッドの波に飲み込まれてしまった、実力のある役者だったって所でしょうか。事故後、彼がアカデミー賞にゲストとして登場したときに観客はオールスタンディングで彼の事を向かえたのを今でも鮮明に思い出せます。
nancixさんが触れていた「ある日どこかで」は、スーパーマン以外の彼の代表作になってしまったのは悲しい限り…。
スーパーマンは今見てもスピード感があっていい作品だと思います。
クラーク・ケント役のクリストファー・リーブ氏が他界されましたね。
ご冥福をお祈りしましょう。
日本では最近集団自殺がありましたが、、、クリストファー・リーブ氏のように生きたいと前向きに考えて欲しかったです。
落馬事故で首から下が不自由になった後も不屈の精神で、映画界復帰、障害者の権利向上などに尽力していたそうで現実のスーパーマンとも言える人だったようですね。
「ある日どこかで」機会があれば見てみたいです。
文庫が出ているんですね。
知らなかった。
絶対、読まなくっちゃ!
訃報を機に、LDを取り出してまた見てしまいました。
何度見てもやっぱ泣けちゃう・・・