だけどやっぱり書いてしまおう。書いて自分のなかで踏ん切りをつけよう。
「ラスト、コーション/色、戒」の公式サイト及びプレスリリース、そしておそらくはすでに準備中のパンフレットもそうなのだろうが、紹介されているトニー・レオンのフィルモグラフィーにかなり間違いがある。
なまじ詳細に思えるだけに、これがスタンダードとなり、研究者や特集雑誌に孫引きされるのが大変心配なんである。
まず、トニーのフィルモグラフィーと銘打つからには、1983年の「瘋狂八三」(チョー・ユン楚原)から始めなくてはおかしい。主演ではなく顔出し程度のチョイ役出演ではあったが、映画出演は映画出演である。
なのに「ラスト、コーション/色、戒」公式サイト及びプレスリリースでは、処女作は1985年の「花心紅杏」(チュー・ユアン)となっている。この「花心紅杏」の監督も、同じ楚原なのではあるが。
これはトニー・レオンのオフィシャルサイトのCompositions 作品コーナーの「完整電影年表」の欄でも、中国繁体字版Wikipediaの梁朝偉のページでも確認できる。「瘋狂八三」は、IMdbのTony Leung Chiu-waiのページでも「Feng kuang ba san」(aka Mad Mad 83)として紹介されているではないか。
さらに「ラスト、コーション」公式サイト及びプレスリリースでは、いきなり1986年に飛んで「癲イ老正傳」(イー・トンシン)、「イ尓情我願」(ジェイミー・ルック)、「地下情/追いつめられた殺意」(スタンリー・クワン)の3作が並べられている。
つまり、1985年の「青春差館」Young Cops(ヤウ・ガーホン邱家雄)が抜けているのだ。この作品は製作は「花心紅杏」より前、公開は後だったという、紹介順に悩む作品。トニーのほかに、故アニタ・ムイ梅艷芳が共演した青春アイドル映画で、台湾の映画評論本では「日本のアイドルブーム(1981〜1988に活躍したシブがき隊とか、少年隊とか…?)の影響を受けて香港で初めて製作された、青春アイドル映画である」と評されているほど重要な作品なのに、なぜ抜かされているんだろう。
しかも、「イ尓情我願」(ジェイミー・ルック)とは、実は「チョウ・ユンファの相続ゲーム」という邦題でかつてビデオリリースされ、今ではYahoo!動画にも加えられ、無料で見ることができる、チョウ・ユンファ主演作なのである。トニー・レオンはこの作品に1秒たりとも出てはいない。
なぜこの作品が飛び入りしているのであろーか。謎だ。そういえば、どこかの中国語サイトで、トニーのフィルモグラフィーにこの作品名を見てたまげたことがあったような気もするが、記憶が定かではない。
続く1987年。「野獣たちの掟」(イー・トンシン)の前に、「開心快活人」(レイ・ティムセン李添勝)が入らなければならないのに、すっぽり抜け落ちている。この「開心快活人」は、日本ではケーブルテレビの中国語チャンネルで「幸福を求めて」というタイトルになり、何度か放映済みである。
1989年は、トニー・レオンは3作しか出演していない。そして翌90年にはエポックメーキングとなった「ワイルド・ブリット」(ジョン・ウー)と、撮影が長引きギリギリ同年のクリスマス公開となった「欲望の翼/阿飛正傳」(ウォン・カーウァイ)、アンディ・ラウと久々に組んだ「インファナル・デイズ 逆転人生」に出演しているはずだ。
ところが、「ラスト、コーション」の公式サイト及びプレスリリースでは、1991年の「千王1991」、「沙灘仔與周師[女乃]」まで3年分が全て1989年作品にされているのだ。
これは酷い……_| ̄|○。 大体、1989年に「千王1991」というタイトルの映画がなぜ公開されるのだ。「2001年宇宙の旅」か「2046」ならともかく。
1991年に、香港映画界が総結集して超短期間で作り上げ11月に公開、翌1992年まで上映されたチャリティー映画「豪門夜宴」(共同監督)も抜けている…オールスター映画だが、トニーの出番は結構多かったのに…少なくとも、冒頭しか出ないアンディ・ラウ劉徳華や、チャウ・シンチー周星馳やレオン・ライ黎明よりはずっとずっと多いんだぞう!
1992年にも、翌93年公開だった「三個夏天(哥哥的情人)」が混じっている。嗚呼……。そしてその1993年、トニー出演作は10作あったはずなのに、「ラスト、コーション」の公式サイト及びプレスリリースでは7作しか紹介されていないのだ。公開順もめちゃくちゃである。
1995年も、「救世神棍」と「偸偸愛イ尓」の2作品が抜けている。と思ったら、「偸偸愛イ尓」は翌1996年作品にされていた。nancixが95年の香港で見て、前年の「君さえいれば〜金枝玉葉」(94)をパクッたトニー版ですかっ?と叫んだ映画なのに…。
1997年の《最佳拍[手/當]之醉街拍[手/當]》 "(97 Aces Go Places)の監督名が、おそらくは北京語読みなのだろうがチャン・チャルなんて表記に。しかしこれは「ラスト、コーション」前半で重要な役を演じている、広東語読みでチン・カーロッ錢嘉樂のことなんである。ちったぁそうと解るように書いてあげてくれい。
それと、王家衛がまだ今年11月の段階で「半年かけて資料を集めた」と得意げに語り、
そして極めつけ。
2007「梅蘭芳」(チェン・カイコー)*準備中
………あのねえ……。
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いったいいつの段階で作成されたフィルモグラフィーだか知らないけど、校正前の段階でとっくに、トニーではなくレオン・ライ黎明が出演することに決まってたはずなんだけど。
こんなことなら、日本で公開・もしくは映画祭上映された・ビデオリリース&DVDストレートになった作品だけを「主な出演作品」と断って羅列してもらった方が、今後のためにはよかったかもしれない。
もーね、かつて香港の映画雑誌「電影双周刊」をコツコツ買い漁り、作品の公開年月日と公開終了年月日を記録し、パソコンにせっせとトニーに関するデータをぶちこみ続けてン年、もちろんせっせとフィルモグラフィーを作成してきた、パソコンを使い出す前のワープロ時代からトニーに関する資料を用意し、協力者としての名前も出ないと知りつつそれでもトニーの正確なデータを日本の皆さんに知ってほしい、レオン・カーファイやチャウ・シンチーとごっちゃにされたくないと、せっせと東京の知人友人雑誌社出版社にファックスしてきたnancix、某インタビュアーの記事でそのことをネタにもされたnancix、無念でならないんですよ。クリスマスなんてどーでもよくなるほどに。今年のクリスマスは、中止!(無理だ)
……どーにかできんかったんかのう…?
……どーにかすべきだったんじゃないかのう…?(どこ弁だ)
その悔いが、頭の中をぐーるぐる、ぐーるぐる回って仕事してても何をしてても離れないんですよ。
配給会社にコネもツテもない、なまじ口を挟んだら迷惑がられて「トニーファンってうるさいんですね、どーでもいいことにいちいちこだわって」なんて言われかねない、ここは一つ、映画人を信頼してプロにお任せ!と念じてきたのは、なまけたことになるんですかいのう…?
無力な自分が、ほとほと情けない。
トニーに対しても、申し訳ない。
こんな粗略な扱いを受けるべき映画俳優じゃないですよ、今のトニーは…(嘆)
キアヌ・リーブスやジョニー・デップだったら、こんなフィルモグラフィーの不備は生じないのだろうか。
それとも我々がふんふんと何となく目を通しているパンフのハリウッドスターのフィルモグラフィーは、とってもアバウトなものというのがアタリマエで、業界の常識なんだろうか。
せめて「キネマ旬報」1月下旬号の「ラスト、コーション」特集に執筆されたプロの皆様だけでも、このフィルモグラフィーを鵜呑みにしないでくれたら、とそうっと望むだけなんである。
で、もう鬼は笑わないと思うんだけど、来年!北京オリンピックの年、「ラスト、コーション」と「レッド・クリフ」の2大作品が公開される2008年こそ、ちゃんとした1冊まるごとトニー・レオン本を出版できないものか、と願ってやまないのだけど。
今度こそTVドラマ、映画、音楽、MTV、出演CMリストなど、資料的にも正確を期するのはもちろん、
nancixがコツコツ収集してきたお宝グッズを全放出して紹介するし(あああ、開かずの間をついに整理整頓しなくちゃ!)、日本と香港の写真家をかき口説いて、未公開写真をバンバン載せてビジュアル的にも楽しめるものにしたいし、
やっと「レッド・クリフ」撮影から解放されて「休養する! 休養させて!」と関係者にせがんでいるだろうトニーに、日本人にだけ言える本音を聞くインタビューも企画したいし(でも情け容赦ない中華圏メディアがすぐ転載するだろうけど)…。
意欲と熱意のある編集者を、誰か紹介してくださーーい!
>それとも我々がふんふんと何となく目を通しているパンフのハリウッドスターのフィルモグラフィーは、とってもアバウトなものというのがアタリマエで、業界の常識なんだろうか。
あり得ますよね。
ただ、ハリウッドスターはファンが多い分、指摘する声も多いかと思います。
原稿にする方は活字として永遠に残ることを肝に銘じてほしいですね。