30日午後は油麻地の百老匯(ブロードウェイ・サーキット)電影中心(シネマテーク)に姜文監督作品「太陽照常升起」(1日3回しか上映してない)を見に行き、併設のショップ「kubrick」で英語版「色、戒」ペーパーバックや台湾の「INK印刻文學生活誌」バックナンバーをお土産に買い、「美都餐室」でドリアを食し、その近くにあった「許留山」で「芒の戀(マンゴーの欲張りセットと日本語併記(笑))」というマンゴーデザートミニセットを食した。
夕方、いったんホテルに戻って重い荷物を置いてシャワーを浴び、ネットで「奇華餅家」ショップリストを検索。KCR旺角駅の新世界廣場でやっと「奇華餅家」の熊猫クッキーを見つけて、帰りに目に留まった足底マッサージ店(色情お断りとか看板に書いてあったので安心して入ったら、ホットパンツのお姐ちゃんが出て来た…)で45分1500円程度のマッサージを受けて…いて、全然時間がなかったのだ。新世界廣場内の映画館でも「色、戒」をやってて、ここで見ようかなと迷ったのだけど、とにかく新世界廣場自体が大混雑。チケットが買えるかどうか。それに、終わってからホテルに帰って荷物詰めを開始することを考えると…。
もうすっかりエスカレーターもエレベーターも駆使できるようになったUA CINEMAS 旺角の午後9時の回の「色、戒」、またもほぼ満席でした。ほとんどがカップル、男性の眼鏡率高し。どういうわけか香港の眼鏡男子といえば、判で押したように横長スクエアなセルフレーム眼鏡なんですね。丸っこい眼鏡やふち無し、銀ぶちを全然見かけないです。かえって没個性なんですが、いいのか香港眼鏡男子。
この日はもうメモ取りは止めて、映画の進行に快く身を任せました。
やはり香港・今は無きレパルス・ベイ・ホテル(ペニンシュラより8年早い1920年開業、82年閉鎖)がモデルとおぼしきヨーロピアン・レストランでの易先生、惚れます。
粋な会話、ダブルのクラシックスーツ、真っ白なポケットチーフ、テーブルマナー。
「ザ・ベランダ/露台餐廳」が舞台だという、このGuy Larocheの広告を見たのと映画「傾城の恋」のせいで、

かつては「レパルス・ベイ・ホテルといえばチョウ・ユンファ!」だったのですが、この日を境にnancixは
「レパルス・ベイ・ホテルといえばトニーもトニーも!」に鞍替えしました。
それにしても、女の煙草……。
王家衛といい、この「色、戒」といい、どーして中華圏映画はやたら女性に煙草を吸わせたがるんでしょう。
ロアン・リンユイ阮玲玉が活躍した時代=1930年代から、演技の小道具には煙草が付き物だったようですが。
邦画なら、娼婦やホステスや情婦の蓮っ葉ぶり、姐御の度胸を強調するための小道具でしかないのに、まあこの映画では女子大生も人妻も平気で煙草を吸うすう。
全世界的に禁煙ムードなのに、堂々と逆行してくれるよなあ、と生まれつき気管支の弱いnancixは少し呆れるのでした。
あと、目に付いたのが、コーヒーカップやワイングラスの縁に王佳芝が平気でべったり残す、口紅の痕跡。
淑女なら口紅が残らないように巧く飲むか、何気なくハンカチーフやナフキンで拭くのがマナーのはず。
これは、しょせん王佳芝が付け焼き刃の淑女に過ぎず、一庶民の出自であることを暗示しているのか、
彼女が思春期を迎える前に母が亡くなり、口紅についてのマナーを教わることなく成人してしまったことを暗示しているのか、
それとも彼女がマナーやタブーに縛られない、どこか淫らなものを持っていると易先生に直感させ、付け入る隙を与えたのか…?
完璧に取り澄ました、身持ちの堅そうな淑女なら、易先生がアプローチすることはなかったかもしれないしね。どこか隙がないと、男は寄って来ないよとは、nancixも何度も言われたっけ。(隙だらけでも「がさつ過ぎる」と認定され、また寄りつかない…_| ̄|○)
そしてまた、易先生と、終始影のように寄り添う(むふふ)張秘書の関係も気になった。

こんなスチールしか見当たらないけど…(涙)。
この張秘書役を演じているのが、クランクイン前の3ヶ月間一日3時間ずつ、トニー・レオンに付きっ切りで40年代官僚的北京語を叩き込んだ、台湾の舞台俳優ファン・クォンヤウ樊光耀先生なのねー!
撮影中も秘書役を演じながら、トニーに付き従って発音を正したのねー!(羨慕)
張秘書がもっと美男かムキムキ筋肉マンだったら、完全に腐女子の妄想の餌食になるところでしたが、樊光耀先生はあいにくの容貌でいらっしゃいまして(…かなりお顔が長い……馬づ…いやその)。
易先生、終始この秘書に辛く当たります。
登場時には「三浦」という日本軍人との会食の予定が先方の一方的な通告でおじゃんになったこと、「三浦」が易先生を明日、憲兵総部に呼び出していることを張秘書に告げられ、易先生かなりムッとしている。
易先生の公用車に乗せられる王佳芝のことを、張秘書がジト目で見つめているのは、警戒かそれともジェラシーか…?(深読みしすぎ)
そしてついに易先生が張秘書に向かって、怒りに声を震わせるあの、シーン……。
果たして張秘書はいつから、どの程度、王佳芝の正体を知っていたのか…なぜそれをもっと早くに易先生に密告(忠告?)しなかったのか…。あの6カラットピンクダイヤモンド指輪に、何を察してどんな思惑を巡らせたのか…。
腐女子としては、非常に興味のあるところです。
多分、戦後の"漢奸裁判"では、張秘書が重要な証人となり、易黙成の悪行を洗いざらい証言するんだろうなあ…。
とにかくこの映画で、写真集を兼ねたスペシャルムック本を日本で出版できればいいのに! 監督インタビューだけでなく、音楽面、40年代上海研究者、上海映画研究者、汪精衛政権研究者など、各方面の方々の様々なウンチクを、まとめられればいいのに!とも願いながら、ラストまで食い入るように見ていたことでした。
次回は、「投名状」「野。良犬」など、今回映画館で見ることのできた予告編をまとめて紹介いたしますかね。
読んでるだけで、興奮してきました。
ますます観に行きたくなったというか、
観に行くのがこわくなったというか
ドキドキが止まらないって感じです。
本当にありがとうございます。
記事を楽しみにしております。
日頃より香港愛・映画愛にあふれた鋭い記事の数々を拝見させて頂いております。「色、戒」の記事は特に濃く、日本での公開が待ち遠しくなりました。その時にはまた、渾身のレポートが読めるのではないかと期待して……。
ソウルで色、戒を見ました。
関連記事を探していてたどり着きました
レビュー面白く拝見いたしました^^
日本ではもう公開されたのでしょうか?
日本での色、戒の評判はどんな感じでしょうか?
これから他の記事も読ませていただきまっす!!
miさん、韓国でご覧になったのですね。韓国での興行成績はいかがなものでしょうか。日本公開は2008年1月予定であります。今月26日あたりにやっと業務試写があるそうで。
日本での評判…まだこれからです。ベネチアでご覧になった映画批評家には「組体操のよう」なんて無粋なこと言われちゃいましたし、あのチラシを見ると「花様年華」もどき?と誤解して見に来て、仰天する観客もいそうです。年配の方は心臓発作起こさないかしらん(^_^;)…ま、数秒ずつカットされるようだから、大丈夫?(何がだ)
中国でもアメリカでもカットして放映したのに、韓国では無削除を売りに話題をとってます。
未成年観覧不可です。
ほんとにタマ丸見えでしたもんね。大人でよかったw
芸術性を売りにする映画は流行らない韓国ですが
ネットの検索語ランキングでは常に上位です。
ネットでエロシーンだけダウンロードして見ようとする輩たちのせいみたいww