2007年09月01日

公式ワールドプレミア前後

 いろんな記事をネットサーフィンしてまとめてみました。時系列が前後したらすみません。
赤絨毯全員集合2

 台湾・聯合報の唐在揚記者の31日電によりますと、29日のプレス試写を終えた段階での映画「ラスト、コーション/色、戒」は、30日午前10時にならないうちに、当日午後7時からの公式ワールドプレミアのチケットが売り切れてしまったといいます。チケットの価格は40ユーロ(台湾ドルで1800ドル、日本円で約6300円!)だというのに、1枚求めるのも至難のわざだったのです。
 誰もが、ベネチア映画祭事務局は「色、戒」に頼って、大いに儲けただろうとぼやいていました。

 上映会場のSALA GRANDE前のレッドカーペット上には多くの記者がつめかけ、とりわけ香港有線テレビとTVB(香港無線電視)の取材チームは互いに譲ろうとせず、アン・リーのコメントを求める時に我先にとマイクを突きつけ、小競り合いになりました。アン・リーは思わず眉をしかめたといいます。
 レッドカーペットにトニーが現れると、カーペットの両脇を埋めた映画ファンらの歓声がいっそう大きくなりました。

 カメラの前では「ゲージツのためなら、僕は脱ぎますっっ」なのに、素に戻ると非常に照れ屋さんのトニー、レッドカーペットでのフォトセッションで、せっかくアン・リー監督が場所を譲ってトニーを湯唯ちゃんの隣に立たせようとしたのに、固辞して端っこの位置をキープしていたようです。湯唯ちゃんをエスコートすることも特にせず、湯唯ちゃんは仕方なくトニーの背後で王力宏とハグハグしていたのでした。(マギー・チョンとさんざんゴシップ立てられて、マギーと気まずくなった経験もあるからでしょうか…)
偉仔、真ん中に来なさい
 「偉仔、もっと真ん中に来なさい。ほらほらここに」
 「いえいえ、僕は…端っこが好きなんです…監督、どうぞお構いなく…」
 (私の横に並ぶの、イヤですか? トニーさぁん…(泣))
 てな雰囲気。

タレ目湯唯と李安監督
 というわけで、監督がタレ目湯唯ちゃんと、こんなにお茶目することに。(また"李女郎"とか湯唯ちゃんが言われて、張藝謀監督とチャン・ツイィーみたいな下司の勘ぐりをされかねないのに…)
 フツーなら、主演男優のトニーが湯唯ちゃんとすることじゃないの〜?

 いよいよ上映。上映前にアン・リー李安監督がトニー・レオン、タン・ウェイ湯唯、ジョアン・チェン陳沖、ワン・リーホン王力宏を連れてSALA GRANDEの場内に入って行っただけで、ごく自然に観客全員が立ち上がって拍手を送ったそうです。アン・リー監督は両手での「揮手」の中国式挨拶で、拍手と歓呼に応えました。
 そして上映が終わると、満員の観客の反応はさらに熱烈になり、拍手(スタンディング・オベーション?)は10分以上続きました。そしてアン・リー李安に「素晴らしい!」と叫ぶだけでなく、全力で演技をしたトニー・レオン、湯唯にも最大限の肯定を表しました。めったに人前で涙を見せないのに、感動して目を紅くしている湯唯は、次々とアン・リー監督、トニー、王力宏とハグし合い、さらにジョアン・チェンと抱き合いました。ジョアンはなぐさめるように軽く彼女の背中を叩いて、彼女がいかに多大な犠牲を払ったかを、同じ女性としてちゃんと理解していることを伝えました。

 トニーはプレミア上映が終わって集合写真の撮影を済ませると、そそくさと退場し、ホテルに戻りました。しかし食事のためにスタッフらと共にホテルを出ると、ぞろぞろとパパラッチが付き従いました。慣れているトニーは仕方無さそうに連中に微笑みを向け、無言を通しました。しかしイタリア人女性記者が撮影に夢中になって車道にはみ出すと、トニーは彼女の背後に車を見つけ、思わず「気を付けて! 気を付けて!」と声を掛けて注意をうながしたそうです。
「小心、小心!」と思わず注意

 また、現地ファンだかスタッフだか記者だかにサインを求められても、ちゃんと応じる。…あれ、左端のこの人って、長髪だけど男性…?
現地ファンだか記者だかにサイン

 ……どこかの仏頂面の日本代表選手とは、ちょっと違うんですね…。

 台湾・聯合報の唐記者は「色、戒」が「疑いようもなく第64回ベネチア国際映画祭での最初のクライマックスとなった」と伝えます。(中略) 湯唯はこの映画のなかで27着の旗袍に次々と着替えて時間や場所の変化を伝え、その美しい姿は見る者を感嘆させました。この映画のアートディレクターのピャオ・ルォムー朴若木は、まさに現在「赤壁」のアートディレクターを務めるティン・イップ葉錦添が世に出た頃の、師匠にあたるのです。(マギー・チョン主演の「ロアン・リンユィ 阮玲玉」(91)やジョアン・チェン陳沖出演の「赤い薔薇、白い薔薇」(94)なども手がけたベテラン)

 多くの観客が鑑賞後に、ストーリーが発展するにつれて、トニーと湯唯のまなざしがとても変化を見せたと言いました。もともと、互いの思惑と目的から結びついた二人ですが、最後には感動を誘う真情を表すのです。とりわけトニー・レオンのあのまなざしは、まるで(まなざしだけで多くを)物語っているかのようで、観客の心にストレートに響いたといいます。
 プレミア上映後、王力宏は新浪娯楽の単独インタビューを受けました。
 トニー・レオンについて聞かれた王力宏は「僕と彼の共演シーンは多くありません。結局彼は、我々の暗殺すべき目標なのです。でも僕は、彼の演技に飛び上がるほど驚きました。僕のそれまでの偉仔(トニー)の印象は、比較的憂鬱で、緩慢だというものだったのです。でも今回の作品中では、とても暴発力に満ちていました。それが僕を震え上がらせたのです。以前は見なかったものです。だから彼は現在、最高水準の演技ができる状態なんです。僕は再度、彼と一緒に仕事ができる機会があればと望みます」。
 また彼はアン・リー監督を支持すると表明、「彼は新しいものを創れる人物であり、勇敢なリーダーです。僕はとても芸術を尊重する人間です。僕も芸術に携わる人間として、彼を励ますことしかできません。彼はアカデミー賞を獲得した後に、意外にも中国に戻って中国語の映画を撮影したのです。僕はこの年代の人に、とても憧れる過去をも見ることができます」と語りました。

 しかし、約2時間半の映画のうち、30分近くが激しい・しかも大胆なラブシーンとあって、多くのメディアはその面だけをセンセーショナルに取り上げています。ある記者などはアン・リー監督に直接「湯唯とトニーは、ベッドシーンで"本番"をやったんですか? トニーが下半身をさらけ出したことについてどうなんですか?」と愚問を発する始末……アン・リーはすかさず「君は映画を見たのかね? もしそうなら、君はなぜそんな質問ができるのかな!」と反問し、芸術に解釈を求めないようにと示唆しました。

 当のトニーも好奇の目にさらされ、不愉快な質問を浴びせかけられたようです。彼は香港メディアのインタビュー申し込みを礼儀正しく断り、会見会場から出て行くときに「映画のなかの裸身のシーンはスタントを使ったんですか?」という質問にも笑って答えませんでした。アン・リー監督はこの質問を聞いて、笑いながらこう答えました。「君たちはもう少しレベルの高い質問をしてくれるかな? (あなたはもうチャン・イーモウ張藝謀に会いましたか?)彼は審査員だ、(審査前に)彼と話すのはよくないだろう」。取材陣にもみくちゃにされたので、アン・リーは金獅子賞を取れると信じるかどうかの質問には答えずに、その場を去りました。

 プレミア後のようですが「今回はどうしてこんな大きな犠牲を払ったのか?」という質問に対し、トニーは「アン・リー監督は最初からはっきりと、ベッドシーンがあることを僕に話してくれていました。彼は僕を騙しませんでした。僕は当然彼を信じるべきで、自分を完全に彼に委ねました」と応えています。毎回、ベッドシーンの撮影前には、アン・リーはトニーと独自にコミュニケーションを取り、どのシーンも何を要求されるのか、はっきりと伝えたのです。トニーは、彼のどの振る舞いも体勢も、異なる動機と意味合いと心境と感情を表現するものだと、しっかりと理解していました。トニーは「僕は演じるときは、自分をトニー・レオンではないようにして、本当に自分が易先生に変身したのだと思うのです」とも語ったそうです。

 あるシーンでは、アン・リーは照れのために、やってほしいことの詳細を口に出すことができませんでした。そこでトニーは、自分でそのシーンでの振る舞いを考案したといいます。アン・リーは俳優をとても尊重する人で、撮影時は完全に人払いをし、カメラマンと照明担当などごく少数のスタッフだけが立ち会うようにしました。しかし経験豊かな俳優であっても、撮影のために服を脱ぐ瞬間は絶対に辛いはずで、トニーは「僕は本当にとっても辛かった。でもその種の辛さと激烈な感情が、まさに役柄に合っていたんです」と語りました。

 また、かつて「ブエノスアイレス」では、王家衛監督がきちんと説明しないまま、あの冒頭のシーンを抜き打ちで撮影したために、すっかり怯えふてくされたトニーが3日間自室に引きこもって口を利かなかったという逸話がクリストファー・ドイルらに暴露されていましたが…「今回は何日、他の人と口をきかなかったのか?」という冗談めいた質問には、さすがにトニーも笑って答えなかったそうです。マネージメントオフィス幹部が代わって「現在の彼の目標は、アン・リーのような素晴らしい監督と組んで、再び自分自身に挑戦し、自分を超越することなのです」と助け舟を出したのでした。

 トニーはベネチアに3日間滞在し、続いてアン・リーのニューヨークプロモーションに同行し、さらにカナダのトロント国際映画祭に出席します。その後、「赤壁」撮影のため中国に戻らねばならず、9月末の「色、戒」香港・台湾・中国プレミア上映会に参加できるかどうかは、まだ未定だそうです。

 中国・台湾では、ボツボツと映画評が出てきていて、いまのところは賛否が半々といったところ。
 さて、そろそろ英文雑誌にも批評が出る頃ですが…。果たして欧米日本の評価や、いかに。
posted by nancix at 15:09 | Comment(3) | TrackBack(0) | 「色、戒」特集
この記事へのコメント
そうゆう事でしたか・・・
nancixさんがずっと「色、戒」について書き続けていた事、アン・リー監督の才能の事、そしてtony,湯唯さん達俳優の事、ようやく私も理解する事ができました。
日本公開をジッと待ちます。この彼らの気持ちが少しでも分かる事ができるよう・・・。
nancixさん本当にありがとうございます!
Posted by TOMです at 2007年09月01日 15:38
 そうゆう事、といいますか…これでも記事を取捨選択(ピンからキリのキリの方をどんどん捨ててるし、詳細なあらすじをラストまで書いてるものは捨ててます)しているので、全容ではないです。
 とにかく本編を見ないことには、映画記者らの感慨も、賛否の声の理由も、どこまでが見当はずれでどこまでが拡大解釈でどこまでが「ごもっとも〜」なのか解りませんよね…。
 日本ではオジサン週刊誌が湯唯ちゃんのヌードを「新アジアン・ビューティーの大胆裸身」とか言って載せたがり、週刊誌記者は日中戦争の解釈や政治的質問をアン・リー監督にぶつけたがるとは思いますが、せめて映画記者には、監督にぜひ真面目な疑問質問を行い、映画製作の背景、撮影の苦労、俳優たちの頑張りについてこそを、問いかけてほしいものです…。
Posted by nancix at 2007年09月01日 23:27
nancixさんいつも楽しく拝見しています。ありがとうございます。ついにベネチアやってきましたね〜!トニさまレッドカーペットがとてもお似合いです。(しかも監督やタンウェイちゃんをちゃんと立てるところも素敵!)
ところでマスコミというのはど〜してくだらない質問をするのでしょうか?毎回腹立たしいですよまったくプンプン!
監督の言うとおり映画の中身をしっかり理解してからおととい来やがれ!ってかんじですよね〜
今回の「傷城」の舞台挨拶の女性の方はさほどひどい質問はしなかったからよかったけど、日本もひどいもんです。(○川クロとか)
せっかくがんばって撮影しても一部の心無い人の一面的な見方をいちいち聞かれるトニーや監督はほんとかわいそう。
こうなったらサシでトニちゃんと朝まで語るしかないですね〜nancixさん!すしをつまみに!
Posted by いかぴー at 2007年09月03日 16:04
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