大多:「キムラくんも…最後言ってたけど、最初はやっぱカッカするわけですよ。台本もないわ、行ったら撮らないわ。でもねえ、その上海に行った頃にはねえ、いやもう怒ったら負けですよ大多さんって、(キムラくんが)ね。それでだんだんみんながイライラしてくるときに、とにかく、怒ったら負けだって。じゃあもうとことん、待ちましょうよってなってからはね、いい感じになりましたから」
島田アナ:「それは並み居る大役者の方々も、みんな同じ条件なんですか?」
大多:「もう全然一緒ですよ、フェイ・ウォンもトニー・レオンも。基本的には差別も区別も、ない」
島田アナ:「じゃあもう、撮りたいシーンをひたすら撮ると」
大多:「うん」
島田アナ、サトエリ:「はぁーー、凄いですねえ」
大多:「で、何やってるか、日本の場合はね、ADさんがいてね、たとえばメイクとかで待ってるじゃない。そうすっと『いま、ちょっとカメラの待ちです』とか『照明待ちです』って、ちょっとお待ちくださいって来るじゃない。ね、夕方の4時に(上海の撮影スタジオに)入ってよ、夜中の12時になったって誰も来ないからね!」
大多さん、当時の腹立ちが甦ったようでかなり激しい口調。
サトエリ:「あーーーっ呼んでくれないんだ!」nancix、思わず爆笑。動物園のクマ状態の王家衛、想像がつく…。
大多:「呼びもしなければ、どういう状況で待ってっかすらも、ない!」
島田アナ:「あと何分後です、とかもない」
大多:「ない!そんなもんは」
サトエリ:「わーもう”絶対王政”みたいな感じで”絶対監督政”みたいな」
大多:「あれは何なんだろうね? 少し気を遣ってくれよって、あるじゃない? 日本人だったらさ、まちょっともう4時に入って、12時になっても回らなきゃ、ちょっと何か言っておこうと、あるじゃない? …何もないよ? だから俺がイライラして降りて行ったら、監督なんかもうニヤーニヤーしながらセットの中をぐるーぐるーっこう歩いてるわけ」
大多:「で、そろそろもう回らないんですかねえ、って感じの雰囲気を、イライラした顔でかもし出すんだけど、お構いなし」…えー、お後がよろしいようで…チャンチャン! さすが落語ファン、立派なオチが付いてますよ大多師匠!
島田アナ:「あーらー…」
大多:「俺がそのとき行ったときは、最初のカットが回ったのは夜中の3時ですよ、うん。夕方の4時に入って。その日は一緒に上海に入ったんですよ? 上海空港に着いたのが2時。そのまんま、ホテルに荷物もほとんど置かずに、スタジオに入って4時。最初のカメラが回ったのが、夜中の3時。そして1カット回って、えー、終わり。そしてその1カットは、使われていない!」
大多:「そんな撮り方、あります? キューティー・ハニーじゃ考えられないよ!」(笑い)
(サトエリちゃん、キューティー・ハニーも1カット50回撮ったという話を披露)
島田アナ:「ある意味、王家衛的な監督だったのかもしれないですね」
大多:「そう何回も王家衛はやんないですけどね」
島田アナ:「1回きりですか?」
大多:「どうだろう…(首ひねる)あんまり看てないんだよ、俺がいると、回らないから。んー、大多さん帰ってくれって(Takさんサイドから)言われたもん最後。俺がいると回らないから。縁起悪いって言われて(笑い)疫病神みたいに思われて。なんで回らないかが、わかんないっていうのがスゴイね」
…それって、王家衛の策略…? Takさんを日本のテレビドラマスタイルから切り離してしまうための…?
いやしかし、そんな現場で何年も何年も、果ても無く耐えてきたトニー、つくづくすごい…すごすぎる。
大多:「そんでクリストファー・ドイルだって、フラフラしてんだよ? 早く準備しろよ!みたいな。何かやんなくていいの?って、俺なんかは思うんだけど」サトエリちゃん、滑りました…_| ̄|○
島田アナ:「でも何か、日本人としては、キムラさんみたいな方が王家衛の作品に出てるって、ドギマギドギマギしますよね。すっごく嬉しいって感じしますよね」
サトエリ:「うん、鼻息荒くなりましたね」
大多:「あの、彼がね、『プライド』っていうドラマを僕一緒にやったんですけど、アイスホッケーで実はケガしたんですよ。いまだから言いますけど、結構な、(肩の)関節を脱臼するようなケガでね。で、やっぱくっつけないといけないんで包帯とかサポーターをぐっと巻いて、そのまんま彼は王家衛の現場に行ったんですよ。だから(前後と)つながらないから取らなきゃなって思ってたら、監督がソレ見て『おっこれいいじゃないか』つって、確かそのまま出てた…ね、さっき」
サトエリ:「あそういえば、白いのついてましたよね、見ましたみました!」
大多:「そういうのは、アリなんだよ? あれもいかがなものかと思うんだけど」
サトエリ:「じゃあある種いろんな意味で、”プライドで傷つけられた”?」
大多:「(苦々しく)面白いこと言うな」
大多:「でも、そういう感じ…だったりとかね。よく言えば、ものすごく臨機応変に、いいものはその場でどんどんどんどん撮っていってるようですし、かと思えば何年も、何かわかんないけど回らない、こだわりがあって、とかね。(感服したとばかりに)…でも映像は、すごいね。キレイだ。あんなキレイな映像が撮れてるとは、思わなかったですけど」最後に一言ずつメッセージ。サトエリちゃんは殊勝に「東京湾景」もヨロシクとのこと。そして、
島田アナ:「実際、にカンヌに行かれた大多さんがおっしゃるくらいだから、本当にすごい映画だと思いますんですけども、そろそろ残念ながらですね、トークセッションの時間が来てしまったようなんですけども。最後に、その『2046』につながる『花様年華』を、これからご覧いただきます」
大多:「(早口で)多分ここにいらっしゃる方は『花様年華』はもう観てるんだと思うんですよ。で、DVDももう出てるしね。何度も観てるよっていう方が多いんじゃないかと思うんですけども、さっきここで『冷静と情熱の間』をやっててね、後半1時間ぐらい見たの。やっぱりね、映画はスクリーンで観なけりゃ、ダメだわ(何か嬉しそう)。当たり前のことだけども。もう、問題にならないんですよ。だから、花様年華を、こないだDVDで観て面白いと思ったけども、やっぱりここで観る花様年華は絶対違うと思うんです。同じもんじゃない、やっぱり。うん、だから、もう観てらっしゃると思いますけど、もう一回スクリーンの、中の世界観に、どっぷり浸かって、えー、寝るもよし。俺、王家衛の映画って寝てもいいんじゃないかと思ってるんですよ(笑)。歌舞伎と一緒。寝るとき寝ていいの、起きたってそんなに変わんないんだから(場内爆笑)。ずーっとたらーんっとやってるんだもん、延々と。あれ眠くなるよはっきり言って。たらーっとやってんだ。ただたまーにパッと起きた時にああ、まだ変わってねえなと思いながら、スローモーションかかって音楽がガン!と来るじゃないですか。ああもう最高、これでいい、みたいな」
島田アナ:「(本能的にフォロー)ある意味、いろんな見方ができる、超越した映画なんですね?」
大多:「超越…してるっていうか、いやでも、あの、何かそれでもいいんじゃないかって、思います。王家衛の見方っていうのはね。いや、スクリーンで見る花様年華ってのは、絶対違うと思います。みなさん観てらっしゃるかどうか」
(こうして島田アナが笑いながらも何とかまとめて、トークセッションはおしまいでした。)
もちろんnancixは久々の「花様年華」を、全く寝ずに楽しみましたよ。トニーのマギーの微妙な表情、仕草、背中が語る言葉にならない言葉を受け止めてたら寝てるヒマなんかなーい! それに、日本語字幕が初期バージョンの”ゴマの水飴煮”のままだったし。東京国際映画祭で上映されたとき(オイオイオイオイ、芝麻糊は黒ゴマ汁粉だーっ! ゴマの粒々を水飴で煮てどーすんのっ!)と頭を抱えていたのを思い出した…ロードショー公開ではゴマ汁粉に直ってたから、松竹がフジテレビに貸し出したのが東京国際映画祭用のフィルムだったってことですかね?
王家衛映画で寝たのは、香港で夜中の3時上映で初見で字幕が全然読めなかった「欲望の翼」と、オールナイト明けの「楽園の瑕」だけだ! 「楽園の瑕」でも、トニーの出番寸前でパッと目が覚めた! いやしかしツイ・ハークの「青蛇」は寝たな…どれだけ寝てパッと目を開けてもまだ、趙文卓の扮した坊主が空飛んでて、ジョイ・ウォン王祖賢とマギー・チャン張曼玉が逃げ続けていたな…。
というわけで、長くなりましたが読んでくださってどうもありがとう。何かクレームついたらさっさと消しますよ〜。
大多さん「ラスト・クリスマス」準備でも忙しいだろうけど、あの時間観念締め切り観念ゼロの困ったちゃんたちの来日プレミアにも、どうぞお力をお貸しくださいまし。
”あまりにも何てことない”けども主演のトニーさんのことも無視しないでヨロシク。妬ましいだろうけど、男の嫉妬って怖いけど、まあまあ、どうどうどう。お互い「Mちゃん」同士じゃないですかぁ〜(爆)
「2046」・・・こんなに複雑に、そして、あたたかな(あつい)思いで何かを待ってるのは初めてです。
いろいろなことを祈りながら・・・
まるでその場にいたような
臨場感いっぱいの文で毎日楽しみに
読ませていただきました
サトエリさんがそんな若い時に
トニーの映画をみてるなんても意外でしたし、
大多さんの怒り(当時の)や、カンヌのこと、興味深く読ませていただきました
そして映画はスクリーンで見なきゃ駄目だと言う言葉をオーバーですが、胸に刻みたいと思います
特別かもしれない2046は見れませんが、
本当に本当にありがとうございました
そしてお疲れ様でした。
おかげさまで、当日の楽しいトークショーを再体験できました(^^)
カンヌ絵コンテ出品は、その日一番の・・・いろんな意味(喜怒"愛”楽)で・・・衝撃でしたが。そういう王様を機会があればいじり倒して苛めてみたいと心で暗くほくそ笑む私は、もしかしたらSSちゃんかもしれません。
そして、よく見れば王様相手に結構余裕かましている感じの最近のトニさんに、Mちゃんというよりはすでにそういうのを超越した悟りの境地を感じてしまいます(まだ残剣様背負ってるんですかあ?)・・・単なる天然とは思いたくない(強く希望)。
少なくとも、仕事と夢のジレンマ抱えてるらしいMちゃんな大多氏とは同質ではないと思って(願って)みたり。
寝てもいい王家衛映画+映画はスクリーンで
正直、DVDの「花様年華」は何回も気絶したので、否定できないです・・・(^^;) でも、映画館では寝れないですよー、目、スクリーンに釘付けだもん♪
公開前は「KimuraTakuya出演映画」「ウォンカーワイ監督映画」でも、公開後は「トニー・レオン主演映画」として広く熱く、そしてずっと、話題になってほしいですね♪
大多さんの「王家衛の映画って寝てもいいんじゃないかと思ってる」はちょっと眼からウロコでした。たらーんとした世界なんですよね。歌舞伎と思えばいいんだ。でもトニーが出てるから寝ないぞ!(笑)
王家衛の作品て好き嫌いは分かれると思うけど、「花様年華」のシリアスの中にあるちょっとした笑いの部分(冒頭の引越し風景のドタバタとか)も大好きです。
私は木村拓哉さんのファンですので、木村さん側にたって読ませて頂きました。
私達木村ファンは何年、この映画の完成を待ち続けたでしょうか。もう、「2046」は出来ないのではないか?
出来ても、木村拓哉の出演シーンは無いのでは・・・と
色々憶測を含めて噂が飛び交いました。
木村さんの言葉「とにかく、怒ったら負けだって。じゃあもうとことん、待ちましょうよ」と言う言葉は、ファンとしては嬉しかったです。 最初の頃は、王監督の撮影スタイルについていけなくて、トニーさんにも色々相談したり、助言を貰たりしたみたいです。きっと、木村さんも、王監督との仕事を経て人間的にも、成長したかもしれませんね。長いレポをありがとうございました。