大多:「で、日本人だったらもっとあたふたするだろうし、でもそれはもう、『あー』なんて、『オオタさん、久しぶりぃ』なんて感じで握手してくれましたけど。で、出て行って、あの赤じゅうたんを堂々たる、もんですからね。あれはやっぱできない、あんなことは。あれは…中国の方だからああなのか、よくわかんないんだけども。信じらんない。」(「ニン×ニン」と「キューティー・ハニー」が隣同士のスタジオで撮影してて、雨が降ったら休んでた「ニン×ニン」と、カネも時間もないから!と睡眠2時間でわぁわぁ撮ってた「ハニー」の話が続く。
大多:「でもさ、この王家衛のあの撮り方みてると、一体最終的にいくらかかったか、想像つかない。」
島田アナ:「これは、高いんですか安いんですか?」
大多:「たーか…(笑い出し)高いんですか安いんですかって、ベタな質問ですけど、たーかいと思います。すーっごい、だってこれだけの時間と労力をかけてますから。ただもう、わかんない。いくらかかったか。」
島田アナ:「たとえば『花様年華』看てても、あんまりシチュエーションは変わらないし」
大多:「花様年華の方が、安いと思いますよ、製作費はね」
サトエリ、またもや話を迷走させ「花様年華」は「髪結いの亭主」に似てると言い出す。
大多:「だからフランスの人は受け入れるんだよね。でもやっぱし花様年華がいいな」サトエリ、うぉーーーっと雄叫び上げる。
島田アナ:「結構一観客になってますね」
大多:「いいですねえ、僕はいいなあと思いましたねえ。で、まだ編集してるっていいますから、多分キムラタクヤさんのいろんなそういうところも、いじってるかもしれないね。まだだから、全然未完成を、平気で見せちゃう、カンヌでね。あれでもこんなこと(腕広げて)やって、ありがとうございましたって、帰っちゃう人は、すごいなー。」
島田アナ:「大陸的というかおおらかというか」
大多:「でもね、会うとすごく、変な人とかね、変人なのかなと思うと、そうでもないんだよね。」
サトエリ:「意外に常識人なんですかね?」
大多:「常識人…なんだけど、1回上海に撮影観に行ったときに、未来の、電車の中撮ってました、フェイ・ウォンとの。そこにね、何かね、古い物を置きたいという話になって、サントリーの角瓶と、古い…60年代の日本で出た小説の文庫本と、何かいろいろ注文すんのよ。そういうの明日でも使いたいからないかって言われて。俺も必死に日本に電話して、まあ角瓶ぐらいなら何とかなるから、でもとにかく持って来て、明日撮るってことで、バタバタしたの。そういうこと、平気で言うんだよ。」
島田アナ:「結局それは届いて、使われたんですか?」
大多:「えっとね、届いて何か使ったみたいね。ほとんど映ってなかったけど、うん。へっちゃら? そういうの もうカットするなんて、カットすることに対して罪悪感がない人だもん、だって」
島田アナ:「それすごいですね、普通ね」
大多:「俺なんかそれで、商売してるわけですよ。ああもうサトウエリコ、これ切っちゃ怒られるなとかね。事務所に何か言われるだろうなあとか。いろんなことを考えながら、そのバランスのなかで作るんだけど、王家衛なんか、平気だよ? キムラタクヤなんか、バーンバン切っちゃう」
大多:「でも、それは、自分の作品なんだから、オマエらそれでわかって出てるんだろっていう感じ、なの。で、冒頭キムラタクヤさんから始まるんですけど、いま看てると順番とかも変えてるんじゃないかなあとかね。10月23日公開ですか? まだ予断を許しませんよこれは!(笑い)俺もまだ絶対違うと思うもん。まだやってますよ彼は、間違いなく」……そりゃ……トニーと同類じゃ、気が合うわけないかも…(^_^;)
サトエリ:「2045とかになってたり」(笑い)
大多:「でもね、王家衛の『ブエノスアイレス』も、僕が聞くところによれば、何かすごく切っちゃったんでしょ、いろんな…ところ。もう出演してた人もいなくなっちゃったみたいな感じだし」
サトエリ:「ええっーーーー!」
大多:「やっぱ、その面白さなんだよね。その面白さを、出る人も、お金を出す側も、含めて、ある種こう、Mチックに喜ばない限りは、お付き合いできない監督だと思いますよ。だから、俺なんか結構、Mちゃんなんでね」
島田アナ:「(噴き出して)エムちゃん?」
大多:「(笑い)ええ、苛められて嬉しいんで、もう行って4日間も5日間も撮影ないっていうと喜んじゃうもん。”やってくれてるな!”みたいに」
島田アナ:「痺れながらも? キムラさんはどうだったんですかね?」ちなみにドラマ「眠れる森」の放映は、1998年10月〜12月でした。nancixはてっきり、フジテレビがジャパンマネーを提供する条件としてJ事務所から一人送り込む、っていう大人の思惑でこの話は進行したんだと思い込んでいたけど、王家衛側も当時東アジアで”萬人迷”と称され現在のヨン様以上の大人気だったTakさんならと二つ返事だったんだと思ってたけど。大多さんが送り込んだというわけでもなかったのかあ…? まあ、わかりませんけど。
大多:「いやダメ、だんだん機嫌悪くなってくるじゃない。ドウドウドウドウ!(馬をなだめるように)みたいなね。まあこういうもんだよ。あの、いつだったっけ、スッゴイ前に「眠れる森」だったかなあ、何かが終わったときにね、彼と話す機会があって、テレビもいいけども、テレビの中でも『ロングバケーション』もあれば『眠れる森』もあるわけだから、映画の方も、メジャーなものをやるのもいいけども、マイナーなものもやった方がいいよと。そういう中では王家衛あたりは、もう最高だと思うよって話をね、した覚えがあるんですよ。すっごい前。そのへんから、ずーっとこの『2046』まで。だからある意味、感慨深いっていうか。で僕は全然関係ないルートで王家衛に会いに行ってたりなんか、しててね、それが何か紆余曲折があったけれども、一緒になって」
大多:「でも、僕はだから、そういう監督とやる以上は、大変だよって、台本無いですからね。もうご承知だと思いますけど。(サトエリたちに)台本ないんだよ? 見たことない」…サトエリちゃん、どんなシーンを妄想してますか? 大多さん、絶句。フォローのしようがないて感じで。
島田アナ:「どこにもないんですか? 監督の頭の中だけ…」
大多:「うんそういうこと。で、そういうこと言うもん。カッコイイ…言ってみたい。『俺の頭の中にある』」
サトエリ:「作りこめない…ですよね。役が」
大多:「でね、現場で『こんなふうな設定でこんなような筋立てにこのシーンはなってるから、後はオマエのイマジネーションで、やってみろ』って」
サトエリ:「あーらまっ!」
大多:「でも、さっきいろいろキムラタクヤさんのシーンあるでしょ、すべてそうやって撮ってるもん。でも実を言うと、ホントのことここで告白しますけども、キムラタクヤさんが芝居をして王家衛がフィルムを回したときを、僕は一度も見てないんです。上海のときも俺が行ったら、3日間のつもりで行ったら、3日間回らなかった。俺が行くと回らないの。それで2人でずーっと、じとーっと、待ってる」
サトエリ:「いいですね何か、空回りコンビって」
(場内爆笑。サトエリちゃん本日最高の受け)
大多:「あのね、それも辛いよ? あのう、男とずーっと(一緒で)ね、ええ」
サトエリ:「でもいいじゃないですか、オトコマエ同士で」
〜続く。