2007年08月01日

それでも残る、これだけの謎

 2枚がポストカード目当てに劇場で買った全国共通前売券、10枚がチケットショップで1枚1000円で誰かが発券したファミマの前売券。
 「傷だらけの男たち/傷城」の前売券も、あと2枚に減った。日比谷みゆき座でトニーの緊急来日舞台挨拶に加えて映画を見たときは、関東の友人にチケットを買ってもらっておいたので、前売券が使えなかったのだ。

 ええと、結局14回見るわけ? 自分。
 香港でも2回は見たし…。

 香港での第一印象は、こちら
 二回目鑑賞完了後の感傷は、こちら
 ちなみに、電話会社のサーバーらしき機械にノートパソコンを直繋ぎしデータを不法ダウンロードして、スポーツパブ「世界杯」のカウンターで封筒パンパン、阿邦に渡して報酬をもらっていた「線人」こと情報屋は、やはり撮影カメラマンのライ・イウファイ黎耀輝ではなく、脚本家のロー・イウファイ羅耀輝サンの方でしたね。谷徳昭と組んで「ゴージャス/玻璃樽」を書き、ジェームス・ユン阮世生とジェシカ・フォン方晴と一緒に共同脚本で「神經侠侶」「我要成名」を書いた若手。せっかく阿邦に強いられてビールジョッキで乾杯したのに「行け! ビールは外買(おいまい=テイクアウト)しろ!」と追っ払われてまごついていた、あの人のよさそうな=要領の悪そうな兄ちゃんです。
 ……生ビールはいくらなんでもテイクアウトできないって、阿邦。ここは突っ込みながら笑うべきところ。

 今日も大阪梅田で鑑賞。
OS劇場前で

 この映画館=OS劇場&OS名画座は9月21日にいったん閉めて、「TOHOシネマズ梅田アネックス」として10月1日からグランドオープンするらしい。
 はるか昔は名画座の方で、見たくてみたくて待ちわびていた「グラン・ブルー」も見たっけ。
 ここで「上海の伯爵夫人」も見たし、てっきり「ラスト、コーション/色、戒」もここで見るものとばかり思ってきたけど、どうなるのかなあ。映画業界、本当に再編や経営母体変更が多くてまさしく"ウォータービジネス"です。働く人も浮き草稼業だよなあ。

 さて、こんなに見ているのに、やっぱり今回も冒頭、パブでの阿頭の指輪の有無を確認するのを忘れて、阿頭の挙動に会話に引き込まれてしまう。
 一応DVDでは、指輪をしているのを確認したんだけど。
3年前の阿頭の指輪

 3年前だし……阿頭の計画は2002年にすでに開始されてるんだし…きっと電光石火の素早さでソッチャン周淑珍のハートを射止めて、婚約してたんだきっと。シンプルなプラチナのあれは、婚約指輪だきっとそうだそうに違いないアハハハ…捜査に取りかかると急いで外してしまいこんだんだ…と勝手に納得。

 それと、阿頭が阿邦に依頼して入手してもらい、妻にプレゼントしたクラシックなカメラ。「TO My Dearest wife」なんて恥ずかしくなるくらいラブラブの英語メッセージは多分、トニー本人の字だよね。でも、機種は…?
ポラロイド社カメラ

 反転してみると、こうなる。
カメラ反転
 ポラロイド社というロゴはかろうじて読めたんだけど、どんな形式のどんな機種だか、全然ワカリマセン。プロ用なのか…?
 ポラロイド社って、ポラロイドカメラ以外も作ってたのかよー!
 グラフレックスとかローライフレックスとかライカとかしかわからないよー!
 LOMOやHOLGAだったら、現代ブロガーにも人気だけどさ…。
 ポラロイド社なら「SX-70」だろーがよー!
 キャノンやペンタックスやミノルタなら、メーカーに問い合わせメールだってできるのに…。

 それと、今回はスー・チーの歌うような調子の「朋友〜」の台詞がしみじみと心に残った。
 スー・チーってどうも同性に受けが悪い様子だけど、nancixはいずみさの国際映画祭で生スー・チーを見たせいもあってか、彼女を長く支援している某S氏の熱い語りを聞いていたせいもあってか、結構彼女はいいと思ってる。
 多分、この「傷だらけの男たち」の第一稿だか、トニーがフェリックス・チョンやアラン・マックにローレンス・ブロックの酔いどれ探偵マット・スカダーシリーズについて熱く語ってた頃の設定では、フォン細鳳はもっと翳りのある女性で、阿邦の心から去らないレイチェルの影に呆れたり悲しくなったり苦しんだりで、もっともっと二人の仲はアンニュイな膠着状態、袋小路に陥っているという設定だったんじゃないかと思ってる。マット・スカダーの恋人で元高級娼婦(街娼ではなく、自分の住む豪華マンションに固定客を迎え入れるタイプ)エレインをイメージして。

 それが、酔いどれ探偵役を金城クンが演じ、彼を愛する女性をスー・チーが演じることになって、かなり設定が改変され、大人のアンニュイな男女ではなく、もっと生き生きとした、香港の若者に受け入れられるような「可愛い」関係になったのではないか。

 スー・チーの、天真爛漫な中に寂しさを垣間見せる演技、見る人がみなければ「またかのブリっ子演技」にしか見えないかもしれないけど…。
 阿頭が妻を阿邦に初めて引き合わせ、フォンがサンミゲルビール・ガールとして初登場するシーン。実は、彼女はこんな台詞を吐いているのだ。

人生には真の朋友が

 「人生有個真正朋友呀!(人生には真の友ってものがいるものじゃないの!)」…真の友ならgive&takeで助け合うものでしょ? なのにあんたはこのサンミゲルビールキャンペーンガールの格好のワタシに、ビールじゃなくてウイスキーのロックばっかり注文するのね!友達にしたってあんまりにも無神経で役立たずだわ!とばかりに阿邦をなじるわけなんだけど、
 パッパラパーでちょっと見目良いとか金持ちの男とすぐに寝て、享楽的に生きてるだけのオンナノコだったら、こんな小難しい台詞を吐くだろうか。と思ったら、この台詞は他でもない、フィリピン原産のサンミゲルビールの、香港で育った人なら誰でも知ってる有名宣伝コピー「人生有個真正朋友、的確好極!」(人生に真の親友がいれば、確かに素晴らしいことだ!)のもじりらしい! メディア・アジアの公式サイトのニュースコーナー2006年11月26日分に紹介してあった。

 小難しくはないのね…でもさっとコピー文をもじれるんだから、機転が利くオンナノコではあるわよね…。

 少なくともnancixは、あの時点ではまだ、3日前に店で沈没した阿邦がフォンの家に連れて帰られても、泥酔してしまい男性機能が役に立たなくて(こらこら)、ただ寝かせてもらってただけなんじゃないかなあ、と類推してるんだけど。

 バーで初めて会話した時に阿邦に「人生には真の朋友ってのがいるものじゃないか。ていうか、あんたと俺って、真の朋友になれるかな? なれそうじゃないか?」みたいな口説き方されて(何じゃそりゃ、俺のセフレにならないかってことかい。ワケわかんないこの飲んだくれって)と思いつつも、
 定期券入れ…じゃなくて八達通オクトパスカード入れから出された若い女の写真にちょっとジェラシー感じつつも、
 阿邦のきらめく切れ長の瞳、笑顔に惹かれるものがあって、電話番号交換して、また逢えるかなと胸ときめいて、
 だけど先輩らしきカップルと再度来店した彼は、フォンを覚えていないかのように振る舞い、あげくに偉そうに「何だその接客態度は」と言い出す…。

 そりゃキレますよねえ、普通。
 絶対、こんな飲んだくれの甲斐性無しなんて無視無視!ってなっちゃうはず。

 そうならないところが、彼女の包容力であり若さゆえのひたむきさであり、人恋しさであり。

 阿邦に"宿泊代"を出されて「次は値上げするわよ」とイヤミを言っても「朋友之間清楚點好=友人の間では(金銭のことは)はっきりさせておく方がいいよな」とかするりとかわされて、ドライな関係にしかなれないのかと寂しさを漂わせつつも(まあ、どうせ私たちはただのセフレだし)と自分に言い聞かせるような調子で呟くあの「係ォー朋友(そうよね、トモダチ)、行拉ー朋友(行こうか、トモダチ)…」の歌うような台詞、何だか忘れられないと思う。

 で、あそことかでキィィッとなって「ワタシはアンタの何なのよ! ワタシをないがしろにするのもいい加減にしてよ!」と口汚く罵り泣き喚くのが昔の香港映画の"警官の妻または彼女"。そうしないのは、あるいはフォンはやっぱり、プライド高いくせに実は甘えんぼな香港ジモティ女性ではなく、台湾もしくは大陸から香港に移住して、素敵なカレシとの出会いも夢見ながら、それまでできるだけ独力で生き抜こうとしている女性という設定なのかなあ、と勝手に妄想もしてみる。

 そんな彼女が「仕事休んで、マカオに行こう」と、家の前で待ち伏せしていた阿邦に言われてキレるのは、何故かというと。
 マカオっていえば、飲む打つ買うの酒池肉林男性享楽天国のイメージが強いんですよ香港人には!
 週末の高速フェリーには、アロハシャツに雪駄の柄の悪いオッサンばっかりだし!
 カジノ=賭博にふけるのと娼婦を買って遊ぶのとを、いっぺんにやっちゃおうって場所なんですよ!
 そんな所にオンナノコを誘うってのは、しかも阿邦は「マカオに行こう」じゃなくて「玩=遊ぼう」って言っちゃったし! 「仕事休んでエッチ旅行しよーぜぃ、金は払うから」ってことは、ワタシってこいつにとってはセフレ以下の、単なる安っぽい娼婦扱い…なんだと情けなくも悲しくもなりますよね、いくらフォンだって!

 あれは阿邦が悪い。

 図書室でニンテンドーDS(2005年3月24日発売のピュアホワイト…あれっ2006年3月発売のLiteのクリスタルホワイトかな…どっち?)を持ち出すのも確かにマナー違反だけど、睨むだけでちゃんと諭してくれないのは、阿邦が悪い。

 そりゃ敬愛する阿頭の前で「下着ダメにしちゃったからぁ…」なんて平気で言い出すのは、カレシとしては実に恥ずかしくいたたまれない、そりゃそうだ。しかし「オマエ、さっさと行けよ」とその場から追い出すのはどうよ。あれって香港男性にはあるまじき"大丈夫主義"(亭主関白)じゃないのか。まるでそんじょそこらの日本男じゃないか、ダメだなー阿邦。

 ……と思ったりもしたのですが、これも日本国籍の金城武クンが演じるんだからとわざわざフェリックス・チョンとアラン・マックが日本男っぽくアレンジしたんですかねえ。それとも、香港男性にもあんなタイプはゴロゴロしてるのか?

 そんな阿邦に「おまえ、変わったな。いい方に」と言う阿頭。
 ってことは、言いたいことをずけずけ言い合える本音の関係をフォン相手に築けたことを、いいと言っているのか。

 阿頭……(涙)。

 あんなに素敵なラブラブ新郎なのに、シティスーパーで買い物してきて料理作ってくれて、うたた寝してたらお姫様抱っこでベッドに連れて行ってくれて、たまには「テロリスト・アターーック!」って家の中でも激しく攻めてくれる(キャッ)甲斐甲斐しい「我が家に一人は備え付けたい」亭主ぶりにこちとら惚れ惚れしてるのに、本音は「計画のために、無理してます、自分を偽ってます、僕」なのかー!

 嘘つきーー! 男なんて、男なーーんて、みーーーんな……!

 絶望したソッチャン、もしや涙と鼻水で気管カニューレ(チューブ)が詰まったとか寿命が尽きたとかじゃなくて、自ら管を外して窒息死を試みたような気も、今さらながらしてきた。

 ちなみに気道切開してカニューレを入れてて発声リハビリもしてない、そろそろ意識回復も期待されるとスピーチカニューレを付けられていたにしても発声訓練を受けていない目覚めたてのソッチャンが、なぜ阿頭に向かって普通にしゃべれたかというと、本当は彼女は口を動かしているだけで声は出てないのだけど、阿頭には以心伝心テレパシーで唇を読んで、あたかも声が聞こえるように感じたのだ……ということにしておこうよ。

 で、それでも残る謎、とは。

 周元勝らの殺人事件は、2006年10月28日夜に発生。

 その後の時間経過が、よくわかりません。

 結局、ラストに阿邦とフォンが白ワイン(マカオの白ワインかもとのこと)で乾杯しているのは、2006年12月クリスマスシーズンなのか、2007年に突入しているのか?

 わかる範囲で、時間経過を整理してみようかと思いつつ、
 明日は予定が入ってるので、日本のスクリーンで新聞の日付などを確認できるのは最終上映日、あと1回だ、自分!
posted by nancix at 23:55 | Comment(4) | TrackBack(0) | 「傷城」特集
この記事へのコメント
「傷城」語り、楽しく拝読しています。
「スクツァン」の死因ですが、シュー・ジンレイが自分のブログで書いていました。2006年12月28日です。実際、映画を見ると、そういう感じですよね。
スー・チーの「フォン」も、大陸から来ている、とどこかに書いてあった気がするのですが、こちらは、どこだったか思い出せません。
Posted by あさかぜ at 2007年08月04日 22:39
いつも拝見しています。
一度メールをさせて頂いたことがありまして、
その節は大変失礼致しました(汗)

ところであの最後のワインですが、私が思うにあれは、「Carlo Rossi」というカリフォルニアワインではないかと。
これ、安いです。一度観たときは高いワインかと思いましたが、nancixさんのブログを読んでからみたら、あのロゴに見覚えが。
(DVD持っていないので静止して確認できてないですが)
ほんとに、身の丈に合ったワイン選びということでしょうか。そんな二人に更に好感が持てました。
Posted by はける at 2007年08月05日 00:16
初めまして、こんばんは。
私も「傷城」のエントリー、いつも楽しみに読ませていただいています。(「色戒」も楽しみですが・・・)
阿頭がスクツァンにプレゼントしたカメラは『Polaroid Model J33』というインスタントカメラのようです。1961年から63年まで製造されていたそうです。検索すると英語サイトばかりですが画像がたくさんあります。蛇腹レンズなんですね。コンパクトでレトロ、お洒落なデザインです。
Posted by 亜美 at 2007年08月05日 00:22
>あさかぜさん、
 シュー・ジンレイさんのブログ、重すぎてなかなか表示されないんですよー(泣)。探してみます。
>はけるさん、
 Carlo Rossiですか! 確かに安い大衆向けワインですよね。nancixは家で飲むなら、さらに廉価な黒猫ちゃんのカッツェですが…。
>亜美さん、
 わっこんなにカメラがすぐに判明するとは!
 確かにGoogle画像検索で見てみたら、Model J33のようですね! ebayとか中国語オークションサイトばかりヒットしますが。いやー判明してうれしいなぁ。自分では買わないけど…っていうか、誰のコレクションを拝借してきたんだろ…? やっぱり、アンドリュー・ラウ監督の秘蔵品?
 たった2年しか製造されなかったカメラかぁ…。確かに香港で譲ってくれる人を探すのは、難しそうです。
Posted by nancix at 2007年08月05日 00:57
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/50276874
△TOPへ