2007年07月25日

「色、戒」でワルを演じる 偉仔は苦痛のあまり死にたくなった

 一昨日夜から、もう「ラスト、コーション/色、戒」の画像や記事が溢れ出して、喜びの余り気絶しそう。必死で漁りまくりました。
 収集をほぼ終えたので、まずはおなじみ、台湾の聯合報の葛大維記者による記事の紹介から。
 影帝トニー・レオンはアン・リー監督のために身を投げ出した。新作映画「色、戒」のなかで髪を剃り、毛を抜き、減量し、"女人豆腐を食べ"、また乱暴に殺生しなければならなかったのだ。

 この「吃女人豆腐」という表現に大いに戸惑ったんですが、あの…多分、女の柔肌(たとえばおっぱい…)を弄んだというような意味では…?
 演技を最も愛し、全力投球するトニー・レオンは、初めてアン・リーと「色、戒」で組み、外見から内面に至るまで全て生まれ変わる思いをさせられ、何層にも皮を剥かれる思いもさせられた。
 作品中で、トニー・レオンが演じる易先生は、アイリーン・チャン張愛玲が原作で「生まれつき顔色が青白く清秀で、前髪が幾分禿げていて、一種の奇妙なとんがりの形に頭髪が剃り込まれている。鼻はとても長く、少しネズミのような容貌だ」と描写している。トニーはとても清秀だが、青白さに合わせて、彼は体重を20ポンド(9kg!)以上減らし、痩せて顎をとがらせ、鼻から口元までの法令線をあえて目立たせた。
 (中国語でも法令線は法令紋って書くのね…(^_^;))
50代にちゃんと見える易先生
 頭髪の濃密なトニーは禿げ頭にはならなかったが、人工的に奇妙な「花尖(剃り込みか)」を作り出さなければならなかった。まず髪の生え際を剃り、痛みをこらえて前髪の一部を根っこから抜いて、尖った一角を形作った。今年初頭にトニーは上海で撮影していたが、「カリーナ・ラウと台湾一の富豪・郭台銘とのゴシップで、嫉妬の余り禿げができた」と香港メディアに誤報されたのは、この撮影のための工夫のせいだったのである。

 外見での傷みはまだ辛抱しやすいが、精神的な苦痛は耐えがたいものだ。トニー・レオンは「色、戒」で売国奴の大物を演じる。外見は温和で上品なインテリだが、実は残酷無情なのだ。トニーは以前「傷ついた男たち」でも悪い警官を演じたが、「色、戒」での悪辣さは「傷だらけの男たち」の千倍、万倍にもなる。トニーは毎日精一杯悪辣に演じたが、アン・リー監督はいつも、トニーのワルさの表現がまだ足りないと感じ、1シーンで連続30数回もNGを出したのだった。アン・リー監督を満足させて「OK」と叫ばせることは難しく、トニーはもう自分が良心をすっかり失くしたように感じた。だから後になって「僕は毎日、苦痛で死にたくなった」と叫んだのだった。
 そりゃあアン・リー監督、トニーの「隠してもかくしても匂い立つお子ちゃまの愛嬌」消しに苦労なさったことでしょうね…ご同情申し上げます…。
 「口元に手をやるんじゃありません!」「人差し指を唇に当てないで!」「だから小首を傾げて人をじいっと見るなと言ってるのに!」とかさ……nancixも時々細かく教育的指導したくなるもん…。
 禁じても教育的指導しても、この上目遣い。
23禁じ手のタレ目 

 …いやぁ、この撮影中にトニーが日本に来ても、あんなに可愛くなかったかも…易先生のまんまだったら、クールな鋭いまなざしで、周囲をねめつけてるだけだったかも…。よかった、易先生が抜け切れて、「ひるむな東呉の兵よっっ、突撃ー!」とイケイケ状態の周瑜様が入ってるトニーで。

 「色、戒」には当然「色」の部分が少なくなく、アイリーン・チャン張愛玲は「易先生は腰を下ろすと、腕を抱いて、一方の肘が彼女(タン・ウェイ湯唯が演じるヒロイン、王佳芝)の乳房の最も豊満な南半球の外縁に到達した」と描写する。アン・リーは露骨な色情映画はもう撮れないと話したが、この種の魂を捉えて骨抜きにするような感覚はまさにトニーの本領発揮といったところで、観客の感覚器官をじらし翻弄するに違いない。
 うーーーん、いいね、いいね、さすがはアン・リー監督。
 「彼奴をいじめろ、それが彼奴を伸ばす鍵だ」というトニー使いの奥義を、よーく解っていらっしゃる。
 心身を追い込めば追い込むほどに、トニーはいいものをどんどん出してくる俳優なのよー!「ガラスの仮面」北島マヤタイプ。簡単に1回でOK出しちゃ、ダメーーっ!(ファンはサド)。

 さらに、中国「網易」経由上海熱線の記事によると、1シーンでNGが30回以上というのは、トニーの演技の出来に問題があったからではなく、アン・リーが異なるレベルの効果を求め、トニーに毎回違う試みをやってみるよう求めたからでした。演技のプロとしてトニーも異存はなく、できるだけ求めに応じ、毎回出される課題をクリアーしていったのでした。アン・リーがトニーを「天才」と大いに褒め称え「彼は現代の最も素晴らしい俳優の一人です」と激賞しています。
 そして、トニーは「色、戒」撮影後に「燃え尽きたぜ…白い灰になってよ…」と語り……もとい、心身共に疲労したと語ったのでした。(それが「赤壁」孔明役降板劇につながるわけで…)

 こちらでは、「50数歳の易先生」を演じるため、トニーはメイクに多くの工夫を凝らしたとなっています。わざと肌の肌理(きめ)を粗くし、目の周囲と涙袋辺りに深くて暗いクマを作り出し、表情は陰鬱で、「花様年華」の風流洒脱な周慕雲とははっきりと異なるようにした、とのこと。
目の下クマ易先生
 10年後のトニーは、こうなるのか…?

 アン・リー監督によると「色、戒」の撮影で最も困難だったのは、アイリーン・チャン張愛玲のわずか1万字ちょっとの短編小説を映画にすることではなく、1938年の上海を再現することだったといいます。「カナダで米国の1963年の映画を撮るのなら、車からカミソリまで何でも探し出せるんだ。それなのに香港のかつての風景はもう探し出せないし、国民党執務室の書机1つさえないんだよ」。
 30〜40年代のオールド上海の繁栄を再現するために、この映画では2000万人民元を投資して南京西路を再現しています。200人を超す職人が昼夜問わず4ヶ月取り組み、800mの長さの街路や13階建てのビル、平安戯院(映画館)、カフェ、ファッションブティックとシベリア毛皮店、クラシックカー、人力車などが観客の目の前に再現されるのです。

 ううう…「南京路に花吹雪」の世界が再現されるのね…森川久美さんにコミックス版「色、戒」を描き下ろしてもらえないかな…森川さんの元アシスタントだったという今市子さんでもいいし…。いや何でもないです、若い人は読み飛ばしてください。

 というわけで、この年代の男性には微妙な話題ですが、大事な頭髪を果敢にも抜いたり剃ったりしたトニー…君は…「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3」や「ロンゲストナイト/暗花」の全剃り頭に続いて…エライよ…(涙)。
 ええと、こないだの来日では、日々周瑜のカツラかぶらされて蒸れているはずなのに、ちゃんと生え際、復活してましたよね? 大丈夫だ、大丈夫。あと10年は大丈夫、あはははは。

 そして、執務室の易先生。ちゃんと書机に向かっていらっしゃいます。
執務室にて
 背後には孫中山こと孫文先生のお写真が! 国民党の旗、青天白日旗が!
 そしてフランス革命ゆかりの「自由 平等 博愛」の揮毫が。誰の揮毫という設定なのだろう。やっぱり汪兆銘(精衛)かなぁ…と思ったら、小さく「黙成」と書かれているような気がする。
 黙=易先生のモデルともされる丁黙邨のことですか、そうなんですかアン・リー監督?

 ワクワク、ワクワク。あああ、来年が待ちきれない…。やっぱり10月初頭の連休に香港に観に行くか……?
 
posted by nancix at 23:55 | Comment(1) | TrackBack(0) | 「色、戒」特集
この記事へのコメント
私も早くこの映画を見たいです。
この映画の事を知ってから上海関係の本をかなり読んだのですがその中で

書名 ナチスから逃れたユダヤ人少女の上海日記
著者名 ウルスラ・ベーコン/著   和田 まゆ子/訳
出版  祥伝社 出版年月 2006.11

の中に国民党汪兆銘政権の高級官僚でMr.Yeeという人物がフランス租界の悪名高い、壁に囲まれた大きな邸宅(ジェスフィールド?)に住んでいて、その家の姉妹達(実はMr.Yeeの愛人)に英語を教えていたというエピソードが出てくるのですが、Mr.Yeeは実在したのでしょうか?それとも丁黙邨が自分でそう名のっていたのか?当時の中国の歴史を調べてもどこにもMr.Yeeも易先生も出てこないのですが、この人も青衣に狙撃された事があるそうです。
Posted by E at 2007年07月26日 16:57
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