あああ、そうでした、現代中国には国家広電総局(台湾・聯合新聞網の表記では電檢)による、映画の検閲制度という厄介なシロモノがあるんでしたーーー!
中国という巨大マーケットで上映するには、どうしてもこの検閲に合格しないといけないのです…。そりゃもう、ヘアヌードばかり気にするような(違う)日本の映倫とは比べ物にならないほどの、厳しい条件なのに……。
ちなみに、検閲で審査される10原則については、中国映画専門「中国映画のチャイナベ-シネマ」のこの用語解説が詳しいです。
中国広東省在住の渡辺達郎店長さん、ありがとうございます。
台湾のおなじみ「聯合新聞網」によると、
今回、「色、戒」は、トニー・レオンの誘惑視線があまりに色っぽすぎて風紀を乱すとかではなく、
トニーが既婚者の役なのに魅力的過ぎて不倫を奨励するとか言われたわけでもなく、
「中国共産党の歴史教育と異なる」、そして
「民族憎悪・差別感情の煽動、民族団結に対する損害、民族の風俗習慣に対する侵害」
のうち「民族団結に対する損害」について、あれこれ修正命令が出ている様子です。
まず、映画の時代背景が汪兆銘(精衛)と蒋介石がそれぞれに政権を打ち立てていた国民党政府時代なので、蒋介石側の政府情報組織として「軍統局(軍人委員会調査統計局)」という名称が登場しますが、それが中国共産党政権の検閲担当者としては許せない、名称を削除しろと。
さらに、ヒロインがクライマックスで口にする台詞「快走! 快走!(はやく行って! はやく立ち去って!)」ですが、これも直接的に"漢奸"=売国奴を助ける行為にあたるので民族意識を損なう、台詞を削って表情や視線で合図するだけに留めろと。
しかしこれ、原作小説にある、当然読者なら期待する、名台詞ともいえるものなんですよ!?
10日前から北京に滞在中というアン・リー李安監督、中国の電檢上層部と「討論」を重ねている様子ですが、いくらコミュニケーションをとっても当局は態度を堅持し、決して変えないとのこと。
メンツを保つことにこだわる中国人、ましてその上、役人だものなあ…。
国家の威信をかけて、海外で華やかな活躍を続けるアカデミー賞監督にぎゃふんと言わせたいわけですかそうですか…。
国家権力の横暴! 歴史の歪曲!!と、曲がりなりにも民主主義国家の国民で、戦後教育を受けてきた者としては憤まんを隠せません。(って、トニー・レオン主演作でなければふーーーん、面倒くさいの、で済ませるんですが…ははは)
アン・リー監督も巨大な中国マーケットをむざむざ捨てるわけにはいきませんから、修正に同意しないわけにはいかない様子です……。
なお、「色、戒」はできるだけ地道に製作を進行してきて、フィルムの現像・編集を済ませ、トニーやタン・ウェイ湯唯が最後のアフレコ作業を進め、BGMも完成して録音してあり、フィルムは半月前にすでに中国電影局に提出してあったそうです。8月26日からのヴェネチア映画祭にも、出品できる見込みです。
しかし半日の検閲の末、担当者が上記のような「修正案」を提出してきて、とにかく「軍統局」という台詞をあいまいにぼかせと主張して引かないんだそうです。関係者は「この要求は唐突で、結局これは歴史的事実なのに、それを捻じ曲げるようなものだ」と語っているとのことで…。
まあ、アン・リー監督は修正(というか改悪!)に応じるしかないだろう、しかしこれは「色、戒」の全体の構築に影響するほどのことでもない、「色、戒」の輝きを損ねることもない、と映画業界人はみているとのこと。すでにこの作品を見た関係者は「作品中のタン・ウェイの演技は非常に素晴らしい、アン・リーの"調教"のもとに、まるで映画界の新人とは思えないほどの出来になっている」そうです。
なお、もにかるさんのブログ「HongKong Addict Blog」でも紹介されていましたが、第64回ヴェネチア国際映画祭の開幕作品はキーラ・ナイトレイ主演の英国映画「アトーンメント(Atonement)」に決定したそうですね。Yahoo!映画より。
……審査委員長はチャン・イーモウ張藝謀ですか…。
さてさて、同じ中華圏の監督、しかも国家の威信をかけた北京オリンピック開会式プロデューサーの審査が、吉と出るか凶と出るか?
えーーー、アン・リー監督。
非中華圏である日本では、ぜひとも米国と同じ修正無し、ノーカットバージョンを上映して、ついでにメイキングも見せてくだされーーーー!
トニーの台詞は1言たりともカットしないでーーー!
2007年06月24日
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出かけるのでまた改めて。
まぁそれは中国だけの問題ではないですけど。
日本では未公開シーンは是非映像特典として余すところなく詰め込んで欲しいですね。
って、公開もまだなのに…(笑)