国営新華社通信が海外に配信したのが、15日と随分遅かったってこと?
このなかの「中国人を悪魔のように描くハリウッドの昔の手法と同じ」というのは、おそらく以前も書いた、ドクター・フー・マンチューや、スキンヘッドにナマズヒゲに吊り上がり眉の"残酷なミン=ミン・ザ・マーシレス"のイメージと同じ描き方だ!ってことなんでしょう。ミン・ザ・マーシレスはSFコミックシリーズで映画化もされた「フラッシュ・ゴードン」の敵役、世界制覇を狙う惑星モンゴに住む悪の帝王でございます。80年のリメイク版映画でミン・ザ・マーシレスを演じたのは、名優マックス・フォン・シドーだったり。
でも、それを言うなら「ダイ・ハード4.0」でマギー・Qが演じる女テロリストだって、おそらくは"ドラゴン・レディ""チャイナ・ヴァンプ"のイメージの域を出ていないと思う。ジェット・リー李連杰主演作「ロミオ・マスト・ダイ」(00)であっけなく殺された女殺し屋ライダー?役の香港女優フランソワーズ・イップ葉芳華や、「ラッシュアワー2」のチャン・ツイィー、もっと昔で言えば「上海特急」でマレーネ・ディートリッヒと共演したロサンゼルス生まれの華人女優、アンナ・メイ・ウォン黄柳霜と、大して変わりはありませんよね。彼女はドクター・フー・マンチューの娘役を演じたこともあるんです。
終生"チャイナ・ヴァンプ(毒婦)"扱いされ続けた彼女の発言が、切ない。「スクリーンの中の中国人はどうしていつも残酷な悪者で、嫌われ者の敵役なのかしら。凶悪で、反逆的で、あたかも草むらに潜む蛇……。私たちはそんなじゃない。西洋よりも遥か古くから文明を築いてきた者としては、どうすればいいの? 私たちにも徳性はあります。品行や栄誉に対する厳しい規範を持っています。でもスクリーンではなぜ、こういう面を映さないの? どうして私たちは常に何かをたくらみ、盗み、殺さなければならないのかしら。私はもうウンザリしています」(朝日選書「イエロー・フェイス―ハリウッド映画にみるアジア人の肖像」より引用)
ハリウッドにおけるチャイニーズの扱いって、そういうアンナの時代から、大して変わっちゃいないんですよ。
この問題を考察するには、ぜひ村上由見子さんの著書「イエロー・フェイス―ハリウッド映画にみるアジア人の肖像」(朝日選書)を探してお読みください。
口惜しかったら、現代中国はルーシー・リューみたいなステレオタイプな東洋的容貌ではない、グローバル・スタンダードな容貌の中華系俳優女優をどんどんハリウッドに食い込ませ、彼らの地位向上を図り、ステレオタイプなチャイニーズ役をどんどん断らせ、ステレオタイプではないチャイニーズ・キャラクターを描ける脚本家や監督を輸出するしかないんですよね。中国メディアには、彼らへの妬みやらで足を引っ張らないでほしい。
決して吊り上がり目でも頬骨が張り出してもいない、南方中国系の容貌でしかも長身、ジョニデに伍してスクリーン映えするユンファ兄貴は、その最たるものだと誇りに思っていいはずなのに…。
まあ、中国人民でも映画に関心の深い層なら、海賊盤DVDかP2Pソフトによって、オリジナルのユンファ兄貴の勇姿を、ちゃっかり見てると思うんですけどねえ。
いくら当局が規制をかけたって、知りたい人はちゃーんと知っているという人民らのしたたかさは、
かつて報道管制下で挙国一致・一億総○○となった過去があり、ともすれば付和雷同に流れがちな日本国民とは一味違いますから。