2007年05月22日

トニーに感激した若手脚本家兼監督。

 ネットサーフィン中に見つけた「ちょっとイイ話」
 パトリック・コン葉念[王探](葉はイップのはずだけど、本名がゴン・パッサム江柏[王探]なので、英語表記の場合はコンとしている様子)さんは29歳の香港人。
 浸會大學歴史学部在学中の19歳で映画批評を始めて映画界に接触し、大学卒業後は新聞の別刷特集の記者を務め、現在では脚本家、映画監督、映画批評家を兼任しています。

 彼は監督最新作「十分愛」の中国公開のために主演女優のステフィー・タン[登β]麗欣(元アイドルグループCookiesのメンバー)を伴って長沙の王府井影城(影城はシネコン)を訪れ、プレミアショーを行いました。
 彼は脚本家としての経歴のなかで、最も忘れられないのは「行運超人」(03)でトニー・レオンと一緒に仕事をした時、彼が脚本をとても尊重し、終始脚本の修正要求をしなかったことだ、と話したそうです。

 97年から映画脚本を書き始めたパトリック・コンは、トニーのほかにもサンドラ・ンー呉君如、エリック・ツァン曾志偉、金城武、スー・チー舒淇らと組んできました。そのなかで最も素晴らしかったのは、トニーだというのです。

 「行運超人」の時、監督のヴィンセント・コク谷徳昭とパトリック・コンとトニーは、3人で約束してレストランに集い、食事をしながらシナリオのシノプシスについて話し合っていました。「僕はもともとトニーのファンなんだけど、この時以前には彼と会ったことがなかったんだ。監督が、トニーとシナリオについて話し合う必要があると言うのを聞いた時には、僕はとても興奮したし緊張もしたよ。彼が僕のシナリオに興味を持ってくれるかどうかわからなかったんだ。僕がシナリオのシノプシスを話した時に、トニーがあんなにとても熱心に聴いてくれるとは思いもよらなかった。さらに意外なことに、彼は演技が素晴らしいだけじゃなくて、僕のシナリオをとても尊重してくれて、徹頭徹尾ここを変えよう、あそこを変えたいとは言わなかったんだよ。僕はトニーの、僕に対する信頼にとても感激したんだ」。

 今回の香港電影金像奨では、ダニエル・ンー呉彦祖に負けて「最優秀新人監督賞」を受賞できなかったパトリック・コンですが、気落ちしてはいません。「ノミネートされただけでも一種の肯定なんだ。僕と呉彦祖とは確かに距離があるけど、僕自身の実力は決して不足していないと思うよ。でも来年は受賞したいなあ」。

 まあ、シナリオと出演者の関係ってホンットにケース・バイ・ケースで、
出演者が演じる側としての経験や感覚から提案してさらによくなっていく場合もあるし、
口出しし過ぎて監督が扱いあぐねてにっちもさっちもいかなくなる場合もあるだろうし、
どうも主演者の好み?主義主張?で(どーーしてこんな展開or結末になっちゃうの…?)と観客が頭を抱える(-_-;)筋になっちゃう場合もあるし、
一概にこうするべきだ!とは言えないですよね。
 トニーだって「インファナル・アフェア」第1作では、自分が提案して「三年又三年、三年之後又三年、十年ロ拉、阿Sir!」って台詞に変えて、結局それが香港で流行語になっちゃったこともある。
 他作品では極力台詞を減らして、自分の仕草や表情だけで伝えるように提言したと聞いたこともある。
 ただこの時は(若くてまだ経験が浅い脚本家に、あれこれ注文をつけるのはよくない。まずは全面的に受け入れて、自信を持たせるべき。もしもひっかかる台詞やプロットがあれば、監督とのディスカッションで現場で練っていけばいい)とトニーが判断したってことなのかな。
 ただこの時は(若くてまだ経験が浅い脚本家に、あれこれ注文をつけるのはよくない。まずは全面的に受け入れて、自信を持たせるべき。もしもひっかかる台詞やプロットがあれば、監督とのディスカッションで現場で練っていけばいい)と、トニーが判断したってことなのかな。
 香港映画は特に、映画製作会社社長と監督と脚本家(複数の場合も)の合議制で物語が作られ、さらに現場でどんどん変えられていくので、脚本家は日本以上に軽んじられている存在だとよく聞く。文章力じゃなくて、プレゼン能力次第だとも。
 王晶のように、自分の旧作からのあらすじ焼き直しを命じるプロデューサーもいるしねえ。
 なりたがる若者にはどんどんチャンスは与えられるけど、結局は自分の構想と全く異なる作品になってしまうし実入りも少なく、著作権も日本ほど認められないので、妥協して似たようなものを量産するか、失望して脚本家を辞めてコラムニストや作家に転身するか、権力を持つ監督を目指すしかない、とも。
 心ある映画製作者や監督たちは、脚本家育成が大事だと口々に言ってるんだけどねえ。第二のアラン・マック麥兆輝&フェリックス・チョン荘文強(「インファナル・アフェア」シリーズと「傷だらけの男たち」の脚本コンビ)、第二のローレンス・チェン鄭丹瑞(90年代にマルチに活躍しアーバン・コメディ脚本も量産した放送界の大御所)は育っているんだろうか?

 「十分愛」は、ひねりの効いたトレンディー・ラブストーリーってところ? UFO製作の「後備甜心(映画祭上映時はデザート)」(05)も若者心理(この作品ではキープ君、キープちゃんの心理)を活写して楽しめたし、本当はこういう、香港ならではの、都会を舞台にしたラブストーリー群像劇もどしどし見たいところなんだけど…。
 "水泳王子"アレックス・フォン方力申の知名度では、日本に入って来ないんだよねえ…。
posted by nancix at 20:36 | Comment(1) | TrackBack(0) | トニー・レオン
この記事へのコメント
心に残るお話でありました。ネットサーフィンnancixさんに感謝申し上げます。私事ですが、長く開けられなかったこのブログ、やっと読めるようになりうれしいです。「傷城」も迫り、ワクワク度重ねて高まっています。
Posted by kobuta at 2007年05月27日 21:58
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