レディースデーのチケット買うのに、窓口でなぜか「平成……じゃない、ぽんぽこ……でもない」と口ごもってしまい、窓口嬢は笑いの発作が止まらなくなったようでした。……そんなに笑いが取れて、お姉さん嬉しいわ(微苦笑)
いやー、知らなかったなあ。まさか「HERO 英雄」の撮影クランクアップ翌日に、北京で、チャン・ツーイーにこんな邦画の話が来ていたとは。チャン・イーモウ監督やプロデューサーのビル・コンが橋渡ししていたとは。
しかも、クリストファー・ドイル杜可風が、参加を申し入れたりしていたとは!
ドイルってば、その場を和ませるノリだったんだろうか? 清順師父と仕事が出来るなら!というリスペクトだったんだろうか?
だって、ドイルお得意の手持ちカメラでズズズイーーッと迫る必要なんて、どこにもない映画だったのに?(爆)
そうか、「オペレッタ狸御殿」(以下、狸御殿)のプロデューサーの小椋さんの株式会社小椋事務所って、NHKドキュメンタリー「映画監督チャン・イーモウの世界」を製作してたんだ。だからツーイーとのご縁ができたんだあ…。
鈴木清順さんというと、どーしてもnancixには
・テレビ「ルパン3世」シリーズの監修を手がけた人だ!
・NHKの芸術祭参加ドラマなどで、前向きな老人役を、素人ぽさを生かして演じる人だ!
というイメージになってしまう。
もちろん「チゴイネルワイゼン」「陽炎座」はテレビの深夜放送で見たし、何かの特集上映にも行ったし「花様年華」公開に際して「夢二」もレンタルビデオを借りて見た。
原田芳雄も松田優作も沢田研二も、映画デビューだったかもしれない女優の毬谷友子も、よかったんだよ。
よかったんだけど…。
なーんか、テンポが…映像のリズムが…緩急が……。
合わないのだ、生理的に。
思い切って言ってしまえば、キモチ悪いのだった。
いやいや、鈴木清順の持ち味を、世界を否定するわけじゃない。そういう味わいも存在するだろう、と思うんだけど。
自分にはないものなのだ。打てば響くと爽快なのに、カッスーンっとスカされると、ありゃりゃっと座席から転がり落ちるしかないのだ。
多分、合わないのはnancixが関西で生まれ育ったせいなんだろう。
とはいえ、緩急のリズムがぴったり合って生理的にキモチいいのは、松竹新喜劇でも吉本新喜劇でもなく、宮崎駿アニメとピーター・チャン陳可辛作品だったりするから、所詮はnancixは「娯楽映画の人」であって、ゲージツの人ではないのよ。
この「オペレッタ狸御殿」(以下、狸御殿)も、生理的にキモチ悪い系列の映画だった。
どーしてここでスカーンと無音になったり、別の場面を挿入したりしてミョーに間延びさせたり、ドラマを盛り下げるかなあ?と、かなり脱力・トホホな思いをした。
しかも台詞のすぐ後をぶった切って、次の場面に移ったり。
それがゲージツだってことなんですかね?
編集担当は西洋人の名前だったように思ったけど、いまパンフを見たら日本人名でしたね。
清順監督には、ウィリアム・チョン張叔平の代わりに木村威夫とビューティ・ディレクター(そんな新分野が邦画で確立されていたとは!)の柘植伊佐夫は存在したけど、
ウィリアム・チョン張叔平の代わりになる辣腕編集マンはいなかったのね…。
で、どうしても連想してしまったのが、フェイ・ウォン王菲&トニー・レオン、チャン・チェン張震&ヴィッキー・チャオ趙薇のW美男美女が歌い踊る未公開作品「天下無双」(2002)なのでした。王家衛製作総指揮(撮影には全然関わってない)。
「狸御殿」が、民間に伝わる「人を騙す狸」説話を基にした歌舞映画「狸御殿」シリーズの数々にオマージュを捧げているなら、「天下無双」も中国に伝わる民間説話をもとにした往年の大ヒット黄梅調映画「江山美人」などをネタにしています。トニー&フェイが楽しげにデュエットするある曲も、「江山美人」に登場する曲のリメイクなのです。

ほらほら、ジョー&ツーイーに負けてないわっ!
往年の「狸御殿」が、宮城千賀子、月丘夢路、水ノ江滝子や美空ひばりら大スターを起用していたなら、1959年版の「江山美人」にはお目々パッチリのリン・ダイ林黛がヒロインに起用されていました。
そしてもちろん、21世紀版「天下無双」にはお姫様役でフェイ・ウォンが、"江山美人"役には男装さえも愛らしい、「少林サッカー」ヒロインでもあったお目々パッチリ美人のヴィッキー・チャオ趙薇が登場します。決してチャン・ツーイーには負けてません(キッパリ!)
お姫様スタイルのフェイ。
お目目パッチリ美人のヴィッキー・チャオ趙薇、男装中。
オダギリジョーに負けず劣らず、懸命に歌い踊るのがトニー・レオン。
そりゃもう、甘い声でなりきって、けなげで可愛いったら。その上、笑いを取るための無理やりなまでのすっとぼけぶりと言ったら、「狸御殿」の山本太郎よりもある意味すごい。
女装シーンも撮影したというけど、本編では一瞬でほとんど顔が見えませんでした。残念。
特殊メイクでは、畏れ多くも平幹二朗に挑む勢いです。「インファナル・アフェア3 終極無間」より早く、トニーの顔を傷つけてウヒャウヒャにんまりしている可虐趣味の者が、王家衛一派にいたなんて……。
オダギリジョーと山本太郎と平幹二朗を1人で兼ねられる俳優なんて、香港明星にしかありえない!!!
ジョーはもちろん、ツーイーに仕える若侍(石川伸一郎)も(おっいいオトコ!)と思わずはーとマーク
「狸御殿」の薬師丸ひろ子も、その美声と丸っこいお顔を生かしてお萩の局としてさんざん我々を化かしてくれました(まさかあのヒトもこのヒトも彼女の分身だったとは…ええと、ツーイー狸姫をそんなにも愛し抜いちゃってたってことですか? 悲恋ね…)が、「天下無双」では小柄なアテナ・チュウ朱茵ちゃんが、華麗な七変化ぶりを見せてトニーと観客を楽しく化かしてくれます。
垂れ目ではなく吊り上がり目だから、さしずめ小狐さんかなー?
おっと、忘れちゃいけないのが、まるで山本太郎のように酷い目に遭わされまくるロイ・チョン張燿揚でしたね。
「インファナル・アフェア2 無間序曲」で、一言の台詞も無しに"潜入"の悲哀を演じきった、あのロイです。
「花様年華」で、マギーの夫役なのに声と背中しか出演させてもらえなかった悲運のロイです。
画像ではカッコいい剣士のようですが…………なーーーんで非力であなたより小柄なトニーにコテンパンにやられるかなあ〜(苦笑)
「狸御殿」では往年の大スター美空ひばりがCG合成(モロにゲームキャラクターの出来だった)で登場しますが、何のなんの、「天下無双」には往年の大歌手レベッカ・パン様が、健在ぶりを見せますのよ。
「欲望の翼」のレスリー養母ですよ。
「花様年華」のマギーの上海系家主さまですよ。
まさに、皇太后にふさわしい貫禄です。
そうそう、「狸御殿」では満開の桜の花を撮影するのに苦労したようですが、「天下無双」の紅梅の花は、それはそれは美しいですよ。しっかりロケだしね。
上海のスタジオで撮影されたと聞く皇宮シーンも辺境の宿シーンも、大道具小道具について決して予算ケチってません。チープ感、微塵もなし。
さすが凝り性の王家衛やウィリアム・チョンらと、長年組んできたスタッフであります。
で、画像はありませぬが、「狸御殿」の狸家老・高橋元太郎に負けないインパクトなのが、「天下無双」の自動車訓練学校校長役で特別出演な、ジェフ・ラウ劉鎭偉監督その人だったりするのでした。
あああ、未だにわからん。トニーと劉鎭偉監督の掛け合い漫才の必然性が…。
なんでトニー&フェイのような国際的大明星が、砂に首まで埋まってまで、すっとぼけた会話をしなきゃーならんのか…?
ナンデ、チャン・チェン君がアフロへアに着流しなのか…?
「楽園の瑕」や「恋する惑星」をやたらパロディネタにするけど、21世紀の若者は見てませんから! 「楽園の瑕」みたいな大コケ映画、我々日本人オタクの方がよく見てますから!
その不条理感、鈴木清順節と共通するものが、あったりなかったり。
少なくとも、「なーんでそうなるねーーーん!」と突っ込みを入れながらも、生理的快感は「天下無双」の方が上だったりするのでした。
あああ、もう香港旧正月映画にしか合わない体質に、よってたかってされてしまったのね……。
(ははあ、この薬師丸ひろ子と由紀さおりの"テニスコート"での身振り手振りは、歌舞伎でいう「だんまり」なのね)とか、
(にっちもさっちもいかなくなると、ああっ女神さまっ降臨!で何とか打開してしまうご都合主義的展開は、デウス・エキス・マキナ [deus ex machina]=ギリシア・ローマ劇で急場を解決するために何の脈略もなく現われる神=って奴ね、まさに機械仕掛けの神=CG合成のアノ人だしーー)
などと、ある程度日本の古典芸能や演劇を知っていないと珍妙なだけで終わる「狸御殿」ですが(誰だ! 知識があっても珍妙だとつぶやいているのは?)、「天下無双」も「黄梅調」への理解や、下敷きとなった「江山美人」への知識がないと、何が面白いやらサッパリわからないだろうなあ、と日本公開の実現を半ばあきらめていた。
香港公開時の成績も、多分「狸御殿」よりマシな程度で、大ヒット作というわけじゃない。
だって、めでたかるべき旧正月映画に、トニーの悲哀に満ちたうつむき顔や、フェイ入魂の狂乱ぶり(「2046」での恋狂いどころじゃないっすよ、ホント)は、チョット切なすぎたもんねえ。「狸御殿」のお弔いのくだりのように。
でもさあ、でも…。
「狸御殿」が"芸術文化振興助成事業"に認定されるんなら、
おんなじお金使って、「天下無双」も日本公開してくれーーーーーー!
あのオトボケトニーを、
歌い踊るトニー&フェイを、
ムーンウォーク?するトニーを、
男だと思ってるフェイとしっかり抱擁してしまうトニーを、
満開の紅梅の花散る中で繰り広げられる感動のクライマックスを、
日本人にも売れ、寄こせ、見せろーーーー!
と、絶叫したい思いで帰宅したことでした。
そのときは邦題を「オペレッタちゅーかな皇宮」とでも。
鈴木清順御大に「脱帽した! 楽しい!」とでもお言葉をいただいて。
……あかんか(^_^;)



さすが目の付け所がnancixさん、恐れ入りました!
私もこの作品大好きです。フェイにキスされて顔を赤らめるとこなんかも好き!
観終わってから「らんららら〜ん…♪」が頭の中でとまらないのは私だけ?
一時期BBSの方で「地下鐵」と共に同じ会社が買ったとも言われてましたが
その後どうなったのでしょうね?二本立てで観れたらこの上ない幸せ!
「天下無双を日本人にも売れ、よこせ、見せろ〜
!」派でございます。
何か運動するのであれば参加いたしますよ。
狸御殿上映館で署名なんかもらっちゃいます?
(^▽^)
さぁ17日までしかやってないようだし(早!)
急いで見に行ってまいりますわ。
(めあてはジョーくん!)
あのものすげえ失敗作(というのかおちゃらけ作というのか?)、ぜひぜひ大画面で見てみたい〜〜〜!に一票です。
しかし、何か足りないと思ったら、賀歳片には欠かせない(そうか?)主人公の女装(男装)が狸御殿にはない。ああ、観たかったよジョーの女装orツーイーの男装…(なんか違うぜ)
そうそう、あの桜は岩手県松尾村でロケされたものなのですが、よく観ると満開じゃないんですよね。あの時期、山間部は結構寒くて開花が遅れていたみたいですよ。
狸御殿でTrackBackしていただきましてありがとうございます。
こちらに伺って、「天下無双」が非常に気になってきました。面白そうですね〜っ。
狸御殿の間の悪さ・・・、同感でした^^;
に私も一票!
日本語字幕つきで見たいですう〜〜!
「楽園の瑕」の音楽をバックに馬を駆って颯爽と現われるトニー!かっちょい〜〜、残剣様みたい!!
と思いきや、ラブリー度全開なんですもの!
でもムーンウォークはあまりうまくないかも…(逃)ああ、また見たくなりました。
トラバ頂けたなんて、幸い至極です。
「天下無双」2・3年程積み上げてあるDVDの山の中にありました(><)。
ワタシも狸御殿は「旧正月映画」みたいって思ってましたが、また狸御殿をDVDで観る機会があったら両方比べてみたいと思います。
>柘植伊佐夫
この方、確か80年代前半に刈り上げブームとか流行った当時のMod's Hair のヘアメイクの方です。
拙い感想ではありますが、ワタシもトラバ飛ばせて頂きますね
先日、Iさんと見に行きましたが、見た後で思わず「天下無双」が見たくなった〜!と言ってしまいました…。
私にも「天下無双」の方がテンポが合うようでございます。
そして今、サントラを聴きまくってます(^^ゞ
『天下無双』うちの未見のVCDの山の中にあるはず、なのですが…なんとか探し出して見比べてみようかと思います。