いろいろサイトを見てまわりましたが、やはりジョン・ウー呉宇森監督作「赤壁」からのトニー・レオン梁朝偉の降板及び金城武に交替という話が出ていることは、確かなようです…。
それだけでなく、キャスティング担当でもあるプロデューサーのテレンス・チャン張家振によると、トニーと同じプロダクション、ジェット・トーン澤東製作有限公司(実際にはProject Houseという名で独立させたタレント・マネージメント部門)に所属しているチャン・チェン張震も、トニーと同じくスケジュールが合わなくなったと降板を表明。孫権を演じるのは中国のベテラン俳優ヨウ・ヨン尤勇になったとのこと。ジョニー・トー杜[王其]峰監督作「ブレイキング・ニュース/大事件」(04)では、大陸から香港に、金で請け負った殺人を遂行しようと潜入中の殺し屋チュン役でしたね。
しかし一旦、尤勇は劉備役として発表されていたのでは…?
そして、待てまて!
まだジェット・トーン側の正式声明は、出されていないんですと。ネット上の記事の「ジェット・トーンによると」の一節は、ニセモノなんだそうです。
北京で衣裳合わせまで済ませたはずのトニー降板の理由については、まさに諸説紛々ですが、
・「赤壁」を上下2作に分割することにより、ジェット・トーンが「それなら2作分としてギャラを倍にしてほしい」と交渉したが、チョウ・ユンファ周潤發にすでに多額のギャラを支払う契約をした後なので、要求が呑めなかったという説などなどが挙げられています。
・香港人のトニーがこないだまで奮闘していた北京語映画「色、戒」で北京語講師を付けるほど1940年代の北京語セリフに手こずり疲労困憊したのに、諸葛亮孔明役ともなると大量の古語セリフの上に、すらすらと古文(日本で言う漢詩?)まで吟じなければならないので、到底出来ないと辞退した、という言語の壁&連続登板疲労説
・トニー本人は受け取った「赤壁」シナリオの内容は気に入ったものの、やたら分厚いので驚いて問い質したところ、作品を2分割すること、当初の予定よりも撮影に時間がかかり過ぎることを初めて知り、別作品の出演予定があるため、やむなく降板を決意した
・ゴシップ大好き蘋果日報単独説ですが、カリーナ・ラウ劉嘉玲と台湾の富豪で映画投資家の郭台銘氏とのゴシップにより、彼女との関係修復を望むトニーは長期間香港を留守にして撮影することを渋った…。
ジョン・ウーもトニーとは個人的に親しい仲なので、降板の事情をよく理解して了承していると…。
しかし、ギャラに関しては多少の「拘束期間を延長するなら、当初の契約条件とは話が違う」と事務方同士でのやりとりはあったでしょうが、ハリウッドマネージメント計算になるチョウ・ユンファ兄貴に迫るほどのギャラ要求を映画製作に詳しい(というかオールスター映画「2046」でさんざん苦労した)ジェット・トーンがしたとは到底考えられず、
言語に関してはチョウ・ユンファ兄貴や他の香港スターだって同じ苦労を強いられるわけだし、
カリーナだって女実業家としてもずっとやってきて、少々セクハラオヤジ実力者が膝の上に手を置いたって、相手を怒らせない程度にいなして今後の映画投資に繋げるだけの才覚と機転は持ち合わせているし、トニーがそんな程度でいちいち怒ってたら旧正月を挟んで長期間、日本でカリーナと一緒に滞在できないだろうし、
やはりクランクインも延び延びになっているこの「赤壁」に出演していたら、次の予定に支障をきたすから…というスケジュール的なことが、最大の理由だと思われます。
とはいえ、これだけオールスター総出演映画なんだったら、まるまる半年の撮影期間中、ずっと孔明が出ずっぱりってワケじゃなかろうに…。固め撮りしたら、数ヶ月の我慢じゃないのぉ?
じゃあトニーの次の予定って何なのさ? 噂にも出てないけど?と首をひねっているわけなのですが、
心配なのは、ハリウッドでご機嫌で「MY BLUEBERRY NIGHTS」を撮影していた(すでに後期工作中?)はずの王家衛監督が、「あのさ、思いついたんだけどさ、どうせ次作の二コール・キッドマンもまだカラダ空かないしさ、ゲリラ的に一気に香港で1本新作撮りたくなっちゃったからさ、トニーもチャン・チェンもおまえら○月からスケジュール空けとけよ! ギャラ? んなもんはジャッキー(ジャッキー・パン彭綺華、トニーらのマネージメントで采配をふるう女史)に聞いて!」と、例の調子で連絡してきたんじゃないかという……。
確か、王家衛も第60回を迎えるカンヌ映画祭に、チャン・イーモウ張藝謀や北野武ら35人の映画監督の一人として、3分間の短編映像を出品予定ですよね? それは5月20日には映画祭会場で上映しなきゃいけないからトニー&チャン・チェンを狩り出すことはないかもだけど、それの撮影中に(これを土台に、もっとあーーんなことやこーーんなことを足して、トニーに…させて…チャン・チェンに…やらせて…)と
(小声で)いやあの、思いつきに付き合わせるのはもう勘弁してください…王家衛……。
ロケハンとポスター撮影だけしておじゃんになった「北京之夏」のほろ苦い思い出が……。
えっ「今回はオレ関係ない」? ホントにィ?
それにしても、上海東方早報の記者から取材を受けたテレンス・チャン!
「最初から私は金城武を諸葛亮役に推薦していたんだよ。27歳の諸葛亮には彼が最も適合しているとね。当初はまだ初々しく、見た目はどこか間抜けっぽいんだが、心の奥にはとても多くの智恵を隠していて」って、間抜けっぽいってそれトニーにも金城クンにも失礼ですから!
今更それを言いますか?! 27歳の孔明、と限定するなら、最初から40代のトニーを据えるのがそもそも不思議じゃないか…。
「しかし2年前の金城武はスケジュールが合わず、台湾金馬奨授賞式でジョン・ウーがアンディ・ラウ劉徳華とトニーに会い、彼らをぜひ起用したいと望むもんだから。トニーはずっとジョンに応えて、『赤壁』に加盟できると言い続けてきたんだ。だがシナリオの最終稿が出来上がって来た時になって、(撮影)期間が長すぎる、会社はすでにトニーには別の映画出演を承諾させている、つまり6ヶ月も撮影に参加させられないと言うんだ」と、テレンス・チャンの言い分は続きます。
……ジョン・ウーとテレンス・チャンは、一枚岩になってこの世界が注目する大作を製作してきたんじゃないのか…?
また、トニーと同じく「スケジュールが取れないから」とジェット・トーンが出演を辞退してきたチャン・チェンについては、テレンス・チャンはまだ望みを捨てていないと言うのです。「我々は『天堂口』のラッシュフィルムを見たんだ。チャン・チェンは非常に素晴らしく、とても精彩を放っていた。我々はとてもこんな俳優が好きだね、まだ彼がスケジュールを調整して参加してくれることを望むよ」
………トニーは? 望みはゼロなの? もう見捨てられた?(T_T)
せっかく野崎歓せんせが「香港電影通信」第197号で「トニー・レオンの俳優人生の頂点になるんじゃないかという予感さえしますね」と触れてくださったのに?
…しかし、頂点に達してしまったら、後は下るばっかりという意味ですかせんせ?(涙) 違いますよね?
まあ、とにかくトニーは頂点うんぬんからうまいこと外れまして、出演と出演の間に適度に疲労回復期間を取ることにより下りもせず、"細水長流"とばかりに緩やかに俳優人生を長らえることにした、と解釈しましょうか…。
もともと、半年仕事して半年休みたがる、藤竜也系の俳優なんだしさあ。
そりゃね、nancixも最初は(ジョン・ウーがとち狂って「私は周兪の生まれ変わりだとシャーマンに言われた、私が雨乞いをすれば旱魃の中国大地にも雨が降り続けたんだよ、血果て海尽きるまで、この映画を全アジアで公開してアジア制覇を遂行する!CGは使わず中国人民を招集して(略)」なんて言い出したらともかく、ウーさんに限って多分カドカワハルキにはならないんだからさ、せっかくの世界的話題の大作出演のチャンスを、みすみすぅぅぅぅ)と泣き崩れましたが(嘘)。
考えてみれば、トニーは今までにも早々と自分の名前を出して資金集めして撮ろうとした映画への出演を断り続けてきたし(「詩人の恋 妻と愛人/顧城別戀」など)、
蒋介石の息子・蒋経国の伝記映画など、実在の歴史的人物を演じる企画も断ってきたし、
「HERO 英雄」が自分の最後の古装映画になるだろうと言ってきたし、
恩義あるジョン・ウー監督からの出演要請とはいえ、裏にいろいろ事情があり過ぎて、やはり降板すると決めたのかなあ…?
単なる過労による一時的な「お仕事したくない」症候群…?
ネット上では、中国人網友は"張愛玲が描いた、ポマードで頭を固めた放蕩貴公子のような"トニーが、文武両道に秀でた"神仙"のように崇められている諸葛亮孔明を演じることについて「兇多吉少」(凶多くして吉少なし)とまで謗(そし)る傾向もあったらしい。うううぅ…哀しい。
そんな雑音は全く関係なく、トニー本人の意志が反映されての決断なら、もうね、1ファンとしてはね、さっきまでBS2で見てた「グッド・ウィル・ハンティング」の、ロビン・ウィリアムスからマット・デイモンへのセリフを引用してトニーに贈るしかありませんよ。
「Do what's in your heart, Tony. You'll be fine.」
「心のままに進め、トニー。きっとうまくやれる」