2004年06月14日

「狼〜男たちの挽歌・最終章」再見。

 資料のある自宅で書こうと思ったけど、突然のPC異常でネット接続できるかどうか心もとないので、今のうちにあやふやながら、メモ代わりに。
 実はnancixが入手していた「狼〜男たちの挽歌・最終章/喋血双雄」は、レンタル落ちの中古ビデオで途中で映像が乱れるしろもの、しかも日本語版でした。だからずっと、
 主人公の仕事人=ジェフリー(チョウ・ユンファ周潤發)
 主人公の親友で殺しの請負人=シドニー(チュウ・コン朱江)
 ジョンを追う刑事=リー刑事(ダニー・リー李修賢)
 その相棒の年上刑事=チャンのおやっさん(ケネス・チャン曾江)
 ヒロイン=ジェニー(サリー・イップ葉倩文)
 極悪非道な殺しの依頼人=ジョニー(シン・フィオン成奎安)
だと覚えてたんですよね。

 広東語音声で、中国語字幕で見たら、全然印象が違ってました。最初に見たときは「アジア映画らしからぬ、フランス映画のようにスタイリッシュでキザなまでにダンディ、ニヒルな必殺仕事人」の話だと夢中になったんですわ。
 それが、
 主人公=阿荘または蝦頭(マヌケ頭)
 主人公の親友=四哥
 刑事=李鷹または細B(ちびのあかんぼ)
 その相棒の年上刑事=老曾
 ヒロイン=ジェニー
極悪非道な殺しの依頼人=標的の甥
 となると、まぎれもなく熱い血のたぎる香港映画です。
 ちなみに日本の配給会社が勝手に挽歌シリーズにしてしまっただけで、ストーリーは「男たちの挽歌」3部作と関係ないです。

 まだ字幕ではなく日本語吹き替え版で見たから、違和感はなかったにせよ、やはりとっさの作り話でつけた渾名を、友情の証として守り通すユンファ兄貴の心意気、「俺たちは同種の人間なんだ」とユンファに微笑みかけ、「俺だって(自分なりの)正義を通したい。なのに誰も信じてくれない」と目を伏せる李鷹刑事の"組織の歯車になりきれない孤独"がぐっと胸を詰まらせました。
 でもどこの国だろうが、警告なしに発砲しちゃいかんのは当たり前。

 確かに演出はところどころ、大げさ。喜劇の一歩手前でかろうじて踏みとどまっている。李刑事が警察でユンファ兄貴の似顔絵作らせるところなんて、容貌の特徴なんか全然言わない。「そんなノロケを聞かされて、絵が描けるかーーっ!」と似顔絵担当者が暴れ出さないと絶対おかしいぐらいの傾倒ぶりが笑える。しかもその絵(アニメのキャラクター設定調だがかなり似てる)を、自室の壁面いっぱいに張り出して、惚れ惚れと眺めるか。
 愛ね、愛。
 追う者と追われる者、ジャン・バルジャンとジャベール警部orリチャード・キンブル医師とジェラード捜査官の絆を通り越した、一目惚れって奴よ。
 と全世界的に誤解しますよそりゃー。 それに、ラスト。初見からずっと言ってるんだけど、教会から2人で悠然と歩き出すところでストップモーション、で勇壮な音楽で盛り上げて終わればよかったのに。どうしてあそこまで因果応報、救いのない目に遭わせなきゃいけなかったんでしょ。
 ダサい。エゲつない。だから香港映画は、と90年頃当時は言われたもんです。
 「ハードボイルド〜新・男たちの挽歌/辣手神探」のクライマックスも同じ。炎のなかにトニーが消えて、そのまま生死不明にしておきゃ、どんなにか…。
 それでも、ジョン・ウー流ダンディズムはここに極まれり、です。
 銃撃戦中のユンファ兄貴よりも、無辜の人々まで巻き添えにしてしまう自分の罪の重さに汗だくになり、夜明けの海辺でうなだれ、夜の教会を見ながらブルースハープを吹く孤独の肖像に、痺れます。
 もーなんだってこんなに"絵になる男"なんでしょ、ユンファ兄貴って。
 自分が漫画家なら、何百と孤独な殺し屋の半生の漫画を描けちゃいますよ。
 シドニー、もとい四哥の海辺のコテージ?で、意味もなくカッコつけて立つその姿にも惚れ惚れします。李刑事だってそりゃ夢中になります。
 立ち居振る舞いのダンディさ。
 そう、それがトニー・レオンには足りない。
 気を抜くとなんか猫背、なんか足がまっすぐでない。
 どういうわけか「うにゃり」とS字になって立つ。
 しかも、モジモジ君。
 それが「地に足のついた、絵空事のヒーローではなく実在感あふれる」と感じられるときもあれば、だーっ男らしくないーーーっシャキッとしろシャキッとー!と怒鳴りたくなるときもある。

 でもね、しょせん小女人のnancixには、ユンファ兄貴は神々しすぎるんです。
 傍にも寄れない、寄っても別にわざわざコミュニケートして伝えたいことがない。ほれぼれと仰ぎ見るだけ。ユンファ兄貴だって、小心者で粗忽な小女人は、彼自身の銃弾でケガでもしない限り助けちゃくれんでしょ。
 小女人なんて多分、銃撃戦中に浜辺でひいいいいっとしゃがみこんでいるうちに悪人側の機関銃の流れ弾に命中して脳みそふっとんで即死ですから、ユンファ兄貴には目にも留めてもらえない(苦笑)

 目線があまり変わらないトニーさんぐらいが、ちょうどいいです〜。
 (別にトニーさんをバカにしているわけでも、ユンファ兄貴を神格化しているわけでもないので、お間違いなく)

 DVD-BOXにはジョン・ウーさん直筆メッセージが同封されていて、達筆な崩し字で読めない〜とおろおろしたけど、裏に活字化されてました。
 石井輝男監督、高倉健主演の雙雄喋血記こと「ならず者」(64)やその他の高倉健主演映画、ジャン=ピエール・メルヴィル監督でアラン・ドロン主演の「サムライ」(67)にインスパイアされたこと、などなどが書かれていて、もーウーさんってば好きだからってパクリすぎ〜〜と微笑ましかった(インスパイアとかオマージュとか言え)。

 ところで60〜70年代に、どれだけチュウ・コン朱江さんやケネス・チャン曾江さんが武侠映画や剣戟=チャンバラ映画の人気実力兼ね備えた偉大な俳優だったかを、知ってしまった今では、いくら歳食ったからってTVBからポッと出てきたユンファ兄貴の引き立て役によくぞ甘んじたなあ、とその男気に感心してしまうのです。2人とも楽しそうに「狼たちの絆/縦横四海」(91)にも出てるしね。

 果たして50歳前後になったトニーさんは、彼らのような名バイプレーヤーになりきる覚悟があるのか? それとも生涯主演男優を貫くのか?

 でもって、仕事中にもサリー・イップ葉倩文の哀切なバラード(というよりエレジーだわね)が耳の中でぐるぐる鳴りまくって止まらないんですけど、どうしたもんでしょうか。「隨縁」だっけ? ♪ヒンヒンなんとかヘンヘンかんとか〜

 ここはもろネタばれ、でも深く頷ける。
posted by nancix at 19:24| Comment(0) | TrackBack(1) | 香港映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: うぉー、まだ「インファナル・アフェア3部作BOX」を見切らないうちに、今夜(日付的には明日)のよみうりテレビ「水曜亜細亜電影」で「狼・男たちの挽歌 最終章/喋血双雄」(89)放送があるぅー! ノー...
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Tracked: 2005-11-09 12:48