2004年05月18日

受け売りですが【カンヌ豆知識】

 そろそろ「2046」チームもパリもしくはカンヌに到着しているはず。

 ここで覚えておきたい、パルム・ドール及び「本選」と選考について。
2000年カンヌのトニー受賞スピーチシーン 講談社現代新書「カンヌ映画祭」(中川洋吉)の受け売りですが。
■パルム・ドール
 カンヌ映画祭だけが採用している最優秀作品賞の呼称。金色の棕櫚(しゅろ)の意味。カンヌでは最優秀作品賞は第一回〜1954年の第42回まではグラン・プリ、その後1963年までパルムドール、64年と65年はまたグラン・プリなどと呼び方が変わっている。しかし75年以降はパルムドールで統一。同時にこの回から審査員特別賞がグラン・プリと呼ばれるようになった。
 91年にはパルムドールが「バートン・フィンク」、グランプリが「美しき諍い女」に与えられたり、その使い分けは日本人にはわかりにくい。パルムドールの次に位置するのが審査員特別賞だったりもする。グランプリが国際批評家賞と訳されたのも、2000年からのことのよう。

■「本選」と選考
 カンヌ映画祭にはパルムドールを目指して競う「本選」(オフィシャル・コンペティション)と併行部門があり、本選には毎年20数本の作品が選ばれる。この他、「本選」内の特別上映にノン・コンペの特別招待システムがあり、例年4、5本が選ばれる。特別招待は、過去にグラン・プリを獲得した監督作品の枠とされ、黒澤明監督の「まあだだよ」(93)もこれにあてはまる。またコンペで競いたくないと望むウディ・アレンの作品や、ハリウッド大作も特別招待の枠で上映される。

 映画祭への出品資格
・「製作されて12ケ月以内」
・「本国以外で封切られていないこと」
・「他の映画祭に出品されていないこと」
・「フランス語か英語の字幕を入れること」。

 「他の映画祭に出品されていないこと」というのは結構難しそう。せっかく作ったんだからあっちもこっちも受賞したいものじゃあーりませんか。アート系のアジア映画人は「ヴェネチア国際映画祭に出品するか、カンヌか、最近は釜山や上海もあるけど…ううむう」と悩むわけである。え、東京国際? …悩むんでしょうか? 誰か本音を教えて。

 作品選考に関しては、映画祭創設以来軸となる国が選ばれ、それらの国を中心に「作品の質、監督中心」のポリシーをもとに作品が選ばれる様子。フランス、米国、イタリアが中心で、他の国々は90年のペレストロイカによる東欧、91年のアフリカ、93年に中華系と英国などと、社会的な話題性も影響して作品が集中する年が決まってしまう。93年は「さらば、わが愛〜覇王別姫」が「ピアノ・レッスン」とパルムドールを分け合った。侯孝賢の「戯夢人生」は審査員賞を獲得。また「青い凧」が監督週間に出品され高い評価を得た。

  2000年のカンヌは、欧米ですでに知名度の高い王家衛作品だったからこそ、ぎりぎりまでパリで編集・音入れ、上映もモノラルのままといった荒技を使っても許されたともいえる。
 この「出品が決定しているのにラボでの最終作業が間に合わないかもしれない」「何とか作品は間に合いそうだが、編集作業用プリントだ」「フィルムがラボをやっと出たらしい」といったニュースが逐一配信されたのは、1979年の「地獄の黙示録」騒動と酷似している。上映日までに完成するのかとハラハラドキドキさせる作戦と、総製作費何百万ドル、製作費数年、使用フィルムの長さ何万フィートと大作ぶり誇示する物量作戦(後に角川書店が真似た手法だ)によって「地獄の黙示録」はフィーバーを巻き起こし、「ブリキの太鼓」とのパルムドール同時受賞を勝ち取ったのだった。 後に審査員の一人で、作家のフランソワーズ・サガンが審査員団に加えられた圧力を暴露して、大騒ぎになった年ですけどね。 ちなみに1997年「ブエノスアイレス」の審査のときは、審査員長だったイザベル・アジャーニがどうしてもショーン・ペンを男優賞に選びたかったのか、はたまた同性愛描写に嫌悪感を催したのか、トニーの容姿がお好みじゃなかったのか、言い出したら後に退けなくなったのか「トニー・レオンに賞をやるなら、私は審査員団からイチ抜けます!」」と言い張ったんだそう。ピーター・チャン陳可辛さんが憧れたかつての美人女優も、年を取るとこんなふうに……(-_-;)
 閑話休題。
 今年のタラちゃん審査委員長はしかし、アジアン・ビューティーにだけ執心しそうで、男はどうでもよさげで、ちと心配。「彼女に賞をやらないというのなら、俺が!」…下りるわけないよねえ。やはり「俺が新しい賞を作ってやるっっっ!」でしょうか。
(・e・)
ひよこまーく
posted by nancix at 20:44 | Comment(4) | TrackBack(1) | 2046
この記事へのコメント
詳細なレクチャー、ありがとうございました。m(_ _)m.。
コンペ出品の基準ってわかりにくかったんですよね。例えば日本映画だったら、2000年の『御法度』や去年の『アカルイミライ』のようにカンヌ開催時点ですでに日本公開されたものもあれば、今年の『誰も知らない』のような現時点での日本未公開作品もあったりするので、どういう基準で選ばれたんだろう?とか、考えたことがあったんですね。

審査委員長ってやっぱカンヌでは王様もとい俺様なんですねー(大笑)アジャーニ女王の命令は絶対!って感じだったんでしょうか、’97年は。そんなわけで今年の俺様審査委員長クエタラ陛下の動向が気になります。
Posted by もとはし at 2008年05月17日 01:25
そんな騒ぎだったんですか(^^;)
nancixさんも、当時はハラハラだったのでしょうね<胃は大丈夫でしたか?
今年はとっても静かだから(所在不明なほど)、ちゃんとしたフィルムで上映できるんですかしらん。

それと・・・
最近、本人に聞こえるほど大声で叫びたくてウズウズしてることがあります。
「イザベル・アジャーニって嫌な人!嫌いだー」
日本語で言っても仕方ないというか都合いいというか・・・・・・(^^)
Posted by レイ at 2008年05月17日 01:25
nancixさん、こんばんは。
細かな解説ありがとうございます〜。新米迷にはありがたすぎる記事です。ひたすらにメモメモー。
やはり賞のわけ方がなかなか難しい・・・というかそんなにころころ変えないでおくれー!ついでに同時受賞と言うことも起こりうるのですか・・・いやはや。
とりあえず一番はパルム・ドール。グランプリは一番上っぽいけどそうじゃない。というのは頭に染み込みました。後は・・・臨機応変で(笑)
以外と厳しい出品資格もあるのですね(でも、完成してなければ選ばれないというのはないのですね(^^;))
Posted by 丹羽 at 2008年05月17日 01:25
質問です!
もしかして、トロフィーはパルムドールと男優賞と女優賞にだけ与えられるのでしょうか?
監督賞を獲ったウォン・カーウァイやエドワード・ヤンは賞状だけを掲げていたような気がするんですけど…(記憶違いか?)
あれってトロフィーと言うよりおしゃれなクリスタルの置物って感じですが、ショパール製なんですね(高そう…)
ショパールと言えばダイヤが文字盤の中でくるくる動く腕時計ぐらいしか知らないけど、私には一生縁がなさそうでございます(^_^;)
Posted by waiwai at 2008年05月17日 01:25
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カンヌ映画祭、7日目っ。
Excerpt:  さぁーて、全国1億うん千万人のファンの方、お待たせいたしました!ついにあの方が
Weblog: funkin'for HONGKONG@blog
Tracked: 2008-05-17 01:25
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