
1ではカリカリ、ムスっとしまくるヤンの毒舌と破壊衝動にたじろぎ困惑させられながらも、任務続行を命じる上司という感じで、「ハード・ボイルド 新男たちの挽歌」の上司(フィリップ・チャン陳欣健)ほどの人情味が感じられませんでした。
ヤンに「3年また3年、3年の後また3年、10年だぜ、阿Sir(警官殿)!」と食ってかかられても、黙り込んで目を合わせないアンソニーさんに、あーん冷たすぎ〜と内心地団駄踏んでいたのですが、ヤンの潤んだ目を見つめてしまうと、全部許してしまいそうと警戒してたんでしょうか。
その割には誕生日を覚えていて高級ブランドChronoswissの腕時計TORA CH1323Mはプレゼントするわ、自分も同じブランドの腕時計をしてるわ、いったいウォン警司の内心の葛藤はどうなっていたのやら。
そのポーカーフェイス、ヤンでなくても挑発して動揺させてみたくもなります。
2で、自分の身代わり同様に親友にして直属上司のルー陸啓昌が爆死するのを目の当たりにし、断続的な査問委員会で殺人教唆をした自分が悪い、処分してほしいと言い張り続け、事を穏便に収めたい=処分者を出したくない梁Sirに諌められたりもしたわけです。その時はウォンさん、独り身で人けのない宿舎(賃貸マンション?)で呆然としていたはずなのに、3では突然、
娘なんかできてる!!!!!! しかもそれをヤンが知ってる!
これは3の中で、最大の驚きでしたねえ。
大き目のセブンイレブンで、紙オムツと粉ミルクなんて抱えて、ちょっとヤンと慣れ合い過ぎじゃない? ヤンに自分のプライベートを安心して見せすぎ〜。
ま、だからウォン警司の職場のパソコンの、機密潜入捜査官ファイルに掛けたパスワードまでも、ヤンが知っていたんでしょうが…。
ヤンはウォン夫人のことも、二人がどう知り合いどうプロポーズして結婚式を挙げたのかどうかも知っていたのでしょうか? ある日、ウォンの銀行貸し金庫にデート中の隠し撮り写真が引き伸ばして入れられていて「恭喜! 恭喜〜!! 優秀な潜入のオレ様には、ぜんぶ、すべて、まるっと、どこまでも、お見通しだっ! んで籍は入れるのか、阿Sir?」なんて吹き込まれたヤンのお祝いマイクロカセットテープが添えられていたりしたのでしょうか?
むすっとした顔で写真を手に署内の個室に引きこもり、写真を見つめて(無理に引き伸ばすから粒子が粗いんだ、ISO1600じゃなくて400使え、彼女の肌理の細かさが台無しだ)と評し、そのカセットを再生して…ウォン警司が一瞬、にへらっと目尻下げちゃって、すぐに咳払いしてたりしたら、ウォン警司面白すぎる。
深刻なラスト、ラウが掲げて再生したテープが、そのテープに摩り替わっていて、ヤンのすっとんきょうな楽しげな声が入っていたら…。
ウォン警司の忠実な部下だった張sir(「ラウ、逮捕する」と手錠を出した人)だけが「ううう、ウォン警司……そうか、あなたはヤン陳永仁にもご自分の遅い結婚を知らせていたのですね…私にもヤン陳永仁のことを打ち明けてくださっていれば…」と号泣し、他の皆さんどっちらけ。
いかん、これでは「インファナル・アンフェア 無間笑」になってしまう。
ちなみに3の小説版では、ウォン警司の謎の妻は、なんと50歳(7年前=ウォン殉職当時は43歳ぐらい)の敬虔なクリスチャンの英国人女性! 広東語は堪能。
ど、ど、どうやっていつ知り合ったんだ、無骨そうなウォン警司。上司の紹介か? 事件の関係者か? といっても組織犯罪を主に捜査していたわけだから、組織に関係する女には決して手は出せないし…マフィアに恐喝され危ないところを助けてもらった被害者の娘とか? 97年に退任した英国人警察幹部の娘? 香港警察にも見合いサークルとかあるのか?
ああ、どんどん広がる妄想。
1では「今までどこにいた? ああ、接骨医か。じゃあ今からどこに行くんだ? カウンセラーのところ? なぜだ」と香港島の屋根つき歩道橋のヤンに携帯電話で(画面ではオフで)聞いて「俺は心理変態だから!」とヤンに怒鳴り返されていたはずなのに、3ではウォン警司の指示でリー先生のところに行かされてるじゃーん。辻褄が、つじつまが…。
まあそういう細かいことは抜きにして。
3の、中信嘉華銀行(もろスポンサー)ロビーでウォンとヤンが密会したとき、ヤンがニヤっとしながら「少し痩せたんじゃないの?」というセリフは、トニーのアドリブだそう。すると(何言い出すんだ、こいつ)という感じのアンソニーさんの反応もとっさの演技だったのでしょうか。
本当にウォン警司が痩せたかどうか、検証してみると…。
1のスチール写真より。2002年。

1の香港プレミア、2002年12月。

横顔のあごのあたりがむっちり。
3の香港プレミア、2003年12月。

なるほど、確かに1年で引き締まったようですね。
持病のため薬を飲み続け、副作用で太っちゃったと聞いていたのですが、アンソニー・ウォン黄秋生さんの日々の努力の賜物でしょうか。
ちなみに1990年、TVBドラマでチャウ・シンチー周星馳出演作に出ていた頃のアンソニーさんは、こんなでした。珍しくヒゲ生やしてます。

うおっ、もろ英国人の容貌。
実はアンソニーさんのパパは英国人。妻子がいながら、赴任先の香港でアンソニーママと恋に落ち、アンソニーさんが生まれるも、やがて両親は恋破れて訣別、父は一人で英国に戻ったといいます。
アンソニーさんは少年時代から自分の西洋的な容貌を苦にして、自分と母を捨てた父を憎み、絶対に会わないと突っ張って母を悲しませたそうですが……自分に子供が生まれて父親になってみると、少しは父の苦境も理解できるようになり…。
数年前に英国に父親探しの旅に出て、異母兄姉に会ったそう。
残念ながら、お父さんには会えなかったそうですが…。
何だか少年時代のヤンを彷彿とさせる、アンソニーさんの生い立ちなのでした。



なんかリー先生との出会いに違和感を覚えたのは・・(だって1ではヤンが好き好んでクンセラーのとこに行ってると思ってたから)
で。あの「痩せたんじゃない?」ってアドリブだったんですかぁ!
どおりで・・・
まぁ観客もしてやられましたわ。さすがトニさん!また見に行く楽しみが増えたがなぁ〜
ヤンのゴンヘイテープ聞いてみたい…。
それにしても、昔の秋生氏の写真はすごいですね!
歴史の教科書に出てきそうです。
トニ−のアドリブと知ったからには、また早速映画館にしっかりと二人の表情を
チェックしに行かねばなりませんワ。
今までの登場人物寸評も、皆さんの鋭いコメントもやっとストーリーを
把握しかけたばかりに私にとっては大事な「無間道教科書」になりました。
残り少なくなった上映期間ですが、何とか観に行こうと思います。
ありがとうございまいした。
確かに痩せていた感じだったので
脚本にそう付け足したのかと感じてました。
さすが、トニーさんですね。それを受けるアンソニーさんもさすが。
そんな話を知ってしまったら、また観にいかなければ(笑)
nancixさんの記事のおかげでこの映画への楽しみが増えました♪