2006年07月19日

李安監督作「色・戒」ヒロイン決定

 ついに正式発表です。「ブロークバック・マウンテン」のアン・リー李安監督の新作中国語映画「色・戒(Lust, Caution)」のメインキャスト。

 昨日の発表によりますと、ヒロインの女子大生・王佳芝役には中国の若手女優、タン・ウェイ湯唯さん(27)、ヒロインと色(と欲?)の駆け引きを繰り広げる、当時の汪精衛(兆銘とも)政権の要人・既婚者の易先生役には下馬評通り、トニー・レオン梁朝偉(44)が決定です。トニーにとっては初めての、李安作品出演となります。

アン・リー李安
 アン・リー監督は「私は再び中国語映画を撮影できることが、とても嬉しい。さらに、トニー・レオンのような優秀な俳優と共に仕事ができることになって、とても興奮しているよ。トニーの深みのある的確な演技が必ずやこの映画をよいものにしてくれるだろう。湯唯の演技には相当大きな潜在能力があると見ている。彼女の気質や容貌も、小説の中の描写と相当近いしね。この作品が観客に満足してもらえるものになるよう祈っているよ」とコメントしています。

湯唯
 香港の「電子明周」やsina.comなどによると、まだ国際的には無名な湯唯小姐は1979年10月7日、浙江省杭州市生まれのてんびん座、血液型はA型。17歳のときに、172cm(ハイヒールはいたらトニーよりデカいですよ! どーするんですか李安監督!!)の長身を生かしてプロモデルになりました。2年前には中央戲劇學院導演系(監督コース)を卒業しています。2004年にはミス・ワールド北京大会に参加し第5位になりましたが、決勝大会に進む前に恩師からテレビドラマ「后海前街」に出演することを勧められ、雲南での決勝参加を断念したそうです。中央戲劇學院を卒業後は、幾つかの舞台劇や短編映画の監督、及びドラマ出演をこなしました。昨年は中国の中央電視台(中央テレビ)が催した「第6回電視電影頒獎禮」(テレビ映画授賞式)で、「警花燕子」という作品(映画?)の女性交通警官役によって、ライバル女優のタオ・ホン陶虹と仲よく「最優秀女演員獎」を分け合っています。
 もっとも好きな俳優はチョウ・ユンファ周潤發、好きな女優はマギー・チョン張曼玉だそうです。(………トニーは…?)

 アン・リー監督が挙げた王佳芝役の5大条件とは、
・年齢は19歳〜23歳
・身長は164〜168センチ
・蟲惑的な体型
・人よりも聡明
・高雅で奥ゆかしい気質である
 ことでした。……湯唯小姐は年齢と身長がかなりオーバーしているような気がしますが、発表された衣装をつけての画像を見る限り、清純ななかに強い意志を秘めた愛国女子大生にはぴったりな気がします。往年のンー・シンリン呉倩蓮か、はたまたタレ目ではないクリスティ・チョン鍾麗[糸是]を彷彿とさせます。
 この映画のクランクインは9月を予定していますが、湯唯小姐はすでに上海で、上海語やチーパオ旗袍の着こなし、ハイヒールのはきこなし、及び麻雀(!)などのヒミツの特訓を受けているとか…。頑張っていただかないと、「花の影/風月」でチェン・カイコー陳凱歌監督が現夫人の陳紅さんを降板させてコン・リー鞏俐に変えたような前例も、ありますんですよー? っていうか、トニー! 上海語どーするんだー! 「傷城」撮影終了後すぐにクランクインじゃないかー!

 「色・戒」はすでに報じられている通り、中華圏でとても有名な女流作家の張愛玲の、文字量1万余りという短編小説が原作です。発表されたのは1980年代で、張愛玲作品のなかでも中期のものになります。が、張愛玲はこの作品を愛し、執筆開始からなんと30年以上も少しずつ手を入れ続けたといいます。 
 
  1940年代=抗日時代の中国が舞台で、純粋で愛国心に燃える香港の女子大生・王佳芝が主人公です。彼女は学生活動に身を投じ、同志である熱血漢の男子学生・[廣β]裕民に恋をするのですが、祖国のために、あえて表面は正義漢で公明正大なようでいて、実は魂を悪に蝕まれた上海の中年紳士・易先生を色仕掛けで陥落させなければならなくなります。一大決心をした彼女は恋人に処女を与え、そのすぐ後に易先生と……(*^^*)
 しかし、偽りの恋・罠であったはずの関係は、やがて王佳芝と易先生を動揺させ、葛藤させるようになっていきます…。その間にも、学生活動家らは着々と、易先生暗殺計画を進め…。

 熱血漢の男子大学生・[廣β]裕民役には、台湾のワン・リーホン王力宏が決定とも、いや王力宏側が「コンサート活動が忙しいから映画出演は予定していない」と否定したとも、いやいやすでに彼はこの1週間でセリフをかなり暗誦した、などと諸説ありましたが、結局彼だったのか。カメラテストを受けたことは、王力宏側は認めたそうですが。

 易先生は原作では小柄で青白い肌をしていて鼻が長くてネズミ面?で額辺りの頭髪が後退しており、決してハンサムではない50男と描写されているそうです。いやまあ、すでに「2046」で、ニヤニヤ笑いがエロチックな中年を演じたトニーのこと。またヒゲを蓄えようと、オールバックにしようと、ベッドシーンで裸のおなかを見せようと構いやしません…が。
フランス版「2046」未公開シーンより
(フランス版「2046」DVD未公開シーンより)

 日本の我々にとっての問題は、易先生が漢奸(日本と通じた売国奴)として描写されているはずなこと。そして、いくら中華圏では有名な張愛玲作品の映像化とはいえ、日本では原作小説が全く知られていないことです…。
 …当然、トニー主演作とはいえ、大手の配給会社がつくことは望めません。内容によっては(つまり大日本帝国の描写によっては)DVDストレートか…?
 嗚呼、せめて「愛の神、エロス」のように、シネリーブル系で2週間は上映してほしい。モーニングショー&レイトショーではなくて、会社帰りに行きやすい時間帯に(悲願)。
posted by nancix at 23:59| Comment(5) | TrackBack(2) | 「色、戒」特集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
nancixさん、こんにちは。情報ありがとうございます。
今、李安の新作はBBM効果で一部映画好きには注目されていると思います。その上トニー&李安という垂涎の合わせ技でもDVDストレート、なんちゅうあるまじき事態になりうる内容なのですね・・・(悲)
私も公開を切に望みます、シネ・リーブル、難しい時間帯なら会社帰りと言わず休日にGO!ですね。でもそれじゃリピートは難しいか・・。
とりあえず、撮影開始が楽しみです。
またお邪魔しに参りますね。
Posted by 真紅 at 2006年07月20日 01:26
nancixさん、ありがとうございます。待ちに待った新作の撮影が始まった途端にまた嬉しいニュースです。待望の李安監督作品で名優・梁朝偉先生の腕の見せ所ですね(トニーさん、固め打ちじゃないですよね)。主役の女優さん、背がお高いこと!マック先生みたいに背伸びします?特注のお靴をこしらえます?私も勝手に心配してしまいます(^^;)
日本公開を切望します。トニーさん、長丁場になりますね、お身体に気をつけて下さいね。素晴らしい演技をスクリーンで拝見できる日を楽しみにしております。
Posted by ろくさん at 2006年07月20日 23:33
 アン・リーの英語映画(欧米で欧米俳優起用で撮影)なら、おそらくソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが配給してくれるでしょうけど…。中国語映画、しかもヒロインが日本での知名度ゼロとなると、まったくの未知数です。ドキュメンタリータッチの「ココシリ」も配給してるんだから、ソニーさんに期待したいところなんですけどねえ。
 いっそ東京国際映画祭協賛のカネボウ国際女性映画週間で、張愛玲原作による映画特集&シンポジウムをやってくれるといいんですが。「傾城の恋」「半生縁」「赤い薔薇 白い薔薇」「長恨歌」と共に、「色,戒」も上映してくれるといいなあ。ゲストはもちろん、アン・リー監督とスタンリー・クワン監督ですよ! で、司会進行役に日本の張愛玲研究者でも呼んで来れれば…って、誰かいるんでしょうか、日本人の張愛玲研究家…? 名古屋大学大学院国際言語文化研究科か、徳島大学総合科学部や和光大学表現学部のセンセ…?
Posted by nancix at 2006年07月20日 23:40
ほんとに、DVDストレートだけは勘弁してほしいです(涙)
これはスクリーンで観たいです(切望)
ソニーさんお願いしますっ。
いやぁ、それにしても原作ではハンサムではない
50男の設定なのですね。
それをどう料理して演じてくれるのか今から楽しみです♪
Posted by ガオ at 2006年07月26日 10:16
はじめまして。春巻雑記帳のrivarisaiaと申します。
張愛玲のヒロインのモデルになった方の話を書いた際に、
こちらにリンクを貼らせていただきましたので、TBを送ります。

ぜひ映画館で観たいです。
ヒロインのモデルは必ずと言っていいほど、当時の上海モノに
登場しますし、日本でも小説やマンガのモデルになっているので
そこをうまく宣伝に使えば、ヒロインの女優が無名でも
無問題!と思うのですが、どうでしょうか...。


Posted by rivarisaia at 2006年08月05日 00:25
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料理が上手いスパイ(謎)を希望します(笑)(25日:追記)
Excerpt: 気がつけば怠け者の野人女将が(誰?笑)プチ隠居していた間にトニさんは「アン・リー監督の新作はトニー・レオン主演」などという嬉しいニュースがあったのですねん(ハート)(追記:リンク先の記事の情報の中のス...
Weblog: HONG KONG CINEMA DINER
Tracked: 2006-07-26 10:18

女スパイ蘋如はアン・リー次回作のモデル
Excerpt: 誰も待ってないと思うけど、お待たせ! 昨日ふれた上海の女スパイ鄭蘋如(テイ・ピンルー)の話です。思い返せば、そもそも魔都上海がマイブームになったきっかけは、森川久美さんのマンガ『蘇州夜曲』と『南京路に...
Weblog: 春巻雑記帳
Tracked: 2006-08-05 00:31