一般公開といっても、シネリーブル神戸では夜19時半からの1回のみの上映です…_| ̄|○
「私の頭の中の消しゴム」は、ロングランしてるのになあ。
おかげで初日特典のポストカードはいただけましたが。
2004年度カンヌ映画祭で、完成・フィルム到着が遅れに遅れた「2046」の上映予定時間をカバーすることになったのが、この特別招待作品「大事件」だったと記憶しています。

王家衛の前作「花様年華」について、「ケッ、いつもの王家衛、いつものトニー・レオンじゃねえか。新しみも何にもないのに、カンヌ最優秀男優賞だと? オレならトニーの今までにない面を見せてやるのに」と豪語したのが、誰あろうジョニー・トー監督だったのを思えば、何とも皮肉な巡り合わせです。
神戸の映画館に集ったのは、30代〜年配の男性陣が中心。30分前に整理券をもらって19番目だったのですが、スクリーン1に入っても観客数は20数人ってところでした。
……宣伝してないもんなあ…。
冒頭、メディア・アジアのあの音楽とロゴを見ると、ついつい「インファナル・アフェア」シリーズ作かと錯覚してしまう自分が、いる。
本作のプロデューサーの一人も、「インファナル・アフェア」のジョン・チャン荘澄さんだしね。
もうね、香港の下町(多分、自動車修理工場が集中している界隈)がクレーンカメラで映し出されるだけで、ああああ、香港だぁーっと滝の涙ですよ。
住んだこともないくせに(^_^;)
その下町の、ビルの一室で、銃器らしきものをバッグに詰めて、出かけようとする不穏な男ども。
その男ども=大陸出身者(省港旗兵と呼ばれる)による強盗団を内偵しているらしき、刑事たち。
そんな、ビルまん前に車止めちゃったら…ばれるって(T_T)
間の悪いことに、男どもが乗ろうとした車の運転手を、交通課の巡回おまわりさんが誰何してしまう。
横の連絡が取れてなくてマズい事態になるのは、どこの組織でも同じだけど、こと警察でのこういう軋轢は、人命に関わりますってば。
かくして、派手な銃撃戦が始まる。
大陸の男どもの一人、チャン・ヤッユン(北京語ではチェン・イーユァン?)陳一元役が、やはり長身が映える岸谷五朗…じゃなくてリッチー・レン任賢齊です。目つきといい、身のこなしといい、精悍で、聡明で、逆上することもなく、仲間に一目置かれる存在、というのがよくわかる。
制服姿の巡査が思わず手を挙げて命乞い…というのはこの通りでの出来事ではなくて、いったんリッチーらが警察車両を奪って逃げ、別の通りに移動してからのことだったんですね。
交通事故を取材していたテレビクルーが、再度の銃撃戦の一部始終を撮影・報道してしまったことから、事態は大事(おおごと)に。
海辺のハイテクな警察総本部(ホントに「インファナル・アフェア」や「香港国際警察」以降、警察本部ってこんなになっちゃったの?)では、緊急会議が開かれる。
サイモン・ヤムヤム任達華、貫禄のトップぶりです。
会議では最年少のOCTB(組織犯罪課)のレベッカ指揮官(姓で呼んでもらえないところをみても、若さゆえに舐められているのでしょうか?)が発言を求められ、テキパキと英語で今後の事態収拾策とマスコミ利用案を述べる。「this is a great show!」ですよ。

この英語を交えて、っつーところで、エリートぶりと新人類ぶりを強調するのが、香港映画のお約束。
しかしこのクール・ビューティーも、何だか父親の元同僚というヤムヤム副総監と、感情的にこじれているのがうかがえる。
この伏線、結局はラスト近くのリッチーとの会話でしか活かされませんでしたね…。
上からの命令を無視し、あくまで自分たちでの犯人逮捕にこだわって暴走するCID(重案組)のチョン・チーハン張志恒警部補(ニック・チョン張家輝)、「困ったヒトだ」と途方に暮れながら付き従う年配の部下のホイ・シウホン許紹雄(出たー、トー監督作品常連!)。

そのニックの暴走をいまいましく思い、携帯電話で直のホットラインをつなげつつ、キビキビと命令を下すレベッカ。
OCTB(組織犯罪課)とCID(重案組)所属の、この二人の関係性がいまいちよく解らなかったのですが、旧知の仲だったんでしょうか? この事件で初めて連帯することになった?
往年の香港映画なら、このチョン警部補とリッチーが追う者と追われる者ながら「敵ながらあっぱれ」と誉め合い、意気に感じ、精神的に繋がり、レベッカが躍起になって二人を引き裂こうとする無粋な女…となるところなんでしょうが、トー作品はそうはいかない。ひとひねりもふたひねりもします。
リッチーらは九龍大角嘴にある古ぼけた高層住宅(1階が店舗スペースという、よくあるタイプの)の1室に身を隠し、車でその前を巡回中のニック警部補も「オレなら、ここに逃げ込むが」とふと漏らす。
精神的感応は、しているんですよねえ。
この高層アパートメントには、実は大陸出身者の男2人(年下の阿春の方がユウ・ヨン尤勇)も潜伏しており、ある大仕事の機会を狙っていた。

彼らと、リッチーの仲間(長髪男除く)の髪型や背格好がよく似ていて、かなり混乱しました。わざとですか、意地悪トー監督?
もはやチョン警部補らCIDだけの手には負えず、PTU(機動部隊)が出動を命じられ、大捜査網が敷かれる。レベッカの発案で、彼らはワイヤレス・カメラを装備している。警察の誘導で、住宅内の住民は次々と避難する。
警察の包囲網を察知したリッチーらは、行きがかり上、避難しようと廊下に出てきたばかりの一家を脅し、その部屋に立てこもる。
この不運な一家の父親・葉(イップ)はラム・シュー林雪さん。小学生の長女と長男を男手一つで育てている、夜勤のタクシー運転手。(セリフにそんなの出てきたっけ?) 部屋には子どもたちとイップの写真はあるが、子どもたちの母親の写真が1枚もないというのは、彼女が駆け落ちでもしたせいでしょうか? まだ死別の悲しみが癒えていないのでしょうか?
レベッカらも高層住宅前の警察指揮車で陣頭指揮を取る。若くてしかも女のレベッカにアゴで使われるのに、不満を持ちつつ従う上司。レベッカと意気投合しているらしき広報課のグレース女性広報官(シューマイさんことマギー・シュー・メイケイ邵美[王其]。激ヤセを克服してかなりキレイになりました)。この指揮車内での人間模様も、興味深い。でも決して快いものではない。
林雪宅で、警察発表をもとにしたマスコミ報道を目にしたリッチーは、自分が携帯電話のカメラで撮影した画像や動画を、マスコミ各社に送りつけることを思いつく。林雪の息子は、パソコン操作に長けていて、「嫌だ、悪人の手伝いなんかしない」と言いつつも父の説得で、リッチーの企みに加担する。
香港小学生、すっげー。携帯カメラの不鮮明な、モザイクだらけの画像をスライドショーにして送れますか。動画をWindows Mediaプレイヤー用のwmvファイルに変換できますか!
おんぼろに見えても、あの高層住宅には光ケーブルでも備わっていたに違いない。でないとWebカメラで、テレビ電話ーなんでできやしないわ。
マスコミが「警察発表にない、特殊部隊が火に追われて退却するお宝画像」を報道することで、窮地に立たされる警察側。しかし、レベッカは動じない。
インターバルとして、林雪宅で昼ごはんを作るシーンになる。口ばっかりでろくに料理できない林雪に代わり、リッチーとユウ・ヨンが手早く料理を作る。ユウ・ヨンがごく自然に青いエプロンつけるのが、可笑しくも悲しい。悪事に手を染めなければ、金に困らなければ、よき亭主になったかもしれないのに…。
さすが中華圏の男は、料理ができる! 羨ましいほど手馴れた様子で。
大陸風味は、香港育ちの林雪チルドレンの口に合ったんですかねえ。
中国標準語で話していたリッチーやユウ・ヨンですが、愛称が阿○と、阿がついていたってことは、広東省出身なのでしょうか?
その食事風景も、メディアを通して流される。
警察もレベッカの指令で、特別弁当を警官だけでなく取材陣に配ってご機嫌取り。いやはや。記者だけでなく、野次馬もご相伴に預かっていたような?
昼食タイムに、グレースの根回しで、警察広報から殉職者の遺族の談話がテレビ放送される。あの、手を挙げて降参したぶざまな交通課警官も、赤ん坊と若い妻と一緒に登場、お涙頂戴の談話を…。
そうそう、「警察に協力的な大スターのジャッキー」も、サングラスかけて登場してましたね。
…似てない…グレース広報官より背が低かったような…?(^_^;)
林雪パパはなんと、子どもたちを置いて自分だけ窓から脱出しようとして宙吊りに。
リッチーとユウ・ヨンが彼を助けて室内に引っ張り揚げる。
てっきり、冷徹なトー作品のことだから、子どもたちの目の前で林雪さん絶命か?と手に汗握ったのですが…。
リッチーが、床に落ちていた一枚の写真に気づき拾い上げるのは、どの時点の挿入エピソードだったかな?
それは必殺仕事人ユウ・ヨンが金で請け負った殺しの、ターゲットの写真だった。
写真の裏には、日時と場所が書いてあった。
このターゲットが政治家なのか実業家なのかマフィア幹部なのかも、説明無し。
林雪パパ、助かりました。やれやれ。
それにしても、ここからがnancix、少しわからない。
「人質塊」が2つ、高層住宅から出てくるんですが、一方はもちろん林雪一家として、てっきり一方は重装備した犯人グループかと思いきや、両方が住民だった?
いつのまに、他にも住民が捕らえられていたんでしょう?
人質解放を機に、まだしつこく住宅内に居残っていたチョン警部補らと犯人グループの銃撃戦が始まる。
この高層住宅内で全てのカタがつくかと思いきや、リッチーてば!
なんとまあ、脱出してしまいましたよ!
どうやって出入り口を見張っている警察官をやり過ごしたのか、説明無し。
ここでケリーが陣頭指揮をおっぽり出し、単独行動に出る!
おいおい! 最前線の警察官の皆さんをどーするんだ! 短慮じゃないか?
「若さゆえの、過ち」か?
それが、やはり裏目に!
後を追ったチョン警部補、まるでリッチーを追い回す小バエみたいに、撃たれてバイクで転倒してもしても、まだ追い続ける。
全ての仲間を喪い、やり遂げたかった仕事もチャンスを逃し、店を持つ夢も断たれ、追い詰められたはずのリッチーの、最後の大仕事とは…!
うん、スリル満点、邦画よりも仕掛けが細かくて、楽しめましたよ。
ただし、どーしても、以前から、眉毛の薄いニック・チョン張家輝が、好きになれないのよねえ…。
「腹減った!」とか言って、年上のホイさんを傍若無人に振り回すそのワガママぶり。単なるお子ちゃまじゃないの。あげくに何人、部下をケガさせてるのさ。
ケリーも、ただでさえ凛々しい眉毛をさらにきりりと上げて、怒鳴るたしなめる皮肉に応酬すると頑張ってるんだけど、そもそもこの役が女である必然性があったかなあ?
ショーン・ユーかニコラス・チェーが「若造の分際で」この地位についても、そしてリッチーと対決しても、不思議は無い役柄かも?
あとね、PTUが付けたはずのワイヤレスカメラの「迫力ある映像」が、あまり活かされなかったのが残念。
nancixなら、警察が垂れ流す攻防戦と警察官遺族らの談話の映像、そしてリッチー側の映像に対して、香港市民がどう反応していたかも、ドラマ「電車男」並みに見たかった。
「ふん! どうせ全部捏造さ!」と頭から信用しない市民A、
「警察も努力しているんだなあ」と素直に信じる市民B、
「誰だって妻子を置いて、殉職なんてしたかないやね…あんたも少しは妻子のためを思って、早く帰ってきたらどうなんだよ!」と亭主のお尻を引っぱたく泣き虫オバサンC、
「警察横暴! 犯人有理! 逃げろ逃げろ、つかまるなよ!」と、ネット掲示板に犯罪者の応援書き込みをしてしまう若造、
などなど。
香港のオーバーヒートしがちなメディアの実態を描き、メディア批判を盛り込むには、警察と強盗団の攻防戦、人質の運命、警察内の確執などなど、いささかエピソードがてんこ盛りで無理だったみたいですね。
警察の公式発表と、それを鵜呑みにするしかない記者クラブ経由の記事の胡散臭さを、日本人の我々も日々、何となく感じているわけですが…。「ブレイキング・ニュース」という邦題で、映画ファンの多くは銃撃戦よりも情報戦をこそ、期待して足を運んだのではないのかなあ?
ヨウ・ユン尤勇って、あのンー・シンリン呉倩蓮主演の「龍城恋歌」(96、中国)にも出演していたようですね。未見なんだわ…。
何だかこの映画こそ、「インファナル・アフェア」よりハリウッドリメイク向けって感じがしました。大金使って、バンバンスラム街を爆発させちゃってください。シャロン・ストーンだか若手でキツめの女優さんをヒロインに起用し、スペイン系移民とかアイルランド系テロリストを絡めて。
オマケ:
普段はこんなです。リッチーとケリー、記者会見で。



アタシも先週観てきちゃったです。
それにしても、やっぱりnancixしゃまは
細かい視線だなぁ。確かにそうだよなぁ〜と
うっかり突っ込み忘れていたところが続出で
もう一度再見したくなりました♪
トニーのカンヌ男優賞受賞に辛口なトー監督ですし
そんなことないよ、あの演技は素晴らしかった
目が語って手が語って背中も語って素敵だったよ!と
トー監督に反論したくなる偉そうなガオですが
でも、やっぱ、冒頭の銃撃戦をワンカット長回しで
やっちゃるというトー監督の勇気になんだかメロメロなガオでした。
なんだか撮影状況を思っただけで、惚れちゃった(←アホ 笑)
やっと観にいきましたが、観客、私入れて4人でした。
情報戦を期待した人なのか、銃撃戦を期待した人なのか、
単に暇だった人なのかわかりません・・・。
>子どもたちの目の前で林雪さん絶命か?
ラム・シューは不思議と死にませんね(苦笑)
「龍城恋歌」、わりと面白いですよ。
やっぱり、渋いオジサン役です。