2008年12月02日

「彈.道」…果たして台湾と香港の温度差は?

 香港のローレンス・アモン劉國昌監督作品「彈.道」。
 九龍塘のフェスティバルウォーク内、AMC又一城で鑑賞。
弾道ポスター

 舞台は大半が台湾、ごく一部が香港。
 2004年3月19日、再選を目指して選挙活動中の某候補者と妻が台南で銃撃され、夫が太ももを、妻が脇腹を撃たれて負傷した、実際の「三一九槍撃事件」をモデルにしています。そのため、撮影当初は「江湖情」という、ありふれたタイトルにしてカモフラージュしていたとか。それでも「この映画に関わるな」と謎の電話を受けた撮影スタッフがいたとか…。
 特にその某候補者が、今年5月20日に総統を退任、いま、逮捕され収監され濡れ衣だと抗議の絶食をし、不正取引・汚職と文書偽造容疑で妻や娘婿が罪を問われている話題の人とあっちゃ、キャッチーで、見ないわけにはいかないと思ったんだけど…。

 この映画、ローレンス・アモン劉國昌監督自身が撮りたいと熱望した題材なのではなく、香港の出資者の要望により昨年撮影されたんだそう。監督の旧作でこれもモデル有りの「リー・ロック伝 大いなる野望/五億探長雷洛傳」(91)と同じようなスタイルの映画をと、要望したようだけど…ううむ、その出資者の意図を知りたい。

 アクション監督は「ハードボイルド 新・男たちの挽歌/辣手神探」で役者も兼任していた、フィリップ・クォック郭振鋒が、別名の「郭追」を使ってクレジットされていたと思う。台湾映画界では「郭追」を使うのだろうか?

 主人公は「花蓮の夏/盛夏光年」(06)のジョセフ・チャン張孝全。無精ひげに精悍な短髪で、イケメンなんだけど…何だかチャン・チェン張震がびっくりマナコになっているように見えて仕方なかったです。それにこの役回りだと、別にイケメンである必要もなく、とにかく走りに走れて格闘できる、若手なら誰でもよかったみたいな、損といえば損な役でした…。

 そしてもう一人の主人公と言っていいのが、孫學仁役の我らがヤムヤム、サイモン・ヤム任達華。そりゃ「SP」の堤真一演じる尾形総一郎よりも重量級の、刑偵局の上司。局長ら警察幹部の圧力と、若手部下の情熱の板ばさみになり、かつまた「地中海貧血(サラセミア)」に苦しむ一人息子を何とかして救いたい、いや同じ病で亡くなった妻に誓って育て上げると決意している、男。
弾道ヤムヤム

 何だかもうね、巨悪に挑む一捜査官に、不治の病の家族なんてぇアキレス腱があっちゃいけないよね…。あーなってこーなるに決まってるじゃないかぁ!と予想がついてしまった。

 狙撃を実行する、毛糸帽子にヒゲ、目だけがらんらんと輝く不気味な狙撃手・金水役は、ラム・ガートン林家棟。「インファナルアフェア」でのいまいち頼りない部下役とはうってかわり、目の下にだけ黒アイラインをぐぐっと引いて浅黒い肌色にして、ベトナム難民?を実の父に持ち、マフィアのボス・[广/龍]天南を義父と仰ぎ忠誠を誓った、はぐれ者の鉄砲玉を演じます。
 うーん、「証人」の必殺始末屋稼業ニック・チョン張家輝と一騎打ちさせてみたい。ものすごい死闘になりそう。

 改造銃を廃屋で作り続け、銃弾の火薬の調節を執拗に繰り返す、職人も不気味ないい味出してた。典型的直情径行正義漢の刑事より、林家棟とこの職人を主人公に、鉄砲玉に使われる側の悲劇として描いた方が、より面白く陰影に富んだかもしれないなあ。

 そして実行犯の林家棟の身代わりに仕立て上げられるのは、借金まみれのくせに虚勢を張りたがる、元職業軍人の小市民のオジサン、陳二同。演じるのは「証人」に続いてまたもや、リウ・カイチー廖啓智。服装といい、態度といい、台湾の下町のオッサンに、いるよなあ、こういう人…と、知り合いもいないくせに思ってしまうnancixなのでした。この作品ではリウ・カイチー廖啓智は全編、台湾の土着の言葉、ビン南語をしゃべってるらしい。

 サイモン・ヤムヤム演じる孫學仁に圧力をかけ続ける、呉立雄派の幕僚・方正北役には、チャン・チェン張震パパで台湾版「白色巨塔 ザ・ホスピタル」の内科主任役でも知られるベテランの張國柱。さすがに渋いオジサマです。せめて日本の政治家にこれくらい渋いイケメンオジサンがいてくれたらなあ。もっとワルっぽいか小物っぽい人しかいないから、情けない。

 「白色巨塔 ザ・ホスピタル」組でもう一人、ニヒルで渋い中年の味わいを出していた、レオン・ダイ・リーレン載立忍も出演していたはずなんですが…あれえ、どこにいたっけ? もう一人の警察幹部は歌手兼俳優のマイケル・ホワン黄仲昆、2時間ドラマやバラエティー番組にたまに出てる日本の男優の誰かさんにしか見えない、いかつい外見だったし…?
脇を固めるマフィアのボス[广/龍]天南役に、お懐かしい、「エンド・オブ・ザ・ロード/異域之末路英雄」(93)でトニー・レオン梁朝偉と共演した、貫禄たっぷりのオー・ジョンホンまたはクー・ジュンション柯俊雄。実は彼、立法委員(国会議員)新竹市の国民党公認候補として当選経験有り。…彼の口利きで、この映画のロケが新竹市内で行われたのかしらん…?
張國柱と柯俊雄
 左が張國柱、右が柯俊雄です。

 物語は、漁船の上で若い男、徐瑜昌が過去を回想するところから始まる。
 彼は台湾警察の刑偵局特捜部の刑事。隊長(主任)クラスです。改造銃器密輸の疑いでチャラ男の[广/龍]大松を自宅に乗り込んで行って痛めつけ、逮捕するが、彼の父親はマフィアのボス[广/龍]天南。[广/龍]天南は呉立雄側近の幕僚で警察上層部ともつるんでいる、方正北に息子の釈放を要求する。方正北は交換条件を出す。その結果、大松は特捜部から政治部に身柄を引き渡される。方正北の息のかかった政治部の連中に「手出し無用」と宣告されて腐る、徐瑜昌刑事。そんな彼に、直属の上司、孫學仁は値上げの相次ぐ台湾の街角を一緒に歩きながら「俺は無党派なので、米も菜も買えないのさ」と嘆いてみせる。清貧って奴ですかね。

 一方、台湾総統選挙戦たけなわの世間では、田正候補と、「阿雄」の愛称で呼ばれる眼鏡の小男・呉立雄(沈孟生)候補が激しく競り合っていた。投票日直前の世相調査では支持率が27%しかなく、苦戦中の呉立雄は側近にヒステリックに怒鳴り散らし、二人三脚の仲のはずの妻にさえ口汚く言い募る。方正北ら、呉立雄の側近は「情勢を変えなければならん。よい役者さえそろえば、我々の脚本で台湾金馬奨が取れる」と、何やら企む様子だ。
 まずは海賊FM局の男女DJを抱き込み、呉立雄を「台湾の希望の星、呉立雄無くして明日の台湾は無し!」とアジテーションさせる。

 冴えない初老の男、陳二同は、とあるビル屋上で、おどおどしながら[广/龍]天南の手下、阿炳から銃を受け取る。だが彼は水天宮で次の指示を待ちながら「俺は借金返済したいだけなんだ」と祈りを捧げている間に、阿炳に背後から殴られ気絶させられた。
 陳二同と同じ服装で、キャップを目深に被って、パレードする選挙カーを追う狙撃手、金水。
 [广/龍]天南の携帯電話の電波を追っていた徐瑜昌のチームの女刑事は「左側を狙え」という指示をキャッチし、沿道を警戒中の徐瑜昌に連絡する。相棒の鐵牛こと梁明智(28歳)と一緒に、金水をマークし続ける徐瑜昌。

 投票日前日、呉立雄総統と副総統でもある彼の妻の、仮面夫婦がにこやかに選挙カーの上から沿道に手を振る。呉立雄自身が「総統と副総統、2人とも同じ車に乗る。防弾チョッキは要らない、沿道の選挙民との親近感を演出するんだ」と提案したのだ。しかも彼の提案で、当初は彼の右側にいた妻は、左側に移動することに。方正北ら側近たちも、後続車に乗って成り行きを見守っている。
選挙カーの上には

 徐瑜昌と鐵牛は金水を追い続けるが、爆竹の音にまぎれて、金水は選挙カー上の仮面夫婦をついに撃った! 左側とは、夫と妻の中間点のことだったのだ…!
 脇腹を撃たれ、血を流しながらたまらずうずくまる呉の妻。だが気づかないふりをして、呉はにこやかに手を振り続ける。
 市場に逃げ込む金水。やがてスクーターを奪う。徐瑜昌は捜査車両に戻り、鐵牛は市民から借りたバイクで後を追う!
 呉立雄の選挙カーは病院の正面玄関に直行。車椅子を拒否して歩いて治療室に向かう呉立雄。彼は病床で激しく部下を罵る。自分ももっと重傷になるはずだったということか、頭の上がらない猛妻を犠牲にするつもりだったのか。
 病院の院長らの出入りを呉立雄の側近が差し止め、連れてきた医療スタッフにだけ治療をさせることに。単なるかすり傷を、より重傷に見せかける演出なのか…?

 鐵牛との無線連絡が取れなくなり、焦る徐瑜昌。川べりで、鐵牛は発砲して金水のスクーターを転倒させるが、金水は気絶したふりをして充分に鐵牛を引きつけ、ためらいなく彼を刺殺したのだった…。

 呉立雄の支持者らは暗殺未遂の報に逆上し、対立候補の田正の選挙事務所になだれ込んで暴れ回る。「放火して、一家全員殺してやる!」と脅され、顔色を変える田正。

 呉立雄の側近は病院のロビーで記者会見を開き、狙撃犯が使用した銃弾の種類を発表、傷口の痛々しい写真(捏造?)を見せる。「自作自演説もありますが」と無遠慮な女性記者に突っ込まれ、顔色を変えて「そんなことは断じてありえない!」と断言する側近。

 暗殺未遂の報道後、呉立雄の支持率は一気に上昇、田正を抜いた! 街中で喜びの声を取材するマスコミ。翌日の投票結果は…ニュース番組ではにこやかに手を振る呉立雄と、車椅子の上から笑顔で手を振る夫人の姿が流れる。

 その頃、川べりで鐵牛の遺体が発見された…遺体を目にしてショックを隠せない、同僚の女刑事。そして悔恨にさいなまれて佇む、徐瑜昌。
 「真相無くして選挙無し!」と、呉立雄狙撃事件の徹底捜査を要求してデモを続ける群衆。

 狙撃事件の起こった現場、景化街に駆けつける徐瑜昌ら。だがゴミ箱の中身は回収済み。失望を隠せない徐瑜昌に、一人の少女が駆け寄って、空薬莢を手渡した。「もう1個あるの」と…。
 景化街の監視カメラに残されていた挙動不審な男の映像から、刑偵局副署長は容疑者を陳二同(47)だと発表する。陳は10年前まで職業軍人で、最近は金の工面に困り、周囲に政治への恨み言を並べ立てていたと…。
 副署長一行と署内で出くわした徐瑜昌は、狙撃手が陳二同とは思えない、自分が鐵牛と共に目撃した犯人とは別人だと訴えるが、副署長は鐵牛こと梁明智の遺体が発見されたのは狙撃現場からかなり離れた場所であり、狙撃事件との関連は疑わしいと真っ向から否定する。怒りを隠せない徐瑜昌。

 その頃、陳二同は人形芝居小屋に監禁されていた。[广/龍]天南の手下、阿炳から撃たれそうになった陳二同は死に物狂いで反撃し、手を縛られたまま逃げ出す。
 [广/龍]天南との電話で、幕僚の方正北は陳二同を逃がした失態を責め、陳の口封じを命じる。
 [广/龍]天南は阿炳と金水の2人に面会する。「使用した改造銃は川に捨てた」と金水に聞いて激しくなじる[广/龍]天南。陳二同の指紋を付けた銃を、陳二同の犯行の動かぬ証拠にする手はずだったのだ。さらに彼は、陳二同を逃がしてしまったヘマな阿炳を、怒りに任せて自ら痛めつける。
 たまりかねて「義理のオヤジ、もう一度俺に機会をくれ」と申し出る金水。

 署長命令が下され、孫學仁(ヤムヤム)や徐瑜昌らは捜査中止を余儀なくされることに…しかし独断で、陳二同の自宅を女刑事(胡[女亭][女亭])と2人で訪れる徐瑜昌。自宅は荒らされ家具は壊され、小物が散乱していた。その上、顔には殴られた痕跡のある陳二同の妻。彼女は怯え切って、誰に何をされたか言おうとしないばかりか、狙撃は夫の仕業だと言い張る。夫婦なら、かばって当然なのにと疑念を抱く女刑事。部屋にあった、陳家の一人娘・陳青(アリス・ツァン曾ト[王玄])が香港の夜景を背景に撮った写真を、密かに携帯電話のカメラで複写する徐瑜昌。
張孝全と吊り目女

 この女刑事役の胡[女亭][女亭]がすごい吊り目で、サンディ・ラム林憶蓮をさらにきつくしたような…本当に女優なんだろうか?と疑問に思ってたら、台中市長の胡自強の娘で、英国オックスフォード大学に留学、大学卒業後はアン・リーのオフィスで、脚本を英語に翻訳する仕事もしていたとか。英語力を生かして「ブリジット・ジョーンズの日記2」にも出演を果たしている才媛令嬢らしい。人は見かけによら…いやいやそのあの。

 そんな時、一人息子の小忠が倒れて病院に運ばれたという電話に顔色を変えるヤムヤム、いや孫學仁。小忠は遺伝性の不治の病、「地中海貧血」を患っている上に、血液型が稀少なAB型マイナスなのだ。孫學仁の愛妻も、3年前に同じ病気で帰らぬ人となった…。その経緯を知る部下の徐瑜昌は、小忠を病院に見舞い、優しく励ますのだった。

 台北の街では、呉立雄狙撃事件の真相解明を求めてデモや暴動が相次ぐ。台湾検察局と警察の合同特別捜査班が結成され、孫學仁は刑偵局の副局長に昇格した。だが、局長は陳二同を犯人と決めつけ「他の容疑者など提出するな」と圧力をかけてくる。部下が手がかりをつかんだ真犯人を追うか? 局長ら上層部が押し付けてくる捜査結果を黙って受け入れるか? 苦悩する孫學仁。

 陳二同の行方はまだ手がかり無しだ。孫學仁の自宅を訪れ「彼はもう台湾を脱出したのでは? 香港の娘の元に身を寄せているのかも」と推理を上司に話す徐瑜昌。キッチンで瓶の割れる音がして、駆けつけた徐瑜昌の目の前で、小忠が倒れていた。「ママがね、来客にはおもてなしのために、ジュースを出しなさいって言ってたから…」と苦しそうに呟く小忠。明らかに病状が悪化している…!

 孫學仁を呼びつけ、「捜査はもう終わりにしろ、陳二同が真犯人だと発表するんだ」と宣告する幕僚の方正北。「できません!」と抗う孫學仁。
 その頃、徐瑜昌は密かに香港に飛び、陳二同の娘、陳青が勤めるカフェを訪れていた。ちょうどそこに、陳二同が訪ねて来る。「俺じゃない、俺がやったんじゃない。俺は無実だ」と娘に訴える陳二同だが、金の無心かと解釈し、店にあるだけの金を投げるように渡す陳青。

 その頃、台湾のとある廃屋では、例の改造銃の職人が高飛びの準備に専念していた。
 そこに忍び寄る殺し屋、阿炳。だが職人の方が一枚上手だった。撃たれて苦痛にうめく阿炳を冷ややかな笑みを浮かべて見つめ「どうだ? 人間の最も苦痛なことは、生死を自分でコントロールできないことだ」とからかう職人。やがて彼は阿炳の頭を撃ち抜いてとどめを刺し、[广/龍]天南に電話して逆に脅しにかかるのだった。

 香港のカフェには、何と金水まで訪れ、陳二同と背中合わせに座った。視線に気づいた金水と睨み合う徐瑜昌。やがて二人は格闘を始める! 陳二同も金水に気づき、娘を連れて逃げ出そうとする。
 追う金水、その金水を追う徐瑜昌!
 香港の街路では、舞龍(龍踊り)が披露されていた。その龍の間をかいくぐり、必死に逃げる陳二同と娘の陳青。金水が2人に向けた拳銃に、徐瑜昌が飛びつく。格闘の果て、金水は誤って自らを撃ち、即死した…。

 台湾では、徐瑜昌チームメンバーの例の女刑事が、モジャモジャ頭の同僚刑事と、自分たちだけがつかんでいる手がかりを何とか公表する手立てはないものかと相談していた。そこに一人のチンピラが…。

 方正北は、あくまで自分に従わない孫學仁副局長に手を焼き、小忠の入院先の病院からAB型マイナスの輸血用血液を盗み出させた。警察病院だか血液センターだかの血液保管庫の前で孫學仁と面会し、余裕たっぷりに「ここにはAB型マイナスの血液がうんとある。さて、どうするね? おまえが選べ」と脅す方正北。
 定期的に新鮮な血液を輸血できなければ、小忠の命は……!

 そして、映画は冒頭の漁船のシーンに戻るのだ。
 香港から密かに台湾へ戻ろうとする徐瑜昌と陳二同が、その漁船に乗っていた…。
 孫學仁からの連絡を携帯電話で聞く徐瑜昌。「こちらの状況は何も変わりない」と断言する孫學仁。だが漁船に積まれたポータブルテレビに、ニュース番組の映像が映し出される。「変わりない」どころか、女刑事とモジャモジャ頭の刑事の2人が、エビ釣り場?で射殺された、犯人は立ち去って行方が知れないという悲報だった…顔色を変える徐瑜昌。
 あれほど信頼し、頼みにしていた上司・孫學仁の変心を悟り、漁船の向きを変えさせる徐瑜昌だが、沿岸で待機していた孫學仁は、車(ベンツですよ! 出世したもんだ…)で漁船の行方を追い続ける…。

 果たして徐瑜昌は、陳二同を警察署に連行することができるのか?
 真犯人の金水が死んだいまになって、陳二同は自分の無実を証明できるのか?
 狙撃事件の真相は、結局は呉立雄陣営が警察とマフィアとぐるになっての自作自演ということなのか?
 孫學仁と徐瑜昌、長年組み続けた上司と部下の信頼関係はどうなる?
 方正北はのうのうと権力を振るい続けるのか?
 そしてマフィアボスの[广/龍]天南は、チャラ男の息子を無事に釈放させることができるのか?

 事件の現場は再び、台湾へ!

 要するに、警察組織の上層部も政治家一派もマフィアも、みーーんなグルだという、まるで某フジテレビドラマ「SP」のような、きな臭い1作。

 こういうのって、作る側はどうだか知らないけど、観客は本当に後味悪いんですよね…救いがない
 現実には、ヒロインが襲われ危機一髪のときに救い出してくれるヒーローもいないし、悪人が善人を理不尽にボコボコにしても、不運な一般人をマフィアが抗争の巻き添えにしても、命を救ってくれる超人刑事や通りすがりの正義漢もいやしない。
 わかっちゃいるけど、そこを何とかしてホッとさせてくれるのが、映画の醍醐味じゃないのかーー?!

 そして、巨悪に挑む一捜査官らには、ぜひ国境を越えて次のように忠告したい。これができなきゃ、黙って時流に流されておけ。
・五欲を捨てるべし。禁欲的であれ。命があるだけでも儲けモノだと思わないと。
・あらかじめ家族親族恋人は国外脱出させるか、行方不明にしておけ。
・うかうかと買収されたり人質に取られないような賢い連中と、強大なネットワークを組んでおけ。それも、1人や2人が殺されたり口封じ工作されてもびくともしないようなネットワークでないとダメ。直情径行なだけのバカ、大言壮語だが根は小心者のタイプは、決して仲間に加えるな。
・メディアの連中を信じるな。メディアも生身の人間ナリ。
・しかしメディアを巧く利用して情報操作で保身を図れ。大衆が英雄視して味方につくか、悪とみなして敵に回るかで、勝負は決まる。
・単独行動は厳禁。いつでも誰かが見守り、すぐに応援が来る体制で、悪を追え。
 ……でも、これが可能なのって、むしろ悪の組織の方なのかなー…?

 後味の悪さを倍増したのが、某候補者の外見が実在の政治家以上に、nancixのかつての上司に似ていたからかもしれない…_| ̄|○。いや、悪い人じゃなかったですよ。几帳面で仕事に対して厳しく神経質、ウチ向きとソト向きで極端に態度が変わる、典型的日本人サラリーマンで。スピーチもそつなくこなして。
陳水扁そっくりさん

 で、実在のヒトも「私はシーザー(ローマ帝国の建国者)の言った言葉を引用しよう。私の棺には2つの穴を開けておいてほしい。私は両手に何も持たずにこの世を去ると証明するために!」と言って、職を辞したんですかね?

 実在のヒトは、果たしてどんな人間なのか、今となっては解らないなあ…妻が選挙活動中の交通事故(これも単なる事故ではなくひき逃げ)で半身不随になり、一生車椅子の身に…という夫婦愛賛歌の報道が日本でもあった当時、深く同情した視聴者の一人としては、何とも複雑な思いで、現在進行中の事件を見守っているんデスヨ。

 あー、あと、終盤で突然日本がらみのエピソード?が出てくるのも、ビミョー……「モドラナイヨウニ、シテクダサイ」って! あの人物が突然日本語を話すとは思わなかった!

 この問題作、台湾では2009年1月9日に公開予定だとか。香港以上に話題になること間違いなしだけど……政治に対する香港と台湾の温度差が、評判と興収にどう作用するか、見ものです。

 で、日本公開の可能性は…?
 バブル時代なら「実録! 台湾○○○○事件!!〜台湾政界を揺るがせた狙撃事件の裏を果敢に暴く問題作! 『香港人肉厨房』のサイモン・ヤム主演!」なーんて事実を歪曲してヤムヤムのどアップを使ったシュミの悪いジャケットにして(ジョセフ・チャンはどこぉぉ!)、ビデオソフトにいつのまにかなってたりしそうなタイプの作品なんだけど、21世紀の昨今では…???
posted by nancix at 23:55| Comment(3) | TrackBack(0) | アジア映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして^^
通りすがりにお邪魔させて頂きました^^ 応援ポチッ!!
宜しければ私のところにも遊びに来てくださいね♪
Posted by @音三昧 at 2008年12月04日 03:22
nancixさん、好久不見^^!

いつも楽しく生の香港情報を拝見しています。

ところで張震パパとの2ショットの柯俊雄さんの写真を見てビックリ!(はっきり言ってトニーとの共演のマフィアのボス役の彼の事は、すっかり忘れてましたけど^^;)

あの台湾ドラマの金字塔、白先勇の長編小説『Nie【←草冠に辟】子』原作のドラマで范植偉の父親役だった方だったと気付きました。生き方に不器用な退役軍人の頑固親父を見事に演じておられました。

ちなみに張孝全(ジョセフ君)も范植偉の友人役で出演してて、これが又“献身”と言うのはジョセフの為に有るのね…てな悲しい役所でしたが(><)

ドラマは全20話。夜のシーンが多く暗〜い(と言えば『無間道』に通じるような感じ?)んですが、父子の葛藤を軸に社会の底辺や裏側?で生きる人たちを描いた骨太の人間ドラマです。原作は日本語訳も有るのですが、辞書の様に分厚い赤いハードカバーを見ると、流石に今は無理!って思っていまだに読めずにいます(汗)
Posted by くみ1216 at 2008年12月11日 00:07
はじめておうかがいします。
ニコといいます
トニー・レオンのことなら何でも知りたいので
ウロウロしていたらこちらに辿りつきました
たくさんの情報なので感激してます。

過去ログさせていただきます。
時々コメントさせてもらってもいいですか
たぶん質問ばかりになると思いますがいいですか?
Posted by ニコ at 2008年12月21日 17:26
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